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「ミリオネア、ジュエルとここ数日昼食を共にしていたが何か変わった事は無かったか?」
「へ?」
突然のジュエルの話題に気の抜けた声が出た。
ジャスティンは、ムッとした表情を隠す事なくにぎにぎと私の手を触っているが。
「雰囲気が変わったとか…言動が変わったとか」
「えぇ…?特に何も…あ、でも…今日はいつもより強引だったような…?」
「強引…何かされたか?」
「たいした事じゃないわ。私が食べてるステーキを食べさせて欲しがったり、愛称をつけたがったりしただけ」
「……っざけやがって…!…それで?食べさせたのか?」
ジャスティンの口から乱暴な言葉が…ちょっとドキドキしちゃったじゃないの。
全くその不意打ちやめて欲しいわ!
「ミリオネア、答えろ」
「え、あぁ。流石に食べさせるのはお断りしたら、自分で食べてたわ。あとは…ジュエルって呼び捨てにして欲しいと言ってたくらいかしら…」
「ちっ!あいつまだ諦めてなかったか…」
「え?」
ジャスティンが呟いた内容の意味がわからないから聞き返すと、彼の口からとんでもない事実が発せられた。
「あいつは、昔からお前に惚れてるんだ。お前は気付いてなかったみたいだがな」
「は!?」
「前にリチャード殿に阻まれてる男が多いって話したろ。あの中にジュエルもいた」
「ちょ、ちょっと待って!?ジュエルが!?あの可愛いジュエルが!?」
私の脳内は軽くパニックになっている。
ジュエルはいつもニコニコしていて、弟みたいな存在で…そんな天使が、私を狙う!?
そんな事…。
「そんな事…あるわけ…」
「あるんだよ。今までに数回、お前は薬を盛られかけてるし、過去にも…ずっと狙われてた。だから俺は…式を…」
ごそりとジャスティンから表情が抜け落ちる。
闇歴史を振り返っているんだろう事はわかったが、何をそんなに……あ!
「だから第二の誓約を急いでいたのね!?」
「くそっ…嫌な記憶だな…。そうだ、挙式を急いだのはあいつがお前を無理やり犯して自分の妃にしようとしていたからだ。監禁部屋まで作っていたらしいから、俺は焦って…」
「あの時は私が浮気すると思われていたのかと腹が立ったけど…実際は…守るため…?」
「それが大半だが、お前を誰にも触れさせたくなかったのもある…」
気不味そうにジャスティンは目を逸らす。
何でそんな大事な事を今になって言うのか…!!
私は隣に座る愛しい男を鈍器で殴りたくなった。
「い…良い加減にしなさいよ!そ、そんな事はあの時言いなさいよね!!私、勘違いして…もう…馬鹿!!」
「あの時は…式を早く挙げたいとしか…ごめん…」
「も…馬鹿……」
ぎゅうっと手を強く握る。
ジャスティンは、すりすりと指で手の甲を撫でて来る。
この馬鹿で不器用な男は私以外には扱えないと思った。
「ジュエルがミリオネアと一緒にいるのを見て…気付いた事がある。ミランダ王女は…姿形が微妙にミリオネアに似ていると」
「あ…黒髪…」
「それで、ミランダ王女とジュエルの交友があったかを調べたんだ。そしたら…ミランダ王女がいなくなる前、ジュエルとよく一緒にいたと今日聞いて…」
「え……ま、まさか……」
「ジュエルと俺は似ている所もある…俺ならどうするかって考えたら…ミランダ王女は籠絡されている可能性がある」
「…っ!!!」
私はアイラを思い出した。
過去のジャスティンに私を振り向かす為だけに利用された令嬢。
その上、殺されている。
「……まさか…」
「俺は他の女に触るのが気持ち悪かったけど…あいつは違う。閨教育が終わった後、あいつに純潔を散らされた女は多い」
「な、なんて事……」
ざぁっと血の気が引く。
ジュエルがそんな事をしていたなんて…。
ショックで身体が震えて来る。
「しかも、一度寝た相手には見向きもしないようだ。当時それが問題になって、一時期謹慎していた事もある」
「…それって…私達の婚約パーティーの時…?」
「あぁ…その頃だ…」
だから…パーティーに来ていなかったのね…。
ジュエル…どうしてそんな事を…。
「…どこで…間違っちゃったのかしら…」
「最初は俺が好きな女を奪いたかっただけ…でも、お前の魅力に完全に堕ちたんだよ」
「そんな…弟だと思っていたのに…」
「お前は気付いてないが、周りにはそんな男がゴロゴロいるんだ。頼むから気を付けてくれ」
「う…うん?」
「あぁ…これだから俺は不安で仕方ない…」
「ご、ごめんね…?」
私はへらりと笑う事しか出来なかった。
まさか、発信源が自分なんて誰が思うって言うのよ。
まるで物語のような展開だわ…。
「とにかく、ジュエルがお前を手に入れるために仕掛けてくるかも知れないから絶対俺から離れないでくれ。不安で夜も眠れない」
「う、わかった…」
「今日からは俺の部屋で寝ろよ。危ないから」
「そんな…隣にいる獣が安全じゃないわよ?」
「俺は良いんだ。あと数ヶ月で夫だから」
「…そ、そう…ね…」
夫というフレーズに思わず赤面した。
しかし、照れている場合ではない。
襲われたら堪らないわ、ジャスティンでさえも我慢していると言うのに!
「ミリオネア、この後、サロンの個室でカタギリ嬢も交えて話をしよう。全て知ってしまった以上、俺といた方が安全だ」
「わかった。私も協力するわ。それに…女神様ならミランダ王女の居場所がわかるかも知れない…」
「そうだな、女神には申し訳ないが協力してもらおう。これ以上、ミリオネアとの時間を邪魔されるのはごめんだ」
「ジュエルも…改心して欲しいわ…」
仲の良さそうな兄弟だと思っていたら、中身は全然違っていて衝撃を受けつつも出来れば私に見せていた純粋なジュエルになって欲しい。
私はそう願いつつ、カタギリ様と待ち合わせをしているというサロンにジャスティンと共に向かった。
「ほんっとうにごめんなさい!!」
開口一番に、カタギリ様は謝罪してくれた。
王族が謝るなんて事あるのね!?しかもこんな豪快に!!
向かい合って座った私の隣にはジャスティン。
前にはカタギリ様と、テーブルの上には何故かあの胸ポケットに鎮座していた真っ白な犬の御守り。
「ジャーポ王国の国王、王妃として深くお詫びさせて頂きます…」
すっと頭を下げたカタギリ様の表情は凛としていて王妃様としての威厳に圧倒されてしまう。
しかし、ここはきちんと応対しなければならない。
ジャスティンの婚約者として。
「頭をお上げください、王妃様。私は気にしていませんので。お会いできた事、光栄に思います。それに、我が国で残念な事が起きてしまい…こちらこそ深くお詫び申し上げます…」
私は深々と頭を下げた。
妹さんがいなくなったなんて、きっと不安で仕方ないはずだわ。
私だって、強いお兄様でもいなくなったら少しは心配はするし。
「そう言って貰えてありがたいわ、ねぇ、天京」
カタギリ様があの御守りに話しかける。
すると御守りがカタカタと動き出して、ぺこっと頭を下げた。
「申し訳ない事をした…我はそなたが気の毒で…」
「…カタギリ様、この御守り…テンケイ様は…お話しになりますのね…」
「ふふふ…ジャスティン殿下と反応が正反対なのね!可愛いわ!これは御守りだけど、夫が姿を変えているの」
「え!?まぁ…!失礼致しました!国王陛下!」
私はまた深々と頭を下げた。
「よいよい、可愛らしい娘御にはこの姿は失礼じゃのう。どれ…術を解いてやろう」
「え!?」
ぼふん!と煙が上がり、テーブルの上に座っていたのは真っ白な髪色でとんでもない美形の大人の男性だった。
「我が天京じゃ。宜しく頼むぞ」
「ミ、ミリオネア・ハーヴェストです。こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します、陛下」
思わず立ち上がって最敬礼をしてしまった。
ジャスティンから痛いほどの視線が刺さる。
だって…!
仕方ないじゃない!!
ものすごい美形なんだもの!!
「ジャスティン、これが我の本来の姿じゃ。間違っても斬り殺そうとしないでくれよ」
「…その節は失礼しました」
「くっくっくっ…今は別の意味で殺されそうじゃ…」
「…そんな事は…」
ジャスティン…あなた…この方に何をしたの…。
ちらりと呆れた視線を向けるとジャスティンとばちりと目が合った。
「…帰ったら覚えてろよ…」
ぼそりと呟かれた声色に、あ、地雷を踏んだと思ったけど素知らぬ顔をしてカタギリ様達とお話をする。
天京様は妖狐という妖らしく、妖術という不思議な力を使うらしい。
「妹の手紙にはジュエル殿下をお慕いしていると書かれていたの。それなのに行方不明になるなんて、おかしいでしょう?」
「…そうですね。好きな人がいるなら離れたくないはずですから…」
「ジュエルの周囲を探ってみたが、王女を囲えるような建物などを借りたり購入した形跡はない」
「…我の妖術は人探しには向いておらん…何か思いつく事はあるか?ミリオネア」
私は考えを巡らせた。
ジュエルが王女を隠す場所…もしくは……。
「私を隠したい場所…?」
ぽろっと転がった思い付きは、私の中で急速に肉付いていき一つの賭けに辿り着く。
「ミリオネア、俺が正気を保てる案にしろよ…」
「ジャスティン、早期解決には多少の危険は伴うものよ?」
「ミリオネア、何か思い付いたのか?」
「出来るかどうかは別として、聞いてみたいわ」
私は今思いついた事を口にする。
私が、ジュエルに心変わりをしたようにして、その場所に連れて行かれたらいいのだ。
そうすれば、隠れた拠点がわかるはず。
「…馬鹿な事を…!何かされたらどうするんだ!」
「あら、私に掛かった防御魔法達を馬鹿にしてはダメだわ。下手すれば瀕死になるわよ?」
「だからって…絶対許さない!!」
見事にジャスティンが怒り狂い、結局そのまま解散となった。
帰りの馬車ではめちゃくちゃ不機嫌そうなジャスティンにがっちりと手を繋がれて、さっきまで窒息寸前のキス責めにされるというお仕置きをされたが、我ながらいい案じゃないかと思っている。
ジャスティンは全く聞き入れてはくれないが。
カタギリ様達との話し合いは明日に持ち越しとなったが、私はその前に女神様に話を聞きに行きたかった。
「へ?」
突然のジュエルの話題に気の抜けた声が出た。
ジャスティンは、ムッとした表情を隠す事なくにぎにぎと私の手を触っているが。
「雰囲気が変わったとか…言動が変わったとか」
「えぇ…?特に何も…あ、でも…今日はいつもより強引だったような…?」
「強引…何かされたか?」
「たいした事じゃないわ。私が食べてるステーキを食べさせて欲しがったり、愛称をつけたがったりしただけ」
「……っざけやがって…!…それで?食べさせたのか?」
ジャスティンの口から乱暴な言葉が…ちょっとドキドキしちゃったじゃないの。
全くその不意打ちやめて欲しいわ!
「ミリオネア、答えろ」
「え、あぁ。流石に食べさせるのはお断りしたら、自分で食べてたわ。あとは…ジュエルって呼び捨てにして欲しいと言ってたくらいかしら…」
「ちっ!あいつまだ諦めてなかったか…」
「え?」
ジャスティンが呟いた内容の意味がわからないから聞き返すと、彼の口からとんでもない事実が発せられた。
「あいつは、昔からお前に惚れてるんだ。お前は気付いてなかったみたいだがな」
「は!?」
「前にリチャード殿に阻まれてる男が多いって話したろ。あの中にジュエルもいた」
「ちょ、ちょっと待って!?ジュエルが!?あの可愛いジュエルが!?」
私の脳内は軽くパニックになっている。
ジュエルはいつもニコニコしていて、弟みたいな存在で…そんな天使が、私を狙う!?
そんな事…。
「そんな事…あるわけ…」
「あるんだよ。今までに数回、お前は薬を盛られかけてるし、過去にも…ずっと狙われてた。だから俺は…式を…」
ごそりとジャスティンから表情が抜け落ちる。
闇歴史を振り返っているんだろう事はわかったが、何をそんなに……あ!
「だから第二の誓約を急いでいたのね!?」
「くそっ…嫌な記憶だな…。そうだ、挙式を急いだのはあいつがお前を無理やり犯して自分の妃にしようとしていたからだ。監禁部屋まで作っていたらしいから、俺は焦って…」
「あの時は私が浮気すると思われていたのかと腹が立ったけど…実際は…守るため…?」
「それが大半だが、お前を誰にも触れさせたくなかったのもある…」
気不味そうにジャスティンは目を逸らす。
何でそんな大事な事を今になって言うのか…!!
私は隣に座る愛しい男を鈍器で殴りたくなった。
「い…良い加減にしなさいよ!そ、そんな事はあの時言いなさいよね!!私、勘違いして…もう…馬鹿!!」
「あの時は…式を早く挙げたいとしか…ごめん…」
「も…馬鹿……」
ぎゅうっと手を強く握る。
ジャスティンは、すりすりと指で手の甲を撫でて来る。
この馬鹿で不器用な男は私以外には扱えないと思った。
「ジュエルがミリオネアと一緒にいるのを見て…気付いた事がある。ミランダ王女は…姿形が微妙にミリオネアに似ていると」
「あ…黒髪…」
「それで、ミランダ王女とジュエルの交友があったかを調べたんだ。そしたら…ミランダ王女がいなくなる前、ジュエルとよく一緒にいたと今日聞いて…」
「え……ま、まさか……」
「ジュエルと俺は似ている所もある…俺ならどうするかって考えたら…ミランダ王女は籠絡されている可能性がある」
「…っ!!!」
私はアイラを思い出した。
過去のジャスティンに私を振り向かす為だけに利用された令嬢。
その上、殺されている。
「……まさか…」
「俺は他の女に触るのが気持ち悪かったけど…あいつは違う。閨教育が終わった後、あいつに純潔を散らされた女は多い」
「な、なんて事……」
ざぁっと血の気が引く。
ジュエルがそんな事をしていたなんて…。
ショックで身体が震えて来る。
「しかも、一度寝た相手には見向きもしないようだ。当時それが問題になって、一時期謹慎していた事もある」
「…それって…私達の婚約パーティーの時…?」
「あぁ…その頃だ…」
だから…パーティーに来ていなかったのね…。
ジュエル…どうしてそんな事を…。
「…どこで…間違っちゃったのかしら…」
「最初は俺が好きな女を奪いたかっただけ…でも、お前の魅力に完全に堕ちたんだよ」
「そんな…弟だと思っていたのに…」
「お前は気付いてないが、周りにはそんな男がゴロゴロいるんだ。頼むから気を付けてくれ」
「う…うん?」
「あぁ…これだから俺は不安で仕方ない…」
「ご、ごめんね…?」
私はへらりと笑う事しか出来なかった。
まさか、発信源が自分なんて誰が思うって言うのよ。
まるで物語のような展開だわ…。
「とにかく、ジュエルがお前を手に入れるために仕掛けてくるかも知れないから絶対俺から離れないでくれ。不安で夜も眠れない」
「う、わかった…」
「今日からは俺の部屋で寝ろよ。危ないから」
「そんな…隣にいる獣が安全じゃないわよ?」
「俺は良いんだ。あと数ヶ月で夫だから」
「…そ、そう…ね…」
夫というフレーズに思わず赤面した。
しかし、照れている場合ではない。
襲われたら堪らないわ、ジャスティンでさえも我慢していると言うのに!
「ミリオネア、この後、サロンの個室でカタギリ嬢も交えて話をしよう。全て知ってしまった以上、俺といた方が安全だ」
「わかった。私も協力するわ。それに…女神様ならミランダ王女の居場所がわかるかも知れない…」
「そうだな、女神には申し訳ないが協力してもらおう。これ以上、ミリオネアとの時間を邪魔されるのはごめんだ」
「ジュエルも…改心して欲しいわ…」
仲の良さそうな兄弟だと思っていたら、中身は全然違っていて衝撃を受けつつも出来れば私に見せていた純粋なジュエルになって欲しい。
私はそう願いつつ、カタギリ様と待ち合わせをしているというサロンにジャスティンと共に向かった。
「ほんっとうにごめんなさい!!」
開口一番に、カタギリ様は謝罪してくれた。
王族が謝るなんて事あるのね!?しかもこんな豪快に!!
向かい合って座った私の隣にはジャスティン。
前にはカタギリ様と、テーブルの上には何故かあの胸ポケットに鎮座していた真っ白な犬の御守り。
「ジャーポ王国の国王、王妃として深くお詫びさせて頂きます…」
すっと頭を下げたカタギリ様の表情は凛としていて王妃様としての威厳に圧倒されてしまう。
しかし、ここはきちんと応対しなければならない。
ジャスティンの婚約者として。
「頭をお上げください、王妃様。私は気にしていませんので。お会いできた事、光栄に思います。それに、我が国で残念な事が起きてしまい…こちらこそ深くお詫び申し上げます…」
私は深々と頭を下げた。
妹さんがいなくなったなんて、きっと不安で仕方ないはずだわ。
私だって、強いお兄様でもいなくなったら少しは心配はするし。
「そう言って貰えてありがたいわ、ねぇ、天京」
カタギリ様があの御守りに話しかける。
すると御守りがカタカタと動き出して、ぺこっと頭を下げた。
「申し訳ない事をした…我はそなたが気の毒で…」
「…カタギリ様、この御守り…テンケイ様は…お話しになりますのね…」
「ふふふ…ジャスティン殿下と反応が正反対なのね!可愛いわ!これは御守りだけど、夫が姿を変えているの」
「え!?まぁ…!失礼致しました!国王陛下!」
私はまた深々と頭を下げた。
「よいよい、可愛らしい娘御にはこの姿は失礼じゃのう。どれ…術を解いてやろう」
「え!?」
ぼふん!と煙が上がり、テーブルの上に座っていたのは真っ白な髪色でとんでもない美形の大人の男性だった。
「我が天京じゃ。宜しく頼むぞ」
「ミ、ミリオネア・ハーヴェストです。こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します、陛下」
思わず立ち上がって最敬礼をしてしまった。
ジャスティンから痛いほどの視線が刺さる。
だって…!
仕方ないじゃない!!
ものすごい美形なんだもの!!
「ジャスティン、これが我の本来の姿じゃ。間違っても斬り殺そうとしないでくれよ」
「…その節は失礼しました」
「くっくっくっ…今は別の意味で殺されそうじゃ…」
「…そんな事は…」
ジャスティン…あなた…この方に何をしたの…。
ちらりと呆れた視線を向けるとジャスティンとばちりと目が合った。
「…帰ったら覚えてろよ…」
ぼそりと呟かれた声色に、あ、地雷を踏んだと思ったけど素知らぬ顔をしてカタギリ様達とお話をする。
天京様は妖狐という妖らしく、妖術という不思議な力を使うらしい。
「妹の手紙にはジュエル殿下をお慕いしていると書かれていたの。それなのに行方不明になるなんて、おかしいでしょう?」
「…そうですね。好きな人がいるなら離れたくないはずですから…」
「ジュエルの周囲を探ってみたが、王女を囲えるような建物などを借りたり購入した形跡はない」
「…我の妖術は人探しには向いておらん…何か思いつく事はあるか?ミリオネア」
私は考えを巡らせた。
ジュエルが王女を隠す場所…もしくは……。
「私を隠したい場所…?」
ぽろっと転がった思い付きは、私の中で急速に肉付いていき一つの賭けに辿り着く。
「ミリオネア、俺が正気を保てる案にしろよ…」
「ジャスティン、早期解決には多少の危険は伴うものよ?」
「ミリオネア、何か思い付いたのか?」
「出来るかどうかは別として、聞いてみたいわ」
私は今思いついた事を口にする。
私が、ジュエルに心変わりをしたようにして、その場所に連れて行かれたらいいのだ。
そうすれば、隠れた拠点がわかるはず。
「…馬鹿な事を…!何かされたらどうするんだ!」
「あら、私に掛かった防御魔法達を馬鹿にしてはダメだわ。下手すれば瀕死になるわよ?」
「だからって…絶対許さない!!」
見事にジャスティンが怒り狂い、結局そのまま解散となった。
帰りの馬車ではめちゃくちゃ不機嫌そうなジャスティンにがっちりと手を繋がれて、さっきまで窒息寸前のキス責めにされるというお仕置きをされたが、我ながらいい案じゃないかと思っている。
ジャスティンは全く聞き入れてはくれないが。
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