【R18】恋愛において天然は最強かもしれない

巴月のん

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天然の酷さは罪になることもある

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友達と悪乗りしていた高校時代を思い出しては目を細める。
特に修学旅行で盛り上がったよねーと同窓会で懐かしみあっていた。

「ひさしぶりじゃん、三佐みさ!」
「わー元気?瑠梨るり!」
「ひさしぶり~佳代ちゃん、それに長根君も!」


今は会社員となっている瑠梨は同窓会の場となっているホテルのカウンターで懐かしい友達と会話しながらお酒を飲んでいた。


「そういえば思い出した―。あの時王様ゲームやったじゃん?」
「したした。めっちゃ懐かしいね」


長根が思い出したように話し出した。王様ゲームという言葉を聞いた瑠璃はぴくっと肩を震わせたが、それも一瞬のことで周りには気づかれていないことで内心ほっとしていた。
瑠梨はその王様ゲームに関していい思い出がない。まぁ、皆さんの想像通り、苦い恋愛経験によるものであるのは言わずもがな。
そしてその苦い思い出をよりによって思い出すとは・・・と瑠梨が眉間に皺を寄せていたその時、タイムリーなことにその苦々しい思い出の原因となった男の名前が話題に上がった。

「あれ?そういえば、あらたがまだ来てないな。来るって聞いてたんだけどなぁ?」



(懐かしい名前が出た。そういえば、あの時からずっと彼と話していないなー。)



過去を思い出しながら瑠梨は2杯目のカクテルを飲んでいた。


(あれは高校の修学旅行の二日目の夜で、こっそりと男女合同でゲームをしていた時だったか・・・。)


「じゃー5番、好きな女のタイプを公表してみろよ」


3番を引いていた瑠梨は目の前の男が指示してきた番号を聞いてドキッとしていた。
王様ゲームということもあって、10人ほどの結構な人数が集まっている。
そして、今回はたまたまではあるが、瑠梨の片想いの相手である海野うみのあらたもゲームに参加していた。新とは幼馴染で、ずっと小学校から同じ学校に通っていたし、家も近かったことからよく一緒に遊んだし、今も仲間としてつるむぐらい仲が良かった。その流れで瑠梨が新を好きになるのは自然なことで。
新を近くで見ていた瑠梨はドキドキしながら新の答えを待っていた。その際、ふと新と目が合ったように感じたが、それに慌てて目をそらすと、新が王様となった男へ返事していた。


「んと・・・女の子らしくて、髪の毛がロングで物静かな子かな」


(私とは正反対の子・・・私は新のタイプじゃないってことかぁ。)


内心でショックを受けつつも、表面上はそうなんだーと聞き流しているふりをしていた。すると、きゃーっという黄色い声が聞こえてくる。嫌な予感を感じつつ、その声の方向に目を向けると、清楚な可愛らしい子が赤面していた。仲が良さそうな近くにいた女の子達がチャンスだよと赤面していた子の肩を揺すっていることから、新のことで騒いでいる様子だと解る。
瑠梨も肩までの髪で長い方だったが、その可愛らしい子は腰まで伸びたサラサラなロングストレートヘアだった。名前は・・・と考えていた時、沙也加さやか、告白しちゃえ!と言う声が聞こえた。



(ああ、あの沙也加って子、新のこと好きなんだね。それに、まんま新が言っていた好みの子だ・・・。)


周りも馬鹿じゃない。沙也加が新のことを好きなのは一目瞭然いちもくりょうぜんだった。周りに押されてか、可愛らしい顔を真っ赤にさせながら新君と名前を呼んでいる。これは告白の流れかー!と思わぬ展開に唖然としている新を余所に周りは一斉にはやし立てている。


(あー、こりゃ、新とあの子は付き合うことになりそう。)


「佳代ちゃん、私眠いからもう寝るね」
「えーもう?瑠梨ってばまだ寝るには早い時間だよ?」
「ごめん、疲れちゃったんだ。おやすみ」
「はーいっ、また明日ね」


その雰囲気に胸の痛みを抑えながらそっと瑠梨はその場を言いつくろって離れていった。その後のことは別室の布団に潜り込んでいたからわかりようがない。眠れないながらも、布団の中でぼんやりと考えていた。


(あーあ、失恋決定かぁ・・・。)


少し悲しくなってじわりと滲んだ目を隠すように毛布を頭から潜って必死に眠ろうとする。
しょっぱい涙の味を噛み締めた次の日、瑠梨たちは修学旅行を終えて地元へ戻ろうとしていた。この日の瑠梨たちは判別行動で、時間になったら空港へ集まることになっていた。そして運がいいのか悪いのか、この日の判別行動では新と一緒の班だった。ちなみに、沙也加も同じ班にいた。


(うう、気まずい。失恋した次の日にこれは辛い!)


必死に普通に振舞おうとしていた瑠梨の心境をよそに、新はリーダーとしていろいろと動いていた。ちなみに、瑠梨は新の指示に従って地図を出す係である。

「おーい、瑠梨。ぼーっとしていないで行くぞ?」
「あ、ごめん。えっと、新、次はどこへ行くの?」
「次はあそこへ行く。えっと、最寄り駅は・・・おい、地図出してくれよ」
「あ、うんっ、今出すね」

こういう時、名前呼びできるのは幼馴染の特権だろう。気まずい心境を押し殺し、新と会話していると、沙也加が瑠梨と新の側へ近寄り、おずおずと、それでも二人の会話を引き裂くように割り込んで話しかけてきた。それにいい気持などしない。自然に言葉に棘が出てしまう。

「ねぇ、三佐さん、地図持ちは私がするわ」
「・・・・なんでよ?私が地図係なんだけれど?」
「だって、新君と一緒にまわりたいんだもん。それに、新君のタイプである私が一緒にいた方がいいでしょう?だから、三佐さんはあっちにいってくれるかしら?」
「・・・おい、瑠梨にそんなことを言うなよ」
「新君、その子を庇うだなんて!!まさか、その子のことが好きなの?!」

驚くように言ったその子に新は真っ赤になって慌てて否定するように怒鳴った。

「ばっ・・・誰がこんな女らしくないヤツなんか好きになるかよ!!」


こちらを見たとたん、はっとした顔をした新。きっと彼は本音を言ったから怒られるって思ったんだろう。


(傷ついて、怒るどころじゃない・・・確かに沙也加ちゃんみたいに可愛いわけじゃないけれど。)


瑠梨はなけなしのプライドで、必死に顔を繕って、冗談っぽく笑うことしかできかった。新の言葉を聞いた沙也加はというと、ほっとしたように眩しい笑顔を見せていた。その時の言葉は未だに忘れられない。


「そうだよね、全然新君のタイプに合ってないもんね。良かった、じゃあ行きましょうよ」




(そういや、あの後はもうどうでもよくなって、地図をあの子に押し付けて離れたな。んでもって話さなくなったのも、新を名字呼びするようになったのも、あの時からだ。)



振り返ってみれば、あれがショートカットにした原因の一つかと思い直す。
事実、瑠梨は社会人になった今でも髪を伸ばす気になれず、ほとんどショートカットで、どんなに伸ばしても肩より短めにしていた。割と背が高めで、どちらかというとクール系な顔つきだったというのも幸いした。
3杯目のカクテルを注文したその時、長根が手を振って騒ぎ出した。目配せしてみれば、近寄ってくるのは長らく会っていなかった新だった。
久々に見る新の姿は高校の時より少し大人びて見えた。


(ふーん、ラフな姿とはいえ、ブランド物とわかるジャケットや靴を身にまとっていることから仕事は順調なんだろうねぇ。まぁ、当然か・・・。)


瑠梨が、久々に見る新を一瞥した後、3杯目のカクテルを受け取って飲もうとしたその時、まさに新が話しかけてきた。佳代や長根も一緒にいるとはいえ、一番に自分に対して話しかけてくるとは思わなかったからだ。返事をなんとか返せた瑠梨だったが、実は内心驚きでいっぱいいっぱいだった。


「・・・久しぶりだな、瑠梨、それから長根に笹野も。」
「おう、遅かったなー」
「久しぶり~。元気そうだね。ほら、瑠梨も久しぶりに会う海野だよ!」
「解ってるって、佳代ちゃん~。海野も久しぶり」


手をあげて微笑めば、新はほっとしたように笑った。そして真顔で長根や佳代の方を振り返り、瑠梨には訳が解らない言葉を告げた。

「長根に笹野も足止めありがとな。今度ゆっくり酒を奢る。瑠梨、ちょっと一緒に来てくれ」
「え?ええーまだ、お酒を飲んでいる途中なんだけど!?」
「そんな酒、ルームでいくらでも頼めるし、頼んでやる。ほら、行くぞ!」

コップを無理やり奪われ、カウンターへと置かれる。それを未練がましく見つめていた瑠梨だが、新に腕を掴まれた上に引きずられては終わりだ。
捕獲されたことにも気づかず、エレベーターでショボンと肩を落としていた瑠梨は最後まで気づかなかった。自分がどこへ連れていかれようとしているのも考えようともしていない。
ようやく瑠梨が現実に戻ってきた時にはすでに遅し。気付けば、瑠梨は新によって最上階のスイートルームの椅子に座らされていた。


「あれ、ここはどこ?それに、私がここにいるの・・・?」
「相変わらずというか・・・夢中になるとまったく周りが見えなくなる癖は変わってないな。ここは最上階のスイートルーム。ちなみに俺が予約した部屋だ」
「それだけ稼いでるんだ。すごいねー。で、なんでここに?」
「お前が好きだからだ」
「あ、冗談で返したね?」
「ダメだ、こりゃ、通じてねぇな」


棒読みにも聞こえる新の言葉に瑠梨は騙されぬとばかりにツッコむ。それに対して、新は一つ頷いた後、返事になっていない返事を口にした。


「修学旅行の時に傷つけてしまったのを謝れていないし、それに、好きな子に告白するなら、こういうロマンチックなところがいいかなーと・・・」
「へぇ。いいじゃない。その子も喜ぶよね」
「・・・お前のことなんだけれど?」


深いため息をついた新は瑠梨に近寄り、背中に手をまわしたかと思うと、ファスナーを一気におろした。
冷たい空気が入り込んでくるのにビクッと身体を竦ませた瑠梨が顔をあげたその時、新の舌が口中へと入り込んだ。目を見開いた瑠梨だが、新の執拗な絡みは止まらない。



「んっ・・んっ・・・!!」



(・・・・っ・・・目が本気!?え、なんで、なんでなのぉおおお!?)



どんどん深くなるキスの合間を狙って息をするが、冷たい手が背中をはい回る。それにびくっとしていると、肩に冷たい空気が刺さる。本気で脱がすつもりだと気づいた瑠梨は慌てて新の袖や肩を押し止めようとする。が、さすがに男の力にはかなわない。必至に椅子で体をよじらせながら足をじたばたさせた。ちなみに、キスされた混乱で、さりげなく告白されたことは瑠梨の頭からすっぽーん!と抜けてしまっていた。


「なんで!?ちょ、ちょっと待って、お願いだから脱がさないでー!」
「・・・ちっ」


その時ようやく、新の手が止まったことで瑠梨は肩まで脱がされていたワンピースを慌てて締め直すことが出来た。やっと深呼吸が落ち着いた瑠梨は新に向かって思い出すように話しかけた。


「・・・で、なんだっけ?」
「おぃっ?!こうして振り出しに戻る~ちゃららーんって、頭の中で流れたぞ!ほっんとに双六すごろくみたいな展開ってあるのか、それとも、俺に対する嫌がらせか!?」
「大丈夫?頭壊れてない?」
「ここまで言っても気づかないってすげえ。天然通り越してもう馬鹿だわ、いや、そんなとこも可愛いけど・・・こんな奴が好きな俺も大概馬鹿だな。なー、どうしたら俺の好きな気持ちを受け止めてくれるのかな?」
「え?なんかわからないけれど、ストレートに告白したら伝わるんじゃない?」
「・・・かなりストレートに好きだって言った気がするんだが」
「へーそれ、かなり鈍いねえ。そんな子を好きになるなんて大変だなぁ。ねぇねえ、どんな子?私も知っている子?」


さっきも言ったが、告白されたことなど、彼女の頭ではなかったことになっている。そんな彼女が興味津々と聞けば、新は両手で顔を覆って「どうしようもない!」と叫び、ベッドにある布団に顔を埋めていた。頭が壊れたのかと見守っていた瑠梨だったが、彼の好みを思い出した。


「そういえば、海野君の好みって、女の子らしいロングの子だったよね。そりゃ、大人しそうだし、天然とかはいってそうだなぁ。となると・・・あの子かな?」
「・・・そこか、そこも誤解していたのかよっ!」


いきなり起き上がった新に瑠梨はぎょっと驚きながらも、引き気味だった。それに構わず、新は瑠梨の前で正座し直した。


「瑠梨、まずそこを訂正する。あのゲームで言った俺の好きなタイプは嘘だ」
「そうなんだ。嘘って・・・えっ?」
「どちらかというと、明るくて、阿吽の呼吸で息が合うお前が好みドンピシャ。というか、お前も俺のことを好きだっつーのは気づいていた。そもそも、お前との距離を縮めたくて修学旅行中に告白するつもりだったのに・・・」


距離が縮むどころか、一気に距離が遠くなってしまったのに唖然としてしまったと話す新に、瑠梨は驚きながら慌てたように質問した。


「じゃ、じゃあ、なんであの時嘘をついたの・・・?」
「わざわざ周りに言うことじゃないし、囃し立てられるのが嫌だったから」
「ああ、告白タイムみたいになるのが嫌だったんだ・・・結局、告白大会みたいになったけれど」
「そこは予想外だった」


少なくとも自分が恋愛対象から外れていると思っていた瑠梨からすれば、驚く話だ。だが、好きな子に驚かれる側である新は遠い目をしていた。恐らく心中ではボロボロと涙を流しまくりだったんじゃなかろうか。
がっくりと肩を落としながら、新は話を続けた。いい加減気づいてくれと念じながら。そしてその思いがようやく通じ・・・かけたが、それでもきょとんとしている瑠梨に対してもう我慢の限界だった。

「あのな、俺はお前にキスしただろう?服だって脱がそうとしただろ!その流れでいい加減に気づけよ、前のことを言っているんだって。いいか、俺はお前のことが好きだからここに連れてきたんだっつーの、そりゃ、はっきりと好きだって言わなかった俺も悪いけれどさ!さすがにあんまりだろ、その鈍感さは!」

苛立った新が瑠梨の肩を掴んで揺さぶった。もはやロマンの欠片もない告白になってしまったのはやむを得ない。あまりにも鈍い瑠梨が悪いから仕方がないのだといいつつ。
ここにきて瑠梨は風向きがおかしいことに(今頃)やっと気づいた。それどころか、新の言っていたことが、(ようやく)脳裏に結びつき、カタカタと頭が動きだした瑠梨は思い出した。最初に新が言っていたことを。


「新は好きな子を連れてきたって言ったよね?」
「ああ、はっきり言ったな。」
「ここっていうのは、もしかしなくとも」
「もちろんこの場所に決まってる」
「・・・・えっ、じゃあ、海野君の好きな子って私のことだったの!?」
「ここにきて2時間弱。話に話を重ねてやっと気づくとか。誰か、マジで俺の忍耐力を褒めてほしいと思う。本気で切実に!!」


やっと通じた・・・・!と言わんばかりに表情が明るくなった新を前に、瑠梨は恥ずかしさで真っ赤になっていた。


「え・・・で、でも・・・タイプじゃないって・・・」
「だから、それは俺が恥ずかしいからついた嘘だ。本当はずっとお前を好きだったけど言えなかった。それは俺がほんっとうに悪いと思ってる。だから・・・こうやって連れてきたんだよ」
「・・・海野君・・・」
「いやいや・・・・ここは流れ的に名前で呼ぶところな、はい、やり直し」
「ふへ?」
「こりゃダメだ。よし、これから名字で呼ぶごとに罰としてキスする。これ決定事項な。それから、今夜は帰さないからそのつもりで」
「え?ええ?」


そういいつつ、新は瑠璃を椅子から引き離し、お姫様抱っこで抱えたままベッドへと移動していく。
やっと全部がつながったのだろう、瑠梨はみるみる火照った顔でパニックを起こし、慌てるが、もう遅い。新としては瑠璃を逃がすつもりはないのか、目が怪しく光った。


「さて、いただきます」
「や、やめてぇええええええ、新――――――!!!」


慌てふためくピンク色の悲鳴がこだまする夜、新は美味しく瑠梨をいただいた。次の日の朝、ガラガラ声になった瑠梨が涙目で新を睨みながら文句を言っていたが、新は知らんぷりで羽織った服を整えていた。瑠梨が文句を言っていたのは、体中につけられた真っ赤なマークのせいだ。


「うう、ばかぁ・・・もう、お嫁にいけないじゃん!!」
「・・・・お前、俺以外の男の嫁になるつもりなのか?」
「え?海・・・じゃない、新は私をお嫁さんにするつもりでいるの?」


・・・・・・・・・・・・・・・長い長い沈黙が続いた後、新はにっこりと微笑んだ。その笑みを見たとたん、瑠梨の頭は瞬時に『逃げろ』とかなり強いメッセージを叩き出した。ついさっきまで着ようとしていたシャツを再び脱きだした新を見た時点で、瑠梨は真っ青な顔でシーツをまるごと纏ったまま、ベッドをそろりと降りようとしていた。もちろん、それを新が逃がすはずもない。








「やーーーーー、ごめんなさいぃいいいっ!!」







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