非日常的御遊戯御招待の事

乍冥かたる

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ぽんっ

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意外に肝の据わったわたしがいた。

度胸というか、いつもそうなのだ。

現実主義というか、現実を素直に自然と受け止める性格なのだ。

わたしは、引き戸越しのシルエットを当然の驚きとともに、どこか冷静に直視していた。

ただし、その驚くべき現実が次から次へ変化したら、話は別。

心の処理は、とうてい追っつかない。


ガラッ


( え、ちょっと待って!! )



嘘でしょ、引き戸が開いた!

開いてしまった!


・・・彼が開いたらしい。


裸の男が二人。

一人が後ろからのしかかり、一人が四つん這い。


のしかかる男がこちらを見た。

店長だ。


一瞬驚いたような目を細め、こちらに向けて、にっこり笑った。


「僕ら、こういう関係なんス」


( え、え、どんな自己紹介?? )


四つん這いの彼が顎を上げてあえいでいる。


「ああ、、あぁ」


「こいつ、ドエムなんですよ。ほら、見られて興奮してるっしょ」


「そんなことぉ、、、ああ、あぁ、、」


彼の綺麗な肌の大きな身体が、リビングからのライトを受け、汗で光っている。

それは、ふと、童話の中のユニコーンのようにも見えた。


ユニコーンの背中には、全裸の店長。


店長もまた、若いとあってか、たくましい身体をしている。

たしか、小学校から大学まで、サッカーをやっていたと聞いたことがある。

スプリンター独特の、決してゴツくはない、締まった細身の筋肉質。

もともと、やんちゃな童顔なので、彼を責めながら、同時に甘える駄々っ子にも見えた。


店長がツンっと背を伸ばし、彼のお尻を抱えるようにして、強烈に彼へ腰を打ち付けた。


「あああああぁあ」


彼が顔を下げ、必死に耐えている。

耐えながら、右手で引き戸を思いっ切り開いた。


「ほら、もっと見てほしいんだって。ふふ」


笑いながら、そう言う店長も、明らかに見られて興奮している。


( こ い つ ら、ド 変 態 !!)


引き戸が開き切り、二人の全身が見えた。


どちらも全裸。


ふと四つん這いの彼の下半身を見る。

すると、後ろから犯されながら、明らかに勃起したが見えた。


( すごいっ・・・ )


大きい。


だけど、勃起したものは、本来の用途を果たさず、ただ、恍惚に完敗した白旗としてのみ、その屹立きつりつした役割をこなしているに過ぎない。


勃起したそれは、まるでお辞儀をするかのように、ビクンッ、ビクンッと上下運動を繰り返している。


店長が、わたしのその視線を捉えた。


「どうか、ねえ、を、握って、しごいてやってくれません?」


「え??」


「こいつもね!」

言いながら、もう一度、強く腰を打ち付けた。


「くぅぅぅ」


「バイなんですけどね!」


もう一度。


「はあああぁぁぁぁぁぁ」


「ちょっと、男に偏りすぎってだけで、女性も好きなんスよ。しかも、こんな痴態をさらしながらモノをしごかれようものなら、こんな幸せはないスよ!」

「ちょ、それは、ちょっ」

たじろぐわたしを無視し、店長が続ける。

「おら、お前からも頼めよ」


「はいぃっ、店員さん、、、あの」

「いあ、いあ、、」

「いつも、、、優しくしてくれるんで、気になっていました、、、どうか、、こんな僕を慰めてくださいぃぃっ」


そう言うと、店長が激しく腰を打ち付け続けた。

必死に受け入れ、耐える彼。

勃起したものは、店長の腰の動きに合わせて、前後に振れ狂っている。


それを見ていると、動転したわたしの背後から、もう一人の冷静なわたしが現れた。

そのわたしは、動転するわたし自身の肩を叩く。

動転のわたしが振り向くと、冷静なわたしが、全てのわたしを乗っ取ってしまった。


わたしは膝を進め、右手を伸ばしていた。
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