出張ホスト 邂逅神代です

乍冥かたる

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下田市 郁美のこと

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劣情ってやつは湧かなかった。

ただ、とびっきりのハグをしてやろうと思った。


「よし、立って」

「、、、立つんですか?」

「うん」


座りながら、腰をひねってハグをして、腰をつらせてたらザマがない。


俺は、郁美を立たせた。

小柄な郁美が、まっすぐに向かって、俺を見上げた。


うちで飼ってる、目がくりくりのイシガメが、餌をやる時、こんな表情をする。

いかにも物欲しそうに、でも、なにも無様じゃない。

安らぎが欲しい。その一途な素直な目は、いとおしさしかなく、食も、性も、何も変わりがない。


郁美を抱き寄せた。

両手で、優しく包んだ。

柔らかな女の抱き心地。

緊張のためか、それが少し硬くなっていたが、ほんの少しすると、それはすぐにほぐれた。


「ほら、郁美さんも、俺のことを抱きしめてごらん」

「郁美と言って」

「うん、郁美」


意外なまでに荒々しく、郁美は俺を抱きしめてきた。

それはまるで、夏の海に溺れた少女が、目の前のものに必死に抱きすがるかのような、本能的な力の動きだった。

そんな心の力に応えてやるかのように、俺も強く抱きしめ返した。

これは、応答だ。

彼女のメッセージを真摯に受け止めた応答だ。


「ああ、、」


思わず出る、郁美の吐息。


郁美には、俺の筋肉質の抱き心地が伝わっているだろう。


女の抱き心地に、俺の男が目覚め、男の抱き心地に、郁美の女が目覚めた。

互いに、違った感触の抱き心地から目覚めた性の熱は、ついには、がんじがらめに絡まり合い、二つの精神は、極限まで近づいて、一身となった。


郁美を抱きしめると、目の前に、郁美の小さな耳があった。

俺は、おもむろに、その右の耳たぶを甘噛みした。


「それ、やばっ、、、」


ガクンと郁美が腰を落とした。

それは結構な勢いで、俺は郁美の脇をなんとか抱えた。


「立てる?」


少し虚ろな目で、郁美は口を少し開き、俺から目線を離さず、コクンと頷いた。開いた口の中に、綺麗に光った舌が見えた。


寄りかかるように、郁美が抱きついてきた。

もう、そこに遠慮は見えない。


俺もしっかりと受け止め、郁美を見つめた。


あどけない表情。


その右頬に、俺の右頬を優しく擦り寄せた。

それを離し、次は左頬。

同じように、擦り寄せる。

今度は鼻。

俺の鼻を、郁美の鼻に、すりすりとこする。


ニコっと笑った郁美のおでこにキスをした。


唇を閉じ、濡れない程度の軽いキス。


それも離す。


次の表情を探す郁美。


俺は間を置かず、郁美の唇にキスをした。

思い切り唇を開き、郁美の上唇と下唇を包むように。


驚きのあまり、声も出せず、ただ息を吸い込む郁美。


俺は舌を割り入れると、郁美は従順にそれを受け入れた。


舌先で、郁美の舌を探り当てた。


郁美はそれも受け入れ、こちらが絡ませる舌に、同じように自分も絡ませようとして、また腰を落とした。


今度は俺は郁美を立たせずに、そのまま、乾いた土に彼女を寝かせ、のしかかって、唇を吸った。


「ちゅぷ、ちゅぷ、ちゃぷ、ちゃぷ」


唾液をわざと出し、音が鳴るように唇と舌で郁美の口内を舐めた。


たまらず、郁美のシャツをまくり上げ、ブラをずらす。


露わになった乳房。


見事に好みの乳輪で、蝉の声の降る境内で、あまりに異質な女の乳房が卑猥だった。


がっつくように、口を大きく開け、乳房の肉ごと乳首を大いに吸い上げると、郁美はガクガクガクッと震えた。


( また私情に走ってしまった。ダメ二流め )


そのまま、俺は郁美を強く抱きしめると、郁美もしっかりと抱き返してきた。

しばらく俺たちは、そのままで時をやり過ごした。
 
 
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