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サクラ同士の恋
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彼に好きって言ってもらえる。
彼に嫌いって言われる。
彼は私のことが好きかも知れない。
彼は私のことが嫌いかも知れない。
告白したら、す、好き・・・って言ってもらえるかも・・・。
告白したら、き、嫌いっ・・・・・・!!!!!
「ダメぇえええええ!!」
嫌な想像に首を振った三山咲良は思いっきり叫んで花びらをちぎった。その音で我に返った咲良はがっくりと肩を落とす。
「ああ、もう・・・私の意気地なし。今日も告白できなかったな」
ちいさい声で呟きながら、茎だけになった花をぽいっと放り投げる。傍に置いていたショルダーバッグを背負って、帰り道を歩き出した。
私には片想いしている相手がいる。
クラスでもムードメーカーで成績優秀なのにとっつきやすくて…人気がある男の子。
お互いに来年高校を卒業してしまうことから、今のうちに告白するべきと友達に肩を押されているが、なかなかその機会がないし・・・何より・・・
「うう、告白したって絶対フラれるに決まってるじゃん・・・あっちは絶対私のことなんか覚えてないし!!助けてもらったっていっても、2、3回ぐらいだし。そりゃ、同級生で同じクラスだから挨拶は毎日するけれどさ」
家に帰ってもため息ばかり出てしまう。
告白を決意しても、彼を前にすると緊張で何も言えないまま引き下がってしまうのは私の悪いところだ。自覚はあるが、なかなか直せない。ここ最近は、親友の楓も呆れ果てていて、冷たい目を向けてくるだけだ。さっさと告白しろと言わんばかりの態度は一体なんだろうか。私がフラれるのを笑いたいのか、慰めたいのか。
(ああ・・・でも、明日は彼の誕生日なんだよなぁ。確かに、楓の言う通り、なんかプレゼントと一緒に告白でもしなきゃ・・・そうだよ!!その手があったか!)
その手があったと寝そべっていたベットから起き上がって、名案とばかりにさっそくキッチンへ向かった。お菓子作りという私のたった一つの特技を今こそ活かす時!!
腕を奮おうと、事前にリサーチしていた彼の大好物であるプリンを作った。
よし、今日こそはと意を決してやってきたのはいいのだが・・・
「・・・甘く見てたわ、彼の人気を」
「あー、染井は人気があるからな。ってか、お前はまだウジウジしていたのか?」
「ウジウジって言わないでよう・・・楓」
「未だに告白すらできないお前にゃ、ウジウジで十分」
「うう・・・で、でも」
「いいから、俺のためにもその差し入れも持ってさっさと告白して来い!」
「むりーーーーー無理無理っ!」
ぐいぐいと私を押そうとする楓とぎゃあぎゃあと押し合いをしていると、いきなり声が降ってきた。
「あのさ・・・ちょっと静かにしてもらえるかな?」
「そ、染井君・・・・ご、ごめんね。ごめんなさいっ!!!」
彼が目の前にいることに混乱して思わず声が上ずってしまう。まだ何か言おうとしていた彼に頭を下げて一目散に教室から飛び出した。
(うう・・・私の馬鹿あああ!!!今が昼休みだったからよかったようなものの!!)
戻るに戻れないので、購買コーナーでパンを買って、中庭で食べることにした。
「あーあ、このプリン、結局無駄になったな」
「プリンって、この紙パックに入っているやつ?それなら、俺にちょうだい」
「そうそう・・・・って、そ、染井君?!な、なん・・・なん、で、ここにっ!?」
「あ、ちょっ、ちょっと待て!やっと見つけたんだから逃げないでくれるかな」
ちょっと不機嫌そうに手首を捕まれたので、いいのかなと思いつつ、元の場所にゆっくりと座り直した。隣に彼が座ってくるのは何か用事でもあったのだろうかと思い、声をかけた。彼はというとプリンを食べてくれている。
(わー私のプリンを食べてくれてる・・・嬉しい!)
「それで、何か私に用事でもあったんでしょうか?」
「あーえーと・・・その、言いたいことがあってね」
「え、なんだろう・・・あっ、体育祭の係のことですか?それとも、クラスの委員のこととか・・・」
「ごめん、少し黙ってくれるかな、ちょっと落ち着かないから」
プリンを食べ終えた彼が手で私の口を塞いできた。よほど私の声がうるさかったらしい。しゅんと落ち込んでいると、彼が慌ててフォローするように声をかけてきた。
(本当に優しいなぁ・・・!)
「違うからね。うるさいとかじゃなくて」
と、その時、楓が正義のヒーローの登場とばかりに、ポーズを付けて登場なされた。
(相変わらずタイミングが良いというか、なんというか、甘いこの時間を潰してくれるとはできる幼馴染だね☆)
「やっぱりここかよ。お前のことだからどうせパンだけだと思って・・・ぎゃっ、染井芳埜、なんで、お前がここにいるんだよッ!」
「それはこっちのセリフなんだけれど。楓、お前は毎回毎度、イイところで俺の邪魔をするよね・・・俺に何か恨みでもあるのかな?」
「いっやいや、誤解、誤解だからっ!!俺とそいつは単なる幼馴染で親友だから!清らか真っ白の関係!ちっとも女とは思ってないから!」
「それはそれでイラっと来るね。彼女の魅力がわからないなんて・・・三山さん、本当にこいつとは単なる幼馴染なんだよね?」
彼の言葉に我に返り、2人の顔を見比べながら、こくりと頷いた。
「あっ、は、はい。えっと・・・楓とはアパートの部屋が隣ってこともあって、両親同士が仲がいいんです。だから小さい時は一緒にお風呂はいったりしたし、今でも夕飯とかも一緒に食べたりしているっていう関係で・・・幼馴染であり親友でもあって家族でもあります」
「お前は余計なこと言わなくていいからあ!!」
いきなり声を遮ってきたのは、当の楓だ。いつの間にか、彼との間に立って必死に何かを言っているが、なんのことかさっぱり解らない。
(なんで楓はこうも慌ててるんだろうか。染井君は笑ってるだけなのに)
「そんなに、親密な仲なんだ・・・へぇ・・・お前さ、俺の味方だっていうわりには、邪魔ばっかりしてるよね?」
「いやいや、俺はどっちかってと、協力している側だから!!」
「じゃあ、昨日生徒会をさぼって、彼女と一緒に帰ったのもちゃんと理由があるんだろうね?俺が生徒会を頑張っている間に、君はこの子といろいろと話をしたんだろう?」
「いや、あれは、そのぉ・・・あれだ・・生徒会がめんどくさ・・・げふっ!!」
いきなり目の前で楓が吹っ飛んだのは、彼がキックを食らわしたからだ。突然の展開についていけない咲良は首を傾げながら、悩んだ。
(つまり、この展開からすると、染井君は楓と一緒に帰りたくて、それで私が邪魔だったってことだよね。ということは彼が私に言おうとしていたことって、私の気持ちに気づいて、なんとか遠回しに振ろうとしたってこと?)
ようやく謎が解けたと言わんばかりに、咲良は芳埜の手をいきなり握った。
「わかったよ、染井君。そういうことなら私も涙を呑んで協力しなきゃ!そうだよね、楓と一緒に私がいたら邪魔だもんね」
あっけにとられた芳埜は一瞬にして固まってしまったが、勘違いをエスカレートさせた咲良はうんうんと頷きながらも残念そうな表情を見せた。
「悔しいけれど、楓がライバルならしょうがないかな。染井君、遠回しにふってくれてありがとう。正直、まだショックはあるけれど・・・大丈夫、私に偏見はないから、このことももちろん内緒にするね。絶対誰にも言わないって約束するから」
「ちがう、ちがうから、そうじゃないからぁあああ!」
彼が否定しようとするのも無理ないことだ。必至に首を振っているのも当然とばかりに咲良は哀れみを込めて彼を見つめた。
(そうだよね、いくらBLの知名度は上がったとはいえ、まだまだ同性愛に対して厳しい風潮だし、周りからも白い目で見られる恋愛だもんね・・・・・かわいそうに・・・。)
「私も出来る限り協力するから!!あっ、このプリンまだ余っているし、良かったら楓と一緒に食べてね」
「お願いだからちょっと話を聞いて・・・あっ・・・」
プリンを渡してすっきりしたその時、チャイムがなったので、慌てて教室に戻ろうとした。彼はきっと楓と一緒に来るだろうから、気を遣わせてはいけないと思った咲良は、手を解いて歩き出した。ふと、思いだしたように振り返ってさりげなくエールを送っておく。
「私、先に帰るから今日は楓と一緒にゆっくり帰ってね。応援しているから!」
「違っ、くそ!!」
いいコトをしたとばかりに校舎へ入ったその時、何故か2人の叫び声が響いた。
だが、咲良は、次の授業のことで頭がいっぱいなため、叫び声の内容には気づかず、ひたすら教室を目指して歩いていた。
「楓の馬鹿野郎、お前のせいであらぬ誤解をされてしまっただろうが!」
「ちがっ、それは、不可抗力だろうが!!!そもそも、お前があいつにちゃんと告白しとけばこんな誤解はねぇんだよ!!ってか、俺だって嫌だよ、なんでお前なんかと!」
失恋は悲しいけれど、理由が理由だけに仕方がないなと考えていた咲良は玄関にいる人物に目を見開いた。
「染井君?あれ、楓ならとっくに教室出たよ?」
「いや、楓なんか待ちたくもない。俺が待っていたのは君だから」
「ふへ?あ、もしかして牽制?大丈夫だ、私も女だから潔く身を引くよ」
「いや、それは困るから・・・・と、とにかく出ようか」
えっへんと胸を反らして、仁王立ちして宣言すると、目の前にいた彼ががっくりと肩を落としている。何故?と思いながらも、とりあえず一緒に帰ろうと促されてしまった。
(・・・あれ、なんで、私・・・染井君と一緒に野原に座っているんだろう?)
「あのさ、三山さん、誤解をまず解きたいんだけれど、俺は楓をなんとも思っていないからね?」
「うんうん、解ってる、解ってるからね」
「信じてないよね、その哀れみのこもった目で見るの止めてくれる。そもそも、俺の好きな子は・・・その、目の前にいるから」
「目の前・・・・あっ」
彼の視線が私の後ろに向かっていたので、顔だけ後ろに振り返ってみると、そこには楓が驚きの表情で木の傍に立っていた。
(ああー、やっぱり言いにくかったんだ。そして、楓の方も心配していたんだ)
「大丈夫だよ、あの通り楓はちゃんと染井君のことを見ているから、安心して!」
力強く励まそうと口を開いたら、何故か、彼は立ち上がって木を目掛けて石を投げだした。(楓が痛いって叫んでいるけれどいいのかなぁ?)
何度か投げ続けて、ようやく落ち着いたらしい彼は咲良に向かって、荒々しい声で告白をしてきた。
「あのバカ、明日コロしてやる。あのさ、もうはっきりいうよ!俺は君が好きだし、楓は問題外だ!」
「ふぇ?」
「言っておくけれど、間違えてない。俺は三山咲良のことが好きだ。ほら、名前だって間違ってないだろう?」
「え、でも」
「それは君の誤解と思い込みだ。俺にとっては楓の方が邪魔だった。何度告白しようか迷っていたけれど、その先々にあのバカがひょいっと出てきて・・・くそ、思いだすに腹立たしい。とにかく、三山咲良!」
「は、はいっ?」
「俺と付き合ってくれ!!」
「は、はいっ!」
ずっと片思いしていた咲良がその彼の手を取ったことは言うまでもない。ようやく結ばれた二人を遠目に見ていた楓は安堵の息を漏らした。
「やぁっと、くっついたか・・・もう・・オレを巻き込むんじゃねぇよ・・・。」
ま、これでもう巻き込まれることはないだろうと安堵した楓はすっきりとした顔で帰っていった。・・・次の日にまた巻き込まれることなど微塵も思いもせず。
「咲良、なんで俺は名字で、楓が呼び捨てなのかな?」
「だって・・・染井君に呼び捨てなんて恐れ多いよ・・・」
「何言ってるの、咲良ならいくらでも俺の名前を呼んだっていいんだよ。ほら、言ってごらん。楓、お前はさっさと失せろ。あ、咲良が作った弁当は置いていけ」
「ダメっ、楓、一緒にいて。2人きりはさすがに恥ずかしいよ!!」
ぎゃあぎゃあと言い合う2人に楓はげっそりと机に伏したまま呟いた。
「もう、いいから俺を解放してくれ・・・パ〇ラ〇シュ・・・・俺はもう疲れたよ」
「ネタふるっ!」
「咲良・・・誰のせいだと思ってるんだよ!!」
「え、知らないよ、そんなの」
「・・・・・ほっんとう、楓は俺の邪魔ばっかりしてくれるよね、フフフフ」
「いや、だから・・・」
いい加減終われ。
彼に嫌いって言われる。
彼は私のことが好きかも知れない。
彼は私のことが嫌いかも知れない。
告白したら、す、好き・・・って言ってもらえるかも・・・。
告白したら、き、嫌いっ・・・・・・!!!!!
「ダメぇえええええ!!」
嫌な想像に首を振った三山咲良は思いっきり叫んで花びらをちぎった。その音で我に返った咲良はがっくりと肩を落とす。
「ああ、もう・・・私の意気地なし。今日も告白できなかったな」
ちいさい声で呟きながら、茎だけになった花をぽいっと放り投げる。傍に置いていたショルダーバッグを背負って、帰り道を歩き出した。
私には片想いしている相手がいる。
クラスでもムードメーカーで成績優秀なのにとっつきやすくて…人気がある男の子。
お互いに来年高校を卒業してしまうことから、今のうちに告白するべきと友達に肩を押されているが、なかなかその機会がないし・・・何より・・・
「うう、告白したって絶対フラれるに決まってるじゃん・・・あっちは絶対私のことなんか覚えてないし!!助けてもらったっていっても、2、3回ぐらいだし。そりゃ、同級生で同じクラスだから挨拶は毎日するけれどさ」
家に帰ってもため息ばかり出てしまう。
告白を決意しても、彼を前にすると緊張で何も言えないまま引き下がってしまうのは私の悪いところだ。自覚はあるが、なかなか直せない。ここ最近は、親友の楓も呆れ果てていて、冷たい目を向けてくるだけだ。さっさと告白しろと言わんばかりの態度は一体なんだろうか。私がフラれるのを笑いたいのか、慰めたいのか。
(ああ・・・でも、明日は彼の誕生日なんだよなぁ。確かに、楓の言う通り、なんかプレゼントと一緒に告白でもしなきゃ・・・そうだよ!!その手があったか!)
その手があったと寝そべっていたベットから起き上がって、名案とばかりにさっそくキッチンへ向かった。お菓子作りという私のたった一つの特技を今こそ活かす時!!
腕を奮おうと、事前にリサーチしていた彼の大好物であるプリンを作った。
よし、今日こそはと意を決してやってきたのはいいのだが・・・
「・・・甘く見てたわ、彼の人気を」
「あー、染井は人気があるからな。ってか、お前はまだウジウジしていたのか?」
「ウジウジって言わないでよう・・・楓」
「未だに告白すらできないお前にゃ、ウジウジで十分」
「うう・・・で、でも」
「いいから、俺のためにもその差し入れも持ってさっさと告白して来い!」
「むりーーーーー無理無理っ!」
ぐいぐいと私を押そうとする楓とぎゃあぎゃあと押し合いをしていると、いきなり声が降ってきた。
「あのさ・・・ちょっと静かにしてもらえるかな?」
「そ、染井君・・・・ご、ごめんね。ごめんなさいっ!!!」
彼が目の前にいることに混乱して思わず声が上ずってしまう。まだ何か言おうとしていた彼に頭を下げて一目散に教室から飛び出した。
(うう・・・私の馬鹿あああ!!!今が昼休みだったからよかったようなものの!!)
戻るに戻れないので、購買コーナーでパンを買って、中庭で食べることにした。
「あーあ、このプリン、結局無駄になったな」
「プリンって、この紙パックに入っているやつ?それなら、俺にちょうだい」
「そうそう・・・・って、そ、染井君?!な、なん・・・なん、で、ここにっ!?」
「あ、ちょっ、ちょっと待て!やっと見つけたんだから逃げないでくれるかな」
ちょっと不機嫌そうに手首を捕まれたので、いいのかなと思いつつ、元の場所にゆっくりと座り直した。隣に彼が座ってくるのは何か用事でもあったのだろうかと思い、声をかけた。彼はというとプリンを食べてくれている。
(わー私のプリンを食べてくれてる・・・嬉しい!)
「それで、何か私に用事でもあったんでしょうか?」
「あーえーと・・・その、言いたいことがあってね」
「え、なんだろう・・・あっ、体育祭の係のことですか?それとも、クラスの委員のこととか・・・」
「ごめん、少し黙ってくれるかな、ちょっと落ち着かないから」
プリンを食べ終えた彼が手で私の口を塞いできた。よほど私の声がうるさかったらしい。しゅんと落ち込んでいると、彼が慌ててフォローするように声をかけてきた。
(本当に優しいなぁ・・・!)
「違うからね。うるさいとかじゃなくて」
と、その時、楓が正義のヒーローの登場とばかりに、ポーズを付けて登場なされた。
(相変わらずタイミングが良いというか、なんというか、甘いこの時間を潰してくれるとはできる幼馴染だね☆)
「やっぱりここかよ。お前のことだからどうせパンだけだと思って・・・ぎゃっ、染井芳埜、なんで、お前がここにいるんだよッ!」
「それはこっちのセリフなんだけれど。楓、お前は毎回毎度、イイところで俺の邪魔をするよね・・・俺に何か恨みでもあるのかな?」
「いっやいや、誤解、誤解だからっ!!俺とそいつは単なる幼馴染で親友だから!清らか真っ白の関係!ちっとも女とは思ってないから!」
「それはそれでイラっと来るね。彼女の魅力がわからないなんて・・・三山さん、本当にこいつとは単なる幼馴染なんだよね?」
彼の言葉に我に返り、2人の顔を見比べながら、こくりと頷いた。
「あっ、は、はい。えっと・・・楓とはアパートの部屋が隣ってこともあって、両親同士が仲がいいんです。だから小さい時は一緒にお風呂はいったりしたし、今でも夕飯とかも一緒に食べたりしているっていう関係で・・・幼馴染であり親友でもあって家族でもあります」
「お前は余計なこと言わなくていいからあ!!」
いきなり声を遮ってきたのは、当の楓だ。いつの間にか、彼との間に立って必死に何かを言っているが、なんのことかさっぱり解らない。
(なんで楓はこうも慌ててるんだろうか。染井君は笑ってるだけなのに)
「そんなに、親密な仲なんだ・・・へぇ・・・お前さ、俺の味方だっていうわりには、邪魔ばっかりしてるよね?」
「いやいや、俺はどっちかってと、協力している側だから!!」
「じゃあ、昨日生徒会をさぼって、彼女と一緒に帰ったのもちゃんと理由があるんだろうね?俺が生徒会を頑張っている間に、君はこの子といろいろと話をしたんだろう?」
「いや、あれは、そのぉ・・・あれだ・・生徒会がめんどくさ・・・げふっ!!」
いきなり目の前で楓が吹っ飛んだのは、彼がキックを食らわしたからだ。突然の展開についていけない咲良は首を傾げながら、悩んだ。
(つまり、この展開からすると、染井君は楓と一緒に帰りたくて、それで私が邪魔だったってことだよね。ということは彼が私に言おうとしていたことって、私の気持ちに気づいて、なんとか遠回しに振ろうとしたってこと?)
ようやく謎が解けたと言わんばかりに、咲良は芳埜の手をいきなり握った。
「わかったよ、染井君。そういうことなら私も涙を呑んで協力しなきゃ!そうだよね、楓と一緒に私がいたら邪魔だもんね」
あっけにとられた芳埜は一瞬にして固まってしまったが、勘違いをエスカレートさせた咲良はうんうんと頷きながらも残念そうな表情を見せた。
「悔しいけれど、楓がライバルならしょうがないかな。染井君、遠回しにふってくれてありがとう。正直、まだショックはあるけれど・・・大丈夫、私に偏見はないから、このことももちろん内緒にするね。絶対誰にも言わないって約束するから」
「ちがう、ちがうから、そうじゃないからぁあああ!」
彼が否定しようとするのも無理ないことだ。必至に首を振っているのも当然とばかりに咲良は哀れみを込めて彼を見つめた。
(そうだよね、いくらBLの知名度は上がったとはいえ、まだまだ同性愛に対して厳しい風潮だし、周りからも白い目で見られる恋愛だもんね・・・・・かわいそうに・・・。)
「私も出来る限り協力するから!!あっ、このプリンまだ余っているし、良かったら楓と一緒に食べてね」
「お願いだからちょっと話を聞いて・・・あっ・・・」
プリンを渡してすっきりしたその時、チャイムがなったので、慌てて教室に戻ろうとした。彼はきっと楓と一緒に来るだろうから、気を遣わせてはいけないと思った咲良は、手を解いて歩き出した。ふと、思いだしたように振り返ってさりげなくエールを送っておく。
「私、先に帰るから今日は楓と一緒にゆっくり帰ってね。応援しているから!」
「違っ、くそ!!」
いいコトをしたとばかりに校舎へ入ったその時、何故か2人の叫び声が響いた。
だが、咲良は、次の授業のことで頭がいっぱいなため、叫び声の内容には気づかず、ひたすら教室を目指して歩いていた。
「楓の馬鹿野郎、お前のせいであらぬ誤解をされてしまっただろうが!」
「ちがっ、それは、不可抗力だろうが!!!そもそも、お前があいつにちゃんと告白しとけばこんな誤解はねぇんだよ!!ってか、俺だって嫌だよ、なんでお前なんかと!」
失恋は悲しいけれど、理由が理由だけに仕方がないなと考えていた咲良は玄関にいる人物に目を見開いた。
「染井君?あれ、楓ならとっくに教室出たよ?」
「いや、楓なんか待ちたくもない。俺が待っていたのは君だから」
「ふへ?あ、もしかして牽制?大丈夫だ、私も女だから潔く身を引くよ」
「いや、それは困るから・・・・と、とにかく出ようか」
えっへんと胸を反らして、仁王立ちして宣言すると、目の前にいた彼ががっくりと肩を落としている。何故?と思いながらも、とりあえず一緒に帰ろうと促されてしまった。
(・・・あれ、なんで、私・・・染井君と一緒に野原に座っているんだろう?)
「あのさ、三山さん、誤解をまず解きたいんだけれど、俺は楓をなんとも思っていないからね?」
「うんうん、解ってる、解ってるからね」
「信じてないよね、その哀れみのこもった目で見るの止めてくれる。そもそも、俺の好きな子は・・・その、目の前にいるから」
「目の前・・・・あっ」
彼の視線が私の後ろに向かっていたので、顔だけ後ろに振り返ってみると、そこには楓が驚きの表情で木の傍に立っていた。
(ああー、やっぱり言いにくかったんだ。そして、楓の方も心配していたんだ)
「大丈夫だよ、あの通り楓はちゃんと染井君のことを見ているから、安心して!」
力強く励まそうと口を開いたら、何故か、彼は立ち上がって木を目掛けて石を投げだした。(楓が痛いって叫んでいるけれどいいのかなぁ?)
何度か投げ続けて、ようやく落ち着いたらしい彼は咲良に向かって、荒々しい声で告白をしてきた。
「あのバカ、明日コロしてやる。あのさ、もうはっきりいうよ!俺は君が好きだし、楓は問題外だ!」
「ふぇ?」
「言っておくけれど、間違えてない。俺は三山咲良のことが好きだ。ほら、名前だって間違ってないだろう?」
「え、でも」
「それは君の誤解と思い込みだ。俺にとっては楓の方が邪魔だった。何度告白しようか迷っていたけれど、その先々にあのバカがひょいっと出てきて・・・くそ、思いだすに腹立たしい。とにかく、三山咲良!」
「は、はいっ?」
「俺と付き合ってくれ!!」
「は、はいっ!」
ずっと片思いしていた咲良がその彼の手を取ったことは言うまでもない。ようやく結ばれた二人を遠目に見ていた楓は安堵の息を漏らした。
「やぁっと、くっついたか・・・もう・・オレを巻き込むんじゃねぇよ・・・。」
ま、これでもう巻き込まれることはないだろうと安堵した楓はすっきりとした顔で帰っていった。・・・次の日にまた巻き込まれることなど微塵も思いもせず。
「咲良、なんで俺は名字で、楓が呼び捨てなのかな?」
「だって・・・染井君に呼び捨てなんて恐れ多いよ・・・」
「何言ってるの、咲良ならいくらでも俺の名前を呼んだっていいんだよ。ほら、言ってごらん。楓、お前はさっさと失せろ。あ、咲良が作った弁当は置いていけ」
「ダメっ、楓、一緒にいて。2人きりはさすがに恥ずかしいよ!!」
ぎゃあぎゃあと言い合う2人に楓はげっそりと机に伏したまま呟いた。
「もう、いいから俺を解放してくれ・・・パ〇ラ〇シュ・・・・俺はもう疲れたよ」
「ネタふるっ!」
「咲良・・・誰のせいだと思ってるんだよ!!」
「え、知らないよ、そんなの」
「・・・・・ほっんとう、楓は俺の邪魔ばっかりしてくれるよね、フフフフ」
「いや、だから・・・」
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