ソクラテスの月が登る頃

アツキ

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1章

半月

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男が血を流して倒れている。
分からないが·····、多分死んでいる。

どうすればいい。
警察?
そうだ。警察だ。

登は慌ててズボンのポケットから携帯電話を取り出し、警察へ連絡を取る

「も、もしもし。
ひ、人が·····、死ん、死んで·····!
血が·····!」
『 落ち着いて下さい!人が?死んでる?』
「は、はいっ!すぐに来て下さいっ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「で、部屋の灯りを不思議に思った君はビルに入り、男の遺体を目撃したと。」

やせ細った無精髭の男は登に聞く。

「はい。もう何が何だか·····。」
「君ねぇ。遺体を見つけたのは大事だけど、ビルに入るって不法侵入罪だよぉ?」

眠たげな目で、頭を書く痩せた男。
男は刑事だった。
名は神久夜雄一(かぐや ゆういち)。
いかにも不健康といった見た目だ。

「まぁ、不法侵入に関しては遺体発見で今は多めに見るけど·····。」
はぁ·····。と大きくため息をつき話を進める。
「しかしどうも話が見えん。
君が外から見た時には部屋の灯りはついていた。
だが、君が遺体を見つける頃にはその灯りは消えていた·····と。」
「はい。」
「うーむ·····。単純に考えるなら君が犯行に及び、部屋の電気を消した。と考えるが、それはあまりにも意味不明だ。
電気を再びつける意味も、我々に通報する意味もない。」
「はぁ·····。」

腕を組み、片手で顎の無精髭をなぞる。

確かにそうだ。
死体を見た時の同様で忘れていたが、確かに部屋の明かりは消えていた。
誰かが部屋から出た形跡もない。部屋には死体しか居なかった。

「それになんと言ってもあの床の文字だ·····」
髭を撫でる手と逆の手で死体のそばの床を指をさす雄一刑事。

「また[あの子]か·····。」
静かに唸り声を上げ、また顎髭をなぞる。
「[もしまた俺がこれを見る]?
意味がわからんっ!!
この[俺]は、犯人か、それとも被害者か。
また変なダイイングメッセージを残してくれたなぁ·····。」
「また?」

登は聞いた。

「[また]ってどういうことですか?」
「あ?これで4件目なんだよ。似たようなメッセージ残した仏が居てな。」
「じゃあ、連続殺人·····?」
「いや、それはない。」
「なんでですか?別の犯人がやったとか?」
「いや、犯人は全て同一人物だ。」

話が全く見えてこなかった。

「ど、どういう·····。」
「遠すぎるんだよ。」
「遠すぎる?」
「現場だよ。
連続殺人って言ったらお前、広くても犯行範囲は限られてくるだろう。
それが広すぎるんだよ。」
「は、はぁ·····。」
「1件目は北海道の山奥で起きた事件!
2件目は京都の寺の中での犯行!
3件目なんてアメリカで起きてる!
それもここ1週間でだ!
今じゃいい都市伝説だよ。」

イライラした様子でつま先で床をコツコツと続きながら言う。

「その犯人が全て同一人物?」
「そうだ。全部の事件の指紋が一致する。
こんな広範囲を一人の人間が移動できるとも思えん。」

さっぱりわからん。といった様子で雄一刑事は頭をかく。



「な、なんだお前は!?」

部屋の入口から声がした
警察官が銃を男に向けて立っている。

入口には黒いスーツに赤のネクタイ。
真っ白な仮面を付けた男が立っていた。

「あぁ、いいいい。そのくだり何回もやった。」
仮面のスーツ男は呆れた様子で手を振る。


「皆さんお久しぶりですぅ。はんにんですぅ。
いや、ここでは初めましてなのかな?
まぁいいや。
んじゃ、ばいばーい。」

男は懐から拳銃を取り出す。
銃声と共に皆殺された。

何が·····。

ほんの数秒の出来事。

血·····。

意識が薄れていく。

仮面の男が登に近づきこう言った

「君·····。1回目なんだ·····。そっか·····。」

銃口が登の眉間に向けられる。

「今日も月が綺麗ですね。」

銃声·····

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