ヘルメス

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第一章

第2話 グラースの森

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 俺たちは、食堂出た後、村から、一時間ぐらいの場所にある、グラースの森に行く事に決めた。
 
 絶望を感じさせるようなモンスターなど、出ない比較的初心者が、行く森だ。
 
「ルビーのお父さんの事聞いた?」

「ああ、親父から聞いたよ」
 
 「そんなに落ち込んでないみたいで良かった」と、ロルトは、ホッとしてるようだけど、俺は、ルビーの一言が気になった。

 親父の話によると、一ヶ月前ルビーの親父さん事カランさんは、街の遠征隊で遠征にでている。

 その遠征隊が、予定帰還、3日を過ぎても誰1人帰ってきてない。
 予定帰還に帰ってこない事は、よくある事だが、補給部隊は、必ず予定帰還には、帰ってくる。早くなる事は、あっても遅れる事は、今迄で無かった…

 今回の遠征は、確か最近動きが、活発になってきている、『エンペラードラゴン』の生態調査及び、被害状況の調査だったはず。

 この村一番の英雄にして、この国の3本の指に入る冒険者カランさんなら、大丈夫だと思うけど。

  ルビーの事のが、心配だ。
  口が悪いけど、幼馴染だし、たまに凄く優しくなるから、それに、最近は大人っぽくなって可愛いし……

 ただ今回の遠征は、普段の10倍規模で行われてるから、多少の誤差があるかもしれない。
 村長達も、まだ問題としては、扱ってないみたいだし。

 そうこうしてる内にグラース森に着いた。

 「まずは、大樹まで、行ってみる?」
 
  胸をそらしながら、ロルトは、
「そうだね、コブリンぐらいなら出ても倒せると思うし」
 
「オラクルは、レア2?」

「うん」ロルトは自分の靴を見て言った。

 オラクルは、その靴に描がかれてる紋章の色で、レア度が決められている。
 レア度は数値が高ければレア。

 ロルトの紋章の色は、黄色。

レア  紋章の色

1 青 (一般の人)
2 黄(ラッキーな人)
3 赤 緑(1.2が、レア度上昇すると緑) 
4 紫 (この先の運ココで使いきった人)
5 白 黒 (奇跡 後光が差し込むような人)

  しばらく森の中を進んでると、一際ひらけてる場所に出てきた。
 その真ん中には30mにも40mにもなる大樹が、天高くそびえたってる。
「神木ローリーもこんなにデカイのかな?」

「この国中のだからな、これより大っきいかもよ」

 王都の中心になる神木ローリーの木、その周りに城を作ったとさえ言われてる。

「いつか行ってみたいな、王都」
  ロルトは、大樹を見上げながら言った。

「俺も国王の履いてるヘルメスの靴を一度見てみたい」
  本来、靴は生まれて、ローリーの実から授かる物だけど、最古の靴『ヘルメス』は、代々その国の王が、受け継ぐとされてる。
 そして未来を見透すオラクルだと言われている。
  「能力試しって言っても、何する?」
 俺は、大樹を、見上げてるロルトに言った。
 「まずは、あれを割ってみようかな」
 ロルトは、近くに流れている川の方を指差しした。
 よく見ると川の横に大小様々な石がある。
 大小と言っても、大きい物で、7~8mぐらいある岩も存在する。

 近くに来ると、離れて見たよりも大きい。

 昔グラースの森を抜けた先にある、ヒプノ山が噴火した時飛んできた石や、岩と言われている。

「ようし、まずはこれぐらい、いってみようか、ロルト君」
俺は、まず手始めに、2~3mぐらいの選んだ。
「うん。 やってみる」
 ロルトは、肩幅に足を広げゆっくり腰を下げる。
 そして一呼吸した。
 そうすると、ロルトの靴から灰色のオーラが出た。

 なんだか、ロルトが、一回りも二回りも大きく感じる。
 今度は、右足を高く上げ石に向かって振り下ろした。

  バコーンッ!  甲高い音が…

 「おお!」俺は、思わす声が出していた。
 「すごいなぁ  余裕?」
 
 「うん。 少し身体が、重く感じるけど」

 「それって身体全体が、岩みたいに?」
 
 「感覚的には、膝ぐらいまで、硬くなってる感じがする。  ただ、うまく説明しづらいけど、身体全体にできそうな感覚」


 「次いってみようか! 今度は、これ!」
 今度はさっきの倍以上の大きさのを選んだ。

「ようし!」ロルトが気合いを入れた。
 またさっきと同じ体勢をして蹴りを入れた。 
 バコーーンッ!
 さっきより、大きな音がした。
 
 「すごいな。 石が真っ二つだ」
 
 「さっきより、力の加減が分かった気がする」
  靴を見ると傷一つついていない。
 これだったら、コブリンぐらいでても、危険は、感じるけどロルトが倒してくれる。
 
 自分にもこのようなオラクルが、発現すると思うと、なんだかワクワクしてきた。


 丁度その時、川の上流より何か黒い大きな塊が、流れてくるのが、見えた。
 それは、最初反対岸の方だったが、近くづくにつれ、ゆっくりと、蛇のようなうねりで、こちら側に近づいてきた。

 一瞬俺は、背中に冷気を吹き付けられたような寒気が走った。
 本能がマズイ!と、思った瞬間そいつは、姿を現した!
 
 そいつは、 2mはありそうな体躯で全身黒々とした鱗に覆われいた 。
 尻尾は、身体から、真っ直ぐ伸びその部分のみ鱗が、逆立っていた。
 右手には、これまた、身体ぐらいありそうな槍を持っていた。
 顔には、口が、横にさけてる分残虐性が増している。
その顔についてる紅い目で、俺とロルトをギロリと見た。
 
 オラクル発現しているロルトならまだしも、また発現してない、俺にとってはとてもじゃないけど、手に負えない。
  
 と、その時!急に距離を縮めてきた。
 方向は、俺の方!
 二分の一で俺かよ!
 オラクル持ちのあっちにしてくれよ!
「一旦森の中に逃げるぞ!」
「うん」
  2人は、少し横に離れながら森に走った。
 
 少し進むとロルトの位置が、分からずはぐれてしまった。

 いきなり走った事と、緊張のせいで、息があがった。
 辺りを見回しても、ロルトは、見当たらない。
「ロルト、ロルト、おーい」
  低い声で呼びかけても反応がない。

 左手側の藪がガサガサ揺れる。
 少し遅れて、右手側の藪が、揺れる。
 
  息を飲んだ……ゴクン
  喉が鳴る

 その瞬間左側から、出てきたのは、ロルトだった。
 「アギト!」
 ロルトが顔出して言ってきた。
って事は、右は……

  黒い影が、現れた!
  
  チッ!
  思わず舌打ち!

 そして時は、3時間後に戻る。


「この状況ピンチすぎないか?」
そして、目の前のリザードマンから、槍が、ものすごい早さで繰り出されそれを間一髪左によける。
 伸ばしきったリザードマンの右腕にジャンプして乗っかり、右脚でおもいっきり顔面にキックを叩きこんだ!

 ドコッ? 鈍い音がする。
 感触はあった。
 だがよく見るとリザードマンは、口を開け、ギザギザの歯で俺の足を挟んでいる。
 
 そして爬虫類独特の目で、ギロリと。

 目が会った瞬間、心の中で俺は間違いなく
ピンチが大ピンチに変わった瞬間だと思った。

「ピンチを過ぎて大ピンチに変わってるよ」
ってロルトは、言う。
「そんなの分かって、、」るを言うまえに俺は、右に振られたかと思うと、左に吹き飛ばされた。

  5メートルは、吹き飛ばされて、地面に叩きつけられた。

「ウッ!」と肺の中空気が、全て吐き出された気がした。

 元々リザードマンは、そんなに素早い生き物じゃないからスキを見て逃げてもいいんだけど、あの鼻で、どこまでも執拗に追ってくる。
だからここでどうにかしないと…
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