登録者0人の底辺配信者だった俺が、魔界で配信を始めてみたら人気者になった件

タバスコ

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まぬけの覚醒

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『え』
『え』
『え?』
『は?』
『えっぐw.w』
『やばすぎ』
『画面追いついてなくて草』
『速すぎて、なんも見えなかった……』
『気づいたら鬼の目の前にいて、しかも鬼凍ってて草』

 よかった、助けられた……。

 凍った鬼を目にしてはじめて思ったのは、能力の本当の力に気づけた嬉しさではなく、狼達を助けることができた安堵だった。

「お前たち、ありがとう」

 改めて狼たちにお礼をすると、ワッと狼たちが俺を囲むように集まり、額を擦り付けるようにして甘える。

 一応まだ戦闘中だっていうのに、可愛い奴らだ。せっかくできた少しの休養時間。戦闘の癒しを求めるように、狼たちを撫でる。

 ひとしきり撫で切った頃。ピキッ、という音が聞こえた。

『今なんかピキって言った?』
『俺も聞こえた』
『え、まさか』

「……まだ、生きていたのか」

 音源は、もちろん鬼を覆っている氷。狼たちを下がらせつつもそちらを見ると、氷の中の鬼の瞳が、じろりとこちらを向いた。

 それと同時、氷が砕け散るとともに鬼が飛び出した。怒りのままに拳を振り上げてくるが、不思議と先程までの威圧感がない。

 スキルの鎖から解放されたことで、一皮剥けたということだろうか。

 今の俺のスキルは、変化の対象が生物に限られない。

 俺の右手は、全てを溶かす【溶岩】である。

 風鬼の拳を、まるで太陽のような高温を放つ溶岩に変化した右手で受け止める。

 すると、想像していたような衝撃がこちらに伝わってこない。

 理由は単純明快だった。風鬼の肉体は、俺の右手に触れた部分から、蒸発するかのように溶かされていく。

『!?』
『!?』
『!?』
『やっば!?』
『わたがし水に入れたみたいにとけて草』

 そして風鬼は、俺に受け止められるはずだった拳が消滅してしまったことで、まるであると思っていた階段が存在せず、踏み外してしまったかのように体のバランスを崩し、頭部から溶岩の中に突っ込んでいく。

 まさかの事態に、風鬼は怒りを忘れたかのような間抜け顔。全魔界にこの光景を晒しあげるのが可哀想になるくらいの、アホ面。

 顔がマグマで消滅するのを待つまでもなく、こちらの右手から迎えにいってやる。

 ジュッ!

 そうすると、呆気なく風鬼は頭部を失った。

『強すぎwwwwwwwww』
『何があった?w』
『さっきまでの劣勢は演技?』
『いや、狼ちゃんたちやられそうになって覚醒したんやろ』
『めちゃくちゃ主人公で草』
『そもそも、あの溶岩なんの魔物?』
『確かに、ヴァリアンSランクは倒したことないって言ってたし……サラマンダーではないでしょ? じゃあなんだ?』
『また隠し種?』
『Sランクをこんな呆気なく溶かせるくらいやし、絶対Sランク魔物やろ』

 風鬼を倒してからチラリとコメントに目を向けると、今の溶岩はなんの魔物の能力なのか。という話題で盛り上がっていた。

 俺が勘違いしてスキルの詳細を伝えていたせいで、みんな勘違いしているな。真実を伝えて、驚かせてやろう。

「みなさん、俺、自分のスキルのこと勘違いしてました」

『お?』
『お?』
『なにやら、怪しい雰囲気』
『衝撃の事実発覚した?』
『あー、スキルの勘違いは割とあるよね。でも、勘違いしたままでSになったやつを俺は知らんぞwww』

「どうやら、魔物以外にも変化できるみたいです!」

『草wwwwww』
『え、結構初歩的なミス?』
『試したことなかったんかwwwwwwww』
『さっきの風鬼くらいマヌケで草』

 驚かせようとしたら、バカにされてしまった。まあ確かに異形=魔物と決めつけていたのは俺の落ち度だし、仕方ないけど……。

『ガチ草wwwwwwwwwwwwwww』
『こんなおバカなSランク見たことない』
『てか、勘違いしててあの強さやばいやろ。勘違いしてなかったらと考えると勿体なさすぎ』
『てか、そんなことよりはやく戦闘再開しろまぬけwww』

 これは言いすぎやろ……。
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