出張ホスト 邂逅神代です

乍冥かたる

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高崎市 奈美のこと

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大和のその引きつった笑顔に、動きが止まった。

奈美との行為に、そして奈美の異変に、それが何のことなのか、こんな幼児が気づくはずはないと高をくくっていた。

大和は、もう、知らん顔で枕で遊んでいる。

だけど、俺だけが、一瞬のその作り笑いを見た。

奈美はベッドに顔を押し当て続けたままだ。


もう数年も前のことだ。

付き合っていた彼女とある事があって疎遠となったことがある。

互いに嫌いで別れたわけでもなく、事情が重すぎ、そういった結果になった。男女の複雑さというやつだ。


ひょんなことで、彼女の住む街に行く用事があり、ふと、彼女に連絡を入れてみた。

復縁という感じでもなく、時間も十分に置かれたため、近況を知りたかっただけだ。


彼女には10代の息子がいて、彼は早いうちに結婚をし、彼女にとっては孫となる、女の子を一人もうけていた。

ただ、息子はこれまた早いうちに離婚をし、若くして祖母になった彼女自身が、その女の子の世話をしていて、その時もその二歳半になる女の子を連れてきた。


神社の境内で待ち合わせをし、散歩をしながらの雑談。

女の子が一人で遊び、離れた瞬間、俺は、彼女の手を取り、キスをしようとした。


ところが、彼女は拒否をした。


互いの間にできた空白の時間。

俺は、彼女の心を確かめるために、手を取った。

彼女の答えは明白で、この空白は、もう埋める気はないと、拒否をしたのだ。


ふと見ると、二歳半の女の子が目を丸くしてこちらを見ていた。


女の子は、俺と目が合うと、本当に何もなかったかのように自然と目をそらし、境内を歩き始めた。


その時の驚いた表情は、明らかに見てはいけないものを見たという顔で、その後の、取り繕うようにして目をそらした横顔は、大人のものだった。


瞬間的にそのことを連想した。


「大和」


呼びかけても、彼には言葉はない。


ただ、あの作り笑顔は、あの日の取り繕う女の子のそれと寸分違わなかった。


大和は、大人が急に魔法を掛けられて赤子がえりをしたかのように、俺にしか分からない急変をし、枕をベッドに叩きつけて、無邪気に遊んでいる。


「大和が今、笑ってた」

「え?」


もう一度、腰を動かした。


「 ああぁ、、」


それにしても、感度のいい女だ。


身体は奈美を責め、目だけで大和を窺ったが、一度取り逃がした蝶が、警戒をして二度と近づいてこないように、大和は二度とこちらを見なかった。


動きを最小限に抑え、感情だけをパンクさせ、挿入を続けた。



びしっ



・・・・・・・・・



びしっ



、、と、機敏に挿し込んだ後に十分に時間を取り、時間を置いて、ゆっくりと抜く。


これもまた、スローセックスってやつだろうか。


決して激しくないが、粘着力のある交合で、意外に感度は深く生じ、最後は奈美の乳房を痛がるほどに掴んでいた。

布団の中で、奈美の尻に射精をし、何度も何度も、射精後のそれを奈美の尻に押し当てた。



ホテルから出る時、奈美が財布を出した。


「折半にしましょう」


俺はこれを遮った。

車も出してくれたし、弁当まで用意してくれた。


「いいよ。シングルだし、経済的に大変でしょう」


野暮なことを言ったと思った。

奈美は静かに笑って、礼を言い、財布をしまった。



ホームセンターに戻った。

別れ際に、俺は連絡先を伝えようとした。


「これ、プライベートの方の連絡先」


「え?」


「何かあったら、いつでも連絡して」


「え、なに、どうして?」


「妊娠はないと思う。病気も定期的に検査しているし、でも、一応ね」


奈美がじっと、こちらを見ている。


「あのね」


にっと笑った。澄み切った笑顔だった。

そして彼女は言った。





「シングルだって、性欲はあるのよ。遊ぶ権利もあるのよ」





はじめて奈美がタメ口をきいた。





そして俺は、ノックダウンした。









【 高崎市 奈美のこと   Fin. 】
 
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