ソクラテスの月が登る頃

アツキ

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エピローグ

三日月の夜

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「あぁ·····。今回もダメだった·····。」
ジメジメとした薄暗い部屋の中、男は崩れ落ちるように膝をついて座っていた。
「また同じだ·····。何も変わらない·····。」
男の目に光はない。
無造作に伸びた前髪が静かに垂れ下がっている。
生暖かい息が漏れる
「もう·····、ダメなのかもしれない·····。」
そう言うと男はゆっくりと木製の床に文字を書き始めた。
手首から血がゆっくりと溢れる。

[もしまた俺がこれを見ることがあれば、どうかあの子のために諦めないで欲しい。]

赤く生暖かい文字は、後になるにつれ読みづらく乱雑なものになる。
息が漏れる。
文字を書く。
書かなくてはいけない。

そして力なく倒れる。

まだ·····書く·····。

[あの子は生きている。]

赤く染った手元のナイフが、月明かりを鈍く反射させる。
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