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第一章 災害からの脱出
第9話 ライオンに狩られる草食動物の気持ち
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早朝の広場 いつもならちらほらと起き始めた人達がいるはずなのだが……
誰もいない あるのは冷たくなった人だったもの…… 血の海……
普通なら気分が悪くなって立ち止まるところだが、慣れてしまったのだろうか……、僕は冷静だった。
「広場だけどあまり死体がないわね ほかの人たちはうまく逃げたようね」
となりの女は冷たいほど冷静だった……、慣れなのか、能力の代償なのか……
広場の隅の方に大男ぐらいの大きさの鳥、まるでダチョウ、いやヒクイドリのような見た目の化け物がいた。ヒクイドリをさらに大きくした化け物は、足の爪が熊のようで簡単に人の喉元を切り裂けそうだ。何より異質なのは、くちばしに肉食猛獣が持つ牙が生えている。危険であるのは間違いないが、ハイノメの力があれば難なく討伐できるだろう。
普通なら……
「あ ああ……助けて」
化け物のそばに微かにまだ息がある人がいる。
しかし、化け物には知能があるのか、自分の獲物を横取りされまいと、その人を足で押さえつけた。
「ハイノメ! 早く助けないと!」
「わかってる でもこちらから仕掛けると……」
人質がいるためうまく動けない
なんとか注意をそらせば……
「ぼくが 化け物の注意をそらしてあの人から離す!」
咄嗟に出た言葉、考えなんてない。でも動かなければ……
何も始まらない!
「どうやって気をそらすの?」
「回り込んで、この石ころを投げる。」
「えぇ! そんなので!!」
「そんなのってなんだよ! ほかに方法が思い浮かばないんだよ。それに早くしないとあの人が死んでしまう。」
捕らえられている人は血をだらだらと流し、今にも死にそうだった。
早くしないと間に合わない……僕は焦っていた。
「でも、そんなことをしたら今度はあなたが危ない。」
ハイノメは心配してくれているが、ぼくには自信がある。
「ぼくは死なない身体を手に入れたんだ。後は……まあ、何とかなる。」
「ノープランかよ……」
ハイノメは一瞬、あきれた表情をしたが、その後くすりと笑い答えてくれた。
「わかったわ、のってあげる! 私はどうすればいい?」
「上手くぼくが怪物を引き離すからその後、捕まっている人を助け出してほしい。助けた後、今度は僕を助けてくれ」
「情けないわね わかったわ! ショウごとやっちゃていいのよね!」
いたずら好きの女の子の様な顔を作り、ぼくに問いかける。
「ああ、いいよ!」
この場面で断れる勇気なんて僕は持ち合わせていなかった。
地の底から聞こえるような低いうなり声が広場を包む、張り詰めた空気……、
上手くできるかわからない……、不安な僕を鋭い目がにらみつける。
少しずつ化け物の後ろに回り、手に持っている小石を投げる準備をする。
心臓の鼓動がバクバクと止まらない……
いくら死なない身体になったとは言え、怖いし痛みはある。たった数メートル動いただけなのに、何時間も経ったような気分だ。まだ後ろに回り込んでいないが、手に持っている小石を早く投げて、この緊張感から早く解放されたい。そう頭によぎった次の瞬間、不快感を伴う粘性の叫びが僕に向けられ、化け物がこちらに向かってきた。まだ完全に後ろに回り込めてないが、作戦は成功だ。人質は解放され、ハイノメがすぐさま助け出した。僕は化け物を遠ざけるため全速力で逃げた。
少しでも化け物とハイノメを遠ざけないと……
しかし、化け物の足は速く、すぐに捕らえられてしまった。熊のような鋭い足爪で背中を蹴られ、地面に倒れたところを、岩でも乗っかているような重さで踏みつけられて、全く身動きが取れない。
上から見下ろす化け物……
ああ、ライオンに捕らえられた獲物の気持ちがよく分かった気がした。
ここまで何もできないと抵抗する気も起きなくなってくる……
ドス
鈍い音が僕の体中をめぐる
「うわああ」
痛い 痛い痛い痛い
痛みで何も考えられない! 今自分は、生きたまま食われている。それ以外のことは何も考えられなかった。
「だ、だれか助け……」
神にすがる思いでその一言が出た。その言葉にこたえるように、灰色の剣が化け物の体を貫く、 僕ごと!
「ぎゃああああ」「ギャアアアア」
化け物と叫び声が重なり合い殺伐とした空気が響き渡る。
誰もいない あるのは冷たくなった人だったもの…… 血の海……
普通なら気分が悪くなって立ち止まるところだが、慣れてしまったのだろうか……、僕は冷静だった。
「広場だけどあまり死体がないわね ほかの人たちはうまく逃げたようね」
となりの女は冷たいほど冷静だった……、慣れなのか、能力の代償なのか……
広場の隅の方に大男ぐらいの大きさの鳥、まるでダチョウ、いやヒクイドリのような見た目の化け物がいた。ヒクイドリをさらに大きくした化け物は、足の爪が熊のようで簡単に人の喉元を切り裂けそうだ。何より異質なのは、くちばしに肉食猛獣が持つ牙が生えている。危険であるのは間違いないが、ハイノメの力があれば難なく討伐できるだろう。
普通なら……
「あ ああ……助けて」
化け物のそばに微かにまだ息がある人がいる。
しかし、化け物には知能があるのか、自分の獲物を横取りされまいと、その人を足で押さえつけた。
「ハイノメ! 早く助けないと!」
「わかってる でもこちらから仕掛けると……」
人質がいるためうまく動けない
なんとか注意をそらせば……
「ぼくが 化け物の注意をそらしてあの人から離す!」
咄嗟に出た言葉、考えなんてない。でも動かなければ……
何も始まらない!
「どうやって気をそらすの?」
「回り込んで、この石ころを投げる。」
「えぇ! そんなので!!」
「そんなのってなんだよ! ほかに方法が思い浮かばないんだよ。それに早くしないとあの人が死んでしまう。」
捕らえられている人は血をだらだらと流し、今にも死にそうだった。
早くしないと間に合わない……僕は焦っていた。
「でも、そんなことをしたら今度はあなたが危ない。」
ハイノメは心配してくれているが、ぼくには自信がある。
「ぼくは死なない身体を手に入れたんだ。後は……まあ、何とかなる。」
「ノープランかよ……」
ハイノメは一瞬、あきれた表情をしたが、その後くすりと笑い答えてくれた。
「わかったわ、のってあげる! 私はどうすればいい?」
「上手くぼくが怪物を引き離すからその後、捕まっている人を助け出してほしい。助けた後、今度は僕を助けてくれ」
「情けないわね わかったわ! ショウごとやっちゃていいのよね!」
いたずら好きの女の子の様な顔を作り、ぼくに問いかける。
「ああ、いいよ!」
この場面で断れる勇気なんて僕は持ち合わせていなかった。
地の底から聞こえるような低いうなり声が広場を包む、張り詰めた空気……、
上手くできるかわからない……、不安な僕を鋭い目がにらみつける。
少しずつ化け物の後ろに回り、手に持っている小石を投げる準備をする。
心臓の鼓動がバクバクと止まらない……
いくら死なない身体になったとは言え、怖いし痛みはある。たった数メートル動いただけなのに、何時間も経ったような気分だ。まだ後ろに回り込んでいないが、手に持っている小石を早く投げて、この緊張感から早く解放されたい。そう頭によぎった次の瞬間、不快感を伴う粘性の叫びが僕に向けられ、化け物がこちらに向かってきた。まだ完全に後ろに回り込めてないが、作戦は成功だ。人質は解放され、ハイノメがすぐさま助け出した。僕は化け物を遠ざけるため全速力で逃げた。
少しでも化け物とハイノメを遠ざけないと……
しかし、化け物の足は速く、すぐに捕らえられてしまった。熊のような鋭い足爪で背中を蹴られ、地面に倒れたところを、岩でも乗っかているような重さで踏みつけられて、全く身動きが取れない。
上から見下ろす化け物……
ああ、ライオンに捕らえられた獲物の気持ちがよく分かった気がした。
ここまで何もできないと抵抗する気も起きなくなってくる……
ドス
鈍い音が僕の体中をめぐる
「うわああ」
痛い 痛い痛い痛い
痛みで何も考えられない! 今自分は、生きたまま食われている。それ以外のことは何も考えられなかった。
「だ、だれか助け……」
神にすがる思いでその一言が出た。その言葉にこたえるように、灰色の剣が化け物の体を貫く、 僕ごと!
「ぎゃああああ」「ギャアアアア」
化け物と叫び声が重なり合い殺伐とした空気が響き渡る。
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