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35 アリーシャ視点
「お嬢様、少しでも食べて下さい…」
リナがスープを持って来てくれたけど、食べる気にならない。サイラス様が求婚をしてくれたのに、お父様は断ってしまった。
どうして、王家との婚姻なら侯爵家にだって名誉な事じゃない…。それに、私が侯爵家を継ぐんだから、婿入りしてもらえば将来は安泰だし…。
「お父様もお母様も私がお姉様に嘘をついたから怒っているのね…」
「嘘をついたのですか?」
「うん…」
「では謝らなければなりませんね」
「そうなんだけど…」
お姉様に相談すれば…でも…私には会ってくれないかもしれないわ…。お姉様はきっと、とても怒っているもの…。
「ティアラ様はお優しい方ですから、正直に理由を話して謝れば許して頂けますよ」
「リナ…そうかしら…」
お姉様は昔から私には優しい。何をしても困ったように笑って、しょうがない子ねって抱き締めてくれた。それなのに私はお姉様を傷付けて、お義兄様との仲を拗れさせてしまった。それをまず謝らなければ。
「ねぇ、リナ。明後日、お祖母様の所へ行きたいの。準備してくれる?」
「シャリエ様の所に?わかりました、その代わりこのスープを飲んで下さいね」
「わかったわ…」
「では、私は旦那様に聞いてきますね」
「お願いね」
お父様の所に向かったリナを見送り、私は一口ずつゆっくりとスープを飲み始めた。お姉様に会うためとはいえ、お祖母様の領地に本当は行きたくない…私はお祖母様が苦手だから。何でも見透かしてしまいそうな、あの意思の強い紫の瞳が怖い。
「叱られる事はあまりないけど、褒められる事もあまりないのよね…」
あの平民のテオもいつも無愛想で怖いし。漁師町だから海が近くて、風もベタベタしてるし。それに私は魚よりは肉が好きだ。だから、根本的にあの街と私は相性が悪い。
「サイラス様に会いたい…」
でも結婚はおろか、婚約すらさせてくれないなんて…。
「愛し合う二人を引き裂くなんて…酷いわ…お父様…」
じわりと涙が浮かんでくる。サイラス様から貰った薔薇のネックレスは、いつも肌身離さずに付けている。これは、サイラス様が街に来た時に自分で作ったと言っていた。お姉様がお義兄様から貰った、リアのような一流品ではなくても私にはこれが世界で一番価値のある物と思える。
「でも…お父様が言った間違いって何だったのかしら…それに…今のままの私ではダメだとも…」
ブランシュ様みたいに教養が足りていないという事?でもそれなら私だって勉強すれば、身に付けられるでしょう?見た目だけならブランシュ様にだって負けてないし!!
「サイラス様ともっと一緒にいられたら良いのに…」
私はブランシュ様みたいにサイラス様をあんなに冷たい目で見たり、そっけない態度なんて取らないわ。身分が王子様じゃなくなっても、私は彼といられればそれでいいもの!!
「やっと隠れなくて良くなったのに…」
でも、ブランシュ様ってすんなり婚約解消に応じたのかしら?自分だって嫌がってたんだから、すぐにでも婚約解消したかったはずだわ!!サイラス様とダンスしていた時、笑い合っていたけど最後だから笑っていたのかしら。
「私ったら勘違いして…」
お酒なんて飲まなければ、お義兄様に絡んだり泣いたりしなかったのに…。お義兄様が私を慰めてくれるのは小さい頃からよくある事で、いつもそこにはお姉様もいるから何も思わなかったけど。
「二人になったりするのはやっぱりダメよね。お姉様でも誤解するくらいだもの…サイラス様だって…」
お姉様にはきちんと説明して謝ろう。お義兄様とは何でもないって、私の好きな人はサイラス様なんだって。お姉様はきっと、私達を祝福してくれるわ!
「お姉様が祝福してくれたら…きっと、お父様とお母様も…」
そう思うと、何だか元気が出てきた気がする。そうだ!お父様にお願いして、優秀な家庭教師を付けて貰おうかしら?教養を伸ばせばサイラス様の伴侶としてお父様もお母様も認めて下さるわ!!
「出来ることはするべきよね!!」
泣いている暇なんてないわ!私は絶対にサイラス様と結ばれてみせるんだから!!
「…お嬢様…」
ノック音がして、リナが残念そうな顔をしながら部屋に入ってきた。どうしたのかしら、何かあったのかしら?
「リナ、どうしたの?」
「あの…旦那様が…領地に行くことは許可できないと…」
「どうして?」
「理由までは…」
「そう、じゃあ私が直接お願いしてみるわ」
「はい…」
私はお父様の執務室へと急いだ。ドアをノックすると「入れ」と応答があったから私はドアを開けて中に入る。
「何だ?アリーシャ。領地に行くのは許可出来ないぞ」
「何故ですか?私はお姉様に会いに行きたいのです」
「ティアラは療養中だ、休ませてやりなさい」
「でも!謝罪もしたいのです!」
「ははは!謝罪?」
お父様が笑いながら、チラリとこちらに視線を向けた。その目があまりにも冷たい物で、私はびくりと肩を揺らす。
「何に対して謝るのか、お父様に聞かせてもらえるかい?」
その時、執務室がぱきりと凍った気がした。
◇◇◇
ラストまでの目処が付きました…!
感想のお返事遅くなるけど許して…!
リナがスープを持って来てくれたけど、食べる気にならない。サイラス様が求婚をしてくれたのに、お父様は断ってしまった。
どうして、王家との婚姻なら侯爵家にだって名誉な事じゃない…。それに、私が侯爵家を継ぐんだから、婿入りしてもらえば将来は安泰だし…。
「お父様もお母様も私がお姉様に嘘をついたから怒っているのね…」
「嘘をついたのですか?」
「うん…」
「では謝らなければなりませんね」
「そうなんだけど…」
お姉様に相談すれば…でも…私には会ってくれないかもしれないわ…。お姉様はきっと、とても怒っているもの…。
「ティアラ様はお優しい方ですから、正直に理由を話して謝れば許して頂けますよ」
「リナ…そうかしら…」
お姉様は昔から私には優しい。何をしても困ったように笑って、しょうがない子ねって抱き締めてくれた。それなのに私はお姉様を傷付けて、お義兄様との仲を拗れさせてしまった。それをまず謝らなければ。
「ねぇ、リナ。明後日、お祖母様の所へ行きたいの。準備してくれる?」
「シャリエ様の所に?わかりました、その代わりこのスープを飲んで下さいね」
「わかったわ…」
「では、私は旦那様に聞いてきますね」
「お願いね」
お父様の所に向かったリナを見送り、私は一口ずつゆっくりとスープを飲み始めた。お姉様に会うためとはいえ、お祖母様の領地に本当は行きたくない…私はお祖母様が苦手だから。何でも見透かしてしまいそうな、あの意思の強い紫の瞳が怖い。
「叱られる事はあまりないけど、褒められる事もあまりないのよね…」
あの平民のテオもいつも無愛想で怖いし。漁師町だから海が近くて、風もベタベタしてるし。それに私は魚よりは肉が好きだ。だから、根本的にあの街と私は相性が悪い。
「サイラス様に会いたい…」
でも結婚はおろか、婚約すらさせてくれないなんて…。
「愛し合う二人を引き裂くなんて…酷いわ…お父様…」
じわりと涙が浮かんでくる。サイラス様から貰った薔薇のネックレスは、いつも肌身離さずに付けている。これは、サイラス様が街に来た時に自分で作ったと言っていた。お姉様がお義兄様から貰った、リアのような一流品ではなくても私にはこれが世界で一番価値のある物と思える。
「でも…お父様が言った間違いって何だったのかしら…それに…今のままの私ではダメだとも…」
ブランシュ様みたいに教養が足りていないという事?でもそれなら私だって勉強すれば、身に付けられるでしょう?見た目だけならブランシュ様にだって負けてないし!!
「サイラス様ともっと一緒にいられたら良いのに…」
私はブランシュ様みたいにサイラス様をあんなに冷たい目で見たり、そっけない態度なんて取らないわ。身分が王子様じゃなくなっても、私は彼といられればそれでいいもの!!
「やっと隠れなくて良くなったのに…」
でも、ブランシュ様ってすんなり婚約解消に応じたのかしら?自分だって嫌がってたんだから、すぐにでも婚約解消したかったはずだわ!!サイラス様とダンスしていた時、笑い合っていたけど最後だから笑っていたのかしら。
「私ったら勘違いして…」
お酒なんて飲まなければ、お義兄様に絡んだり泣いたりしなかったのに…。お義兄様が私を慰めてくれるのは小さい頃からよくある事で、いつもそこにはお姉様もいるから何も思わなかったけど。
「二人になったりするのはやっぱりダメよね。お姉様でも誤解するくらいだもの…サイラス様だって…」
お姉様にはきちんと説明して謝ろう。お義兄様とは何でもないって、私の好きな人はサイラス様なんだって。お姉様はきっと、私達を祝福してくれるわ!
「お姉様が祝福してくれたら…きっと、お父様とお母様も…」
そう思うと、何だか元気が出てきた気がする。そうだ!お父様にお願いして、優秀な家庭教師を付けて貰おうかしら?教養を伸ばせばサイラス様の伴侶としてお父様もお母様も認めて下さるわ!!
「出来ることはするべきよね!!」
泣いている暇なんてないわ!私は絶対にサイラス様と結ばれてみせるんだから!!
「…お嬢様…」
ノック音がして、リナが残念そうな顔をしながら部屋に入ってきた。どうしたのかしら、何かあったのかしら?
「リナ、どうしたの?」
「あの…旦那様が…領地に行くことは許可できないと…」
「どうして?」
「理由までは…」
「そう、じゃあ私が直接お願いしてみるわ」
「はい…」
私はお父様の執務室へと急いだ。ドアをノックすると「入れ」と応答があったから私はドアを開けて中に入る。
「何だ?アリーシャ。領地に行くのは許可出来ないぞ」
「何故ですか?私はお姉様に会いに行きたいのです」
「ティアラは療養中だ、休ませてやりなさい」
「でも!謝罪もしたいのです!」
「ははは!謝罪?」
お父様が笑いながら、チラリとこちらに視線を向けた。その目があまりにも冷たい物で、私はびくりと肩を揺らす。
「何に対して謝るのか、お父様に聞かせてもらえるかい?」
その時、執務室がぱきりと凍った気がした。
◇◇◇
ラストまでの目処が付きました…!
感想のお返事遅くなるけど許して…!
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