2 / 10
優しい友達
しおりを挟む
~昼休み~
僕は江桐に呼ばれ屋上で待っていたのだが彼女はいつまで経ってもやって来ない。一応、待っててとは言われてるのだけども。
「山田くんは先に屋上行ってて、ちょっと遅れるから。また後でね」
「うん、わわ、わーかった」
彼女はそう言い残してからもう十分を過ぎようとしていた。僕がもう待つのに耐えられなくなったころに屋上の扉がものすごい勢いで開いた。
そこには、江桐ともう2人ほど人が来ていた。片方は江桐よりも小さく髪はロングのストレート。片方は活発そうで、少し髪の色が光の当たり具合によって黒く見えたり、茶色に見えたりする髪の色だった。
すると、活発そうな方の子が僕に対して、テンション高めで話しかけてきた。
「初めまして。菊池 優美って言うんだよろしく」
「初めまして。私は江桐ちゃんの友達の椎葉 一織です。よろしく」
と、ちっちゃい方の女の子がさっきの子のお詫びをするような挨拶をくれた。まあ、軽く会釈でもしてればいいか。無理するとまた変なことになってしまう。というか折角の友達が減ってしまう。
「よ、よろしく」
なんで毎回僕は、一言一言いう度にどもってしまうんだろうか。ここを無くせばまだマシになるのにと、ひとりで考えていると江桐が僕に対して話し始めた。
「どうせ、朝のこと忘れてると思うからもう1度説明するね。この2人は今回、君の人見知り克服計画を達成するための私からのサポーターになる人なんだ。名前は聞いた?」
僕はその言葉に対して、頭を上下に動かして答えた。声に出して気持ちを伝えるのは苦手だ。上がってしまう。
すると、彼女は「ならよろしい」と言ってベンチに座っていた僕の横に引っ付きそうなほど密着して来た。にしても、シャンプーの香りが凄くいいな。なんか違う緊張が来たんだけど。
「ねえ、山田くん。私と話すのって緊張しちゃう? それならさ、私とはせめて話せるようになってほしいんだ。だって──」
彼女が何か言いそうになった時、急に菊池が大声で叫び出した。
「なっ、なんだとーーーーー。折角今日の為に作ってきたタコさんウインナーを地面に落としちゃうなんて、なんてことだ」
「大丈夫だよ、ゆーちゃん。私のウインナーあげるから元気出して欲しいな。ゆーちゃんが元気じゃないとみんなやる気なくなっちゃうよ?」
一応補足しておくと、ゆーちゃんというのは菊池のあだ名だ。つけられた理由は優美だから、ゆーちゃんちゃんとのこと。よく分からねえな。
と、いった感じで菊池が食べ物を落としたから、急に叫び声を出したらしい。にしても、そんな声がよくもまあ出ることで。僕の鼓膜が敗れるところだった。
僕はさっき江桐とは話の途中だった為また聞き直さないとと思い彼女に質問をしてみた。
「あ、あの、え、江桐。さっき、ななな、何て言ったの?」
僕はさっき江桐が言おうとした事を聞き直すと彼女はそっぽを向いてまともに取り合ってくれなかった。だよな、こんな喋り方じゃ他の人からしたら俺なんて喋ってる時に凄く動揺してるようにしか見えないからな。
「別に、何でもないから。それに聞かなかった山田が悪いんだよ」
僕が彼女の方を見ると彼女と目が合い彼女は顔を急に赤くして、両手で顔を抑え始めた。一体何があったというんだよ。俺の顔を見るなりそんなことしてきてさ酷くないか?
それで僕はこうしてやっと飯を食べれるようになり、なぜか少しの間長い沈黙が続いた。別に気まずくはないけど、なんか静かだな。
僕は飯が終わりベンチで気持ちよく仰け反っていると、椎葉が急に話しかけてきた。でもなんだか少し怒ってるっぽいかな? でも僕、怒らせるようなことしたっけな。
すると彼女は突然僕の目の前でお辞儀をしてきた。こりゃあもう、傍から見たら僕が謝らせてるみたいじゃないか。別に僕はそこまでひどい人じゃあないんだけどな。
「先程は、すみませんでした。急に大声を出してしまって」
ん? 大声? それを出したのって椎葉じゃなくて菊池の方だった気もするけど、本人がそう言ってるんだったらまあいいか。別に俺は謝られる必要ないしね。謝るんなら江桐の方にして欲しいや。
「だ、だい、大丈夫だよ」
何でやっぱりこんな風にどもってしまうんだろう。もっと力を抜いて喋るのはネットと同じで簡単だって心に言い聞かせないと折角こうやって治す手伝いしてもらってるんだし。
すると、チャイムが鳴った。いつもなら長くて長くて仕方のない昼休みがあっという間に終わってしまった。人と喋れない僕でもこうやって喋れば楽しいんだっていうことを自覚した。
「じゃあね、山田くん放課後も会えたらいいね」
「バイバイ、山田と江桐~」
椎葉と菊池の二人はチャイムのなった直後屋上から走り出していった。僕も教室に戻らなくちゃと思い立とうとすると、横で菊池がすうすうと寝息を立てて寝ていた。
どうしよっか、でも治すって決めたんだからしっかり声を出して起こさなくちゃな。
「江桐、お、おーきて、起きてよ」
僕は彼女の体を揺らし声をかけて起こした。でも、彼女はずっと「んー」とか
しか言わなかった。僕はこりゃもう無理だと思いベンチを立つと彼女が起きた。
「ふぁー、山田くん。他のみんなは? もう帰っちゃった?」
僕はいつもの癖で頭を上下にする運動をしかけたが僕はそれを我慢して声を出して彼女に伝えた。これも治すための一環だしな。
「う、あ、うん。すでに戻っ、…、戻ったよ」
僕はまたどもってしまったが、これでも成長できた気がして堪らなかった。そりゃあ癖を我慢して言葉で伝えれたという達成感があったからだ。
彼女は僕のこの返答に何か嬉しそうな、感じを漂わせていた。彼女は何か分かってくれたのだろうか。僕にはわからないけど。
「山田くん。教えてくれてありがとう。てかもう授業始まってるけどどうする? サボっちゃう? 私は初めてするけどね」
「う、うん」
僕はなぜか声が裏返った。彼女はそれを見て僕と視線を逸らして笑った。僕はそれを見てなんとも思わなかった。いつもなら、腹が立つはずなのに。
「サボっちゃうとは言ったけど何しよっかな。山田くんは何したい?」
「えっ、とー、あ、の、さっき、の二人の話が、っと、聞きたい」
「菊池と椎葉ちゃんのお話かぁ、別に長い付き合いじゃないから面白い話とかないんだよね」
彼女は右手の指でで髪の毛を絡ませて思い出を思い出しているようだった。彼女は「うーん」と唸りながら何かを考えていた。
僕はそんなふうにしている彼女をいつの間にか呆然と見つめていた。彼女はそれに気がついたのか僕の方を向いてきた。
「山田くんどうしたの? 私の顔に何か付いてるかな」
「ううん、べ、別に、なな、何も無い、よ?」
「そっか、なら話すね」
彼女はそう言って僕の方を向き直してきた。
「あの二人はね、私が一年生の時一緒のクラスだった友達なんだ。それでクラスはみんなバラバラだったけどみんな来てくれたの。なんて言うんだろう。ちょっと言うの恥ずかしいけど私の親友みたいなものかな」
僕は彼女の言った ”親友” という言葉が胸に刺さった。親友。僕もこんな人を作らなくちゃと変な使命感に苛まられた。
でも、そうなるにはもっとちゃんと話せなくちゃいけないし、僕も彼女たちに答えてあげないと。これが僕のできる最高の恩返しだしね。
僕は江桐に呼ばれ屋上で待っていたのだが彼女はいつまで経ってもやって来ない。一応、待っててとは言われてるのだけども。
「山田くんは先に屋上行ってて、ちょっと遅れるから。また後でね」
「うん、わわ、わーかった」
彼女はそう言い残してからもう十分を過ぎようとしていた。僕がもう待つのに耐えられなくなったころに屋上の扉がものすごい勢いで開いた。
そこには、江桐ともう2人ほど人が来ていた。片方は江桐よりも小さく髪はロングのストレート。片方は活発そうで、少し髪の色が光の当たり具合によって黒く見えたり、茶色に見えたりする髪の色だった。
すると、活発そうな方の子が僕に対して、テンション高めで話しかけてきた。
「初めまして。菊池 優美って言うんだよろしく」
「初めまして。私は江桐ちゃんの友達の椎葉 一織です。よろしく」
と、ちっちゃい方の女の子がさっきの子のお詫びをするような挨拶をくれた。まあ、軽く会釈でもしてればいいか。無理するとまた変なことになってしまう。というか折角の友達が減ってしまう。
「よ、よろしく」
なんで毎回僕は、一言一言いう度にどもってしまうんだろうか。ここを無くせばまだマシになるのにと、ひとりで考えていると江桐が僕に対して話し始めた。
「どうせ、朝のこと忘れてると思うからもう1度説明するね。この2人は今回、君の人見知り克服計画を達成するための私からのサポーターになる人なんだ。名前は聞いた?」
僕はその言葉に対して、頭を上下に動かして答えた。声に出して気持ちを伝えるのは苦手だ。上がってしまう。
すると、彼女は「ならよろしい」と言ってベンチに座っていた僕の横に引っ付きそうなほど密着して来た。にしても、シャンプーの香りが凄くいいな。なんか違う緊張が来たんだけど。
「ねえ、山田くん。私と話すのって緊張しちゃう? それならさ、私とはせめて話せるようになってほしいんだ。だって──」
彼女が何か言いそうになった時、急に菊池が大声で叫び出した。
「なっ、なんだとーーーーー。折角今日の為に作ってきたタコさんウインナーを地面に落としちゃうなんて、なんてことだ」
「大丈夫だよ、ゆーちゃん。私のウインナーあげるから元気出して欲しいな。ゆーちゃんが元気じゃないとみんなやる気なくなっちゃうよ?」
一応補足しておくと、ゆーちゃんというのは菊池のあだ名だ。つけられた理由は優美だから、ゆーちゃんちゃんとのこと。よく分からねえな。
と、いった感じで菊池が食べ物を落としたから、急に叫び声を出したらしい。にしても、そんな声がよくもまあ出ることで。僕の鼓膜が敗れるところだった。
僕はさっき江桐とは話の途中だった為また聞き直さないとと思い彼女に質問をしてみた。
「あ、あの、え、江桐。さっき、ななな、何て言ったの?」
僕はさっき江桐が言おうとした事を聞き直すと彼女はそっぽを向いてまともに取り合ってくれなかった。だよな、こんな喋り方じゃ他の人からしたら俺なんて喋ってる時に凄く動揺してるようにしか見えないからな。
「別に、何でもないから。それに聞かなかった山田が悪いんだよ」
僕が彼女の方を見ると彼女と目が合い彼女は顔を急に赤くして、両手で顔を抑え始めた。一体何があったというんだよ。俺の顔を見るなりそんなことしてきてさ酷くないか?
それで僕はこうしてやっと飯を食べれるようになり、なぜか少しの間長い沈黙が続いた。別に気まずくはないけど、なんか静かだな。
僕は飯が終わりベンチで気持ちよく仰け反っていると、椎葉が急に話しかけてきた。でもなんだか少し怒ってるっぽいかな? でも僕、怒らせるようなことしたっけな。
すると彼女は突然僕の目の前でお辞儀をしてきた。こりゃあもう、傍から見たら僕が謝らせてるみたいじゃないか。別に僕はそこまでひどい人じゃあないんだけどな。
「先程は、すみませんでした。急に大声を出してしまって」
ん? 大声? それを出したのって椎葉じゃなくて菊池の方だった気もするけど、本人がそう言ってるんだったらまあいいか。別に俺は謝られる必要ないしね。謝るんなら江桐の方にして欲しいや。
「だ、だい、大丈夫だよ」
何でやっぱりこんな風にどもってしまうんだろう。もっと力を抜いて喋るのはネットと同じで簡単だって心に言い聞かせないと折角こうやって治す手伝いしてもらってるんだし。
すると、チャイムが鳴った。いつもなら長くて長くて仕方のない昼休みがあっという間に終わってしまった。人と喋れない僕でもこうやって喋れば楽しいんだっていうことを自覚した。
「じゃあね、山田くん放課後も会えたらいいね」
「バイバイ、山田と江桐~」
椎葉と菊池の二人はチャイムのなった直後屋上から走り出していった。僕も教室に戻らなくちゃと思い立とうとすると、横で菊池がすうすうと寝息を立てて寝ていた。
どうしよっか、でも治すって決めたんだからしっかり声を出して起こさなくちゃな。
「江桐、お、おーきて、起きてよ」
僕は彼女の体を揺らし声をかけて起こした。でも、彼女はずっと「んー」とか
しか言わなかった。僕はこりゃもう無理だと思いベンチを立つと彼女が起きた。
「ふぁー、山田くん。他のみんなは? もう帰っちゃった?」
僕はいつもの癖で頭を上下にする運動をしかけたが僕はそれを我慢して声を出して彼女に伝えた。これも治すための一環だしな。
「う、あ、うん。すでに戻っ、…、戻ったよ」
僕はまたどもってしまったが、これでも成長できた気がして堪らなかった。そりゃあ癖を我慢して言葉で伝えれたという達成感があったからだ。
彼女は僕のこの返答に何か嬉しそうな、感じを漂わせていた。彼女は何か分かってくれたのだろうか。僕にはわからないけど。
「山田くん。教えてくれてありがとう。てかもう授業始まってるけどどうする? サボっちゃう? 私は初めてするけどね」
「う、うん」
僕はなぜか声が裏返った。彼女はそれを見て僕と視線を逸らして笑った。僕はそれを見てなんとも思わなかった。いつもなら、腹が立つはずなのに。
「サボっちゃうとは言ったけど何しよっかな。山田くんは何したい?」
「えっ、とー、あ、の、さっき、の二人の話が、っと、聞きたい」
「菊池と椎葉ちゃんのお話かぁ、別に長い付き合いじゃないから面白い話とかないんだよね」
彼女は右手の指でで髪の毛を絡ませて思い出を思い出しているようだった。彼女は「うーん」と唸りながら何かを考えていた。
僕はそんなふうにしている彼女をいつの間にか呆然と見つめていた。彼女はそれに気がついたのか僕の方を向いてきた。
「山田くんどうしたの? 私の顔に何か付いてるかな」
「ううん、べ、別に、なな、何も無い、よ?」
「そっか、なら話すね」
彼女はそう言って僕の方を向き直してきた。
「あの二人はね、私が一年生の時一緒のクラスだった友達なんだ。それでクラスはみんなバラバラだったけどみんな来てくれたの。なんて言うんだろう。ちょっと言うの恥ずかしいけど私の親友みたいなものかな」
僕は彼女の言った ”親友” という言葉が胸に刺さった。親友。僕もこんな人を作らなくちゃと変な使命感に苛まられた。
でも、そうなるにはもっとちゃんと話せなくちゃいけないし、僕も彼女たちに答えてあげないと。これが僕のできる最高の恩返しだしね。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)
職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい
LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。
相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。
何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。
相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。
契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる