仮想現実・夢見る少女

神城 リーナ

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4章.波乱

34.銃撃犯「実況生中継」

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一発の銃声がする5分前、17時30分丁度。
公園では音楽が静かに突然流れ始め徐々にそれは大きくなってゆく。

そして公園の彼方此方に設置されてあった証明器具の照明が一つ一つ灯され始め、それらは正面に設置されてある舞台を少しづつ明るく照らしてゆく。

そして一気に照明が一気に入れられて舞台を一際眩しく照らし出した瞬間!!
レポーター兼司会者が舞台脇からマイクを持って登場してくる。
そして同時にテレビカメラが回り出しそれは生中継でネットそしてテレビへと即時配信されていた。

「みなさ~~ん。『YUI&アリーシャ』特別ライブへようこそ!!
今日このライブに来られた方はきっと幸運の女神さまに選ばれた方達だと思います。
何故ならば、ロックバンド『YUI&アリーシャ』は今までのロックバンド『YUI&アリーシャ』では無いからです。
新しくイメージチェンジした『YUI&アリーシャ』の姿を見られた方はその姿にビックリする事でしょう。
でわ、早速その『YUIさんとアリーシャさんに登場して頂きましょう~どうぞ!!』」

その司会者の声に舞台の両サイドからアリーシャとYUIが別々に姿を見せた瞬間
「ええええええええええええええええええええええええええええ~」
「本当にアリーシャととYUIなの?」
「あのテロの時の女の子だ!!」

・・・・
観客達は一斉に叫んだ。
それには訳が有る。
『YUI&アリーシャ』はパンクな衣装や革ジャン姿で今まで通してきたバンドだった。
でも今日の二人の衣裳は・・・

白なドレスそしてその真っ白なドレス全体に散りばめられた可愛いリボン・・
  そしてワンピースのスカートから伸びる細い足、そしてその足には白いリボンが交互に巻かれている。そのスカートから伸びる2本の足には真っ白のハイヒール。

そんなロリロリな少女の服装全く今までのイメージと違う。

そして、その少女達の姿を半年前一度だけ全員が目撃ないし、テレビの映像で見ている。
それは半年ほど前・・・
この近くの3差路の大きな交差点の真ん中で10人近くの男達が自動小銃を乱射するというテロ事件が
有った。その時この真っ白なドレスを纏った少女が一瞬で10人のテロ犯を撃退してしまった。
その一部始終はそこに居合わせた何人かに動画に撮られてその映像はインターネットと夕方の特別番組で流されてしまっていた。
その時のテロ犯の自動小銃の乱射によって15人が死亡するという大事件となってしまった為にまだ皆の記憶にも深く残っていると思われる。

でもその交差点内で円陣を組んで自動小銃を乱射したテロ犯を一瞬で気絶させて捕まえた真っ白なドレスを纏った少女が一体誰だったのかは一切不明のままだったのだ。

それが今日この『YUI&アリーシャ』特別ライブの舞台の両脇から出てきた真っ白なドレスを纏った少女だったのだから観客達が驚くのも無理は無い。

こうして、驚きの内に始まった『YUI&アリーシャ』特別ライブので二人が一曲目の半分を歌っていた頃!!

ライブ会場横の駐車場で

「ダーン」

と一発に銃声が轟いた。
その瞬間銃声がしたと同時にライブ会場の舞台の上で歌っていたアリーシャとYUIは同時に舞台の床を蹴って会場に飛び出していた。

空かさずレポーター兼司会者は実況中継を始めた。その実況中継の司会者の声に対応するようにテレビカメラもアリーシャとYUIの姿を望遠で追ってゆきその映像は生中継されたままだ。



「今銃声がした駐車場に突然アリーシャとYUIが舞台から飛び出しました。
凄いです何とアリーシャとYUIは観客達の上空をまるで飛んでいるみたいです。。

あ!アリーシャがYUIの手を空中で一気に引っ張って銃撃犯の男に向かって凄い勢いで投げ飛ばしました。

何と投げ飛ばしたアリーシャは観客達の肩を足場に手をついて空中回転しながらYUIを追っています。
そのYUIは何と拳銃の引き金を今正に引こうとしている男後方の空中で一回転し着地寸前で男の拳銃を持った手ごと蹴り上げました~凄い!凄い。

拳銃が空中高く跳ね飛んでゆきます。
追い付いたアリーシャが男の腸に回し蹴りを入れ跳ね飛ばしました~~。
男の体は回転しながら飛んでゆきます。


男は駐車場脇の植木に体を激突させて一瞬で伸びてしまったようです。
一瞬の出来事でした~~
私はまるで、映画を見ているようです」



司会者兼レポーター実況中継をそう締めくくった。
手持ち式のテレビカメラを抱えたクルーが追い付いてアリーシャとYUIが駐車場でお互い片手を上げながら

『ハイタッチ』

している映像を撮っている。

「パーン」

アリーシャとYUIが高らかに上げた手を打ち鳴らしたハイタッチの音が駐車場に響く。
しかしその瞬間駐車場の脇にいた2人の男達が一斉に胸元に手を入れた。

アリーシャとYUIはそれを見逃さなかった。

男の手に拳銃の銃身が

『キラリ』

と光った瞬間にアリーシャとYUIはもう拳銃を構えようとしている男達の懐に其々潜り込み回し蹴りを腸に繰り入れた。
その瞬間二人の男は一斉に弾き飛ばされて何回転か路上を転げ駐車場のアスファルトの上に大の字に伸びた体をさらす。

その横では達也が銃撃され駐車場のアスファルトの倒れた咲の体を抱き起こして抱締めながら
「さきーーーーーーーーーー」
と叫び声だけが暗くなりかけた駐車場に響いていた。

つづく・・・
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