35 / 45
34
「全てを言い終わったブランシュ様は、あなたがやっと本音を言ったから私の本音も教えてあげるって殿下に言った」
「ブランシュ様の…本音…」
「うん、ブランシュ様は周りの言いなりだった殿下がずっと嫌いだった、と」
「……それは…」
見てればわかった。ブランシュ様が殿下を見る目に恋情はないという事は。きっと誰しも知っている。
仕事上のパートナーが一番しっくりくるような、そんな視線。
でも、だからってアリーシャに愛を告げるのは違うと思うの。全部精算してからなら、まだわかるけど。被ってる時期があるのは、ブランシュ様にも失礼だし、シュダイン侯爵家にも失礼よ。アリーシャが「今はまだ」と跳ね除けられれば良いけれど、初めての恋だからそれは無理でしょうね。
「ブランシュ様は、自分にも添い遂げたい方がいる、と。殿下よりも見た目も中身も遥かに上で、正直あなたが石ころに見えるくらいの人だ、と」
「…は…?」
「それでも自分は、婚約者がいるからと泣く泣く気持ちに蓋をして来たのに、お前は何だ!って…。そんな事ならもっと早く言え、と」
「…それで…ブランシュ様は…?」
私は恐る恐るその結果を聞いた。まさか、ブランシュ様は…。
「そこからはブランシュ様が陛下と公爵様を説得するシナリオを書き上げて…つい数日前に両者合意で円満に婚約解消が決まった。ちなみに、ブランシュ様はもう国内にはいない」
「えぇ!?」
「少し離れたアマンダ国の第三王子の元に行かれた」
「………」
驚愕の事実だわ…。ここ数年で良質のダイヤを採掘して大きくなった国。確か数回パーティーに来ていたような…。でも、接点なんてあった!?第三王子なんて来てた!?
「第三王子はこの国にもともといたんだ」
「え?そ、そうなの?」
「あぁ、リアの彫金師に弟子入りしてたそうだ。それで、公爵家に商品を持っていった時にブランシュ様と出会ったらしい。最近までブランシュ様は王子だったとは知らなかったと言っていた」
「まるで小説みたいね…」
運命的な出会いを果たした二人を結ぶ赤い糸が存在したという事なのかしら。ブランシュ様がお幸せそうなら私は嬉しいけれど。いよいよ私が悩んだ日々が無駄に思えてならないわ。
「お義父さんに、殿下のやり方は間違っていると指摘を受けて…結局殿下とアリーシャの婚約は叶わなかったんだ」
「間違いだらけでしょ、そりゃ」
「やっぱり、ブランシュ様と婚約中にアリーシャと仲良くなったのが……」
「それだけ?」
「え?」
リュダールは本当にそれだけだと思っているんだろうか。それだけな訳がないじゃない。湖に石を投げ入れたとして、それがどれだけ小さな物でも波紋は生まれるのだ。それは予想を遥かに超える所にまで広がる。目の前の水面だけじゃない。ずっともっと向こうの向こう岸にまでたどり着く事だってあるのに。
「ねぇ?そもそも疑問だったんだけど…あなた達は私を馬鹿にしてるの?」
「え…そんな事は…」
「いわば王家の話だから、言えないのはわかるとしても。最初から隠すって事が破綻してるとは思わないの?」
「破綻…」
「素人の私にでさえ、あなたの様子がいつもと違うって思ったから後をついて行ったらあの密会だったわけよ」
「……ごめん…」
リュダールは謝るけれど、そうじゃないのよ。護衛として、そんな簡単に見抜かれるって。しかも隠しきれてないって。いっそ堂々としてた方が私に何も思われなかったんじゃないの、と。だってそれが、いつもの風景だもん。
「私にすぐに気付かれるくらいだから、王家の方はもう知ってたんじゃないの?知ってて泳がされてた、とか」
「あ……え?そんな事…」
「試されてたとか?どうやって実を結ぶか」
「…っ!!…まさか…」
「ブランシュ様も共犯だったり?」
「……」
リュダールは難しい顔をして黙ってしまった。今頃ぐるぐる考えてるんだろうなぁ。でも、全体を見てないからきっとわからないんだろう。ブランシュ様なら、今後の流れを読めたはず。なのに何も言ってないと言う事は……。
「周りや相手をちゃんと見てればわかる事なのよ。でもあなたも、殿下も、アリーシャもちゃんと見てないでしょう?」
「…それは…」
「答えは出てるじゃないの。見えてなかったから、私はこうしてここにいる。そして、殿下とアリーシャは婚約を許されなかった。違う?」
「ち、違わない…」
私は何度も表情に出してたし、最後には聞いたわ。それを自分の都合で無視したのはあなたでしょ。
「ねぇ、本当に私を愛しているならどうして内緒にしようとしたのかしら?アリーシャに頼まれたのもあるけれど、まだあるでしょう?理由」
「……ティアラに無許可で物を集めてると知られたら、気持ち悪がられて嫌われるのが…こ、怖かった…」
「結局自分の為に私を犠牲にしたんでしょう?嘘を吐かれた私の気持ちも考えずに」
「……っ…ごめん…」
「謝って欲しい訳じゃないの、どうせそんなのすぐ忘れちゃうんでしょ?」
リュダールの目には涙がうっすらと溜まっている。虐めてるみたいじゃないの、悪いのはあなた達なのに。
私は呆れたように溜息を吐いた。
「ブランシュ様の…本音…」
「うん、ブランシュ様は周りの言いなりだった殿下がずっと嫌いだった、と」
「……それは…」
見てればわかった。ブランシュ様が殿下を見る目に恋情はないという事は。きっと誰しも知っている。
仕事上のパートナーが一番しっくりくるような、そんな視線。
でも、だからってアリーシャに愛を告げるのは違うと思うの。全部精算してからなら、まだわかるけど。被ってる時期があるのは、ブランシュ様にも失礼だし、シュダイン侯爵家にも失礼よ。アリーシャが「今はまだ」と跳ね除けられれば良いけれど、初めての恋だからそれは無理でしょうね。
「ブランシュ様は、自分にも添い遂げたい方がいる、と。殿下よりも見た目も中身も遥かに上で、正直あなたが石ころに見えるくらいの人だ、と」
「…は…?」
「それでも自分は、婚約者がいるからと泣く泣く気持ちに蓋をして来たのに、お前は何だ!って…。そんな事ならもっと早く言え、と」
「…それで…ブランシュ様は…?」
私は恐る恐るその結果を聞いた。まさか、ブランシュ様は…。
「そこからはブランシュ様が陛下と公爵様を説得するシナリオを書き上げて…つい数日前に両者合意で円満に婚約解消が決まった。ちなみに、ブランシュ様はもう国内にはいない」
「えぇ!?」
「少し離れたアマンダ国の第三王子の元に行かれた」
「………」
驚愕の事実だわ…。ここ数年で良質のダイヤを採掘して大きくなった国。確か数回パーティーに来ていたような…。でも、接点なんてあった!?第三王子なんて来てた!?
「第三王子はこの国にもともといたんだ」
「え?そ、そうなの?」
「あぁ、リアの彫金師に弟子入りしてたそうだ。それで、公爵家に商品を持っていった時にブランシュ様と出会ったらしい。最近までブランシュ様は王子だったとは知らなかったと言っていた」
「まるで小説みたいね…」
運命的な出会いを果たした二人を結ぶ赤い糸が存在したという事なのかしら。ブランシュ様がお幸せそうなら私は嬉しいけれど。いよいよ私が悩んだ日々が無駄に思えてならないわ。
「お義父さんに、殿下のやり方は間違っていると指摘を受けて…結局殿下とアリーシャの婚約は叶わなかったんだ」
「間違いだらけでしょ、そりゃ」
「やっぱり、ブランシュ様と婚約中にアリーシャと仲良くなったのが……」
「それだけ?」
「え?」
リュダールは本当にそれだけだと思っているんだろうか。それだけな訳がないじゃない。湖に石を投げ入れたとして、それがどれだけ小さな物でも波紋は生まれるのだ。それは予想を遥かに超える所にまで広がる。目の前の水面だけじゃない。ずっともっと向こうの向こう岸にまでたどり着く事だってあるのに。
「ねぇ?そもそも疑問だったんだけど…あなた達は私を馬鹿にしてるの?」
「え…そんな事は…」
「いわば王家の話だから、言えないのはわかるとしても。最初から隠すって事が破綻してるとは思わないの?」
「破綻…」
「素人の私にでさえ、あなたの様子がいつもと違うって思ったから後をついて行ったらあの密会だったわけよ」
「……ごめん…」
リュダールは謝るけれど、そうじゃないのよ。護衛として、そんな簡単に見抜かれるって。しかも隠しきれてないって。いっそ堂々としてた方が私に何も思われなかったんじゃないの、と。だってそれが、いつもの風景だもん。
「私にすぐに気付かれるくらいだから、王家の方はもう知ってたんじゃないの?知ってて泳がされてた、とか」
「あ……え?そんな事…」
「試されてたとか?どうやって実を結ぶか」
「…っ!!…まさか…」
「ブランシュ様も共犯だったり?」
「……」
リュダールは難しい顔をして黙ってしまった。今頃ぐるぐる考えてるんだろうなぁ。でも、全体を見てないからきっとわからないんだろう。ブランシュ様なら、今後の流れを読めたはず。なのに何も言ってないと言う事は……。
「周りや相手をちゃんと見てればわかる事なのよ。でもあなたも、殿下も、アリーシャもちゃんと見てないでしょう?」
「…それは…」
「答えは出てるじゃないの。見えてなかったから、私はこうしてここにいる。そして、殿下とアリーシャは婚約を許されなかった。違う?」
「ち、違わない…」
私は何度も表情に出してたし、最後には聞いたわ。それを自分の都合で無視したのはあなたでしょ。
「ねぇ、本当に私を愛しているならどうして内緒にしようとしたのかしら?アリーシャに頼まれたのもあるけれど、まだあるでしょう?理由」
「……ティアラに無許可で物を集めてると知られたら、気持ち悪がられて嫌われるのが…こ、怖かった…」
「結局自分の為に私を犠牲にしたんでしょう?嘘を吐かれた私の気持ちも考えずに」
「……っ…ごめん…」
「謝って欲しい訳じゃないの、どうせそんなのすぐ忘れちゃうんでしょ?」
リュダールの目には涙がうっすらと溜まっている。虐めてるみたいじゃないの、悪いのはあなた達なのに。
私は呆れたように溜息を吐いた。
あなたにおすすめの小説
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
他小説サイトにも投稿しています。
〖完結〗その愛、お断りします。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚して一年、幸せな毎日を送っていた。それが、一瞬で消え去った……
彼は突然愛人と子供を連れて来て、離れに住まわせると言った。愛する人に裏切られていたことを知り、胸が苦しくなる。
邪魔なのは、私だ。
そう思った私は離婚を決意し、邸を出て行こうとしたところを彼に見つかり部屋に閉じ込められてしまう。
「君を愛してる」と、何度も口にする彼。愛していれば、何をしても許されると思っているのだろうか。
冗談じゃない。私は、彼の思い通りになどならない!
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
〖完結〗旦那様は私よりも愛人を選ぶそうです。
藍川みいな
恋愛
愛していると言った旦那様は、結婚して3年が経ったある日、愛人を連れて来ました。
旦那様が愛していたのは、私ではなく、聖女の力だったようです。3年間平和だった事から、私の力など必要ないと勘違いされたようで…
「もうお前は必要ない。出て行け。」と、言われたので出ていきます。
私がいなくなったら結界は消滅してしまいますけど、大丈夫なのですよね? それならば、二度と私を頼らないでください!
シャーロットの力のおかげで、子爵から伯爵になれたのに、あっけなく捨てるルーク。
結界が消滅しそうになり、街が魔物に囲まれた事でルークはシャーロットを連れ戻そうとするが…
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全15話で完結になります。
〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。
幸せを壊したのはあなた
阿里
恋愛
裕福な婚約者に支配され、その幼馴染に嘲笑われる日々。リリアは家族のために、心を無にして従い続けてきた。
だが、不貞の濡れ衣を着せられ、すべてを奪われて街に捨てられる。
死を覚悟した彼女を救ったのは、不器用だが真っ直ぐな愛を注ぐ商人・アルベルト。
「俺の隣にいてほしい。一人の女性として」
自らの才能を開花させ、幸せを掴んだリリアの元に、自業自得で没落した元婚約者が這い寄る。
「お前がいなければ何もできないんだ!」
……知っています。だからこそ、私は貴方を助けない。