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鬼人族のメンバーの恋
【巳編】捻れた好き*1*
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巳園 奈津。高校2年生、成績は中の上で、顔も平均的。
そんな私だが、半年前に父が再婚した関係で、同じ年の義理の兄ができた。
新しく母となった女性とは割とすぐに打ち解けることが出来てほっとしていた。・・・問題は、その義理の兄の方。
「奈津、おはよう」
「おはよう、朱莉」
学校に着くと、親友が話しかけてきてくれた。
「いやぁ、今日も凄かった。今でも、隣のクラスで未だに女子がキャーキャー騒いでいるのが聞こえてるし」
「・・・・あっちは有名だから」
「さすが、天下の錦蛇翔様ってか」
私の義理の兄となった錦蛇翔は、同学年どころか、学校の中じゃ、名前を知らない者はいないほど有名だ。(まぁ、3年の鬼人族のみんなの人気には及ばないらしいけれど。)
成績は常に1位か2位。
スポーツ万能で体育祭のリレーは常に上位。
先生たちの覚えもめでたい優等生。
かと思えば、生徒会に入るタイプでもないと謙遜しているし、友達付き合いもフレンドリーで厭味がない。でもって、喧嘩も強いらしく、暴走族のリーダーとも仲がいいという噂もある。
とにかく超がつく人気者で、他校にもうわさが広がるほど有名。
そんな義理の兄は、学校では『錦蛇』の姓を名乗ったまま、過ごしている。
「・・・・・そうだね」
「うーん、正直、今でも信じられないんだけれど、あんたが言うんなら相当な猫かぶりだよね、あれ」
親友が肩を竦めたのを見ながら、奈津は思いだしていた。彼との初対面の時のことを。
(あれは・・・再婚を前に、初めて家族全員で夕食会に行こうってなった時だっけ。)
「あ、錦蛇君・・・」
「・・・ちっ・・・義理の妹になるのってお前だったのかよ」
「ちょっと!! ごめんね、奈津ちゃん。あなたね、妹が出来るって楽しみにしていたのに、どうしていきなりそんなことを言うのよ?」
「・・・母さん、巳園さん、やっぱり昼間に言ったこと、撤回する。再婚は構わないって言ったけれど、こいつが妹になるっつーんなら、条件を付け足す」
(いきなり、お前とかこいつ呼ばわりされた上に、私を前にして条件を付け足すとか・・・そこまで嫌われているのって、相当だよね。何か、知らないうちにやっちゃったんだろうか。)
ぼんやりとしながらも、義兄が付け足した条件に対して、頷いたことだけは覚えている。
「学校では絶対にこの子と兄妹になるってことは伏せておいて。もちろん、学校では名字も変えない。お前も絶対に学校ではしゃべるなよ。俺は・・・・お前と兄妹の関係になるのはまっぴらごめんだから」
(・・・あの状態でよく家に来る親友にだけは話していいかと口に出せたもんだなぁ、私。)
「はぁ。ま、そいつの口が堅いならいいぜ」
ということで、朱莉(あかり)にだけは話したのだが、この通り義兄の外面が良いため、あまり信じてもらえていない。
奈津は家に帰った後も、必死に思いだそうとしたが、どう考えても嫌われる理由が思い当たらない。
そもそも、あっちが有名だから名前を知っているとはいえ、余り話すような仲でもないし、ファンでもないので、追っかけてもすらない。結論、手の打ちようがない。
そのため、お手上げ状態。同居して半年経った今でも、奈津に対して冷たい態度が続いている。
(何かしたのなら謝りようはあるんだけれど、あっちは話しかけてくんなってカンジだし・・・お母さんが必死に謝ってくれる分居た堪れない。)
チャイムが鳴ったので、我に返り、自分の席に座った。朱莉はまた後でねーと手を振ってくれた。 昼休みになって、弁当をと思い、鞄を開けた奈津だったが、真っ青になっていた。
「どうしたの、奈津?」
「・・・弁当を忘れた・・・売店に行かないと」
「ありゃ、いってらっしゃい」
しょうがないから売店に行くと、財布を持って立ち上がった時、いきなり教室で悲鳴が上がった。
朱莉と2人でドアの方を見ると、翔が笑顔で立っていた。しかも、奈津の弁当が入った袋を持っていて。それを見た奈津が固まったのは言うまでもない。
「巳園さんの弁当でしょ?廊下に落ちていたよ?」
そう言われて、近寄らないわけにはいかず。しぶしぶと近寄り、弁当を受け取ったその時、翔が耳元で囁いてきた。
「忘れ物するとか、小学生かよ。言っとくが、二度目はねぇからな」
耳元から離れた時の翔の笑顔と対照的な冷たい声に、奈津はぞわりと身を竦ませた。そのせいで声が裏返ってしまったが、気にしたら終わりだと瞬時に判断した。
「・・・アリガトウゴザイマス」
「どういたしまして。それだけだから、じゃあね」
(・・・だから、ほっんとうに何をしたの・・・・私ば!!!)
周りに注目されながら席に戻るのも辛い。のろのろと椅子に座るとすぐに机に頭を伏せた。
この一瞬でライフポイントがゼロになった感が強い。
「・・・めっちゃすごいオーラだね。見てみなよ、クラスの女子に注目されているじゃん」
「朱莉、言わないで、お願いだから・・・」
「あんな人が奈津を嫌うって、相当なことしたんじゃないの?」
「でも、本当に身に覚えがないんだってば」
弁当を食べながらも、朱莉とひそひそと会話をしていたが、やっぱり思い当たることがなく、やけ食いするしかなかった。
(第一、あんな有名な人に何かやってたらとっくに思い出しているよ・・・・!!!)
そんな私だが、半年前に父が再婚した関係で、同じ年の義理の兄ができた。
新しく母となった女性とは割とすぐに打ち解けることが出来てほっとしていた。・・・問題は、その義理の兄の方。
「奈津、おはよう」
「おはよう、朱莉」
学校に着くと、親友が話しかけてきてくれた。
「いやぁ、今日も凄かった。今でも、隣のクラスで未だに女子がキャーキャー騒いでいるのが聞こえてるし」
「・・・・あっちは有名だから」
「さすが、天下の錦蛇翔様ってか」
私の義理の兄となった錦蛇翔は、同学年どころか、学校の中じゃ、名前を知らない者はいないほど有名だ。(まぁ、3年の鬼人族のみんなの人気には及ばないらしいけれど。)
成績は常に1位か2位。
スポーツ万能で体育祭のリレーは常に上位。
先生たちの覚えもめでたい優等生。
かと思えば、生徒会に入るタイプでもないと謙遜しているし、友達付き合いもフレンドリーで厭味がない。でもって、喧嘩も強いらしく、暴走族のリーダーとも仲がいいという噂もある。
とにかく超がつく人気者で、他校にもうわさが広がるほど有名。
そんな義理の兄は、学校では『錦蛇』の姓を名乗ったまま、過ごしている。
「・・・・・そうだね」
「うーん、正直、今でも信じられないんだけれど、あんたが言うんなら相当な猫かぶりだよね、あれ」
親友が肩を竦めたのを見ながら、奈津は思いだしていた。彼との初対面の時のことを。
(あれは・・・再婚を前に、初めて家族全員で夕食会に行こうってなった時だっけ。)
「あ、錦蛇君・・・」
「・・・ちっ・・・義理の妹になるのってお前だったのかよ」
「ちょっと!! ごめんね、奈津ちゃん。あなたね、妹が出来るって楽しみにしていたのに、どうしていきなりそんなことを言うのよ?」
「・・・母さん、巳園さん、やっぱり昼間に言ったこと、撤回する。再婚は構わないって言ったけれど、こいつが妹になるっつーんなら、条件を付け足す」
(いきなり、お前とかこいつ呼ばわりされた上に、私を前にして条件を付け足すとか・・・そこまで嫌われているのって、相当だよね。何か、知らないうちにやっちゃったんだろうか。)
ぼんやりとしながらも、義兄が付け足した条件に対して、頷いたことだけは覚えている。
「学校では絶対にこの子と兄妹になるってことは伏せておいて。もちろん、学校では名字も変えない。お前も絶対に学校ではしゃべるなよ。俺は・・・・お前と兄妹の関係になるのはまっぴらごめんだから」
(・・・あの状態でよく家に来る親友にだけは話していいかと口に出せたもんだなぁ、私。)
「はぁ。ま、そいつの口が堅いならいいぜ」
ということで、朱莉(あかり)にだけは話したのだが、この通り義兄の外面が良いため、あまり信じてもらえていない。
奈津は家に帰った後も、必死に思いだそうとしたが、どう考えても嫌われる理由が思い当たらない。
そもそも、あっちが有名だから名前を知っているとはいえ、余り話すような仲でもないし、ファンでもないので、追っかけてもすらない。結論、手の打ちようがない。
そのため、お手上げ状態。同居して半年経った今でも、奈津に対して冷たい態度が続いている。
(何かしたのなら謝りようはあるんだけれど、あっちは話しかけてくんなってカンジだし・・・お母さんが必死に謝ってくれる分居た堪れない。)
チャイムが鳴ったので、我に返り、自分の席に座った。朱莉はまた後でねーと手を振ってくれた。 昼休みになって、弁当をと思い、鞄を開けた奈津だったが、真っ青になっていた。
「どうしたの、奈津?」
「・・・弁当を忘れた・・・売店に行かないと」
「ありゃ、いってらっしゃい」
しょうがないから売店に行くと、財布を持って立ち上がった時、いきなり教室で悲鳴が上がった。
朱莉と2人でドアの方を見ると、翔が笑顔で立っていた。しかも、奈津の弁当が入った袋を持っていて。それを見た奈津が固まったのは言うまでもない。
「巳園さんの弁当でしょ?廊下に落ちていたよ?」
そう言われて、近寄らないわけにはいかず。しぶしぶと近寄り、弁当を受け取ったその時、翔が耳元で囁いてきた。
「忘れ物するとか、小学生かよ。言っとくが、二度目はねぇからな」
耳元から離れた時の翔の笑顔と対照的な冷たい声に、奈津はぞわりと身を竦ませた。そのせいで声が裏返ってしまったが、気にしたら終わりだと瞬時に判断した。
「・・・アリガトウゴザイマス」
「どういたしまして。それだけだから、じゃあね」
(・・・だから、ほっんとうに何をしたの・・・・私ば!!!)
周りに注目されながら席に戻るのも辛い。のろのろと椅子に座るとすぐに机に頭を伏せた。
この一瞬でライフポイントがゼロになった感が強い。
「・・・めっちゃすごいオーラだね。見てみなよ、クラスの女子に注目されているじゃん」
「朱莉、言わないで、お願いだから・・・」
「あんな人が奈津を嫌うって、相当なことしたんじゃないの?」
「でも、本当に身に覚えがないんだってば」
弁当を食べながらも、朱莉とひそひそと会話をしていたが、やっぱり思い当たることがなく、やけ食いするしかなかった。
(第一、あんな有名な人に何かやってたらとっくに思い出しているよ・・・・!!!)
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