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リクエスト小説
シンデレラと王子~IF物語~(出会い編)
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※例によってなろうの方で苺たると様にリクエストをいただいて作った話です
リクエスト小説はほぼ苺たると様によるリクエスト多数(笑)
とある街に、家事が大好きな香帆という女性がいました。
口が悪い姉兄達にそれこそ、もう鬱陶しいと思うレベルで大事にされて育ったため、恋愛方面では疎いところがありますが、基本的に優しい女性です。
そんな香帆さんは美味しいものに目がありません。
「はぁ・・・お城で王子様の誕生日パーティーがあるんですか」
「そーよ。知らなかったの?連日この話で持ちきりよ」
「きっと美味しいモノとか食べられるんでしょうね・・・あ、楽しみです」
「え、そっち?!違う違う、誕生日パ―ティーだけれど、実際は、王子様の婚約者を決めるために開催されたらしいわ。我が国の王子様は無類の女好きで最悪のタラシだけれど、一応、王子様だから狙ってる人は多そうだって話よ」
「タラシ・・・・・女好き・・・・なんだか、年を取ったおじさんのイメージですね?」
「噂じゃヒソヒソ・・・・」
「えっ・・・・ヒソヒソ・・・え、見ただけで妊娠・・・・・?」
買い物をした街でそんな話題を聞いた後のことだったから、お兄・・・ゲフン、お姉様達が行くとは思わなかったと、香帆は驚いた。
「冴帆兄様も婚約者として行くんですか?」
「ちょっと、香帆、そこは姉様とお呼びなさいなっ!そして、婚約なんかするもんですか!付き合い上やむなく祝いに行くだけよっ」
「はぁ・・・冴帆姉様もパーティーに参加なさるんですか?」
「そうよ、志帆姉様も一緒に行くから、香帆は留守番して頂戴ねー」
「私も美味しいものを食べに行きたいです」
「香帆、貴方はあの馬鹿王子に目を付けられるかも知れないから駄目よ。私達は、真帆がいるから仕方がなく向かうけれど・・・いい、着いてきちゃだめだからね?」
そう言いながら泣く泣くお城へ行ったガタイ姉二人。香帆は食べ物に未練を残しつつ、部屋に戻った。
ベッドに埋もれ、パーティーで出るであろう食事を想像しては涙していた。
「うー。ごちそうが食べたいです・・・・・!!」
「・・・その、願い、莉里が叶える」
「莉里ちゃん!!!」
「莉里の魔法・・・無敵」
魔法使いの莉里はそう言うと、ステッキを一振りした。すると、エプロン姿だったのがいきなり、ドレスに変化し、お姫様の様に綺麗になっていた。
そして、玄関には、何故かヤンキーの鼠と猫が登場し、馬車を率いていた。
「すごいっ・・・・かぼちゃの馬車ですね。ありがとうございます、莉里ちゃん!!」
「美味しいの・・・たくさん食べる、でも、12時まで。いってらっしゃい・・・」
莉里に何度も手を振り返した香帆は馬車に揺られて、城へと向かった。
そして、お城に着くと、たくさんの料理が並んでいる。目をキラキラさせた香帆はそのまま食事に夢中になって食べていた。
一方、王子様はというと、宰相や友人と一緒に部屋を見渡していた。
「・・・あまり好みの子がいない・・・ちっ」
「そりゃ、お前の女好きっつー噂は隣の国まで広まっている。そんなお前のとこにくるのはビッチか過去の女ぐらいのもんだろ」
「そうだな、八尋様が女たらしのせいで不評だから、仕方がなしにパーティーをやることになったんだ」
「真帆さん、虎矢、それでも、そんな俺の所に来たいと思える女性こそ大事にしなければならない運命の相手になるのでは」
「はっはっ、八尋様は相変わらず頭がいい癖にこういう時だけバカになるのなー」
「相変わらず残念な王子様だ。そんな女はお前の肩書と名声目当てに決まっている」
「・・・・そういうことじゃないんだ、こら話を聞け」
「あーはいはいはいはい、さっさと未来の奥さんを探しに行ってこい」
「あ、なるべくなら金遣いが荒くない女を選びなさい。国民の税金で暮らすということを忘れないように」
「いや、だから結婚と恋愛は別・・・」
王子としてはそういうことではないのだ。そう言う意味での出会いは求めていない!と力説するが、当の悪友である虎矢も、口うるさい宰相も聞き流して食事に夢中になっていた。
「・・・うう、真帆さんも虎矢の奴もつれない・・・・・あれ?」
目に留まったのは、ケーキを頬張って嬉しそうな顔をしている女性。
普段八尋の傍に群がってくる令嬢達とは違い、清楚なドレスに薄化粧。
アクセサリーも過度なものではなく、シンプルなチョーカーのみ。
今までにいなかったタイプの上に、雰囲気的に好みだと判断した八尋は即座に行動に移した。
「・・・・・失礼、お嬢さん、お名前は?」
これまでこれで落ちなかった女性はいない!と、ここぞとばかりにアピールするように隣に立ったが、当の香帆は振り向きもしない。八尋はあれ?と思いながらも、気を取り直してもう一度聞いた。
「失礼、お嬢さんの名前を教えていただきたいんだが」
「・・・・・・どなた様ですか?」
・・・・・・あれ?俺有名なんじゃなかったの?あ、でも、女たらしとはバレていないからいいのか?と、気を取り直した八尋はこの国の王子だと顔を作って自己紹介してみせた。
すると、香帆が思い出したように口を開いて微笑み・・・・・一気に距離を置いて離れだした。
「ああ、あの見ただけで妊娠するとか噂の・・・老婆から幼い子まで見境なく襲っている王子様だとか。隣国にまで巨乳好きが広まり、妊娠した女性から複数の裁判を起こされてるのにそれを無視しているというあの鬼のようにヒドイと評判の・・・・鬼王子・・・ですよね?」
「違う、違う、違う!!!なにソレ、めっちゃ酷い噂になってないか・・・・・!!!」
そこまで自分の噂が酷いと思っていなかった八尋は必死に弁解した。
「違うっ、巨乳好きは認めるけれど、それ以外は全然違うっ!!!!」
「・・・・・でも、寄ってきた女性を例外なく食っているとか聞いてますけれど」
「・・・・く、来るもの拒わず、去る者追わずなのは・・否定できないけれど・・・あの、お嬢さん、そんな冷たい視線を寄越さないでくれないか」
「私、王子様に興味ないので、消えてください」
「はぅっ?それなら、な、何故ここに?」
「この国最高といわれている城のごちそうを食べたかっただけです。あ、それ以上寄らないでください。私はまだ妊娠したくないし、貴方の妻になる気もありませんので」
「あのー、さすがの俺も近寄っただけで妊娠はさせられないんだけどー」
思わず敬語になった八尋だが、当の香帆は絶対に近寄りたくないと離れたまま。
じりじりと間合いを詰めようと必死になっている八尋に話しかけてきたのは宰相の真帆だった。
「どうしました、お目当ての女性でも・・・って香帆!?なんでここにいるっ!?」
「あ、真帆兄様。」
「真帆さんの妹っ?!なんでこんな可愛い妹がいるって教えてくれなかったのーー!?」
思わずというように真帆に近寄る八尋。真帆は苦々し気に近寄ってきた八尋を押しのけた。一応王子様なのにと思いながらも、八尋は必死に食らいつくように真帆の腕を掴んでいた。
真帆は鬱陶しいと思いつつも、香帆が来たことに驚きを隠せない。
「ちっ・・・誰が大事な妹を毒牙にかけたいと思うのか。いや、それより何故ここに?招待状は?」
「魔法使いの莉里ちゃんが助けてくれました。招待状は兄様の名前でフリーパスです♪」
「香帆、それを食べ終わったらさっさと帰ろうな?こんなバカな王子様なんぞ無視していいから」
「待って、真帆さんっ!!!!後生だから、香帆さんと話をさせてぇええええ、こんな清楚な子が俺の前に現れることってなかなかないんだよ?」
「そりゃ、お前の女性歴を考えればな・・・俺だって一生会わせたくなかった」
香帆を隠すように真ん中に立つ真帆に対して懇願する八尋だが、真帆は受け入れない。
それどころか、真帆の援護射撃に他の面々も現れてきた。
「香帆ちゃん、なんでここにいるのぉ、留守番はっ?」
「どけ、このバカ王子。あたくし達の大事な香帆に近寄るな」
「冴帆さんに志帆さんまで!!!!」
「俺、一応王子!」と涙目になっていると、悪友の登場。悪友なら助けてくれると期待した八尋だったが、その期待は思いっきり裏切られた。
「はいはい、八尋様、離れて、離れて」
「なんでお前までそっち側になってんだよ、虎矢!!ここは王子が更生するのを期待し、応援するところだろ!」
「お前が更生・・・?ははっはははははっは、笑わせるな。初体験の12歳を皮切りに一度たりとも女が途切れたことのないお前が今更禁欲できると?無理に決まってんじゃん」
「うっぐ」
バカにしたように笑う虎矢に何も言い返せなかった八尋は撃沈した。
そんな八尋をあざ笑うように、香帆が虎矢に笑顔で話しかけている。それに気づいた八尋は呆然と成り行きを見ていた。
「あ、虎矢さんっ、こんばんは!」
「久しぶりー、香帆ちゃん。元気そうでよかったよ。あ、あっちのケーキ美味しいんだよねー」
「え、どれですか?」
「ちょ、ちょっと待って、なんでお前が先に仲良くなっちゃってんの~!?」
いつの間にか八尋を差し置いて仲良くなっていた虎矢は、八尋と引き離すべく、香帆をお目当てのケーキの方へと誘導し出した。追おうとする八尋を抑えながら、真帆は当然とばかりに頷いている。
「誰が女たらしに会わせるかよ。虎矢はああ見えて以外に真面目だからな。万が一のためにと会わせたのだが、ほんと、正解だったな」
「俺対策のためかよっ!!!おーい、おーい、香帆さんやぁああああ!!!」
今知ったばかりの名前を呼ぶが、当の香帆はケーキに夢中で気づいていない。
こうなればと、最終手段とばかりに、八尋は香帆に向かって叫んだ。
「か、会話してくれたら、食べ放題のケーキバイキングを奢るからぁあああっ!!!!」
「・・・・・・・・・・・・それ、本当ですか?」
「はうっ、はい!!!」
「香帆、ケーキにつられるなーーーーっ!?」
一瞬にして、八尋の目の前にやってきた香帆に誰もが突っ込むはめになったが、八尋としては香帆が来てくれただけで嬉しいと涙目状態になっていた。
「あの、か、香帆さん・・・」
「ケーキバイキングはどこに?いつ、どこで何時に?」
「・・・・・あの、その、明日では如何だろうか」
「・・・・明日・・・あ、明日はダメだ。莉里ちゃんと会う約束・・・・」
「なら、明後日は!!」
その日は無理これも無理という香帆に対し、八尋は必死にスケジュールを調整して、なんとか一ヶ月後に約束を取り付けることができた。
「・・・香帆さん、では一ヶ月後に」
「あ、これ美味しい。」
「・・・・・もう興味ないんですか、そうですか・・・しくしく」
クールでドライさんなんですね・・・と呟いた八尋を余所に、香帆は別のお菓子を堪能していた。そうこうしている内に、夜の12時が迫っていることに気づいた香帆は残念そうに皿を置いた。
「あ。時間・・・・帰らないと莉里ちゃんに怒られる・・・。じゃあ、お兄様達、お先に。ああ・・もっと食べたかったです・・・」
「「「気を付けて帰れよー」」」
「また一ヶ月後に、香帆さんっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・ああ、バイキングの人ですね。ああ、はい、さようなら」
「ま、まってくれ、何か約束の証となるものが欲しいのだが、ダメだろうか?」
興味なさそうに帰ろうとする香帆に懇願する八尋。
香帆は一旦考え込んだ後、ガラスの靴を八尋の手にのせた。
「街じゃガラス製品は処分が難しいんですよね。なので、この靴の処分をお願いします」
こうして、香帆は12時の鐘とともに裸足で馬車に乗って帰っていった。
王子の名前を覚えることもなく、大量のごちそうに満足して、その日はすやすやと眠りましたとさ。
「あー美味しかったですわ。満足満足」
一方の八尋は何故か、ガラスの靴を大事に飾りだした。部屋の中央に大事に飾りだした八尋に呆れた虎矢はガラスの靴を指さした。
「おい、処分しないのか」
「何を言うか、俺の大事な天使が気を使って、そう言ってくれただけだ」
「いや、本当に気を使ってるなら、ガラスの靴自体渡さないから・・・完全に捨てるのが面倒だからお前に渡しただけだし」
「現実逃避してるのに、ばっさりと言うなっ。それより、虎矢、俺は後一ヶ月で生まれ変わってみせる」
「その前に、名前を覚えてもらうのが先だぞ、鬼王子」
「とりあえず、裁判うんぬんも含めて俺の噂の火消しだけは頼む」
あー、ソレは無理と首を振った虎矢に、八尋はお願いだからと土下座までしだしたが、やり取りは終わらず、ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人。こうして、八尋と虎矢のやり取りは朝まで続いた。
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口が悪い姉兄達にそれこそ、もう鬱陶しいと思うレベルで大事にされて育ったため、恋愛方面では疎いところがありますが、基本的に優しい女性です。
そんな香帆さんは美味しいものに目がありません。
「はぁ・・・お城で王子様の誕生日パーティーがあるんですか」
「そーよ。知らなかったの?連日この話で持ちきりよ」
「きっと美味しいモノとか食べられるんでしょうね・・・あ、楽しみです」
「え、そっち?!違う違う、誕生日パ―ティーだけれど、実際は、王子様の婚約者を決めるために開催されたらしいわ。我が国の王子様は無類の女好きで最悪のタラシだけれど、一応、王子様だから狙ってる人は多そうだって話よ」
「タラシ・・・・・女好き・・・・なんだか、年を取ったおじさんのイメージですね?」
「噂じゃヒソヒソ・・・・」
「えっ・・・・ヒソヒソ・・・え、見ただけで妊娠・・・・・?」
買い物をした街でそんな話題を聞いた後のことだったから、お兄・・・ゲフン、お姉様達が行くとは思わなかったと、香帆は驚いた。
「冴帆兄様も婚約者として行くんですか?」
「ちょっと、香帆、そこは姉様とお呼びなさいなっ!そして、婚約なんかするもんですか!付き合い上やむなく祝いに行くだけよっ」
「はぁ・・・冴帆姉様もパーティーに参加なさるんですか?」
「そうよ、志帆姉様も一緒に行くから、香帆は留守番して頂戴ねー」
「私も美味しいものを食べに行きたいです」
「香帆、貴方はあの馬鹿王子に目を付けられるかも知れないから駄目よ。私達は、真帆がいるから仕方がなく向かうけれど・・・いい、着いてきちゃだめだからね?」
そう言いながら泣く泣くお城へ行ったガタイ姉二人。香帆は食べ物に未練を残しつつ、部屋に戻った。
ベッドに埋もれ、パーティーで出るであろう食事を想像しては涙していた。
「うー。ごちそうが食べたいです・・・・・!!」
「・・・その、願い、莉里が叶える」
「莉里ちゃん!!!」
「莉里の魔法・・・無敵」
魔法使いの莉里はそう言うと、ステッキを一振りした。すると、エプロン姿だったのがいきなり、ドレスに変化し、お姫様の様に綺麗になっていた。
そして、玄関には、何故かヤンキーの鼠と猫が登場し、馬車を率いていた。
「すごいっ・・・・かぼちゃの馬車ですね。ありがとうございます、莉里ちゃん!!」
「美味しいの・・・たくさん食べる、でも、12時まで。いってらっしゃい・・・」
莉里に何度も手を振り返した香帆は馬車に揺られて、城へと向かった。
そして、お城に着くと、たくさんの料理が並んでいる。目をキラキラさせた香帆はそのまま食事に夢中になって食べていた。
一方、王子様はというと、宰相や友人と一緒に部屋を見渡していた。
「・・・あまり好みの子がいない・・・ちっ」
「そりゃ、お前の女好きっつー噂は隣の国まで広まっている。そんなお前のとこにくるのはビッチか過去の女ぐらいのもんだろ」
「そうだな、八尋様が女たらしのせいで不評だから、仕方がなしにパーティーをやることになったんだ」
「真帆さん、虎矢、それでも、そんな俺の所に来たいと思える女性こそ大事にしなければならない運命の相手になるのでは」
「はっはっ、八尋様は相変わらず頭がいい癖にこういう時だけバカになるのなー」
「相変わらず残念な王子様だ。そんな女はお前の肩書と名声目当てに決まっている」
「・・・・そういうことじゃないんだ、こら話を聞け」
「あーはいはいはいはい、さっさと未来の奥さんを探しに行ってこい」
「あ、なるべくなら金遣いが荒くない女を選びなさい。国民の税金で暮らすということを忘れないように」
「いや、だから結婚と恋愛は別・・・」
王子としてはそういうことではないのだ。そう言う意味での出会いは求めていない!と力説するが、当の悪友である虎矢も、口うるさい宰相も聞き流して食事に夢中になっていた。
「・・・うう、真帆さんも虎矢の奴もつれない・・・・・あれ?」
目に留まったのは、ケーキを頬張って嬉しそうな顔をしている女性。
普段八尋の傍に群がってくる令嬢達とは違い、清楚なドレスに薄化粧。
アクセサリーも過度なものではなく、シンプルなチョーカーのみ。
今までにいなかったタイプの上に、雰囲気的に好みだと判断した八尋は即座に行動に移した。
「・・・・・失礼、お嬢さん、お名前は?」
これまでこれで落ちなかった女性はいない!と、ここぞとばかりにアピールするように隣に立ったが、当の香帆は振り向きもしない。八尋はあれ?と思いながらも、気を取り直してもう一度聞いた。
「失礼、お嬢さんの名前を教えていただきたいんだが」
「・・・・・・どなた様ですか?」
・・・・・・あれ?俺有名なんじゃなかったの?あ、でも、女たらしとはバレていないからいいのか?と、気を取り直した八尋はこの国の王子だと顔を作って自己紹介してみせた。
すると、香帆が思い出したように口を開いて微笑み・・・・・一気に距離を置いて離れだした。
「ああ、あの見ただけで妊娠するとか噂の・・・老婆から幼い子まで見境なく襲っている王子様だとか。隣国にまで巨乳好きが広まり、妊娠した女性から複数の裁判を起こされてるのにそれを無視しているというあの鬼のようにヒドイと評判の・・・・鬼王子・・・ですよね?」
「違う、違う、違う!!!なにソレ、めっちゃ酷い噂になってないか・・・・・!!!」
そこまで自分の噂が酷いと思っていなかった八尋は必死に弁解した。
「違うっ、巨乳好きは認めるけれど、それ以外は全然違うっ!!!!」
「・・・・・でも、寄ってきた女性を例外なく食っているとか聞いてますけれど」
「・・・・く、来るもの拒わず、去る者追わずなのは・・否定できないけれど・・・あの、お嬢さん、そんな冷たい視線を寄越さないでくれないか」
「私、王子様に興味ないので、消えてください」
「はぅっ?それなら、な、何故ここに?」
「この国最高といわれている城のごちそうを食べたかっただけです。あ、それ以上寄らないでください。私はまだ妊娠したくないし、貴方の妻になる気もありませんので」
「あのー、さすがの俺も近寄っただけで妊娠はさせられないんだけどー」
思わず敬語になった八尋だが、当の香帆は絶対に近寄りたくないと離れたまま。
じりじりと間合いを詰めようと必死になっている八尋に話しかけてきたのは宰相の真帆だった。
「どうしました、お目当ての女性でも・・・って香帆!?なんでここにいるっ!?」
「あ、真帆兄様。」
「真帆さんの妹っ?!なんでこんな可愛い妹がいるって教えてくれなかったのーー!?」
思わずというように真帆に近寄る八尋。真帆は苦々し気に近寄ってきた八尋を押しのけた。一応王子様なのにと思いながらも、八尋は必死に食らいつくように真帆の腕を掴んでいた。
真帆は鬱陶しいと思いつつも、香帆が来たことに驚きを隠せない。
「ちっ・・・誰が大事な妹を毒牙にかけたいと思うのか。いや、それより何故ここに?招待状は?」
「魔法使いの莉里ちゃんが助けてくれました。招待状は兄様の名前でフリーパスです♪」
「香帆、それを食べ終わったらさっさと帰ろうな?こんなバカな王子様なんぞ無視していいから」
「待って、真帆さんっ!!!!後生だから、香帆さんと話をさせてぇええええ、こんな清楚な子が俺の前に現れることってなかなかないんだよ?」
「そりゃ、お前の女性歴を考えればな・・・俺だって一生会わせたくなかった」
香帆を隠すように真ん中に立つ真帆に対して懇願する八尋だが、真帆は受け入れない。
それどころか、真帆の援護射撃に他の面々も現れてきた。
「香帆ちゃん、なんでここにいるのぉ、留守番はっ?」
「どけ、このバカ王子。あたくし達の大事な香帆に近寄るな」
「冴帆さんに志帆さんまで!!!!」
「俺、一応王子!」と涙目になっていると、悪友の登場。悪友なら助けてくれると期待した八尋だったが、その期待は思いっきり裏切られた。
「はいはい、八尋様、離れて、離れて」
「なんでお前までそっち側になってんだよ、虎矢!!ここは王子が更生するのを期待し、応援するところだろ!」
「お前が更生・・・?ははっはははははっは、笑わせるな。初体験の12歳を皮切りに一度たりとも女が途切れたことのないお前が今更禁欲できると?無理に決まってんじゃん」
「うっぐ」
バカにしたように笑う虎矢に何も言い返せなかった八尋は撃沈した。
そんな八尋をあざ笑うように、香帆が虎矢に笑顔で話しかけている。それに気づいた八尋は呆然と成り行きを見ていた。
「あ、虎矢さんっ、こんばんは!」
「久しぶりー、香帆ちゃん。元気そうでよかったよ。あ、あっちのケーキ美味しいんだよねー」
「え、どれですか?」
「ちょ、ちょっと待って、なんでお前が先に仲良くなっちゃってんの~!?」
いつの間にか八尋を差し置いて仲良くなっていた虎矢は、八尋と引き離すべく、香帆をお目当てのケーキの方へと誘導し出した。追おうとする八尋を抑えながら、真帆は当然とばかりに頷いている。
「誰が女たらしに会わせるかよ。虎矢はああ見えて以外に真面目だからな。万が一のためにと会わせたのだが、ほんと、正解だったな」
「俺対策のためかよっ!!!おーい、おーい、香帆さんやぁああああ!!!」
今知ったばかりの名前を呼ぶが、当の香帆はケーキに夢中で気づいていない。
こうなればと、最終手段とばかりに、八尋は香帆に向かって叫んだ。
「か、会話してくれたら、食べ放題のケーキバイキングを奢るからぁあああっ!!!!」
「・・・・・・・・・・・・それ、本当ですか?」
「はうっ、はい!!!」
「香帆、ケーキにつられるなーーーーっ!?」
一瞬にして、八尋の目の前にやってきた香帆に誰もが突っ込むはめになったが、八尋としては香帆が来てくれただけで嬉しいと涙目状態になっていた。
「あの、か、香帆さん・・・」
「ケーキバイキングはどこに?いつ、どこで何時に?」
「・・・・・あの、その、明日では如何だろうか」
「・・・・明日・・・あ、明日はダメだ。莉里ちゃんと会う約束・・・・」
「なら、明後日は!!」
その日は無理これも無理という香帆に対し、八尋は必死にスケジュールを調整して、なんとか一ヶ月後に約束を取り付けることができた。
「・・・香帆さん、では一ヶ月後に」
「あ、これ美味しい。」
「・・・・・もう興味ないんですか、そうですか・・・しくしく」
クールでドライさんなんですね・・・と呟いた八尋を余所に、香帆は別のお菓子を堪能していた。そうこうしている内に、夜の12時が迫っていることに気づいた香帆は残念そうに皿を置いた。
「あ。時間・・・・帰らないと莉里ちゃんに怒られる・・・。じゃあ、お兄様達、お先に。ああ・・もっと食べたかったです・・・」
「「「気を付けて帰れよー」」」
「また一ヶ月後に、香帆さんっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・ああ、バイキングの人ですね。ああ、はい、さようなら」
「ま、まってくれ、何か約束の証となるものが欲しいのだが、ダメだろうか?」
興味なさそうに帰ろうとする香帆に懇願する八尋。
香帆は一旦考え込んだ後、ガラスの靴を八尋の手にのせた。
「街じゃガラス製品は処分が難しいんですよね。なので、この靴の処分をお願いします」
こうして、香帆は12時の鐘とともに裸足で馬車に乗って帰っていった。
王子の名前を覚えることもなく、大量のごちそうに満足して、その日はすやすやと眠りましたとさ。
「あー美味しかったですわ。満足満足」
一方の八尋は何故か、ガラスの靴を大事に飾りだした。部屋の中央に大事に飾りだした八尋に呆れた虎矢はガラスの靴を指さした。
「おい、処分しないのか」
「何を言うか、俺の大事な天使が気を使って、そう言ってくれただけだ」
「いや、本当に気を使ってるなら、ガラスの靴自体渡さないから・・・完全に捨てるのが面倒だからお前に渡しただけだし」
「現実逃避してるのに、ばっさりと言うなっ。それより、虎矢、俺は後一ヶ月で生まれ変わってみせる」
「その前に、名前を覚えてもらうのが先だぞ、鬼王子」
「とりあえず、裁判うんぬんも含めて俺の噂の火消しだけは頼む」
あー、ソレは無理と首を振った虎矢に、八尋はお願いだからと土下座までしだしたが、やり取りは終わらず、ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人。こうして、八尋と虎矢のやり取りは朝まで続いた。
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