不可思議物語25

tomoharu

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人生の選択編

~運命の決断~

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《登場人物》
鍋谷 遥也(なべたに はるや)→大学生
霧島 美晴(きりしま みはる)→遥也の幼馴染
円谷 孝(つぶらや たかし)→お金持ちのニート
目次
一 退屈な日常と出会い    
二 目覚めた先に待っていたのは    
三 驚くべき順調な生活    
四 仕事と成功、そして恐怖    
五 絶望と叫び    
六 絶望の日々    
七 美晴との再会    
八 美晴の決意    
九 男との対決    
十 自分を取り戻す瞬間    

一 退屈な日常と出会い
遥也は大学生活に退屈していた。毎日が同じような繰り返しで、講義もアルバイトも意味を感じられなくなっていた。自由に生きることを夢見ていた彼は、
「もし働いていなくても、生きていけたらどんなに楽だろう」と何度も思っていた。
そんなある日、遥也はキャンパスの広場で見知らぬ男に声をかけられた。男は65歳くらいで、薄い白髪で落ち着いたスーツを着ていた。しかし、その目は異常に鋭く、遥也の心をまるで見透かすかのようだった。
「君、今の生活に満足していないだろう?」
遥也は驚き、思わず問いかけた。
「あなたは、どうしてそんなことがわかるんですか?」
男は落ち着いた声でつづけた。
「君が望んでいるものを、わしが叶えてやる。君が何もせずに、自由に過ごすことができるように。
その代わり、わしが君の学生生活を送ることになる」
遥也はその言葉に驚き、半信半疑ながらも
「本当にそれが可能なんですか?」とたずねた
男はニヤリと笑っていった。
「君が心から望んでいるなら、わしは君の体に入って、君の学生生活を送ることができる。そして君は、わしの自由で贅沢な生活を享受できる」
その瞬間、遥也は何とも言えない感覚に包まれ、倒れた。

二 目覚めた先に待っていたのは
目を覚まし、鏡を見てみると、そこには見知らぬ男の姿が映っていた。65歳の男の姿だった。
遥也「これが今の自分か」
名前は、円谷 孝(つぶらや たかし) 大富豪一家
遥也「これで好き放題できる!」といい高級レストランへ行った。
周りからは「あのおじさん、一人で楽しそうに食べてる かわいそうに」とみくだされていた
遥也「お金持ちでも、一人は寂しい こんな生活嫌だ!!」
遥也は自分の体を取り戻す方法がないのかと慌てた。しかし、その男は遥也の体を使って、驚くほど順調に生活を始めた。最初は戸惑うこともあったが、すぐにその体を使いこなし、学生生活を楽しみ始めた。

三 驚くべき順調な生活
男は、遥也が通っていた大学のテストを受けると、驚くべきことに全て満点を取ってしまった。何も勉強していないはずなのに、テストの問題を一瞬で解いてしまうその能力に、周りの学生たちは驚きと賞賛の目を向けた。遥也は自分の体で何が起こっているのか理解できなかった。男はさらに、どんな講義でもスラスラと答え、周囲から一目置かれる存在になった。
さらに驚くべきことに、男は遥也の体で恋愛も楽しみ始めた。大学の女性たちは男の紳士的な振る舞いに惹かれ、彼女ができるのは時間の問題だった。男は遥也の体で、すぐに恋愛関係を築き、毎週末にはデートに出かけ、楽しい時間を過ごすようになった。遥也は、ただの一歩も踏み込めなかった恋愛の世界を、男が簡単に楽しんでいることに、腹立たしさと焦燥感を感じた。

四 仕事と成功、そして恐怖
さらに恐ろしいことに、その男は就職活動でも驚くべき成功を収めた。企業の面接に出かけると、男は遥也の体で、面接官たちを魅了し、見事に内定を獲得した。
その面接での話し方、立ち振る舞い、すべてが完璧で、企業側は彼を即採用した。遥也は、自分の人生を奪われた上に、男が自分の体で自分の未来まで手に入れてしまう恐ろしい現実を目の当たりにしていた。
男は、遥也の体で、自由に、贅沢に、順風満帆な生活を送っていた。毎晩豪華なディナーに出かけ、高級レストランで周りの人々と楽しげに談笑し、仕事も学業も順調にこなしていた。その一方で、遥也は男が自分の体を使っていることに、激しい怒りを感じていた。
遥也「俺の体を返せ!」と心の中で叫んだ。
彼の体はもう男の手のひらの上で操られ、遥也自身はどこにでもいない、ただ見ているだけの存在だった。
五 絶望と叫び
そしてある日、遥也は男を見かけた。男は女性と楽しそうに話しながらキャンパスを歩いていた。その時、遥也は耐えきれなくなり、男に向かって叫んだ。
遥也「お前!俺の体を返せ!それは俺の人生だ!」
男は一度も振り返ることなく、悠然と歩き続けた。
「君が望んだ通り、自由を手に入れた。君は何もしてこなかったから、こうなるのは当然だ。」
男は遥也の叫びを無視し、まるで遥也のことなど存在しないかのように進み続けた。
その瞬間、遥也は完全に自分が取り返しのつかない状況に追い込まれていることを理解した。
彼の体を取り戻す方法はもう存在しない。
そして、男は遥也の体で完全に充実した生活を送っている。その恐ろしい現実に、遥也はただただ恐怖と絶望に押しつぶされていった。
「俺の体を返せ…!」その言葉が、遥也の中で何度も何度も繰り返される。だが、もう遅かった。

六 絶望の日々
遥也は完全に絶望していた。男が自分の体を使って学生生活、恋愛、就職活動まで順調にこなしていく一方で、遥也はその体の中でただ時間が過ぎるのを見守るしかなかった。
全てを奪われた上に、もはや戻ることのできない現実に押し潰されそうだった。
しかし、そんな遥也の中でひとつだけ希望が残っていた。それは、遥也の体で作られた幼馴染との関係だった。
幼馴染の美晴は、遥也が何度も何度も心の中で叫び、
望んでいた「普通の学生生活」を共に送っていた女性だ。
美晴は、遥也がずっと一緒にいたかった人だった。
だが、今やその幼馴染は、遥也の体を使う男と話していた。

七 美晴との再会
ある日、遥也は美晴と偶然会った。美晴は、男(遥也の体)と一緒に大学のカフェで話しているところを目撃した。美晴は男に楽しそうに話していたが、その目にはどこか違和感があった。
「何かが不自然」と遥也は感じた。美晴は少し悲しげな表情をしているように見えた。
遥也はその場から離れた。美晴が自分の体で作り上げた関係を築き、今さら自分が割り込むことができるわけがないと思っていたからだ。しかし、心の中で美晴が自分を覚えてくれていることを信じたくなった。
その夜、美晴から連絡があった。
「今、会えないかな?」
遥也は驚き、すぐに返信した。
「もちろん、今すぐ会いたい。」
二人は近くの公園で待ち合わせた。美晴は、遥也が想像していた以上に真剣な表情で立っていた。美晴は、遥也の目をじっと見つめながら言った。
美晴「遥也、私、最近ずっと悩んでたの。なんか、あなたがどこか遠くに行っちゃったみたいで…本当にあなたなのか分からなくて。」
遥也の心に突き刺さった。遥也は驚き、焦った。
「どういうこと?俺だよ、俺はここにいる。」
「でも…あなたと過ごしている時間が、どうしても違う気がするの。あなたがどこか遠くに行ってしまったみたいで。最初は気づかなかったけど、あなたの体の中に、別の何かがいるように感じて…。その感覚がすごく不安で、怖かった。」
遥也の胸が締めつけられるようだった。美晴は、自分が失われていったことに気づいていたのだ。

八 美晴の決意
「でも、今気づいたの。私、あなたのことが好きなのは、あなたの体じゃなくて、心なんだって。あなたがどんな姿をしていても、私が好きなのはあなた、遥也だから。」
その瞬間、遥也は涙が溢れそうになった。自分の体を奪った男のことを考えながら、美晴が自分を見つけてくれたことに、ただただ感動した。
美晴「あなたの心が好きだ」
その発言は、遥也の中で最後の希望となった。
その時、遥也の体を使っていた男が、二人の会話を遠くから見ていた。男は冷徹な目で二人を観察していたが、遥也と美晴の間に流れる絆を感じ取った。
そして、その瞬間、男はゆっくりと歩み寄り、二人の前に現れた。

九 男との対決
男「君、また自分の体を返す気になったか?」
男は冷ややかな声で言った。
遥也は息を呑んだ。
「返せ!俺の体を返せ!お前はもういらないんだ!」
美晴の前で、遥也は初めてその男に向かって叫んだ。
男「君の体が欲しいのは、君だけだ。君がその体を手に入れたいなら、きっと、何か大切なものを取り戻せるだろう。」
そして、男はゆっくりと立ち上がり、遥也の前で静かに言った。
「君が望むなら、元の体に戻ろう。」そう言うと、男は遥也の体から抜け出すようにして、ふわりと空間に消えていった。

十 自分を取り戻す瞬間
遥也は、目の前で起きた変化に驚きながらも、自分の体が戻ってきたことを実感した。もう、誰かに操られることはない。美晴の前で、ようやく自分を取り戻せたのだ。
美晴は遥也の目を見つめ、微笑んだ。
「遅かったけど、やっと戻ってきたんだね。」
遥也は涙をこらえながら、美晴に答えた。
「うん。もう二度と、君を失わないようにする。」
そして、二人は再び歩き始めた。遥也の体が戻ったことで、彼はもう一度自分の人生を手に入れることができた。そして、美晴の言葉を信じて、二人で新しい未来を歩んでいくことを誓った。
美晴の愛と彼の心が、最終的に男を打ち負かした。『完』
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