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始まり
始まり 3
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翌日。天気は快晴。雲一つない澄んだ青、少し肌寒く感じる風。それらを感じながら僕は千聖と新都駅から上田まで電車に乗っていく。
上田なんて行ったのは、千聖の大学の合格発表を見に行った時くらいしか行ったことがなかったので、内心とても楽しみにしながら電車に乗りこんだ。
上田に着くとゴールデンウィークということもあってか観光客など大量の人で賑わっていた。その後、人の波に飲み込まれそうになりながらも駅を出て、待ち合わせ場所である、上田駅近くの木の下で待つことになった。
予定時間よりも大幅に早く着いてしまったので、木の下にあったベンチに座って時間を潰すことにした。
木の下は駅構内に比べれば人が少ないものの、少し目を離せば迷子になってしまいそうなくらいには人が賑わっていた。
「なあ、千聖。千聖の友達っていつ知り合ったんだ? 住んでる地域も高校も違うらしいのに」
「利英のこと? 利英はね私が昔住んでた、城北の時の友達。だから縁があるんだ」
「そういえば、城北出身だっけ。なら幼馴染みたいなものか」
「そうなるかな」
そう、千聖も僕と一緒の境遇で中学の頃に新都に引っ越してきた身なのだ。そういうこともあって、仲良くなったのだったか。と思い出に耽っていると奥から見知った女の子が現れた。
「やっほー、チーくん」
千聖がチーくんという言葉に、びくっと動いたことにはわざわざツッコミは入れないでおく。
「よう、真央。久しぶり。見ないうちに大人っぽくなったか?」
「そう? ありがとう。それで、横にいる可愛い人は誰? まさか、チーくんの彼女なわけないし、友達の彼女さんかな?」
「んなわけあるかよ。友達の彼女と二人とか気まず過ぎやしないか? てなわけで正真正銘、俺の彼女だよ」
「ええ、嘘でしょ? 見栄はらない方がいいよ。流石に嘘は見苦しいし」
どうにかして認めさせたいのだが、本当に信用してないようで聞く耳を持ってくれそうにない。
元からこういう奴なので仕方ないのだが、やっぱり少し腹が立つというか苛立ちに近い感情を抱いてしまう。
頭の中でどうやって説得しようかと考えていると、千聖が真央に話しかけていた。
「あの、真央さん。初めまして」
「初めまして」
真央はさっきまでの口調とは打って変わり、少し丁寧な口調で話し始め一度お辞儀をした。
少し人見知りなところがあるから、少し落ち着きがないのだが大丈夫だろうか。
「そういえば、大知の幼馴染なんだって大知から聞いたんだけど、写真よりも生で見た方が可愛いね」
「いえいえ、そんなことは無いですよ。それにしても、大知さんと仲良いんですね」
「まあ、一応彼の彼女してますのでね」
千聖の言葉を聞くと、真央はきょとんとした様子で僕の顔と千聖の顔を交互に見る。そして、何かを悟ったのか、何度か僕たちを見た後千聖に焦点を合わせて礼をした。
「すみませんでした」
千聖は少し笑って見せてから、肩をとんとんと数回叩いて顔を上げてと言った。
真央はしゅんとした様子で顔を上げて、僕の方まで近寄ってきた。
「ごめんね。チーくん。信用しなくてさ」
さっきまでの元気よさはどこへ行ったのかと言いたくなるほど、しゅんとしおらしくなっていた。
「そんな、泣きそうな顔で言われたら俺が悪いことしたみたいじゃんか。ハンカチ貸すから、涙拭けよ」
「うん。ごめんね」
そう言って、僕からハンカチを取って目に溜まっていた涙を軽く拭き取って、僕にハンカチを返してきた。
千聖と僕が二人、目を合わせて真央の様子を微笑んでいると、また駅の方から見知った男と小さい女子が仲睦まじそうに話していた。
「よっす、大知。」
「やっほ、優。集合時間ぴったりだな。それで、横の女の子は?」
「あの子は、千聖ちゃんの友達の近石さん。同じ電車で会ったから一緒に来た」
「さすがの行動力だな」
「だろ?」
そして、僕が近石さんの方へ目線を移すと、彼女は千聖に飛びついて喋っていた。
「やっほー、ちひー」
「久しぶり、利英。どう? 元気にしてた? 」
「うん。めっちゃ元気だったよ。それでさ、私ね上田大学合格したんだ。そういえばちひも上田大学だったよね」
「うん。そこの文学部ね」
「私は理III合格したよ」
といった感じに仲良さそうに喋っていたので、少しの間待っていると、近石さんが何かを見つけたかのようにこちらへ向かってきた。
彼女は遠くから見た時よりも小さくみえて、真央よりも身長が小さいんじゃないかと思うほどだった。
「もしもし、えっと、君が千聖の彼氏さん?」
「え、あ、まあ」
近石さんはふむふと僕の体を見回して、ふうと一息をつき、僕に指をさして行った時。
「君、思ってたよりも普通だね。面白くない。千聖の彼氏のくせに」
面白くないとは酷いなと思いつつも、全員が揃ったことを確認してから僕は適当に話をすることにした。
「そういえば、もう全員揃ってるね。ということでまずみんな自己紹介しないかな? ある程度知ってるかもしれないけどさ」
「俺は賛成」
「私も」
と言った感じにみんなが賛成してくれたので、全員の自己紹介が始まった。年齢や出身、などを思い思いに話して、みんなの自己紹介が終わった。
すると優が近くにある、大きい公園施設の上田臨海公園に行きたいと言い出したので、そこへ行くことになった。
上田なんて行ったのは、千聖の大学の合格発表を見に行った時くらいしか行ったことがなかったので、内心とても楽しみにしながら電車に乗りこんだ。
上田に着くとゴールデンウィークということもあってか観光客など大量の人で賑わっていた。その後、人の波に飲み込まれそうになりながらも駅を出て、待ち合わせ場所である、上田駅近くの木の下で待つことになった。
予定時間よりも大幅に早く着いてしまったので、木の下にあったベンチに座って時間を潰すことにした。
木の下は駅構内に比べれば人が少ないものの、少し目を離せば迷子になってしまいそうなくらいには人が賑わっていた。
「なあ、千聖。千聖の友達っていつ知り合ったんだ? 住んでる地域も高校も違うらしいのに」
「利英のこと? 利英はね私が昔住んでた、城北の時の友達。だから縁があるんだ」
「そういえば、城北出身だっけ。なら幼馴染みたいなものか」
「そうなるかな」
そう、千聖も僕と一緒の境遇で中学の頃に新都に引っ越してきた身なのだ。そういうこともあって、仲良くなったのだったか。と思い出に耽っていると奥から見知った女の子が現れた。
「やっほー、チーくん」
千聖がチーくんという言葉に、びくっと動いたことにはわざわざツッコミは入れないでおく。
「よう、真央。久しぶり。見ないうちに大人っぽくなったか?」
「そう? ありがとう。それで、横にいる可愛い人は誰? まさか、チーくんの彼女なわけないし、友達の彼女さんかな?」
「んなわけあるかよ。友達の彼女と二人とか気まず過ぎやしないか? てなわけで正真正銘、俺の彼女だよ」
「ええ、嘘でしょ? 見栄はらない方がいいよ。流石に嘘は見苦しいし」
どうにかして認めさせたいのだが、本当に信用してないようで聞く耳を持ってくれそうにない。
元からこういう奴なので仕方ないのだが、やっぱり少し腹が立つというか苛立ちに近い感情を抱いてしまう。
頭の中でどうやって説得しようかと考えていると、千聖が真央に話しかけていた。
「あの、真央さん。初めまして」
「初めまして」
真央はさっきまでの口調とは打って変わり、少し丁寧な口調で話し始め一度お辞儀をした。
少し人見知りなところがあるから、少し落ち着きがないのだが大丈夫だろうか。
「そういえば、大知の幼馴染なんだって大知から聞いたんだけど、写真よりも生で見た方が可愛いね」
「いえいえ、そんなことは無いですよ。それにしても、大知さんと仲良いんですね」
「まあ、一応彼の彼女してますのでね」
千聖の言葉を聞くと、真央はきょとんとした様子で僕の顔と千聖の顔を交互に見る。そして、何かを悟ったのか、何度か僕たちを見た後千聖に焦点を合わせて礼をした。
「すみませんでした」
千聖は少し笑って見せてから、肩をとんとんと数回叩いて顔を上げてと言った。
真央はしゅんとした様子で顔を上げて、僕の方まで近寄ってきた。
「ごめんね。チーくん。信用しなくてさ」
さっきまでの元気よさはどこへ行ったのかと言いたくなるほど、しゅんとしおらしくなっていた。
「そんな、泣きそうな顔で言われたら俺が悪いことしたみたいじゃんか。ハンカチ貸すから、涙拭けよ」
「うん。ごめんね」
そう言って、僕からハンカチを取って目に溜まっていた涙を軽く拭き取って、僕にハンカチを返してきた。
千聖と僕が二人、目を合わせて真央の様子を微笑んでいると、また駅の方から見知った男と小さい女子が仲睦まじそうに話していた。
「よっす、大知。」
「やっほ、優。集合時間ぴったりだな。それで、横の女の子は?」
「あの子は、千聖ちゃんの友達の近石さん。同じ電車で会ったから一緒に来た」
「さすがの行動力だな」
「だろ?」
そして、僕が近石さんの方へ目線を移すと、彼女は千聖に飛びついて喋っていた。
「やっほー、ちひー」
「久しぶり、利英。どう? 元気にしてた? 」
「うん。めっちゃ元気だったよ。それでさ、私ね上田大学合格したんだ。そういえばちひも上田大学だったよね」
「うん。そこの文学部ね」
「私は理III合格したよ」
といった感じに仲良さそうに喋っていたので、少しの間待っていると、近石さんが何かを見つけたかのようにこちらへ向かってきた。
彼女は遠くから見た時よりも小さくみえて、真央よりも身長が小さいんじゃないかと思うほどだった。
「もしもし、えっと、君が千聖の彼氏さん?」
「え、あ、まあ」
近石さんはふむふと僕の体を見回して、ふうと一息をつき、僕に指をさして行った時。
「君、思ってたよりも普通だね。面白くない。千聖の彼氏のくせに」
面白くないとは酷いなと思いつつも、全員が揃ったことを確認してから僕は適当に話をすることにした。
「そういえば、もう全員揃ってるね。ということでまずみんな自己紹介しないかな? ある程度知ってるかもしれないけどさ」
「俺は賛成」
「私も」
と言った感じにみんなが賛成してくれたので、全員の自己紹介が始まった。年齢や出身、などを思い思いに話して、みんなの自己紹介が終わった。
すると優が近くにある、大きい公園施設の上田臨海公園に行きたいと言い出したので、そこへ行くことになった。
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