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11)2人の近いようで遠い距離感
しおりを挟む「なるほど、モーント国の末娘は聖女であったか」
「はい。ただ、我が国にもそれを利用せんとする輩がいることを警戒して秘密裏にしていたとのことです」
親子の会話のわりには距離を置いた王族の2人。それを見守っていたそれぞれの腹心はそれぞれ記録をとりながら主の駆け引きともとれる会話を見守っていた。
「ふむ、それは当然の警戒といえような。しかし、何故今になってばらしたのだ?」
「恐らくではありますが、ディアに自覚を促し、力をコントロールさせるため。そして…‥我が国に対しての忠告かと」
「なるほど。あちらも我が国が一枚岩ではないと見破ったということだな」
「ええ」
聡明なる王は飲み干した酒杯を机におき、腕を組む。
「――つまり、我が城にスパイが紛れ込んでおり、それがディア姫の傍にいるから警戒しておけということか」
相変わらず頭が切れると思いながらスピカは頷きながら酒杯に手を付けた。
「これでもし聖女に何かあれば間違いなく我々が責任を持つことになるし糾弾される立場になるのでしょうね」
「――そうなればいかな我が国と言えども非難を受ける。ましてや女神の加護を失うなどあってはならぬ、か。……よかろう。私が彼女の後ろ盾になることを確約しよう」
「ありがとうございます」
「お前も食えぬやつよ」
「――母上への対応はお任せします」
立ち上がりながら、暗に皮肉を伝えれば、父王はなぜか声をあげて笑い出した。一体何なのかわからないスピカは眉をひそめたが、珍しく父王が目を細めた。
「そういうところは似ておるな。やはり血筋によるものかもしれぬな」
「は?」
「・・・・・・よかろう。アレにはわしから伝えておく」
「はぁ。お任せします」
「ディア姫にはそれとなく会っておこう」
ーー確かにそう言ってはいた。言ってはいたが、さすがに行動が早すぎるだろう。夫婦揃って夜ご飯の時に現れるとは思わなかったスピカは内心で毒づいた。今、スピカの前ではディアが父と会話している。しかもお互い笑顔満面で、だ。このスピードの変化にとてもじゃないがついていけない。
「そうかそうか、ディア姫もそう思われるか。わしも飛行機に関しては改良の余地があると思っていたが、まさかブラックボックスに目を向けるとは。しかも、その構造についても詳しいとは思わなかったぞ!」
「飛行機は確かに恐ろしいものではありますが、うまく利用できれば利便性は高まります。この国は飛行船の開発に成功したと聞いていますし、是非飛行機の改良にも着手していただければと」
「いや、わが妻も才媛であったが、そなたの知識もなかなかのものよ。よければそなたの力をかりたいものだ」
「飛行船の構造を見てみないことにはなんとも……」
「ほう、つまり転用ができる可能性があるということだな! なれば、今度一緒に視察しに行くかね?」
「いいのですか? でしたら、是非!」
―――誰か教えてくれ。何故こうなった!?
まさか未来の嫁と父が飛行機とやらの話をきっかけに意気投合すると誰が思うのか。
というか、ひこーきとやらは一体どういうものだ?
くそ、まさかこの俺が機械がらみの会話で追いつけないとは……。
「よく話が見えないのだが、どういうことを話しておるのだ? 飛行機とやらはそんなに便利なものかえ?」
奇遇ですね、母上。珍しくあなたと意見が合いましたよ。まあ、口にはしませんが。
「よくわかりませぬが、異世界にある飛行機とやらの計画で盛り上がっているようです」
「――聖女としての力なのか、あるいは転生とやらの知識なのか、どちらじゃ?」
「恐らくは両方でしょう。知識とはいえ、図をさらっとかけるほどの記憶力があるとは思えません」
「確かにのう。それにしてもお前とこうやって会話をすることになろうとはな、人生何が起こるかわからぬものじゃ」
「…‥珍しくヤキモチを妬かないんですね?」
「聖女である以上、それなりに配慮せねばならぬことぐらいわらわとて心得ておるわ。それに、ディアであれば……陛下の力になれるかもしれぬしな」
「力に…‥?」
「――かつてのお前は陛下の害にしかならなかったが、ディアがきてからはマシになったようだ」
「言ってくれますね」
「あの娘がいるならばお前も生かす価値があるな」
「・・・・・・・」
「解るか、お前よりもディアの方が遥かに価値があるということじゃ。できた嫁をせっかく手に入れたのだ、お前の愚かさで逃がすようなことはせぬようにな」
我が陛下のためにもなと言い残した母は口元を拭った後、部屋に帰ると言い出した。いつもなら父を待っているというのにこれまた珍しい。しかもーー機嫌がよさそうに出ていった。
―――本当にディアが現れてから色々と変化が起こるな。
「―――とりあえず、父上もディアもそこまでに・・・・ってなんで2人そろってがっかりした顏になるんですか。明日にでも話せるでしょう」
「それもそうだな! おい、明日の予定は?」
「そうですね、昼頃であれば一時間は確保できます」
「アメジス、パルに伝えてディアの昼の時間を陛下に合わせて押さえておいてくれ…‥」
「かしこまりました」
そうして約束を取り付けた2人は満足していたが、スピカとしては頭が痛い問題だった。しかし、これで陛下がディアの後ろ盾となることは確定したのでよしとする。なぜかって、あそこまで盛り上がった2人だぞ、どう考えても断るなどありえない。
「でも、どうして陛下がいきなり現れたのかしら」
「陛下にお前の後ろ盾になるようにお願いしたら、一度会いたいと言われてな」
「――あ、そうだったんだ!? どうしよう、テンションあがって馴れ馴れしくしてしまったかも知れません」
「意気投合しておいて今更か! 問題ない。あの人は嫌ならはっきり断る人だ」
「あ、それならよかった…‥でも、王妃様の態度は意外でした。てっきりにらまれるかと」
「―――それは俺も思った。だが、思いのほかお前への評価が高かったな」
それに、あの言い方が気になる。あの母でさえ、ディアを重要視するなどありえない。恐らくは自分がまだ知らないことを知っている可能性がある。それをどうやって暴くかが問題だ。しかし、どこからどうやって調べていいのかわからないスピカはすぐに考えることを放棄した。
「考えても仕方がない。さて、シャワーに行くぞ」
「え? え、待って、なんで私も一緒に?」
「――もちろん、お前の身体を洗うためだが?」
「ちょっと待って、今までそんなことなかったじゃない!」
「―――陛下と会話で盛り上がって俺を蔑ろにした罰だ」
そんなと悲鳴をあげたディアを担ぎ上げ、シャワー室へと向かうスピカの足取りは軽い。
壁に押し付けた彼女の身体に熱いお湯が降り注ぐ。彼女の裸体は寝ている時に何度も見ているのに、濡れているせいか、タオルを巻いた状態でもエロさと色気が漂って見えた。濡れた前髪をかきあげながらスピカを見上げるディアの目が潤んで見えるのは羞恥心からか、それとも、自分の裸を見ていられないからか、どちらだろうと思ったスピカはディアを逃がさないように腰に手を回しながら囁いた。
「何が恥ずかしいんだ? こうしていることが? それとも俺が素っ裸だからか?」
「ぜ、全部っ・・・・・・!」
「そうかそうか」
スピカはそういいながらもディアの肩に吸い付く。少しずつ首筋に移動していくとディアが身動ぎしながら震えだした。それをいいことにスピカはタオルの間に見える太ももに手を伸ばしだした。そのまま手を後ろの方に滑らせ、両手で柔らかなお尻を揉む。その感覚を感じて背筋を伸ばしたディアだが、スピカはそのまま首筋にキスマークをつけて楽しむことにした。
リップ音が耳元で聞こえるのを感じたディアは思わず、スピカの胸に手を当てたが、意外と筋肉質なのに驚き、まじまじと触りはじめた。
「こら、くすぐったいって」
「だって……‥ちゃんと触ったことなかったから」
「お前の身体の方が柔らかいし、触りがいがあるよ」
「ちょ、待っ、待って!」
「煽ってきたお前が悪い」
スピカの手が上へ上へと這い上がり、ディアの胸の先端を摘まむ。濡れたタオル越しにも乳首がぷっくりするのが見てわかる。ディアも気付いたのだろう、それに慌てたディアが手で隠そうとするがそれより早くスピカがタオルをはぎ取り、口に含みだした。
ちゅばっと吸い付いた上に熱い舌に煩労されたディアは思わず弓なりに体を逸らした。しかし壁に固定されているため、逃げられない。思わず何度も吸い付いてくるスピカの頭を掴んで引き剝がそうとするが、快感で力が抜けてどうしても強く出れない。
「んっやっ・・・・・・」
「大丈夫、まだ最後までしない」
そういいながら、もう片方の手をディアの茂みの奥へと忍ばせるスピカの息はとても荒かった。興奮しているのは、彼のソレを見ればすぐに解ったし、それを嫌とも思わない。それでも、ディアは自分がこんなあられもない姿をさらしていると自覚しているだけに恥ずかしさの方が勝ってどうしても逃げたい気持ちにかかれた。しかし、スピカの指が襞に触れた瞬間、身体中に電流が流れるような快感を感じたことに戸惑いを感じていた。
「や、だ、もう、もう、いいっ、もうやめて・・・・・」
そういいながらも奥で感じ取れる彼の指の太さを意識してしまうと興奮さえ覚えてしまう自分がさらに恥ずかしかった。まるで飢えているように感じて何とも言えない。そんな気はなかったのにと思うも、身体の方が言うことを聞いてくれない。ディアはすがりつくようにスピカの胸にもたれ掛かるが、スピカの指は容赦なくディアの奥を攻め立てた。
「ディア」
「な、なに?」
「嫌がっているわりにお前の中はこれでもかと俺の指をくわえて離さない。お前もこれぐらい素直になってくれたら嬉しいんだがな」
「む、むり、むり、むりぃ・・・・・!」
思わず涙目で首を何度も横に振るが、それで見逃すスピカではない。ディアの混乱を他所に余裕を見せたスピカは何度もディアの顏にキスを降らしつつ、指で喜ばせることも忘れない。こういう余裕があるところがズルい。そう思ったディアの耳元でスピカがため息をついた。
「そんなわけないだろう。これでもお前の中に入れたくてたまらないのを我慢しているんだ」
―――噓。
頭がぼんやりとしていたけれど、スピカの言葉にそう言って返したことだけは覚えている。でも、その後のスピカの言葉は耳に入らなかった。
ねぇ、スピカ様……私ね、思うんだ。
今の私は本当にあなたの隣に立てるのかなって。
最悪な出会いだったけれど、それでもこの短い間で感じられたよ。
貴方の不器用な優しさを。
だからこそ、言うべきかどうか迷う。
ごめんね、スピカ様。
わたし、もしかしたらあなたの唯一になれないかもしれないの。
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