俺様奴隷と美しい恋をする為に茨の道を参ります

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Ⅱ.愛は密かに語り合う【喃喃喋喋、桑中之喜】

Va où tu peux, meurs où tu dois

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「どうせ最後なんだ。抱かせろよ」



 私を組み敷いた彼は、
妖美に口角を上げて言い放った。


 最後。

そう、彼は“母様の”宝石なのだ。


間違っても、私のものでは無い。

借りているに過ぎないこの体は、今日で最後。


 色んな意味で、速まっていく脈。


あぁ、もう。どうにでもなれ。



「……いいよ」



 数日前の決心を覆し、口を開いたその時
扉の向こうから控えめなノックが聞こえて。


目の前の男に視線を配れば、
私の上から退いた彼は出会った時と同じように月を見上げた。


「入りなさい」
許可を出すと、
おもむろに開いた扉の前で頭を下げたオオトリが
部屋の隅にある電話を手のひらで指し示した。



「アリア様、奥様からお電話が入っております」



 示された黒電話の受話器を手に取って耳にあてる。


アリアです、名を告げると母様はひとつため息をついた。

そして、放たれた言葉に目を見張った。



「……え、帰れない?」

「そうなの。
なんだか土砂崩れがあったとかで馬車が通れなくて。
暫くはこちらで過ごします」

「……分かりました。
こちらは変わりありませんのでどうかお気を付けて」



 カチャン、と置いた受話器を前に
私は静かに口角を上げた。

振り返れば、こちらを見つめる碧眼と視線が交わって。



「……残念、まだまだ私の体はお預けみたい」



 そう得意げに笑えば、彼も呆れたように笑った。






【行けるところまで行き、死ぬべきところで死ね】
Va où tu peux, meurs où tu dois.

(このまま帰ってこなくても……
なんて思ってはいけないわね)
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