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下田市 郁美のこと
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車から降りてきた女は、小柄で素朴な人だった。
よくよく考えてみれば、小学校の教師と接するのは、小学生以来だ。
いつにも増して緊張感があったが、ジーンズにスニーカー、それにTシャツ姿にショートカットの郁美は、ほとんどメイクもせず、大人の女というには程遠いような幼気の残る若さがあった。
年は、たしか、26。
その胸の大きさに、自然と意識が行った。
髪は短くボーイッシュ。その雰囲気も幼いくせに、生物としての大人の女の象徴のような胸が大きくTシャツの生地を突っ張らせていて、いかに格好をつけてみても、これを前にした時、世界中の男たちは無力になる。
目をいかに逸しても、意識はそこにある。
気にしていないふりをしても、意識はそこにある。
ただ、ただ、気にしていないという見え透いたお寒い演技をするしかない。
「すいません、遠くまで来てもらって」
駐車場が、ちょうど道の駅の建物の真下にあり、ほどよい暗さの中での待ち合わせとなった。
日陰で暑さもマシで、なにより、暗い中での逢瀬がいかにも秘め事といった感じでドキドキした。
「いえいえ、伊豆に来れるなんて、ラッキーですよ」
「えっと、お昼は、、、」
「うん、食べないでほしいってことだったので、ペコペコのまま来ました」
「じゃあ、えっと、付き合ってもらっていいですか?」
「ぜひぜひ」
「何が食べたいってのありますか?」
「食いしん坊なんで、ほんっとに何でも良いです。いや、何でも良いが一番困ると思わないで。本当に腹ペコ丸なんで、なぁんでも良いんで」
「腹ペコ丸って 笑」
そういえば、郁美は、普通のデートがしたいと言っていた。
そういった出会いもないし、時間もないらしい。
下田では地元すぎるということで、その先の南伊豆町まで足を伸ばした。
田舎とあって、人の目が気になるらしい。
「こっちなら安全?」
「ぜんぜんっ、下田と南伊豆を合わせても、3万人しかいないんです。一人に見られたら、一瞬で噂は広まります 笑」
「人、減ってるんですね」
「仕事がないですからね。若い子たちは、どんどん出ていきます。50年後にはどうなってしまうんだろう」
「田舎はどこもそんな感じみたいですね、そう、じゃあ、今いる子どもたちは宝ですね」
「国宝です! 本当に!!」
「こんな良い所なのに。何か変だよなあ、人の動きって」
「でも、動物も、餌のある場所を求めて移動するでしょ」
「うーん、そう考えると、一緒かぁ」
「ですねぇ、わたしたちも、餌を求めて」
「うん、お腹すきました 笑」
「待っててくださいね。美味しい場所がありますから」
下田から南伊豆町までの道は、少し内陸を通り、海は見えない。
海際には別荘地などが点在し、質の良いビーチがいくつかあるらしい。
沖合の海の中はまさに竜宮城らしく、暖かい黒潮に洗われた南国の魚が見られるとか。
砂浜。
サンゴ。
貝殻。
色とりどりの魚。
タツノオトシゴ。
もくもくと、夏の入道雲。
陽光に照らされる真っ白い船。
潮の香り。
隣には、こざっぱりとした巨乳女子。
ああ、夏だ。
よくよく考えてみれば、小学校の教師と接するのは、小学生以来だ。
いつにも増して緊張感があったが、ジーンズにスニーカー、それにTシャツ姿にショートカットの郁美は、ほとんどメイクもせず、大人の女というには程遠いような幼気の残る若さがあった。
年は、たしか、26。
その胸の大きさに、自然と意識が行った。
髪は短くボーイッシュ。その雰囲気も幼いくせに、生物としての大人の女の象徴のような胸が大きくTシャツの生地を突っ張らせていて、いかに格好をつけてみても、これを前にした時、世界中の男たちは無力になる。
目をいかに逸しても、意識はそこにある。
気にしていないふりをしても、意識はそこにある。
ただ、ただ、気にしていないという見え透いたお寒い演技をするしかない。
「すいません、遠くまで来てもらって」
駐車場が、ちょうど道の駅の建物の真下にあり、ほどよい暗さの中での待ち合わせとなった。
日陰で暑さもマシで、なにより、暗い中での逢瀬がいかにも秘め事といった感じでドキドキした。
「いえいえ、伊豆に来れるなんて、ラッキーですよ」
「えっと、お昼は、、、」
「うん、食べないでほしいってことだったので、ペコペコのまま来ました」
「じゃあ、えっと、付き合ってもらっていいですか?」
「ぜひぜひ」
「何が食べたいってのありますか?」
「食いしん坊なんで、ほんっとに何でも良いです。いや、何でも良いが一番困ると思わないで。本当に腹ペコ丸なんで、なぁんでも良いんで」
「腹ペコ丸って 笑」
そういえば、郁美は、普通のデートがしたいと言っていた。
そういった出会いもないし、時間もないらしい。
下田では地元すぎるということで、その先の南伊豆町まで足を伸ばした。
田舎とあって、人の目が気になるらしい。
「こっちなら安全?」
「ぜんぜんっ、下田と南伊豆を合わせても、3万人しかいないんです。一人に見られたら、一瞬で噂は広まります 笑」
「人、減ってるんですね」
「仕事がないですからね。若い子たちは、どんどん出ていきます。50年後にはどうなってしまうんだろう」
「田舎はどこもそんな感じみたいですね、そう、じゃあ、今いる子どもたちは宝ですね」
「国宝です! 本当に!!」
「こんな良い所なのに。何か変だよなあ、人の動きって」
「でも、動物も、餌のある場所を求めて移動するでしょ」
「うーん、そう考えると、一緒かぁ」
「ですねぇ、わたしたちも、餌を求めて」
「うん、お腹すきました 笑」
「待っててくださいね。美味しい場所がありますから」
下田から南伊豆町までの道は、少し内陸を通り、海は見えない。
海際には別荘地などが点在し、質の良いビーチがいくつかあるらしい。
沖合の海の中はまさに竜宮城らしく、暖かい黒潮に洗われた南国の魚が見られるとか。
砂浜。
サンゴ。
貝殻。
色とりどりの魚。
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隣には、こざっぱりとした巨乳女子。
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