燦々と青がいた 〜3人のオメガが幸せな運命と出会うまで〜

鳴き砂

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エピローグ 一色隆文と透の物語

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 大好きで安心できる香りに包まれながら、透は完全に起きるタイミングを見失ってしまった。そんな時に聞こえた言葉。

「今ある幸せも、この先の幸せも、全て君と共に享受することを。俺は君を一生裏切らない。ずっと傍にいる。透、君に誓うよ。」

 そして、左手の薬指に細やかな冷たさが走る。けれども心は暖かくなってゆく。閉じた右目の縁からほろりと涙が落ちる。これで、もう自分が起きていることは隆文にばれてしまっただろう。

「透?起きたのか?」

(ああ、やっぱり気付かれちゃった・・・・)

溢れた涙を拭ってくれる手に擦り寄る。外科医として沢山の人の命を救う手。けれども、透に触れる時はより一層優しくなる。そんな彼の手が好きだ。

「うん。おはよう。」

「おはよう。・・・・その、えっと、どこから聞いてた?」

 珍しく歯切れの悪い隆文に、クスッと笑いが溢れた。なんだか、さっきプロポーズされた透よりも照れて赤くなっている姿が可愛いと思えた。

「僕と、死ぬまで一緒に生きてくれることを誓ってくれたところから。」

「そうか・・・・」

「うん。」

「返事を訊いてもいいか?」

「うん。」

 透はベッドの端に腰掛けたままでいる隆文に抱きついて、彼をまたリネンのシーツの海の中へと引き戻す。大きくて頑丈なベッドが少しだけ軋む音がした。寝室には隆文と透しかいないけれども、それでも誰かに聞かれないように、密着した彼にしか聞き取れない声で応える。

「僕も、生涯あなたを裏切ることはしません。」

 彼は、ふっと息を小さく吐いて、それから微笑んだ。

「透、ありがとう。」

「隆文さん、こちらこそ、僕をあの日桜の木の下で見つけてくれてありがとう。それから、ずっと支えてくれてありがとう。僕も、これからは、あなたと死ぬまで添い遂げて、あなたを支えます。」

「透がいてくれたら心強いよ。」

「僕も。隆文さん、愛しています。」

その先は、言葉を紡ぐことができなかった。彼に唇を奪われて、透も夢中で応えていた。


「あっ、ねえ、抱いてほしい・・・・」

「朝からいいのか?」

「うん、今抱いて。・・・・隆文さんはしたくない?」

「いや、おまえを抱きたいよ。」

 試しに煽るように見上げれば、予想以上に真剣な眼差しで求められてしまった。できれば昨夜の失態も拭いたいところだ。

「昨日のことはあまり思い悩まないで欲しい。」

「え・・・・?」

透の考えていることは隆文に筒抜けであった。

「おまえのことが大切なんだ。だから、あまり一人で抱え込むな。」

 やっぱり隆文さんに出会ってから、僕の涙腺は馬鹿になってしまったみたいだ。

透の瞳からは、涙が溢れて止まらなくなってしまった。

「ああ、そんなに泣いたら目が溶けるぞ。」

「うっ、で、でも、うれしかった、から・・・・」

 ぽんぽんと背中を撫でられながら、暫くの間は逞しい彼の腕の中で泣いていた。その後は、スキンの封を口で切った彼をかっこいいな、なんて眺めているうちにあっという間に快楽の波に飲み込まれてしまったのだった。

◇◇◇

 もう太陽が一番高い所まで昇りきった頃、寝室で二人は寝転がっていた。

「ふふっ。お揃いだね。」

「ああ。」

 窓から差し込む光に反射してきらきらと輝く輪を、改めてじっくりと見る。顔の前に翳して、その馴染み方を楽しんでいたら、隆文も同じように手を翳して見ていたから、透は嬉しくなった。精巧に彫られた月桂樹の葉は、彼の誠実な人柄を表しているようにも感じられた。

(僕、プロポーズされたんだなぁ。)

 頬を優しく引っ張られた。隣を見遣れば、隆文がニヤッと笑っていた。

「緩んでる。」

「だって、嬉しいんだもん。」

「そうか、でも、俺より大切そうにしないでくれ・・・・」

透がその言葉に驚いて固まっていると、隆文はみるみる内に真っ赤になってしまった。

「ふはっ。もしかして指輪に嫉妬してるの?」

「うるさい。」

照れ隠しなのか、彼は背を向けてしまった。

「ごめんってばぁ。ねえ、お願い。こっち向いて、寂しいから。」

「ん。」

そう言えば、すぐに透の方へと向き直って強く強く抱き締めてくれた。

「指輪も嬉しいけど、隆文さんが一番だよ。」

「そうか。」

「さっきも言ったのに。忘れちゃった?」

「いいや、何度でも聞きたいだけだ。」

随分と甘えたな彼も可愛い。


「「幸せだなぁ。」」

重なった想いに、二人は顔を見合わせて笑った。

隆文から無限に注がれる甘い愛は、透の傷だらけだった身体や心を修復させる水源となってゆく。

(だから、僕も僕自身の愛を彼に返していきたい。)

 僕のかわいい人、この先ずっと今日のような日々を、貴方に捧げたい。

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