19 / 45
18
「ティアラ、アイゼンから手紙だ」
未だに魚が釣れない私達が疲れて帰ってくると、お祖母様が庭でお茶をしていた。
お父様からの手紙、と聞いた途端に世界が止まって見える。
「そんな嫌そうな顔をしなさんな。アイゼンも色々考えてるみたいだから」
「お父様が…」
正直な話、お父様とお母様には酷な事を言ってしまったと思っていた。姉と妹のいざこざなんて…表立っては喧嘩してないけれど。むしろ喧嘩にならないように私は姿を消したのだけれど。
「まぁ、読んでみなよ。それから、前に言っていた対策を考えようじゃないか」
「…そうですわね」
私は自分の使っている部屋に戻り、手紙を開けた。
「お茶の準備をしてきます」
モニカはそっと姿を消してくれた。
私は数枚ある便箋をゆっくりと開いた。
「…緊張するわね…」
ふぅ、と気分を落ち着かせるために、息を吐く。このまま逃げ続けるわけには行かないし。私だって前に進みたい。
そっと、手紙に目を落とすと、お父様のゆったりとした字が目に入る。
ティアラへ
元気にしているか?母上と楽しくやっている事だと思っている。こちらは少々面倒な事になっているよ。
ティアラが出発した日、二人に話を聞いた。結果から言うと、二人に恋愛感情はない。リュダールはティアラがいなくなった事で憔悴しきっていて、アリーシャはティアラに謝りたいと落ち込んでいる。
しかし、どうして二人が密会をしていたかの理由は二人とも口を噤んで未だに聞けていないのが現状だ。けれども私とお母様が独自に調べた事がある。俄かに信じられない事だが、詳細はお母様の手紙に書いてある。ティアラなら理解出来ると思う。
ティアラは休みいっぱいはそちらにいるだろう?けれど、帰って来たくなったらいつでも帰って来なさい。
仕返しをするなら私達も協力するよ。
アイゼン・シュダイン
「は…恋愛感情は…ない…ですって…?」
なら何故。
私にバレたらマズイ事って、何?
渡し合っていたものは…何?
「あ…お母様からも…」
流れるような美しい字。
お母様は何を書いているのかしら…。調べた結果が書いてあるのかしら。
ティアラへ
体調は大丈夫?お義母様がいれば安心だけれど。
それはそうと、アリーシャとリュダールは恋愛関係ではなく、誰かの存在を隠そうとしているように思うの。例えば、ありえない方とアリーシャが恋に落ちた、とか。その中継ぎにリュダールが協力しているんじゃないかとお母様は思ってるわ。
ハンナに調べさせたアリーシャの部屋にはあの子が買った事がないアクセサリーが数点あったの。
青い宝石のついた薔薇のデザインが多かったわ。一体誰から貰ったのかしらね?
ただ、アリーシャからリュダールに渡していた物に関しては、新しく購入した物ではないの。それがよくわからない所ね。
ティアラの気分が晴れるような事がわかったわけではないけれど、今の現状はこんなものよ。
リュダールとアリーシャの話を聞いて私が思ったのは、ティアラを傷付ける気持ちはなかったけれど、自分の欲を優先させた結果、最悪な事になったと今頃頭を抱えているお馬鹿さん二人よ。
ティアラはいつも自分を後回しにしがちだけれど、今回は自分のやりたいようにしなさい。それが婚約解消ならばそれでいいし、そのままお祖母様の所にいてもいい。
お母様はいつだってあなたの味方よ。
今回、アリーシャには厳しくします。今後、社交界に出た時に同じ事をしたらと思うとぞっとするわ。
何か私達にして欲しい事があったら教えてね。
マリアーヌ・シュバルツ
「アリーシャに…ありえない想い人…」
そんな話を聞いた事はないけれど。ただ、引っかかるのは青い宝石と薔薇。良くある組み合わせだけれど。
「それを何故リュダールが………え?」
私は頭をよぎった考えをすぐに捨てた。あるわけがない、そんな事。あってはならない。
「でも、辻褄は合う…」
合ってしまった。きっと、お母様も気付いている。
いや、でも、そんな。
「だから…私には言わなかった…」
蛙と同じ。
止められるから、だ。
だから、二人で。
「……バレるとマズイ」
そりゃそうでしょうね。
「お姉様は大丈夫?」
私には邪魔をさせないと。
「二人共……私をこんなに怒らせるなんて、流石ね」
二人が選んだ方法は、自分達とその想い人の事しか考えていない。
私とお母様の認識が同じなら、やり方を間違えば大事になるわ。
それに…あの二人にとって…私って…何なの?
私はお腹の底から湧き上がるような熱を、どう吐き出してやろうかと思考を巡らせた。
未だに魚が釣れない私達が疲れて帰ってくると、お祖母様が庭でお茶をしていた。
お父様からの手紙、と聞いた途端に世界が止まって見える。
「そんな嫌そうな顔をしなさんな。アイゼンも色々考えてるみたいだから」
「お父様が…」
正直な話、お父様とお母様には酷な事を言ってしまったと思っていた。姉と妹のいざこざなんて…表立っては喧嘩してないけれど。むしろ喧嘩にならないように私は姿を消したのだけれど。
「まぁ、読んでみなよ。それから、前に言っていた対策を考えようじゃないか」
「…そうですわね」
私は自分の使っている部屋に戻り、手紙を開けた。
「お茶の準備をしてきます」
モニカはそっと姿を消してくれた。
私は数枚ある便箋をゆっくりと開いた。
「…緊張するわね…」
ふぅ、と気分を落ち着かせるために、息を吐く。このまま逃げ続けるわけには行かないし。私だって前に進みたい。
そっと、手紙に目を落とすと、お父様のゆったりとした字が目に入る。
ティアラへ
元気にしているか?母上と楽しくやっている事だと思っている。こちらは少々面倒な事になっているよ。
ティアラが出発した日、二人に話を聞いた。結果から言うと、二人に恋愛感情はない。リュダールはティアラがいなくなった事で憔悴しきっていて、アリーシャはティアラに謝りたいと落ち込んでいる。
しかし、どうして二人が密会をしていたかの理由は二人とも口を噤んで未だに聞けていないのが現状だ。けれども私とお母様が独自に調べた事がある。俄かに信じられない事だが、詳細はお母様の手紙に書いてある。ティアラなら理解出来ると思う。
ティアラは休みいっぱいはそちらにいるだろう?けれど、帰って来たくなったらいつでも帰って来なさい。
仕返しをするなら私達も協力するよ。
アイゼン・シュダイン
「は…恋愛感情は…ない…ですって…?」
なら何故。
私にバレたらマズイ事って、何?
渡し合っていたものは…何?
「あ…お母様からも…」
流れるような美しい字。
お母様は何を書いているのかしら…。調べた結果が書いてあるのかしら。
ティアラへ
体調は大丈夫?お義母様がいれば安心だけれど。
それはそうと、アリーシャとリュダールは恋愛関係ではなく、誰かの存在を隠そうとしているように思うの。例えば、ありえない方とアリーシャが恋に落ちた、とか。その中継ぎにリュダールが協力しているんじゃないかとお母様は思ってるわ。
ハンナに調べさせたアリーシャの部屋にはあの子が買った事がないアクセサリーが数点あったの。
青い宝石のついた薔薇のデザインが多かったわ。一体誰から貰ったのかしらね?
ただ、アリーシャからリュダールに渡していた物に関しては、新しく購入した物ではないの。それがよくわからない所ね。
ティアラの気分が晴れるような事がわかったわけではないけれど、今の現状はこんなものよ。
リュダールとアリーシャの話を聞いて私が思ったのは、ティアラを傷付ける気持ちはなかったけれど、自分の欲を優先させた結果、最悪な事になったと今頃頭を抱えているお馬鹿さん二人よ。
ティアラはいつも自分を後回しにしがちだけれど、今回は自分のやりたいようにしなさい。それが婚約解消ならばそれでいいし、そのままお祖母様の所にいてもいい。
お母様はいつだってあなたの味方よ。
今回、アリーシャには厳しくします。今後、社交界に出た時に同じ事をしたらと思うとぞっとするわ。
何か私達にして欲しい事があったら教えてね。
マリアーヌ・シュバルツ
「アリーシャに…ありえない想い人…」
そんな話を聞いた事はないけれど。ただ、引っかかるのは青い宝石と薔薇。良くある組み合わせだけれど。
「それを何故リュダールが………え?」
私は頭をよぎった考えをすぐに捨てた。あるわけがない、そんな事。あってはならない。
「でも、辻褄は合う…」
合ってしまった。きっと、お母様も気付いている。
いや、でも、そんな。
「だから…私には言わなかった…」
蛙と同じ。
止められるから、だ。
だから、二人で。
「……バレるとマズイ」
そりゃそうでしょうね。
「お姉様は大丈夫?」
私には邪魔をさせないと。
「二人共……私をこんなに怒らせるなんて、流石ね」
二人が選んだ方法は、自分達とその想い人の事しか考えていない。
私とお母様の認識が同じなら、やり方を間違えば大事になるわ。
それに…あの二人にとって…私って…何なの?
私はお腹の底から湧き上がるような熱を、どう吐き出してやろうかと思考を巡らせた。
あなたにおすすめの小説
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
他小説サイトにも投稿しています。
〖完結〗その愛、お断りします。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚して一年、幸せな毎日を送っていた。それが、一瞬で消え去った……
彼は突然愛人と子供を連れて来て、離れに住まわせると言った。愛する人に裏切られていたことを知り、胸が苦しくなる。
邪魔なのは、私だ。
そう思った私は離婚を決意し、邸を出て行こうとしたところを彼に見つかり部屋に閉じ込められてしまう。
「君を愛してる」と、何度も口にする彼。愛していれば、何をしても許されると思っているのだろうか。
冗談じゃない。私は、彼の思い通りになどならない!
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
〖完結〗旦那様は私よりも愛人を選ぶそうです。
藍川みいな
恋愛
愛していると言った旦那様は、結婚して3年が経ったある日、愛人を連れて来ました。
旦那様が愛していたのは、私ではなく、聖女の力だったようです。3年間平和だった事から、私の力など必要ないと勘違いされたようで…
「もうお前は必要ない。出て行け。」と、言われたので出ていきます。
私がいなくなったら結界は消滅してしまいますけど、大丈夫なのですよね? それならば、二度と私を頼らないでください!
シャーロットの力のおかげで、子爵から伯爵になれたのに、あっけなく捨てるルーク。
結界が消滅しそうになり、街が魔物に囲まれた事でルークはシャーロットを連れ戻そうとするが…
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全15話で完結になります。
〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。
幸せを壊したのはあなた
阿里
恋愛
裕福な婚約者に支配され、その幼馴染に嘲笑われる日々。リリアは家族のために、心を無にして従い続けてきた。
だが、不貞の濡れ衣を着せられ、すべてを奪われて街に捨てられる。
死を覚悟した彼女を救ったのは、不器用だが真っ直ぐな愛を注ぐ商人・アルベルト。
「俺の隣にいてほしい。一人の女性として」
自らの才能を開花させ、幸せを掴んだリリアの元に、自業自得で没落した元婚約者が這い寄る。
「お前がいなければ何もできないんだ!」
……知っています。だからこそ、私は貴方を助けない。