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「…話って何かしら」
努めて落ち着いた風に、切り出した。
ジャスティンはぐっと拳を握り、その後緩める。
緊張しているのかも知れない。
「カタギリ嬢の事と…ジュエルの事だ」
そっと手を繋がれるが、冷めた目で見てしまう。
カタギリ様とは何もないのはわかっていても、やはり面白くはないのだ。
私だって、我慢が出来ない時もある。
それが自分勝手な思いだったとしても。
ジャスティンは、すり、と確認するみたいに指輪に触れてから指を絡ませる。
かつては自分が強請った事なのに、今はあまり嬉しくない。
彼の指にもまだ、私色の指輪は存在していて。
ジャスティンは私の機微を感じ取ったのか、寂しげに微笑んで静かに話し出した。
「…長い間、嫌な思いをさせてすまなかった。正直、ミリオネアを巻き込みたくなかったが…説明する決心がついた。カタギリ夫妻にも、随分前からミリオネアが可哀想だと叱られてたんだけどな…」
「…は?」
私の耳は幻聴を聞いているのだろうか。
カタギリ夫妻…?
夫妻!??
「え、え?カタギリ様はご結婚されているの!?」
「そうだ。指輪など、見える所には証はないが彼女には夫がいる。だから俺とどうこうはあるはずもない」
「そ、そう…」
私は驚きと、脱力の混ざった気持ちになり、言葉が出てこない。
ジャスティンは、言葉を選んでいるのか少し間を置いて、口を開く。
「俺の気持ちは変わらない。ミリオネアだけを愛してる」
「…うん」
カタギリ様結婚していたの?
そりゃあ、ジャスティンも気にしないわ!!
ただ、みんなは知らないから大騒ぎになるってわからないのかしら!?
「婚約破棄は絶対にしない。それに、別居も解除して欲しい。…もう限界だ…」
「…自分の要望ばっかりね。私を放ったらかしにしたくせに」
「何度もミリオネアの部屋に転移しようとして、防御壁に弾かれて…それで思った。何の説明も出来ないのに、勝手だなって。ちゃんと説明して、堂々と正面玄関から迎えに行こうと」
「へぇ」
志は立派だが、ここは正面玄関でも無ければ、カタギリ様に夫がいる事しか説明されていない。
何を調べているのか知らないけど、解決したかどうかなんて私にはわからないし。
言っている事と、やっている事がちぐはぐで理解に苦しむ。
第一、部屋に転移しようとするなんて何を考えているんだ。
考えがぶっ飛んでいる人はこれだから…!
「解決したの?あなた達が調べていた事は」
「佳境ではあるが、最後の決め手がまだ掴めていない。それに、新たな問題が出て来て、正直手詰まりだ」
「なら、まだ迎えにくるのは早いんじゃない?」
「ミリオネアが気分を害しているのは理解している。でも、これ以上離れているのは嫌だし、君が危険に晒される可能性が濃厚になってきた」
「はぁ?ないわよ、危険なんて」
「あるんだ。今日、それが確信に変わった。だから、カタギリ夫妻がかなりミリオネアを心配して…俺も君を危険に晒すのは嫌だから解決前に話す事にした」
ジャスティンの真剣な表情から、嘘ではない事はわかるけれど何故そこに私が登場するのかが意味不明だ。
最初から順をおって説明して欲しい。
こういう時のジャスティンの説明は、お兄様に類似していて非常にわかりにくい。
「順番に説明して。わかりにくいわ」
「先に約束して。今日から俺の所に帰って来るって。今からずっと側にいるって」
「話を聞いてから考えるわ」
「ダメだ。聞いたらもう戻れない」
「…わかったわ。約束する」
「……ありがとう…」
ほっとした様子のジャスティンを横目に見ながら、私は気持ちの切り替えがうまく出来ないでいた。
ジャスティンと彼女の関係性が明らかになったのはいいとして、あんなにずっと二人でいた理由はなんだと。
夫がいると言うのなら、なおさらだ。
側にはいないみたいだし、あんな噂を流されてカタギリ様の夫は相当気分が悪いと思うけれど。
私だったら…嫌だわ。
「じゃあ、説明する。…が、その前にあの……」
もごもごと言いにくそうにしている彼に、次は何だという思いが湧く。
じろりとジャスティンを睨み、「何よ?まだ何かあるの?」と冷たく言ってしまう。
「だ、抱き締めても…いいか…」
語尾がどんどん小さくなるあたり、許される訳ないかと思いながら言ってるのかしら。
切なげに揺れる濃紺の瞳は彼が私に触れるのをずっと我慢していたのを伝えてくるけれど。
ここはやっぱり日頃の鬱憤を晴らすべきかしら。
うーん…と考えているといつの間にかぴたりと身体はくっついていて。
「……あぁ、もう無理」
「え?きゃあっ!!」
ぼそりと低い声が聞こえて、背中に回った腕に引き寄せられる。
硬い胸板に額が当たって、ふわりとジャスティンの香りがして。
カタギリ様に旦那様がいて本当に何もなかったんだとほっとしたり、過去を思い出して辛くなったり…この逞しい胸と腕が妙に懐かしくなって泣きそうになったり。
ぐちゃぐちゃの感情は私の体内を走り回っていて。
「ずっと…恋しかった…」
「…っ!!」
耳に届くジャスティンの掠れた声が、じわじわと私の心を侵食していく。
いつも無表情の彼が、こんなに感情を現すのはきっと私の前だけなんだろうと思いたい。
「ごめんな、いつも…泣かせてばっかりで」
「………」
冷静に考えれば、こんな言葉足らずで勝手で我儘な重たい愛情を向けて来る男なんて、これからも苦労するに決まってる。
普段は行動力が抜群で言いにくい事も淡々と相手に告げられる人なのに、私に関しては臆病になり過ぎて尻込みしてしまう不器用さが残念で。
それでも、私は。
何度だって、あなたを好きになるんだ。
「…これ以上泣かせたら、本当に他の人に嫁いでやるから…」
「ごめん、それはさせてやれない」
「浮気ばっかりして…」
「ミリオネア以外愛せない特殊体質だから、安心して」
「私が見ている前で他の女性と一緒にいたくせに…」
「好きでしてるわけじゃない。それに、一緒にいなくてもミリオネアの事はずっと目で追ってた」
「は…」
それ、もう危ない人じゃない?
ずっと見てたって、最早監視じゃない?
じゃあ、ジュエルとランチしてたのも全部知ってるの?
疑問が浮かんで止まらない。
ついでに冷や汗も止まらない。
「今日はジュエルの呼び名も変わってて、頭を撫でてるのを見た瞬間…我慢できなくて声を掛けた。それに…愛称まで呼ばれて…ジュエルに手を出しそうになったのは初めてだ」
「…今日のジュエルはいつもと違ったわね。男らしくなったというか…」
軟派になったというか…?
でも私を思って色々とジャスティンに言ってくれたのでしょうね。
優しい子…。
「…おい、ジュエルの事、優しいとか思ってないだろうな?」
「え、優しいじゃない。私を気の毒に思って、大好きなお兄様に意見してくれてたのに」
「…ちっ…!やっぱりか…」
「え?やっぱりって…?」
ジャスティンは呆れ果てたような顔で、溜息を吐く。
私、何か変な事言ったかしら。
ジュエルは優しい可愛い子よ、ずっと前から。
「…ミリオネア、お前はジュエルに騙されてる。あいつは、天使なんかじゃない…生粋の悪魔だ」
「ちょっと!いくら私と仲が良いからって、実の弟に妬かなくても…!悪魔じゃないわよ、純粋だもの!」
「ほぅ…、ジュエルをえらく気に入ってるんだな…」
「あ、あなたの弟は私の義弟でもあるでしょ!!」
「ふぅん…。今から話す事を聞いても、同じ事が言えるか楽しみだな」
すっと王太子の顔になったジャスティンは、それはそれは冷たい目をしていて。
王宮内では密やかに「氷華の王太子」と呼ばれている。
二つ名があると聞いた時に吹き出して笑った事は、彼には内緒だ。
知られたらみんなが危ない。
「…とりあえず、順番に話して?今のままじゃ意味がわからない」
「あぁ、ちゃんと説明する」
ジャスティンはゆっくりと話し出した。
防音魔法まで厳重にかけた上で。
それだけでもう、かなりマズい話なのは予想ができた。
国家機密クラスだと言っていたのは本当だったみたいだ。
「まず、極秘だがカタギリ夫妻はジャーポ国の王と王妃だ」
「え!?ず、随分お若いうちに即位されたのね…」
「あぁ…国王の本当の姿を見た事はないが、二人とも28歳だそうだ」
「は!?同い年にしか見えないけど!?」
「あの国の人はみんな童顔らしい」
童顔にしても程があるでしょ…!
何それ羨ましい!!
肌をツヤプルに保つ秘密のテクニックとかあるのかしら!?
でも28歳かぁ…、私達なんて子供に見えるでしょうね…。
「それで、カタギリ嬢は隣国マダガリスの隠された王女でもある」
「マダガリスって…あの行方不明になったミランダ王女の国じゃない。あれ?ミランダ王女が唯一の王女よね…?」
「カタギリ嬢は、王家から抹消された第一王女だ。何故抹消されたかは聞いていない」
「何か…理由があったのね」
それで、ジャーポにいるのかしら。
プライベートを根掘り葉掘り聞くのは失礼だものね。
というより、カタギリ様はミランダ王女のお姉様って事になるわね。
「カタギリ嬢は、妹のミランダ王女が行方不明になった事に不信感を抱き…一般留学生として自らが我が国に出向いて調べに来た」
「…今も国際問題に発展しそうだものね…」
「そうだ。留学中に、一国の王女が行方不明などあってはならない。俺は最初、事故かと思って捜索していたんだが、どうやら事故ではないと判断されて…事件か、自分から姿を消したかどちらかだという所まで行き着いた時に、彼らが俺に接触をして来た」
「誘拐か、失踪か…大きく違うわね…」
私はうぅん?と情報を整理する。
誘拐はまだわかるけれど、失踪なんてある?
何の得があって他国で失踪するの?
迷惑極まりないじゃない。
「…誘拐なんじゃないの…?」
可能性が高いのはこっちだと思う。
見た目も綺麗な子だったし。
黒髪に真っ白な肌、すらりとしていて所作も綺麗で流石王女様って感じの。
「だったらまだ良かったんだがな…」
ジャスティンはそう吐き捨てた。
つまり、誘拐ではないと言う事か。
何故かぞわりと背筋が寒くなった。
努めて落ち着いた風に、切り出した。
ジャスティンはぐっと拳を握り、その後緩める。
緊張しているのかも知れない。
「カタギリ嬢の事と…ジュエルの事だ」
そっと手を繋がれるが、冷めた目で見てしまう。
カタギリ様とは何もないのはわかっていても、やはり面白くはないのだ。
私だって、我慢が出来ない時もある。
それが自分勝手な思いだったとしても。
ジャスティンは、すり、と確認するみたいに指輪に触れてから指を絡ませる。
かつては自分が強請った事なのに、今はあまり嬉しくない。
彼の指にもまだ、私色の指輪は存在していて。
ジャスティンは私の機微を感じ取ったのか、寂しげに微笑んで静かに話し出した。
「…長い間、嫌な思いをさせてすまなかった。正直、ミリオネアを巻き込みたくなかったが…説明する決心がついた。カタギリ夫妻にも、随分前からミリオネアが可哀想だと叱られてたんだけどな…」
「…は?」
私の耳は幻聴を聞いているのだろうか。
カタギリ夫妻…?
夫妻!??
「え、え?カタギリ様はご結婚されているの!?」
「そうだ。指輪など、見える所には証はないが彼女には夫がいる。だから俺とどうこうはあるはずもない」
「そ、そう…」
私は驚きと、脱力の混ざった気持ちになり、言葉が出てこない。
ジャスティンは、言葉を選んでいるのか少し間を置いて、口を開く。
「俺の気持ちは変わらない。ミリオネアだけを愛してる」
「…うん」
カタギリ様結婚していたの?
そりゃあ、ジャスティンも気にしないわ!!
ただ、みんなは知らないから大騒ぎになるってわからないのかしら!?
「婚約破棄は絶対にしない。それに、別居も解除して欲しい。…もう限界だ…」
「…自分の要望ばっかりね。私を放ったらかしにしたくせに」
「何度もミリオネアの部屋に転移しようとして、防御壁に弾かれて…それで思った。何の説明も出来ないのに、勝手だなって。ちゃんと説明して、堂々と正面玄関から迎えに行こうと」
「へぇ」
志は立派だが、ここは正面玄関でも無ければ、カタギリ様に夫がいる事しか説明されていない。
何を調べているのか知らないけど、解決したかどうかなんて私にはわからないし。
言っている事と、やっている事がちぐはぐで理解に苦しむ。
第一、部屋に転移しようとするなんて何を考えているんだ。
考えがぶっ飛んでいる人はこれだから…!
「解決したの?あなた達が調べていた事は」
「佳境ではあるが、最後の決め手がまだ掴めていない。それに、新たな問題が出て来て、正直手詰まりだ」
「なら、まだ迎えにくるのは早いんじゃない?」
「ミリオネアが気分を害しているのは理解している。でも、これ以上離れているのは嫌だし、君が危険に晒される可能性が濃厚になってきた」
「はぁ?ないわよ、危険なんて」
「あるんだ。今日、それが確信に変わった。だから、カタギリ夫妻がかなりミリオネアを心配して…俺も君を危険に晒すのは嫌だから解決前に話す事にした」
ジャスティンの真剣な表情から、嘘ではない事はわかるけれど何故そこに私が登場するのかが意味不明だ。
最初から順をおって説明して欲しい。
こういう時のジャスティンの説明は、お兄様に類似していて非常にわかりにくい。
「順番に説明して。わかりにくいわ」
「先に約束して。今日から俺の所に帰って来るって。今からずっと側にいるって」
「話を聞いてから考えるわ」
「ダメだ。聞いたらもう戻れない」
「…わかったわ。約束する」
「……ありがとう…」
ほっとした様子のジャスティンを横目に見ながら、私は気持ちの切り替えがうまく出来ないでいた。
ジャスティンと彼女の関係性が明らかになったのはいいとして、あんなにずっと二人でいた理由はなんだと。
夫がいると言うのなら、なおさらだ。
側にはいないみたいだし、あんな噂を流されてカタギリ様の夫は相当気分が悪いと思うけれど。
私だったら…嫌だわ。
「じゃあ、説明する。…が、その前にあの……」
もごもごと言いにくそうにしている彼に、次は何だという思いが湧く。
じろりとジャスティンを睨み、「何よ?まだ何かあるの?」と冷たく言ってしまう。
「だ、抱き締めても…いいか…」
語尾がどんどん小さくなるあたり、許される訳ないかと思いながら言ってるのかしら。
切なげに揺れる濃紺の瞳は彼が私に触れるのをずっと我慢していたのを伝えてくるけれど。
ここはやっぱり日頃の鬱憤を晴らすべきかしら。
うーん…と考えているといつの間にかぴたりと身体はくっついていて。
「……あぁ、もう無理」
「え?きゃあっ!!」
ぼそりと低い声が聞こえて、背中に回った腕に引き寄せられる。
硬い胸板に額が当たって、ふわりとジャスティンの香りがして。
カタギリ様に旦那様がいて本当に何もなかったんだとほっとしたり、過去を思い出して辛くなったり…この逞しい胸と腕が妙に懐かしくなって泣きそうになったり。
ぐちゃぐちゃの感情は私の体内を走り回っていて。
「ずっと…恋しかった…」
「…っ!!」
耳に届くジャスティンの掠れた声が、じわじわと私の心を侵食していく。
いつも無表情の彼が、こんなに感情を現すのはきっと私の前だけなんだろうと思いたい。
「ごめんな、いつも…泣かせてばっかりで」
「………」
冷静に考えれば、こんな言葉足らずで勝手で我儘な重たい愛情を向けて来る男なんて、これからも苦労するに決まってる。
普段は行動力が抜群で言いにくい事も淡々と相手に告げられる人なのに、私に関しては臆病になり過ぎて尻込みしてしまう不器用さが残念で。
それでも、私は。
何度だって、あなたを好きになるんだ。
「…これ以上泣かせたら、本当に他の人に嫁いでやるから…」
「ごめん、それはさせてやれない」
「浮気ばっかりして…」
「ミリオネア以外愛せない特殊体質だから、安心して」
「私が見ている前で他の女性と一緒にいたくせに…」
「好きでしてるわけじゃない。それに、一緒にいなくてもミリオネアの事はずっと目で追ってた」
「は…」
それ、もう危ない人じゃない?
ずっと見てたって、最早監視じゃない?
じゃあ、ジュエルとランチしてたのも全部知ってるの?
疑問が浮かんで止まらない。
ついでに冷や汗も止まらない。
「今日はジュエルの呼び名も変わってて、頭を撫でてるのを見た瞬間…我慢できなくて声を掛けた。それに…愛称まで呼ばれて…ジュエルに手を出しそうになったのは初めてだ」
「…今日のジュエルはいつもと違ったわね。男らしくなったというか…」
軟派になったというか…?
でも私を思って色々とジャスティンに言ってくれたのでしょうね。
優しい子…。
「…おい、ジュエルの事、優しいとか思ってないだろうな?」
「え、優しいじゃない。私を気の毒に思って、大好きなお兄様に意見してくれてたのに」
「…ちっ…!やっぱりか…」
「え?やっぱりって…?」
ジャスティンは呆れ果てたような顔で、溜息を吐く。
私、何か変な事言ったかしら。
ジュエルは優しい可愛い子よ、ずっと前から。
「…ミリオネア、お前はジュエルに騙されてる。あいつは、天使なんかじゃない…生粋の悪魔だ」
「ちょっと!いくら私と仲が良いからって、実の弟に妬かなくても…!悪魔じゃないわよ、純粋だもの!」
「ほぅ…、ジュエルをえらく気に入ってるんだな…」
「あ、あなたの弟は私の義弟でもあるでしょ!!」
「ふぅん…。今から話す事を聞いても、同じ事が言えるか楽しみだな」
すっと王太子の顔になったジャスティンは、それはそれは冷たい目をしていて。
王宮内では密やかに「氷華の王太子」と呼ばれている。
二つ名があると聞いた時に吹き出して笑った事は、彼には内緒だ。
知られたらみんなが危ない。
「…とりあえず、順番に話して?今のままじゃ意味がわからない」
「あぁ、ちゃんと説明する」
ジャスティンはゆっくりと話し出した。
防音魔法まで厳重にかけた上で。
それだけでもう、かなりマズい話なのは予想ができた。
国家機密クラスだと言っていたのは本当だったみたいだ。
「まず、極秘だがカタギリ夫妻はジャーポ国の王と王妃だ」
「え!?ず、随分お若いうちに即位されたのね…」
「あぁ…国王の本当の姿を見た事はないが、二人とも28歳だそうだ」
「は!?同い年にしか見えないけど!?」
「あの国の人はみんな童顔らしい」
童顔にしても程があるでしょ…!
何それ羨ましい!!
肌をツヤプルに保つ秘密のテクニックとかあるのかしら!?
でも28歳かぁ…、私達なんて子供に見えるでしょうね…。
「それで、カタギリ嬢は隣国マダガリスの隠された王女でもある」
「マダガリスって…あの行方不明になったミランダ王女の国じゃない。あれ?ミランダ王女が唯一の王女よね…?」
「カタギリ嬢は、王家から抹消された第一王女だ。何故抹消されたかは聞いていない」
「何か…理由があったのね」
それで、ジャーポにいるのかしら。
プライベートを根掘り葉掘り聞くのは失礼だものね。
というより、カタギリ様はミランダ王女のお姉様って事になるわね。
「カタギリ嬢は、妹のミランダ王女が行方不明になった事に不信感を抱き…一般留学生として自らが我が国に出向いて調べに来た」
「…今も国際問題に発展しそうだものね…」
「そうだ。留学中に、一国の王女が行方不明などあってはならない。俺は最初、事故かと思って捜索していたんだが、どうやら事故ではないと判断されて…事件か、自分から姿を消したかどちらかだという所まで行き着いた時に、彼らが俺に接触をして来た」
「誘拐か、失踪か…大きく違うわね…」
私はうぅん?と情報を整理する。
誘拐はまだわかるけれど、失踪なんてある?
何の得があって他国で失踪するの?
迷惑極まりないじゃない。
「…誘拐なんじゃないの…?」
可能性が高いのはこっちだと思う。
見た目も綺麗な子だったし。
黒髪に真っ白な肌、すらりとしていて所作も綺麗で流石王女様って感じの。
「だったらまだ良かったんだがな…」
ジャスティンはそう吐き捨てた。
つまり、誘拐ではないと言う事か。
何故かぞわりと背筋が寒くなった。
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