ゆうみお R18 お休み中

あまみや。

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鳳未来斗

可哀想な人

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年齢操作あり…未来斗14歳 海斗23歳
海斗がタワマンに一人暮らししてます。


ーーー



いつもあの子はあの場所にいた。



繋がれた手錠を腕に付けて、いつも服は汚れていて髪はボサボサで、


体育座りをして顔を膝に埋めて……何も喋らず、ずっとそこに座っていた。




話しかけてみたかったけど、話しかけようとする前にあの子は他の人達に話しかけられていて、




「…っぐ、……は、はぁ…はぁ」




毎日のように路上で………それが当たり前とでも言うかのように、犯されていた。





ーーー



「あー…駅前にいるあの小さい子ですか?」



会社の社員にその話をすると、有名なのか知っていた。




「うん、あの子………どうしていつもあんなことしてるのかなって」
「まあ関わっちゃいけない類ですよね~……」



社員は苦笑いしながら残りのコーヒーを飲み干した。




「………」




けど、どうしても気になって、






ーーー


「……ねぇ、君」



声をかけていた。



「………?」



男の子は虚ろな目で俺を見て、




「ここで何してるの?お家は?」




俺がしゃがみこんで目線の位置を合わせた。




男の子はきょとんとしていて、





「…あ……、………えぅ………」







………どうやら、言葉が話せないようだった。



細い体に声変わりしかけの声。


犬のように柔らかそうな髪はかなり傷んでいた。




「……ごめん、どうしても気になっちゃって」
「…!」




ごめん、と言うと何故かそれに反応して、





「ご……ごめ、なぁい、ごめぅ…なさ」





………と、弱々しい声で頭を下げられた。





「え……?」




発音は出来ていないけど、ごめんなさいと言った。

喋れないことは無いんだな……そう思っていたけど、





「お兄さん、その子犯さないなら構わない方いいよ」



突然………後ろから若い男に話しかけられた。




「え……?」
「やばいとこの商売道具だからね、ていうか必要な言葉しか教えられてないから会話とか無理だよ」



商売道具……会話が出来ない………?




意味が分からないでいると、男は俺の隣に立って男の子の方を向いて、いきなりズボンと下着を下ろした。




「な………ッ!?」
「こいつはこうやって使う道具なんだよ」





男の子はそれを見た途端、当たり前かのようにそれに指で軽く触れた。



そして………




「っん"、んー…ぐ、…ッんぐ」






それを舐め始めた。






「は……?」
「性処理奴隷ちゃん、あ、お金は必要だけどね」




男が何もセキュリティのない箱の中に小銭を2枚いれて、それから手を男の子の耳に移した。




「おらッ!もっと奥までしゃぶれゴルァッ!!」
「ッ……!…ッ、ぐ…!!」






男の子の耳を動かして激しく前後に頭を振って………男の子の虚ろな目に涙が浮かぶ。




………男の子は何も抵抗しなかった。





「~~ッ!!」




口の中に精が放たれて、男の子がそれを飲み込む。



「っ~よし、今日はここまでにしといてやるわ」
「………」





男は下を履いて満足気に「じゃあな」と言って帰って行った。





「君………大丈夫……?」




男の子は何も言わない。
じっと俺を見ているだけだった。 





「………どこから来たの?お母さんとかは……」



聞いてみても男の子は何も言わない、やっぱり会話は出来ないらしい。





「………ねえ」







どうしてそんなことを言ったのか、自分でも分からない。







「俺の家……来ない?助けてあげるから。」







けど、この子を見捨てることが出来なかった。







「………?」



本当なら無理矢理連れていきたいくらいだけど、手錠があるとそうもいかない。




「大丈夫……お兄さんについてきて?」




そうは言うけど………手錠のことを考えるとやっぱり難しい。



男の子は不思議そうにこちらを見ているだけだった。





「あ……う」





けど、どうしてか段々怯えた目をするようになって、



男の子の視線は俺の後ろだった。






「何してんの?」





咄嗟に振り向くと、そこには大柄の男が1人立っていた。


男の子がどんどん怯えた様子になっていった。





「う…ぅ、あぁ………」





少し掠れた声。






「あー……ぁ、」
「勝手に誘拐するのやめてくれますか?こいつは俺の商品なんで」




そう言って男は男の子の前に立って、男の子の襟首を掴んだ。





「……!やめろ!!」
「あ"?テメェには関係ねぇだろ………」




鋭い目付きでこっちを睨んできて、男の子も簡単に持ち上げられた。



地に足がつかない状態で、男の子の腹が殴られた。




「……ッあ"!!」





男の子は苦しそうにしていて、見てられなかった。



けど何回も暴行は続いて、やがて男の子は反応しなくなっていた。




「………チッ、こんなもんかよ」





男はそれだけ言うと、俺の方を見た。




「分かったか?余計な事したらまた同じ事するからな」





そう言って………その場を後にした。









ーーー



これ以上関わっちゃいけないはずなのに、




どうしてか、あの子の事が気になって仕方ない。





…………気が付けば俺は、またあの場所に来ていた。







「………あ"」
「大丈夫……今度は大丈夫だから」




俺の勝手な自己満足なんだと思う。


それにこの子を付き合わせるのは可哀想だけど………





持ってきたチェーンカッターで、鎖を切った。





「っ……!ぁ"…め、」
「大丈夫……俺についてきて」





どうしてもこの子を、







この人を助けたかった。









ーーー


急いで自宅に連れてきて、家の鍵を閉めた。




(ここまで来れば………)




男の子は怯えきった目をしていて、体が小刻みに震えている。





「あ………、……ごめんね、勝手にこんなことして」




それについては悪いと思った。




「ぁ……、…ぅ…うん、」



男の子は首を横に振った。





「………!あ、と…とりあえずお風呂入ろっか、」



連れてきたもののどうすればいいのか分からず、とりあえずお風呂に入れてあげることにした。








「………痛くない?」
「……ぅ」



こくりと頷く。


ワイシャツの袖をまくって頭を洗ってあげて、なんだか親にでもなったような気分だった。



「お風呂にはちゃんと入れてもらってたの?ご飯は?」



髪を乾かしながら聞いてみたけど、男の子はそこまでの言葉を教えて貰っていなかった。


不思議そうにこっちを見ているだけ、でも2日くらいの汚れとあんまりお腹の音が聞こえてこなかったから、きっとそれはやってもらっていたんだと思う。




ご飯を作ることにして、その間男の子はソファで休ませた。






その様子を見ていたけど、






(どうしてだろう………すごく懐かしい)







前にもこうやって2人でいた気がする。




その時はあの子も俺と同い年くらいで………けど、それ以上思い出せない。





「ねぇ………君、名前は?」





ご飯を食べる前に聞いてみた。

お預けしてるみたいだったけど………どうしても気になって、


「………」



首を横に振った。
分からないらしい。





「……そうなんだ。」





それなら、と、






「じゃあ俺が付けてあげる!未来斗、はどう?」






その名前にかなり執着があった気がする。



やっぱりどこか懐かしくて、好きだった。






「……み…くと」
「うん、未来斗」





男の子が初めて笑ってくれた。




「みくと……!」









ーーー


それからの日々は楽しかった。



「ただいま、いい子にしてた?」
「おか…えり!…ん!いーこにした!」




まだ未来斗は言葉を覚えきれていなかったけど、それでも沢山話ができるようになった。




「じゃあ今日はカレーにしよっか!」
「……!やった!かいと、ありがと!」




……俺の名前も覚えてくれた………






ずっと、こんな日々が続けばいいのに。








(また………あの頃みたいに)









ーーー




「ぅ"…っえ、ぁ………ひ」




未来斗はよく夜泣きをしてしまう。





その度に抱きしめて「大丈夫」ということしか出来なかった。






「大丈夫………俺が、ずっとそばに居るから。」








そう言っていたのに









ーーー



「かいと!みて!漢字書けた!」



最近未来斗は言葉の勉強を始めた。



テレビを見ていて自分からしたいと言ってくれたから………少し嬉しかった。





「すごいじゃん、未来斗は頭がいいな」
「えへへ………、あ、ほら!かいとの字も書けた!」



ちゃんと「海斗」って書いてある。



………可愛い。





「ありがと………未来斗」





幸せだった。


まるで恋人といるような感覚。





でもそれは長くは続かなかった。








ーーー





「……あ………」




どういう訳か、未来斗の居場所がバレてしまった。





「……見つけた」




誰か来ても未来斗は出なくていい、そう言っていたけど俺が寝てしまっていたせいで、




「手間かけさせんじゃねぇよ………クソが」
「や…、あっ、かいと、たすけて」




未来斗は初めは抵抗していたけど、それが続く訳もなくて、




「ッぃぎ…!!」
「まだやられたいか?」




頬を殴られた。






「あ………、……ぅ"、…かいと」
「テメェ……勝手に言葉覚えてんじゃねえよ!!使えなくなんだろうが!!!」





俺にずっと助けを求めていたのに、ふと、







「お前を誘拐した奴にも何かしてやらないとなぁ……?」
「……!」






どうしてか未来斗はそれ以上何も言わなくなった。

そして、







「………今までありがと、……かいと。」









俺が起きた頃にはもう、未来斗はいなかった。















……………





………





……









「……海斗、…海斗!」
「ッ………」



誰かに名前を呼ばれて目が覚めた。




「……海斗、大丈夫?」
「………ぁ……




未来斗…………?」




まだ薄暗い部屋。
ベッドサイドランプの明かりがぼんやりと付いている。




「………また怖い夢見たんだな、大丈夫だぞ!俺がいるから」



そうやって優しげに笑う未来斗は………俺よりも大分背が高くて大人びている。



「………」




夢の中のあの子とは違う。




「…だから、大丈夫。おやすみ」
「………おや……すみ」




また眠たくなって、寝てしまった。









ーーー

(未来斗side)




海斗は精神病を患ってしまった。




毎晩悪夢を見て、段々生気がなくなっていって、




俺がいないと何も出来なくなった。






………そんな海斗を見ているのは辛くて、でも一緒にいてあげることしか出来なくて、







だからこそ、もっとこの人と向き合わなきゃいけないんだと思う事が出来た。









「大丈夫………俺が、ずっとそばに居るから。」











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