1 / 1
最強魔王の唯一の弱点
しおりを挟む
魔王城の朝は、だいたい静かだ。
……私が叱られるまでは。
「リリィ」
低くて、よく通る声。
振り返ると、そこには黒衣をまとった魔王さまが立っていた。玉座に座れば世界を震わせる存在なのに、今は眉をひそめて私を見ている。
「また一人で倉庫に行ったな」
「え、あ、はい……でも掃除だけですし」
「危険だと言っているだろう」
はぁ、と深いため息。
その仕草ひとつで、配下の悪魔たちは震え上がる。……けれど。
「怪我は?」
「してません!」
「本当に?」
私の手を取って、くるりと裏返す。
指先までじっと確認してから、ようやく安心したように表情を緩めた。
「……ならいい」
――これが、最強魔王さまの“私限定モード”。
他人には冷酷無比、敵には情け容赦なし。
なのに私にだけ、異常なほど甘い。
「リリィ」
「はい」
「今日はこのあと何もするな。仕事は他に回す」
「ええ!?」
「昨日、夜更かししていただろう」
ばれてる。
何も言えずにいると、魔王さまは私の頭にそっと手を置いた。
「お前は、私が守る。世界よりも優先だ」
さらっと、とんでもないことを言う。
顔が熱くなって、思わずうつむいた。
「……魔王さま、それは言いすぎです」
「言いすぎではない」
即答だった。
「私は最強だ。だから選べる。
――お前一人を、特別にすることくらい」
その声音は、優しくて、揺るがない。
今日も世界は平和で、
魔王さまは、私にだけ激甘だ。
その日の午後。
私は「何もするな」という魔王さまの命令に従い、魔王城の中庭でぼんやりしていた。
「本当に休んでていいのかな……」
「いい」
即答が、背後から降ってくる。
振り向くと、いつの間にか魔王さまが立っていた。手には、見慣れない小さな皿。
「それは……?」
「菓子だ」
「え?」
「人間の街で流行っていると聞いた。甘いらしい」
そう言って差し出されたのは、可愛らしい焼き菓子。
……魔王城で、魔王さまから、おやつを渡される人生って何。
「毒味は済ませた」
「そこまで!?」
「当然だろう。お前に何かあったら困る」
私が一口かじるのを、魔王さまはじっと見ている。
「……どうだ」
「おいしい、です」
そう答えた瞬間、ほっとしたように肩の力が抜けた。
「そうか」
それだけで満足そうなの、ずるい。
「魔王さま」
「なんだ」
「どうして、私にだけ……そんなに優しいんですか」
前から、聞いてみたかった。
沈黙が落ちる。少しだけ、空気が変わった。
「……覚えていないか」
「え?」
「昔、瀕死だった私に水を与えた人間の少女がいた」
胸が、どくんと鳴る。
「名も告げず、恐れもせず、ただ『生きて』と言った」
魔王さまの赤い瞳が、私を捉える。
「それがお前だ」
言葉が、出なかった。
「だから私は決めた。
世界が敵に回っても、お前だけは守ると」
そっと、私の手を包む。
温かくて、強い手。
「……リリィ」
「は、はい」
「逃げるな。
私のそばにいろ」
心臓がうるさくて、返事ができない。
それでも、握られた手を離すことはできなかった。
最強魔王さまは、今日も。
明日もきっと――私にだけ、激甘だ。
翌日。
魔王城の会議室は、いつになく静まり返っていた。
「では、次の議題に――」
幹部悪魔の言葉が途中で止まる。
理由は簡単だ。
玉座に座る魔王さまの隣に、私が立っているから。
「……魔王さま」
「なんだ」
「なぜ、その者がそこに?」
ぴしり、と空気が凍る。
私の足がすくみかけた、その瞬間。
「リリィが立つ場所だからだ」
即答。
「……は?」
「椅子を用意しろ。長時間立たせるな」
「か、かしこまりました!」
悪魔たちが慌てて椅子を運んでくる。
え、え、会議中ですよね!?
「魔王さま、私は別に……」
「だめだ」
低い声。反論不可のやつ。
「昨日、疲れていた。今日は座れ」
そう言って、私の肩にマントをかけてくる。
……これ、魔王さまの私物では?
会議室が、ざわっとした。
「ま、魔王さま……そのマントは」
「寒いだろう」
「い、いえ、今は夏ですが……」
「気温の問題ではない」
きっぱり。
私はもう、何も言えなかった。
顔が熱い。たぶん真っ赤。
会議が終わる頃には、
城中に噂が広まっていたらしい。
「魔王さまに唯一近づける人間」
「魔王の逆鱗兼、最重要保護対象」
「下手に触ると消される存在」
最後のはちょっと怖い。
その日の夜。
城の廊下で魔王さまに呼び止められた。
「リリィ」
「はい」
「……今日は、嫌ではなかったか」
珍しく、少しだけ不安そうな声。
「いえ……びっくりはしましたけど」
正直に答えると、彼は小さく息を吐いた。
「ならいい」
そして、私の頭にそっと手を置く。
「少しずつでいい。
お前が慣れるまで、私は待つ」
その言葉が、胸にじんわり広がる。
最強で、孤独だった魔王さまは。
今日も、私の歩幅に合わせてくれる。
――その優しさが、
いつか「好き」という言葉になる気がして。
それから数日。
魔王城は、表向きはいつも通りだった。
魔王さまは変わらず最強で、冷酷で、絶対的な支配者。
――私以外に対しては。
「リリィ、今日は外に出る」
「外、ですか?」
「城下までだ。視察……という名目にしておけ」
名目、って。
つまり私と出かけたいだけですよね。
人間の街に近い城下町は、思ったより穏やかだった。
魔王さまは角も威圧感も隠していて、ただ背の高い、無口な男性に見える。
「人、多いですね」
「離れるな」
手首を、きゅっと掴まれる。
握るというより、守るための力。
「魔王さま、近いです……」
「問題ない」
全然、引く気がない。
市場を歩きながら、果物を見て、雑貨を見て。
魔王さまはほとんど喋らないのに、私の反応だけは逃さない。
「それ、欲しいのか」
「え? いえ、別に……」
「そうか」
――十分後、同じものを渡される。
「なぜ買ったんですか!」
「欲しそうだった」
それだけ。
夕暮れ時。
城に戻る前、少し高台で立ち止まった。
「リリィ」
「はい」
魔王さまは、遠くを見るようにして言った。
「私は、お前に選択を与えていなかった」
胸が、静かに緊張する。
「そばにいろ、と命令した。
守ると、決めつけた」
ゆっくり、こちらを向く。
「だが――それでも、私は」
赤い瞳が、揺れる。
「お前を、失いたくない」
初めてだった。
魔王さまが、弱さを見せたのは。
「命令ではなく、願いとして言う」
一歩、近づく。
「私のそばにいてくれないか」
世界を支配する者の言葉とは思えないほど、静かで、真剣で。
私は、少しだけ考えてから、答えた。
「……最初から、離れる気なんてありませんでした」
魔王さまの目が、見開かれる。
次の瞬間、そっと――本当にそっと、抱き寄せられた。
「……ありがとう」
その声は、誰にも聞かせないほど優しい。
最強魔王さまは。
この日、世界より大切なものを手に入れた。
そして私は――
その腕の中が、一番安全だと知ってしまった。
翌朝。
魔王城は、静かだった。
――嵐の前の、というやつだ。
「魔王さま、おはようございます」
「ああ。よく眠れたか」
「はい……少し、どきどきしてましたけど」
「それは良くないな」
そう言って、何のためらいもなく私の額に手を当ててくる。
「熱はない。問題ない」
「診察みたいに言わないでください……!」
私が顔を赤くしていると、背後から盛大な咳払いが聞こえた。
「し、失礼いたします、魔王さま」
振り返ると、幹部悪魔たちがずらりと並んでいる。
全員、目が死んでいた。
「……報告があるのですが」
「簡潔に言え」
「昨夜から城中で噂が――」
「事実だ」
即答。
「私とリリィは、共に在る」
空気が、止まった。
「こ、共に……在る、とは……?」
「番ではないのですか!?」
「婚約ですか!?」
「人間ですよ!?」
質問が一斉に飛ぶ。
私は思わず魔王さまの袖を掴んだ。
「魔王さま、皆さん困ってます……」
「そうか」
そう言いながら、私の手を自然に握り返す。
「安心しろ。彼女は私の意志で守る。
異論は認めない」
幹部たちが、がくっと膝をついた。
「……最終決定が早すぎます……」
「昨日決めた」
「昨日!?」
「それ以上前から決まっていた」
それを聞いて、今度は私が固まった。
「え?」
魔王さまは、少しだけ視線を逸らす。
「……自覚したのが、昨日なだけだ」
ずるい。
そんな言い方。
その日から、城の扱いが変わった。
私の部屋は魔王さまの私室の隣になり、
食事は必ず同席、
移動は「危険だから」という理由で常に隣。
「これ、もう正式に……」
「何か問題があるか」
「いえ、ないですけど……」
魔王さまは満足そうに頷く。
「ならいい」
世界最強の魔王は、
恋をしてからというもの、さらに手強くなった。
――なぜなら。
「リリィ、寒くないか」
「歩き疲れていないか」
「無理はするな」
「可愛い」
最後の一言で、私は毎回動けなくなるのだから。
今日も魔王城は平和だ。
甘さ過多で。
その日。
魔王城・大広間。
幹部、将軍、側近、重臣。
ありとあらゆる魔族が集められていた。
嫌な予感しかしない。
「……魔王さま、これは?」
「報告だ」
玉座に腰掛けた魔王さまは、いつも通り落ち着いている。
私の手を、しっかり握ったまま。
「皆に伝えておくことがある」
ざわ、と空気が揺れた。
「リリィは、私の伴侶となる」
――一瞬の静寂。
次の瞬間。
「は?????」
「伴侶ぉ!?」
「正式に!?」
「人間ですよ!?」
「でも納得です!!」
最後の声、誰。
私は完全に固まっていた。
「ま、魔王さま……!?」
「言っていなかったか」
「聞いてません!」
「そうか」
少しだけ申し訳なさそうな顔をしてから、魔王さまは続けた。
「異論は受け付けない」
いつもの、絶対的な宣言。
「彼女は弱い。だからこそ、私が守る。
彼女は優しい。だからこそ、世界に必要だ」
まっすぐな視線が、私に向く。
「そして――私には、彼女しかいない」
胸が、ぎゅっと締め付けられる。
「以上だ」
「以上!?」
「説明終わりですか!?」
「決定事項だ」
大広間が、阿鼻叫喚。
その騒ぎの中、魔王さまは私にだけ小さく囁いた。
「怖かったか」
「……びっくりはしました」
「すまない」
そう言いながら、私の手を指ごと絡めてくる。
「だが後悔はしていない」
「……私も、です」
その言葉を聞いた瞬間、
魔王さまの表情が、誰にも見せないほど柔らかくなった。
その夜。
私の部屋――のはずが、なぜか魔王さまもいる。
「見回りだ」
「毎日来てません?」
「危険だからな」
「ここ、魔王城の最奥ですけど……」
「それでもだ」
ベッドの端に腰掛けた魔王さまは、少し考えてから言った。
「婚約したからといって、急ぐつもりはない」
赤い瞳が、真剣に私を見る。
「お前の時間も、気持ちも、尊重する」
……そんなところまで完璧なの、反則だ。
「でも」
一拍置いて。
「手を繋ぐくらいは、許可してほしい」
私は、そっと手を差し出した。
「……それくらいなら」
指が絡む。
「よし」
満足そうな声。
最強魔王さまは、
世界を支配しても、
恋だけは慎重で、激甘だった。
結婚式当日。
魔王城は、かつてないほど厳戒態勢だった。
空には結界、地には魔法陣。
もし何かあれば、世界が一つ終わる――くらいの警戒。
「……そこまで必要ですか?」
「必要だ」
即答。
私は白を基調にした魔界式の衣装を着せられ、玉座の間の奥で待っていた。
扉の向こうには、魔族の重臣たち、将軍たち、そして――魔王さま。
「緊張しているか」
声だけが聞こえる。
「少し……」
「なら、私の声だけを聞け」
扉越しなのに、不思議と落ち着く。
やがて、重厚な扉が開いた。
視線が、一斉に集まる。
怖いはずなのに、前に立つ魔王さまを見た瞬間、全部どうでもよくなった。
「来たか」
そう言って、当然のように手を差し出してくる。
私はその手を取った。
儀式は簡素だった。
誓いの言葉も、派手な魔法もない。
「この者を、生涯守ることを誓うか」
「誓う」
一切の迷いなし。
「この者の意志を尊重し、共に歩むことを誓うか」
「誓う」
――そして、私の番。
「……誓えますか」
問いかけは、優しかった。
「はい」
ちゃんと、自分の声で言えた。
その瞬間、魔王城全体が、静かに光に包まれた。
祝福の魔法らしい。
「……成功、ですね」
「ああ」
魔王さまは、ほっとしたように息を吐いた。
儀式が終わったあと、
私は控室で一息ついていた。
「疲れたか」
「少しだけ」
「無理をさせた」
そう言って、私の肩にマントをかける。
「でも」
視線が、まっすぐ向けられる。
「これからは、私の隣が定位置だ」
「……逃げられませんね」
「逃がさない」
低く、でも冗談めかした声。
そして、誰もいないのを確認してから、
そっと額に触れるだけの口づけ。
「お前は、私の最愛だ」
世界最強の魔王は、
今日、正式に“夫”になった。
――そして私は知っている。
これから始まる日常は、
たぶん戦争よりも、甘くて手強い。
新婚初日。
――とはいえ、世界を支配する魔王城の日常が、急に変わるわけもなく。
私はいつも通り、朝の光で目を覚ました。
「……あれ?」
見慣れない天井。
豪華だけど、落ち着く色合いの寝室。
そうだ。
ここ、**魔王さまの私室の隣**じゃなくて、
**同じ部屋**だった。
「起きたか」
低い声に、びくっとする。
魔王さまは既に起きていて、窓辺で書類を確認していた。
――なのに。
「寝顔を確認してから、仕事を始めた」
「確認……?」
「呼吸、体温、表情」
「それ監視では……」
「安全確認だ」
きっぱり。
「体調はどうだ」
「大丈夫です」
「本当に?」
また来た。
私はため息混じりに笑う。
「大丈夫ですってば」
そう言うと、魔王さまは少しだけ安心したように頷いた。
「朝食を用意させた」
「え、もう?」
「栄養バランスは完璧だ」
――案の定、食堂には見たことのない量の料理が並んでいた。
「多くないですか!?」
「足りないよりはいい」
「いや多すぎです!」
私が半分も食べられずにいると、
魔王さまは自然な動作で皿を引き寄せた。
「無理に食べなくていい」
「え?」
「残りは私が食べる」
「ま、魔王さまが!?」
「問題ない」
本当に問題なさそうなのが、問題。
その後も――
「城内の移動は私が同行する」
「階段は危険だ」
「書類に紙で指を切る可能性がある」
「今日は外出禁止だ」
「過保護が過ぎません!?」
思わず言うと、魔王さまは少し考え込んだ。
「……そうか?」
「そうです!」
しばらく沈黙。
やがて、静かに言われた。
「守ることに慣れすぎている」
その声は、少しだけ不器用だった。
「だが……やめろと言われたら、努力はする」
努力、という言葉が可笑しくて、
私は思わず笑ってしまった。
「全部やめなくていいです」
「……?」
「ちゃんと隣にいてくれれば、それで」
魔王さまの目が、わずかに見開かれる。
「離れないのか」
「離れません」
そう答えると、
彼はほんの一瞬、照れたように視線を逸らした。
「……なら、いい」
その手が、そっと私の手を包む。
新婚初日。
世界最強の魔王は、
相変わらず不器用で、相変わらず激甘だった。
そして私は、
この日常がずっと続けばいいと――
本気で思ってしまった。
続けるね🍯
**配下たちの悲鳴+最後は静かな余韻で締める回**にするよ。
---
数日後。
魔王城・会議室。
「……魔王さま」
「なんだ」
「その、結界を解除していただけませんでしょうか」
幹部悪魔が、青白い顔で訴える。
「解除する理由がない」
「あります! ありますとも!」
別の悪魔が叫んだ。
「現在、会議室・執務室・回廊の一部が
《魔王夫妻専用・外部干渉完全遮断結界》に覆われております!」
「危険だからな」
「危険なのは我々の業務です!」
私は思わず口を挟んだ。
「魔王さま、私そんなに危なっかしいですか……?」
すると魔王さまは、少し困ったように眉を寄せる。
「自覚がないのが、一番危険だ」
ひどい。
「だが」
そう前置きして、私の方を見る。
「お前が不便なら、範囲は調整しよう」
配下たちが、ぱっと顔を上げた。
「ほ、本当ですか!?」
「リリィが望めば、だ」
一斉に、こちらを見る視線。
「……ええと」
私は少し考えてから、答えた。
「会議室だけ、解除で」
歓声が上がった。
「ありがとうございます!!」
「救われました!!」
「魔王城が正常に戻る……!」
その様子を見て、魔王さまは小さく息を吐く。
「……甘すぎただろうか」
「自覚はあったんですね」
「ある」
そして、誰にも聞こえないくらいの声で。
「だが、後悔はしていない」
その日の夜。
城の最上階、静かなバルコニー。
私は魔王さまの隣で、夜空を見上げていた。
「世界、平和ですね」
「ああ」
「昔は、こんなふうに並んで立つ未来、想像できましたか?」
少し考えてから、答えが返ってくる。
「できなかった」
正直な声。
「私は、支配することしか知らなかった」
そして、私を見る。
「だが今は違う」
手を取られる。
「守りたいものがある」
その言葉は、静かで、強かった。
「……私もです」
短く答えると、
魔王さまはほんの少しだけ、微笑んだ。
最強魔王さまは、
今日も世界に君臨している。
けれどその心は、
たった一人の妻にだけ――
永遠に、激甘だった。
お・わ・り
……私が叱られるまでは。
「リリィ」
低くて、よく通る声。
振り返ると、そこには黒衣をまとった魔王さまが立っていた。玉座に座れば世界を震わせる存在なのに、今は眉をひそめて私を見ている。
「また一人で倉庫に行ったな」
「え、あ、はい……でも掃除だけですし」
「危険だと言っているだろう」
はぁ、と深いため息。
その仕草ひとつで、配下の悪魔たちは震え上がる。……けれど。
「怪我は?」
「してません!」
「本当に?」
私の手を取って、くるりと裏返す。
指先までじっと確認してから、ようやく安心したように表情を緩めた。
「……ならいい」
――これが、最強魔王さまの“私限定モード”。
他人には冷酷無比、敵には情け容赦なし。
なのに私にだけ、異常なほど甘い。
「リリィ」
「はい」
「今日はこのあと何もするな。仕事は他に回す」
「ええ!?」
「昨日、夜更かししていただろう」
ばれてる。
何も言えずにいると、魔王さまは私の頭にそっと手を置いた。
「お前は、私が守る。世界よりも優先だ」
さらっと、とんでもないことを言う。
顔が熱くなって、思わずうつむいた。
「……魔王さま、それは言いすぎです」
「言いすぎではない」
即答だった。
「私は最強だ。だから選べる。
――お前一人を、特別にすることくらい」
その声音は、優しくて、揺るがない。
今日も世界は平和で、
魔王さまは、私にだけ激甘だ。
その日の午後。
私は「何もするな」という魔王さまの命令に従い、魔王城の中庭でぼんやりしていた。
「本当に休んでていいのかな……」
「いい」
即答が、背後から降ってくる。
振り向くと、いつの間にか魔王さまが立っていた。手には、見慣れない小さな皿。
「それは……?」
「菓子だ」
「え?」
「人間の街で流行っていると聞いた。甘いらしい」
そう言って差し出されたのは、可愛らしい焼き菓子。
……魔王城で、魔王さまから、おやつを渡される人生って何。
「毒味は済ませた」
「そこまで!?」
「当然だろう。お前に何かあったら困る」
私が一口かじるのを、魔王さまはじっと見ている。
「……どうだ」
「おいしい、です」
そう答えた瞬間、ほっとしたように肩の力が抜けた。
「そうか」
それだけで満足そうなの、ずるい。
「魔王さま」
「なんだ」
「どうして、私にだけ……そんなに優しいんですか」
前から、聞いてみたかった。
沈黙が落ちる。少しだけ、空気が変わった。
「……覚えていないか」
「え?」
「昔、瀕死だった私に水を与えた人間の少女がいた」
胸が、どくんと鳴る。
「名も告げず、恐れもせず、ただ『生きて』と言った」
魔王さまの赤い瞳が、私を捉える。
「それがお前だ」
言葉が、出なかった。
「だから私は決めた。
世界が敵に回っても、お前だけは守ると」
そっと、私の手を包む。
温かくて、強い手。
「……リリィ」
「は、はい」
「逃げるな。
私のそばにいろ」
心臓がうるさくて、返事ができない。
それでも、握られた手を離すことはできなかった。
最強魔王さまは、今日も。
明日もきっと――私にだけ、激甘だ。
翌日。
魔王城の会議室は、いつになく静まり返っていた。
「では、次の議題に――」
幹部悪魔の言葉が途中で止まる。
理由は簡単だ。
玉座に座る魔王さまの隣に、私が立っているから。
「……魔王さま」
「なんだ」
「なぜ、その者がそこに?」
ぴしり、と空気が凍る。
私の足がすくみかけた、その瞬間。
「リリィが立つ場所だからだ」
即答。
「……は?」
「椅子を用意しろ。長時間立たせるな」
「か、かしこまりました!」
悪魔たちが慌てて椅子を運んでくる。
え、え、会議中ですよね!?
「魔王さま、私は別に……」
「だめだ」
低い声。反論不可のやつ。
「昨日、疲れていた。今日は座れ」
そう言って、私の肩にマントをかけてくる。
……これ、魔王さまの私物では?
会議室が、ざわっとした。
「ま、魔王さま……そのマントは」
「寒いだろう」
「い、いえ、今は夏ですが……」
「気温の問題ではない」
きっぱり。
私はもう、何も言えなかった。
顔が熱い。たぶん真っ赤。
会議が終わる頃には、
城中に噂が広まっていたらしい。
「魔王さまに唯一近づける人間」
「魔王の逆鱗兼、最重要保護対象」
「下手に触ると消される存在」
最後のはちょっと怖い。
その日の夜。
城の廊下で魔王さまに呼び止められた。
「リリィ」
「はい」
「……今日は、嫌ではなかったか」
珍しく、少しだけ不安そうな声。
「いえ……びっくりはしましたけど」
正直に答えると、彼は小さく息を吐いた。
「ならいい」
そして、私の頭にそっと手を置く。
「少しずつでいい。
お前が慣れるまで、私は待つ」
その言葉が、胸にじんわり広がる。
最強で、孤独だった魔王さまは。
今日も、私の歩幅に合わせてくれる。
――その優しさが、
いつか「好き」という言葉になる気がして。
それから数日。
魔王城は、表向きはいつも通りだった。
魔王さまは変わらず最強で、冷酷で、絶対的な支配者。
――私以外に対しては。
「リリィ、今日は外に出る」
「外、ですか?」
「城下までだ。視察……という名目にしておけ」
名目、って。
つまり私と出かけたいだけですよね。
人間の街に近い城下町は、思ったより穏やかだった。
魔王さまは角も威圧感も隠していて、ただ背の高い、無口な男性に見える。
「人、多いですね」
「離れるな」
手首を、きゅっと掴まれる。
握るというより、守るための力。
「魔王さま、近いです……」
「問題ない」
全然、引く気がない。
市場を歩きながら、果物を見て、雑貨を見て。
魔王さまはほとんど喋らないのに、私の反応だけは逃さない。
「それ、欲しいのか」
「え? いえ、別に……」
「そうか」
――十分後、同じものを渡される。
「なぜ買ったんですか!」
「欲しそうだった」
それだけ。
夕暮れ時。
城に戻る前、少し高台で立ち止まった。
「リリィ」
「はい」
魔王さまは、遠くを見るようにして言った。
「私は、お前に選択を与えていなかった」
胸が、静かに緊張する。
「そばにいろ、と命令した。
守ると、決めつけた」
ゆっくり、こちらを向く。
「だが――それでも、私は」
赤い瞳が、揺れる。
「お前を、失いたくない」
初めてだった。
魔王さまが、弱さを見せたのは。
「命令ではなく、願いとして言う」
一歩、近づく。
「私のそばにいてくれないか」
世界を支配する者の言葉とは思えないほど、静かで、真剣で。
私は、少しだけ考えてから、答えた。
「……最初から、離れる気なんてありませんでした」
魔王さまの目が、見開かれる。
次の瞬間、そっと――本当にそっと、抱き寄せられた。
「……ありがとう」
その声は、誰にも聞かせないほど優しい。
最強魔王さまは。
この日、世界より大切なものを手に入れた。
そして私は――
その腕の中が、一番安全だと知ってしまった。
翌朝。
魔王城は、静かだった。
――嵐の前の、というやつだ。
「魔王さま、おはようございます」
「ああ。よく眠れたか」
「はい……少し、どきどきしてましたけど」
「それは良くないな」
そう言って、何のためらいもなく私の額に手を当ててくる。
「熱はない。問題ない」
「診察みたいに言わないでください……!」
私が顔を赤くしていると、背後から盛大な咳払いが聞こえた。
「し、失礼いたします、魔王さま」
振り返ると、幹部悪魔たちがずらりと並んでいる。
全員、目が死んでいた。
「……報告があるのですが」
「簡潔に言え」
「昨夜から城中で噂が――」
「事実だ」
即答。
「私とリリィは、共に在る」
空気が、止まった。
「こ、共に……在る、とは……?」
「番ではないのですか!?」
「婚約ですか!?」
「人間ですよ!?」
質問が一斉に飛ぶ。
私は思わず魔王さまの袖を掴んだ。
「魔王さま、皆さん困ってます……」
「そうか」
そう言いながら、私の手を自然に握り返す。
「安心しろ。彼女は私の意志で守る。
異論は認めない」
幹部たちが、がくっと膝をついた。
「……最終決定が早すぎます……」
「昨日決めた」
「昨日!?」
「それ以上前から決まっていた」
それを聞いて、今度は私が固まった。
「え?」
魔王さまは、少しだけ視線を逸らす。
「……自覚したのが、昨日なだけだ」
ずるい。
そんな言い方。
その日から、城の扱いが変わった。
私の部屋は魔王さまの私室の隣になり、
食事は必ず同席、
移動は「危険だから」という理由で常に隣。
「これ、もう正式に……」
「何か問題があるか」
「いえ、ないですけど……」
魔王さまは満足そうに頷く。
「ならいい」
世界最強の魔王は、
恋をしてからというもの、さらに手強くなった。
――なぜなら。
「リリィ、寒くないか」
「歩き疲れていないか」
「無理はするな」
「可愛い」
最後の一言で、私は毎回動けなくなるのだから。
今日も魔王城は平和だ。
甘さ過多で。
その日。
魔王城・大広間。
幹部、将軍、側近、重臣。
ありとあらゆる魔族が集められていた。
嫌な予感しかしない。
「……魔王さま、これは?」
「報告だ」
玉座に腰掛けた魔王さまは、いつも通り落ち着いている。
私の手を、しっかり握ったまま。
「皆に伝えておくことがある」
ざわ、と空気が揺れた。
「リリィは、私の伴侶となる」
――一瞬の静寂。
次の瞬間。
「は?????」
「伴侶ぉ!?」
「正式に!?」
「人間ですよ!?」
「でも納得です!!」
最後の声、誰。
私は完全に固まっていた。
「ま、魔王さま……!?」
「言っていなかったか」
「聞いてません!」
「そうか」
少しだけ申し訳なさそうな顔をしてから、魔王さまは続けた。
「異論は受け付けない」
いつもの、絶対的な宣言。
「彼女は弱い。だからこそ、私が守る。
彼女は優しい。だからこそ、世界に必要だ」
まっすぐな視線が、私に向く。
「そして――私には、彼女しかいない」
胸が、ぎゅっと締め付けられる。
「以上だ」
「以上!?」
「説明終わりですか!?」
「決定事項だ」
大広間が、阿鼻叫喚。
その騒ぎの中、魔王さまは私にだけ小さく囁いた。
「怖かったか」
「……びっくりはしました」
「すまない」
そう言いながら、私の手を指ごと絡めてくる。
「だが後悔はしていない」
「……私も、です」
その言葉を聞いた瞬間、
魔王さまの表情が、誰にも見せないほど柔らかくなった。
その夜。
私の部屋――のはずが、なぜか魔王さまもいる。
「見回りだ」
「毎日来てません?」
「危険だからな」
「ここ、魔王城の最奥ですけど……」
「それでもだ」
ベッドの端に腰掛けた魔王さまは、少し考えてから言った。
「婚約したからといって、急ぐつもりはない」
赤い瞳が、真剣に私を見る。
「お前の時間も、気持ちも、尊重する」
……そんなところまで完璧なの、反則だ。
「でも」
一拍置いて。
「手を繋ぐくらいは、許可してほしい」
私は、そっと手を差し出した。
「……それくらいなら」
指が絡む。
「よし」
満足そうな声。
最強魔王さまは、
世界を支配しても、
恋だけは慎重で、激甘だった。
結婚式当日。
魔王城は、かつてないほど厳戒態勢だった。
空には結界、地には魔法陣。
もし何かあれば、世界が一つ終わる――くらいの警戒。
「……そこまで必要ですか?」
「必要だ」
即答。
私は白を基調にした魔界式の衣装を着せられ、玉座の間の奥で待っていた。
扉の向こうには、魔族の重臣たち、将軍たち、そして――魔王さま。
「緊張しているか」
声だけが聞こえる。
「少し……」
「なら、私の声だけを聞け」
扉越しなのに、不思議と落ち着く。
やがて、重厚な扉が開いた。
視線が、一斉に集まる。
怖いはずなのに、前に立つ魔王さまを見た瞬間、全部どうでもよくなった。
「来たか」
そう言って、当然のように手を差し出してくる。
私はその手を取った。
儀式は簡素だった。
誓いの言葉も、派手な魔法もない。
「この者を、生涯守ることを誓うか」
「誓う」
一切の迷いなし。
「この者の意志を尊重し、共に歩むことを誓うか」
「誓う」
――そして、私の番。
「……誓えますか」
問いかけは、優しかった。
「はい」
ちゃんと、自分の声で言えた。
その瞬間、魔王城全体が、静かに光に包まれた。
祝福の魔法らしい。
「……成功、ですね」
「ああ」
魔王さまは、ほっとしたように息を吐いた。
儀式が終わったあと、
私は控室で一息ついていた。
「疲れたか」
「少しだけ」
「無理をさせた」
そう言って、私の肩にマントをかける。
「でも」
視線が、まっすぐ向けられる。
「これからは、私の隣が定位置だ」
「……逃げられませんね」
「逃がさない」
低く、でも冗談めかした声。
そして、誰もいないのを確認してから、
そっと額に触れるだけの口づけ。
「お前は、私の最愛だ」
世界最強の魔王は、
今日、正式に“夫”になった。
――そして私は知っている。
これから始まる日常は、
たぶん戦争よりも、甘くて手強い。
新婚初日。
――とはいえ、世界を支配する魔王城の日常が、急に変わるわけもなく。
私はいつも通り、朝の光で目を覚ました。
「……あれ?」
見慣れない天井。
豪華だけど、落ち着く色合いの寝室。
そうだ。
ここ、**魔王さまの私室の隣**じゃなくて、
**同じ部屋**だった。
「起きたか」
低い声に、びくっとする。
魔王さまは既に起きていて、窓辺で書類を確認していた。
――なのに。
「寝顔を確認してから、仕事を始めた」
「確認……?」
「呼吸、体温、表情」
「それ監視では……」
「安全確認だ」
きっぱり。
「体調はどうだ」
「大丈夫です」
「本当に?」
また来た。
私はため息混じりに笑う。
「大丈夫ですってば」
そう言うと、魔王さまは少しだけ安心したように頷いた。
「朝食を用意させた」
「え、もう?」
「栄養バランスは完璧だ」
――案の定、食堂には見たことのない量の料理が並んでいた。
「多くないですか!?」
「足りないよりはいい」
「いや多すぎです!」
私が半分も食べられずにいると、
魔王さまは自然な動作で皿を引き寄せた。
「無理に食べなくていい」
「え?」
「残りは私が食べる」
「ま、魔王さまが!?」
「問題ない」
本当に問題なさそうなのが、問題。
その後も――
「城内の移動は私が同行する」
「階段は危険だ」
「書類に紙で指を切る可能性がある」
「今日は外出禁止だ」
「過保護が過ぎません!?」
思わず言うと、魔王さまは少し考え込んだ。
「……そうか?」
「そうです!」
しばらく沈黙。
やがて、静かに言われた。
「守ることに慣れすぎている」
その声は、少しだけ不器用だった。
「だが……やめろと言われたら、努力はする」
努力、という言葉が可笑しくて、
私は思わず笑ってしまった。
「全部やめなくていいです」
「……?」
「ちゃんと隣にいてくれれば、それで」
魔王さまの目が、わずかに見開かれる。
「離れないのか」
「離れません」
そう答えると、
彼はほんの一瞬、照れたように視線を逸らした。
「……なら、いい」
その手が、そっと私の手を包む。
新婚初日。
世界最強の魔王は、
相変わらず不器用で、相変わらず激甘だった。
そして私は、
この日常がずっと続けばいいと――
本気で思ってしまった。
続けるね🍯
**配下たちの悲鳴+最後は静かな余韻で締める回**にするよ。
---
数日後。
魔王城・会議室。
「……魔王さま」
「なんだ」
「その、結界を解除していただけませんでしょうか」
幹部悪魔が、青白い顔で訴える。
「解除する理由がない」
「あります! ありますとも!」
別の悪魔が叫んだ。
「現在、会議室・執務室・回廊の一部が
《魔王夫妻専用・外部干渉完全遮断結界》に覆われております!」
「危険だからな」
「危険なのは我々の業務です!」
私は思わず口を挟んだ。
「魔王さま、私そんなに危なっかしいですか……?」
すると魔王さまは、少し困ったように眉を寄せる。
「自覚がないのが、一番危険だ」
ひどい。
「だが」
そう前置きして、私の方を見る。
「お前が不便なら、範囲は調整しよう」
配下たちが、ぱっと顔を上げた。
「ほ、本当ですか!?」
「リリィが望めば、だ」
一斉に、こちらを見る視線。
「……ええと」
私は少し考えてから、答えた。
「会議室だけ、解除で」
歓声が上がった。
「ありがとうございます!!」
「救われました!!」
「魔王城が正常に戻る……!」
その様子を見て、魔王さまは小さく息を吐く。
「……甘すぎただろうか」
「自覚はあったんですね」
「ある」
そして、誰にも聞こえないくらいの声で。
「だが、後悔はしていない」
その日の夜。
城の最上階、静かなバルコニー。
私は魔王さまの隣で、夜空を見上げていた。
「世界、平和ですね」
「ああ」
「昔は、こんなふうに並んで立つ未来、想像できましたか?」
少し考えてから、答えが返ってくる。
「できなかった」
正直な声。
「私は、支配することしか知らなかった」
そして、私を見る。
「だが今は違う」
手を取られる。
「守りたいものがある」
その言葉は、静かで、強かった。
「……私もです」
短く答えると、
魔王さまはほんの少しだけ、微笑んだ。
最強魔王さまは、
今日も世界に君臨している。
けれどその心は、
たった一人の妻にだけ――
永遠に、激甘だった。
お・わ・り
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
勇者さまは今日も私にだけ優しい
ハネマルン
ファンタジー
世界を救うために選ばれた勇者は、誰にでも平等で、強くて、少し近寄りがたい存在。
――のはずだった。
町の雑用係として勇者一行を支える「私」だけは知っている。
彼が疲れたときにだけ見せる、やわらかな笑顔も。
誰にも気づかれないように差し出される、小さな気遣いも。
戦いの合間の何気ない会話、夜営で交わすささやかな約束。
それは世界を救う物語の裏側で、静かに育っていく“私だけの奇跡”。
これは、
英雄と名もなき少女が紡ぐ、
とても小さくて、とても甘いファンタジーラブストーリー。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
新緑の光と約束~精霊の愛し子と守護者~
依羽
ファンタジー
「……うちに来るかい?」
森で拾われた赤ん坊は、ルカと名付けられ、家族に愛されて育った。
だが8歳のある日、重傷の兄を救うため、ルカから緑の光が――
「ルカは精霊の愛し子。お前は守護者だ」
それは、偶然の出会い、のはずだった。
だけど、結ばれていた"運命"。
精霊の愛し子である愛くるしい弟と、守護者であり弟を溺愛する兄の、温かな家族の物語。
他の投稿サイト様でも公開しています。
転生メイドは貞操の危機!
早桃 氷魚(さもも ひお)
恋愛
クララは乙女ゲームの世界に転生した、モブのメイド。
最推しキャラの公爵令息、ロルフのメイドとして、不幸フラグを折りながら、天使のように愛らしい推しを守ってきた。
ロルフはクララに懐き、魔法学園に入学するときも、離ればなれになるのを嫌がるほど。
「帰ってきたら、ずっと一緒だからね?」
ロルフとそう約束してから三年後。
魔法学園を卒業したロルフが、ついに屋敷へ戻ってきた!
だが、クララの前に現れたのは、
かつての天使ではなく、超イケメンの男だった!
「クララ、愛している」
え!? あの天使はどこへ行ったの!?
そして推し!! いま何て言った!?
混乱するクララを、ロルフはベッドに押し倒してきて……!?
-----
Kindle配信のTL小説
『転生メイドは推しを甘やかしまくった結果、貞操の危機です!』
こちらは番外編です!
本編よりずっと前の、推しがまだ天使だった頃のお話です。
本編を知らなくても読めます。
婚約破棄された私はカエルにされましたが、悪役令嬢な妹が拾って舞踏会で全部ひっくり返します
まぴ56
恋愛
異世界貴族の私は、婚約者に捨てられ――口封じに“蛙”へ。
声も出せず噴水の縁で震える私を拾ったのは、嫌味たっぷりで見下すように笑う妹のミレイだった。
「汚らしいお姉さま――わたくしが連れ帰って、たっぷり苛めて差し上げますわ」
冷たく弄ぶふりをしながら、夜な夜な呪いの文献を漁るミレイ。
やがて迎える、王も出席する大舞踏会。ミレイの千里眼が映す“真実”が、裏切り者たちの仮面を剥ぎ取っていく――
呪いが解ける条件は、最後のひと押し。
姉妹の絆が、ざまぁと逆転を連れてくる。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
【完結】領主になったので女を殴って何が悪いってやつには出て行ってもらいます
富士とまと
ファンタジー
男尊女子が激しい国で、嫌がらせで辺境の村の領主魔法爵エリザ。虐げられる女性のために立ち上がり、村を発展させ改革し、独立しちゃおうかな。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる