8 / 15
出会い
オンラインとオフライン
しおりを挟む
「じゃあ、また会社でね!」
永井のアパートから出る時、永井は会社での、あのにこやかな笑顔を見せた。その笑顔が、先ほどまでの非日常を、今まで通りの、何の変哲もない、日常に変えていく。いつも永井がにこにことした表情をするのは、昨晩や今朝のような自分を隠すためなのだろうか。本当の永井はどれがスタンダードなのか分からないけれど、分からなくていいと思った。むしろ、分からない方がいいのではないかと思う。
永井の家から自宅へ歩く途中、昨日の猫をみつけた。
「にゃー。にゃー。」
猫は昨日のように甘えた鳴き声で俺に近づく。昨日とは多分、色々違うであろう俺のことを、この猫は覚えているのだろうか。それとも、甘えさせてくれるのであれば誰でもいいのだろうか。猫を昨日よりもしっかりと撫で回し、頭をぽんぽんと軽く叩く。猫は不思議そうに俺の顔を覗き、再び
「にゃー。」
と甘えた声で鳴いた。
あと15分もすれば、また小学生が来る。俺は小学生に遭遇する前に猫を後にし、自宅へ足早に歩いた。
家に着くとすぐにシャワーを浴び、昨日の朝のように、氷の入ったコップに注いだ炭酸水を飲む。もうアルコールはほどんど体に残っていなかったが、炭酸水を飲むことで、少しすっきりした気持ちになった。
時刻は8時50分。まだ会社に行くまで時間があったので、昨日始めたチャットを覗いてみると、昨日友だち申請したをした人から返信が来ていた。
返信を返してくれたこは4人いて、1人目はまだ社会人になっていない大学生だという明美。2人目は自分と同じ社会人2年目で商社に勤めてる結花。3人目は年齢不詳のフリーターの南。4人目は永井と似たような髪型だが、顔は少しクール系の顔写真を載せた、あいうえおと名乗る子であった。とりあえず無難な返事をそれぞれにすると、明美からすぐに返信が来た。
明美>よろしくー!社会人?
大和>はい。2年間小さな文房具メーカーで働いてます。
明美>そーなんだー!文房具よく使ってますよ!大学生ですからwww
大和>そうですか。
明美さんが退室しました。
チャットというのは中々難しいものだ。相手がノリノリだと思っても、次の瞬間冷めていなってしまう。
こんな調子で会社を出るまでに4人全員から退室されてしまい、自分はチャットに向いてないのではないかと思い、へこんだ。永井の家に行ったことが随分昔のように感じる。とりあえずあと一週間だけやってみて、何もなかったらやめてしまおう、俺はそう心に決めた。
永井のアパートから出る時、永井は会社での、あのにこやかな笑顔を見せた。その笑顔が、先ほどまでの非日常を、今まで通りの、何の変哲もない、日常に変えていく。いつも永井がにこにことした表情をするのは、昨晩や今朝のような自分を隠すためなのだろうか。本当の永井はどれがスタンダードなのか分からないけれど、分からなくていいと思った。むしろ、分からない方がいいのではないかと思う。
永井の家から自宅へ歩く途中、昨日の猫をみつけた。
「にゃー。にゃー。」
猫は昨日のように甘えた鳴き声で俺に近づく。昨日とは多分、色々違うであろう俺のことを、この猫は覚えているのだろうか。それとも、甘えさせてくれるのであれば誰でもいいのだろうか。猫を昨日よりもしっかりと撫で回し、頭をぽんぽんと軽く叩く。猫は不思議そうに俺の顔を覗き、再び
「にゃー。」
と甘えた声で鳴いた。
あと15分もすれば、また小学生が来る。俺は小学生に遭遇する前に猫を後にし、自宅へ足早に歩いた。
家に着くとすぐにシャワーを浴び、昨日の朝のように、氷の入ったコップに注いだ炭酸水を飲む。もうアルコールはほどんど体に残っていなかったが、炭酸水を飲むことで、少しすっきりした気持ちになった。
時刻は8時50分。まだ会社に行くまで時間があったので、昨日始めたチャットを覗いてみると、昨日友だち申請したをした人から返信が来ていた。
返信を返してくれたこは4人いて、1人目はまだ社会人になっていない大学生だという明美。2人目は自分と同じ社会人2年目で商社に勤めてる結花。3人目は年齢不詳のフリーターの南。4人目は永井と似たような髪型だが、顔は少しクール系の顔写真を載せた、あいうえおと名乗る子であった。とりあえず無難な返事をそれぞれにすると、明美からすぐに返信が来た。
明美>よろしくー!社会人?
大和>はい。2年間小さな文房具メーカーで働いてます。
明美>そーなんだー!文房具よく使ってますよ!大学生ですからwww
大和>そうですか。
明美さんが退室しました。
チャットというのは中々難しいものだ。相手がノリノリだと思っても、次の瞬間冷めていなってしまう。
こんな調子で会社を出るまでに4人全員から退室されてしまい、自分はチャットに向いてないのではないかと思い、へこんだ。永井の家に行ったことが随分昔のように感じる。とりあえずあと一週間だけやってみて、何もなかったらやめてしまおう、俺はそう心に決めた。
0
あなたにおすすめの小説
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる