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小話まとめ
アオにプレゼントを贈りたいのだが
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あの有名小説家の佐伯は悩んでいる。彼の人生の中で最も悩んでいる、と言えるだろう。
「で、佐伯さん、アオに何を贈るか決まったんですか?」
病院の待合室で佐伯は看護師の透に話しかけられた。アオは嘉月の所で定期検診を受けている。
「それが、お手上げだ。あの子に聞いてもうーんとか、今は思いつきませんとかではぐらかされてしまうからなあ。」
「僕、ちょっと見当つきますよ。」
透が悪戯っぽく笑った。
「教えてくれないかな?」
佐伯が困ったように眉尻を下げると、透はずいっと佐伯の耳元で内緒話でもするかのように囁いた。
「アオが欲しいものはね・・・・」
◇◇◇
透が業務に戻って暫くするとアオが診察室から出てきた。丁寧に嘉月へとお礼を言う小さな姿に、佐伯の口元は自然と緩む。しかし、振り向いたアオの顔が酷く強張っていたため、佐伯はすぐに表情を引き締めてアオの元へと歩み寄った。
最近は、定期検診の結果を佐伯が代わりに聞くのではなくアオが直接聞いて、パートナーである佐伯に伝える、という事が多くなってきた。それは、段々とアオの心が落ち着いてきているからと嘉月に提案された方法だった。
「アオ、顔色が良くない。何があったか言えるか?」
「え・・・・あ、そうですか?特に変わりはありませんよ。」
アオはにっこりと微笑んだが、それは明らかに佐伯に何かを隠しているような顔つきであった。
(言いたくなるまでは待つか・・・・)
佐伯はゆったりと構えると、アオの手を握って会計へ向かった。
病院を出ると空気のつんとした匂いが鼻に滲みる。
「くしゅん!」
佐伯の思った通り、アオは可愛らしいクシャミを一つした。
「アオ、車に乗るまでこうしていよう。」
佐伯は繋いだアオの左手を自身のチェスターコートのポケットにまとめて入れた。
「ふふ、あったかい・・・・」
アオが僅かに表情を緩めた。その姿に佐伯は少し安堵した。
「今日はこれから買い物でもしないか?」
「え、ええ。買い出しは昨日で終わったはずですけど、何か買い忘れたものでもあるんですか?」
「ん、ああ。買い忘れと言えば買い忘れだな。」
珍しく煮え切らない返答をする佐伯を不思議に思いながらもアオは車に向かうまでのデートコースを存分に楽しんでいた。そして、今日の診断結果を佐伯に知らせることはもう少し後でもいいだろうか、と頭の隅に追いやった。
◇◇◇
今日、アオは人生で一番辛い日を経験した。
いつもの診察室で嘉月が「うん、この調子で頑張っていきましょう。」といつものように言うのだろうと思い込んでいた。しかし、結果はあまりにも悲しいものだった。
アオが診察室に入室して席に着くと、嘉月はそっとアオの両手を握り「落ち着いて聞いて欲しい。」と一言だけ言った。既に震えそうになっている手をアオはきゅっと握りしめた。
「先月、アオくんの身体が妊娠できる準備をしているか調べました。結果は、極めて難しいと思います。アオくんの子宮は卵子が着床するためのクッションを殆ど失った状態になっているんだ。だからヒート中の性行為であっても妊娠はしづらいと思います。」
以前、佐伯に言わずに勝手に受診をした時から、何となく覚悟はしていたが、実際に突き付けられると酷く悲しい事実であった。
「そうですか・・・・」
アオには震えそうになる声を必死に抑えるだけで精一杯であった。そんなアオの状態を見て「佐伯さん、呼びますか?」と嘉月に聞かれたが、アオはそれを固辞した。
「時間が掛かっても大丈夫ですから、佐伯さんにも相談してくださいね。」
診察室を出る前に嘉月に念を押されたが、アオは曖昧に返事をすることしかできなかった。
◇◇◇
ショッピングモールの騒がしさも、今のアオにはどこか遠くの方で聞こえて来ている気さえした。少し疲れたと言ってショッピングモールに設置されたソファに座りながら佐伯の帰りを待っている。佐伯はヨーロッパ製品の家具や食器、調理器具などを揃えている店へと姿を消した。
(雅史さん、家具とか新調するのかな。でも、あの食卓は取り替えないだろうなあ。)
アオはぼんやりとそんなことを考えながら、マイナスな方へと行ってしまう思考をどうにか引き留めた。
暫くすると、佐伯が満足そうな顔をして店を出てきた。
「すまない、待たせてしまったな。」
「いえ、希望のもの、ありましたか?」
「ああ。」
佐伯は短く答えると、再びアオの手を取り歩き始めた。アオもその手を柔らかく握り返した。
平日のショッピングモールと言えども、ちらほらと親子連れを見かける。佐伯は特にいつもと変わらないようであったが、アオには気がかりだった。
(もし、雅史さんが僕との子どもを望んでいたらどうしよう・・・・)
そんな気持ちがじくじくとアオの心を蝕んでいった。
深夜、二人の寝室で寄り添って眠る。
アオは佐伯への申し訳なさと、自身の過去を呪った。
(これは、ミドリを殺した罰だ)
そして、その原因を生んだ高槻紫音を恨んでしまう自分に嫌気がさした。アオは佐伯の背中にしがみつくように擦り寄った。背中越しから聞こえる佐伯の心音を聴きながら、彼の温もりを分けてもらう。静かな冬の夜、きっと外では北風で舞った硬い枯れ葉がカサカサと音を立てているのだろう。アオはその情景を思い浮かべながら目を閉じた。
「雅史さん、ごめんなさい。」
小さな声で呟くと、突然、寝ていたはずの佐伯に腕を引かれた。佐伯はくるりと体勢をアオと向き合うように変えると、困ったように笑った。
「すまんな、アオ。俺にはアオの抱える不安に皆目見当がつかないんだ。アオが言えるまで待とうとも思っていたんだがな、こうして謝られてしまうとそう言うわけにもいかないだろう?」
「ふっ、う、うぁ、うわぁあぁああん」
アオは今までの悲しみが決壊したかのように泣き出した。佐伯はとんとんとアオの背中をさすった。
「落ち着くまで泣けばいい。」
「うっ、ん、ぼく、まさし、さんの、ひっ、あかちゃ、つ、つくれません、うわあぁぁああん」
ごめんなさい、と何度も謝罪を繰り返し泣き続けるアオを、佐伯は腕の中に閉じ込めてきつく抱きしめた。
「いい。気にしなくていいんだ。俺はアオがいるだけで幸せなんだ。」
「で、でも!い、いつか、欲しくなる時が、きっと、きっと、きます!」
「もし、その時が来たら全力で子作りに励もうか。」
目元を真っ赤に腫らしたアオと目が合う。
「え・・・・?」
佐伯はキョトンとしたアオの目尻にキスを落とすと、アオの目元を覆うための蒸しタオルを準備しにキッチンへと向かった。
目元を覆う蒸しタオルの温かさに、とろんと気持を溶かす心地よさがアオを包み込んでいる。今はベッドの上で佐伯に膝枕をしてもらっている。チェストの上に置かれたスタンドライトの仄かなオレンジ色が二人の周りに柔らかな繭を作り上げていた。
「どうして妊娠できる確率がゼロじゃないって知ってたの?」
佐伯は普段なかなか聞くことのできない、アオの敬語が抜けた子どもっぽい言葉遣いが好きだったりする。柔らかな髪を撫でながら佐伯は白状した。
「ん、実はな、きみがあまりにも元気がなかったから一人で店に入った時に嘉月先生に電話したんだ。」
「そ、そっか。」
「アオは、俺との子どもが欲しいか?」
佐伯は穏やかに問うた。ヒートの度に巣作りをしているアオを見れば答えは分かりきっていたが、それでも訊ねた。
「ほ、しいかも。ミドリのことは絶対忘れられないけど、僕は雅史さんとの子ども、見てみたいなあ」
アオはゆっくりと蒸しタオルをずらすと、佐伯を見つめた。
(明日も少し腫れは残るかな・・・・)
佐伯は思いながらも、アオの目尻を優しく擽った。
「そうか、ならば期待に応えないといけないな。」
「雅史さんは、子ども欲しい?」
「ああ、きみと俺と俺たちの子どもと築く未来も見てみたい。」
「そっか、そっか。それなら良かった。」
そうして、アオは再び涙を流した。
「それでは、そんなアオさんにとっておきのプレゼントを贈れるように、今日はひと肌脱ごうじゃないか。」
佐伯がにやりと笑った。
「え・・・・どういうことですか?」
いまだに状況が掴めていないアオに、佐伯は更に愛おしさが増す。
「きみ、今日、誕生日だろう?」
そう伝えれば、アオははっとしたように目を見開き、やがて笑みを溢した。時刻は丁度0時を指していた。
「ありがとうございます。」
真っ赤になったアオから、ぎこちないお礼の言葉が返ってくる。
「お誕生日おめでとう、アオ。」
佐伯はアオを強く抱きしめると、蕩けるようなキスをアオへと贈った。
◇◇◇
朝の腰の重さもアオには幸せな気怠さの一つであった。
(昨夜はすごかったな・・・・)
未だに余韻が抜けないせいで、夢現なまま昨夜の情事を思い出してしまう。アオは上手に後ろだけで気持ちよくなることができた。佐伯は自身が注いだ沢山の精液が漏れて出てしまう度に、長い指でそれを押し込んだ。アオはそれだけで気持ちよくなってしまい、何度も極めてしまった。
(赤ちゃん、できるかな・・・・)
アオは無意識に下腹部を撫でていた。
キッチンの方からトーストの焼けた香りと微かなコーヒーの香りが漂ってくる。
きっと、部屋へ入ればアオの愛しい男が振り返り「おはよう」と言ってくれるはずだ。
アオはそっと二人の食卓へと向かった。
『アオにプレゼントを贈りたいのだが』おわり
※佐伯さんがお店で買ったプレゼントはパスタマシンでした。(透くんの入れ知恵)
「で、佐伯さん、アオに何を贈るか決まったんですか?」
病院の待合室で佐伯は看護師の透に話しかけられた。アオは嘉月の所で定期検診を受けている。
「それが、お手上げだ。あの子に聞いてもうーんとか、今は思いつきませんとかではぐらかされてしまうからなあ。」
「僕、ちょっと見当つきますよ。」
透が悪戯っぽく笑った。
「教えてくれないかな?」
佐伯が困ったように眉尻を下げると、透はずいっと佐伯の耳元で内緒話でもするかのように囁いた。
「アオが欲しいものはね・・・・」
◇◇◇
透が業務に戻って暫くするとアオが診察室から出てきた。丁寧に嘉月へとお礼を言う小さな姿に、佐伯の口元は自然と緩む。しかし、振り向いたアオの顔が酷く強張っていたため、佐伯はすぐに表情を引き締めてアオの元へと歩み寄った。
最近は、定期検診の結果を佐伯が代わりに聞くのではなくアオが直接聞いて、パートナーである佐伯に伝える、という事が多くなってきた。それは、段々とアオの心が落ち着いてきているからと嘉月に提案された方法だった。
「アオ、顔色が良くない。何があったか言えるか?」
「え・・・・あ、そうですか?特に変わりはありませんよ。」
アオはにっこりと微笑んだが、それは明らかに佐伯に何かを隠しているような顔つきであった。
(言いたくなるまでは待つか・・・・)
佐伯はゆったりと構えると、アオの手を握って会計へ向かった。
病院を出ると空気のつんとした匂いが鼻に滲みる。
「くしゅん!」
佐伯の思った通り、アオは可愛らしいクシャミを一つした。
「アオ、車に乗るまでこうしていよう。」
佐伯は繋いだアオの左手を自身のチェスターコートのポケットにまとめて入れた。
「ふふ、あったかい・・・・」
アオが僅かに表情を緩めた。その姿に佐伯は少し安堵した。
「今日はこれから買い物でもしないか?」
「え、ええ。買い出しは昨日で終わったはずですけど、何か買い忘れたものでもあるんですか?」
「ん、ああ。買い忘れと言えば買い忘れだな。」
珍しく煮え切らない返答をする佐伯を不思議に思いながらもアオは車に向かうまでのデートコースを存分に楽しんでいた。そして、今日の診断結果を佐伯に知らせることはもう少し後でもいいだろうか、と頭の隅に追いやった。
◇◇◇
今日、アオは人生で一番辛い日を経験した。
いつもの診察室で嘉月が「うん、この調子で頑張っていきましょう。」といつものように言うのだろうと思い込んでいた。しかし、結果はあまりにも悲しいものだった。
アオが診察室に入室して席に着くと、嘉月はそっとアオの両手を握り「落ち着いて聞いて欲しい。」と一言だけ言った。既に震えそうになっている手をアオはきゅっと握りしめた。
「先月、アオくんの身体が妊娠できる準備をしているか調べました。結果は、極めて難しいと思います。アオくんの子宮は卵子が着床するためのクッションを殆ど失った状態になっているんだ。だからヒート中の性行為であっても妊娠はしづらいと思います。」
以前、佐伯に言わずに勝手に受診をした時から、何となく覚悟はしていたが、実際に突き付けられると酷く悲しい事実であった。
「そうですか・・・・」
アオには震えそうになる声を必死に抑えるだけで精一杯であった。そんなアオの状態を見て「佐伯さん、呼びますか?」と嘉月に聞かれたが、アオはそれを固辞した。
「時間が掛かっても大丈夫ですから、佐伯さんにも相談してくださいね。」
診察室を出る前に嘉月に念を押されたが、アオは曖昧に返事をすることしかできなかった。
◇◇◇
ショッピングモールの騒がしさも、今のアオにはどこか遠くの方で聞こえて来ている気さえした。少し疲れたと言ってショッピングモールに設置されたソファに座りながら佐伯の帰りを待っている。佐伯はヨーロッパ製品の家具や食器、調理器具などを揃えている店へと姿を消した。
(雅史さん、家具とか新調するのかな。でも、あの食卓は取り替えないだろうなあ。)
アオはぼんやりとそんなことを考えながら、マイナスな方へと行ってしまう思考をどうにか引き留めた。
暫くすると、佐伯が満足そうな顔をして店を出てきた。
「すまない、待たせてしまったな。」
「いえ、希望のもの、ありましたか?」
「ああ。」
佐伯は短く答えると、再びアオの手を取り歩き始めた。アオもその手を柔らかく握り返した。
平日のショッピングモールと言えども、ちらほらと親子連れを見かける。佐伯は特にいつもと変わらないようであったが、アオには気がかりだった。
(もし、雅史さんが僕との子どもを望んでいたらどうしよう・・・・)
そんな気持ちがじくじくとアオの心を蝕んでいった。
深夜、二人の寝室で寄り添って眠る。
アオは佐伯への申し訳なさと、自身の過去を呪った。
(これは、ミドリを殺した罰だ)
そして、その原因を生んだ高槻紫音を恨んでしまう自分に嫌気がさした。アオは佐伯の背中にしがみつくように擦り寄った。背中越しから聞こえる佐伯の心音を聴きながら、彼の温もりを分けてもらう。静かな冬の夜、きっと外では北風で舞った硬い枯れ葉がカサカサと音を立てているのだろう。アオはその情景を思い浮かべながら目を閉じた。
「雅史さん、ごめんなさい。」
小さな声で呟くと、突然、寝ていたはずの佐伯に腕を引かれた。佐伯はくるりと体勢をアオと向き合うように変えると、困ったように笑った。
「すまんな、アオ。俺にはアオの抱える不安に皆目見当がつかないんだ。アオが言えるまで待とうとも思っていたんだがな、こうして謝られてしまうとそう言うわけにもいかないだろう?」
「ふっ、う、うぁ、うわぁあぁああん」
アオは今までの悲しみが決壊したかのように泣き出した。佐伯はとんとんとアオの背中をさすった。
「落ち着くまで泣けばいい。」
「うっ、ん、ぼく、まさし、さんの、ひっ、あかちゃ、つ、つくれません、うわあぁぁああん」
ごめんなさい、と何度も謝罪を繰り返し泣き続けるアオを、佐伯は腕の中に閉じ込めてきつく抱きしめた。
「いい。気にしなくていいんだ。俺はアオがいるだけで幸せなんだ。」
「で、でも!い、いつか、欲しくなる時が、きっと、きっと、きます!」
「もし、その時が来たら全力で子作りに励もうか。」
目元を真っ赤に腫らしたアオと目が合う。
「え・・・・?」
佐伯はキョトンとしたアオの目尻にキスを落とすと、アオの目元を覆うための蒸しタオルを準備しにキッチンへと向かった。
目元を覆う蒸しタオルの温かさに、とろんと気持を溶かす心地よさがアオを包み込んでいる。今はベッドの上で佐伯に膝枕をしてもらっている。チェストの上に置かれたスタンドライトの仄かなオレンジ色が二人の周りに柔らかな繭を作り上げていた。
「どうして妊娠できる確率がゼロじゃないって知ってたの?」
佐伯は普段なかなか聞くことのできない、アオの敬語が抜けた子どもっぽい言葉遣いが好きだったりする。柔らかな髪を撫でながら佐伯は白状した。
「ん、実はな、きみがあまりにも元気がなかったから一人で店に入った時に嘉月先生に電話したんだ。」
「そ、そっか。」
「アオは、俺との子どもが欲しいか?」
佐伯は穏やかに問うた。ヒートの度に巣作りをしているアオを見れば答えは分かりきっていたが、それでも訊ねた。
「ほ、しいかも。ミドリのことは絶対忘れられないけど、僕は雅史さんとの子ども、見てみたいなあ」
アオはゆっくりと蒸しタオルをずらすと、佐伯を見つめた。
(明日も少し腫れは残るかな・・・・)
佐伯は思いながらも、アオの目尻を優しく擽った。
「そうか、ならば期待に応えないといけないな。」
「雅史さんは、子ども欲しい?」
「ああ、きみと俺と俺たちの子どもと築く未来も見てみたい。」
「そっか、そっか。それなら良かった。」
そうして、アオは再び涙を流した。
「それでは、そんなアオさんにとっておきのプレゼントを贈れるように、今日はひと肌脱ごうじゃないか。」
佐伯がにやりと笑った。
「え・・・・どういうことですか?」
いまだに状況が掴めていないアオに、佐伯は更に愛おしさが増す。
「きみ、今日、誕生日だろう?」
そう伝えれば、アオははっとしたように目を見開き、やがて笑みを溢した。時刻は丁度0時を指していた。
「ありがとうございます。」
真っ赤になったアオから、ぎこちないお礼の言葉が返ってくる。
「お誕生日おめでとう、アオ。」
佐伯はアオを強く抱きしめると、蕩けるようなキスをアオへと贈った。
◇◇◇
朝の腰の重さもアオには幸せな気怠さの一つであった。
(昨夜はすごかったな・・・・)
未だに余韻が抜けないせいで、夢現なまま昨夜の情事を思い出してしまう。アオは上手に後ろだけで気持ちよくなることができた。佐伯は自身が注いだ沢山の精液が漏れて出てしまう度に、長い指でそれを押し込んだ。アオはそれだけで気持ちよくなってしまい、何度も極めてしまった。
(赤ちゃん、できるかな・・・・)
アオは無意識に下腹部を撫でていた。
キッチンの方からトーストの焼けた香りと微かなコーヒーの香りが漂ってくる。
きっと、部屋へ入ればアオの愛しい男が振り返り「おはよう」と言ってくれるはずだ。
アオはそっと二人の食卓へと向かった。
『アオにプレゼントを贈りたいのだが』おわり
※佐伯さんがお店で買ったプレゼントはパスタマシンでした。(透くんの入れ知恵)
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