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1章:ありえないほど最弱から究極で最強へ
【2】転生令嬢、それはつまり魔王
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◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「どうしよう……」
私は寝る準備を整えてから、自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。
寝室はカーテンの隙間から差し込む月明かりだけに照らされている。
十六歳の誕生日を迎えた今日の夜、私の気分はどん底だ。
え? なんでかって?
端的に言うと、自分が転生者だったからだよ。
もっと具体的に言うと、転生した令嬢というやつだ。
十六歳の誕生日を迎えた今日の朝、私は前世の記憶を取り戻した。
前世の名前はさちこ。
今の名前はレイア。
まあ別にそこはいい。
名前はむしろ今の方が気に入ってる。
問題はこの世界での私の立ち位置だ。
可もなく不可もない貴族の令嬢というのも別にいいとして、なんと私は伯爵家のご子息であるヘンリー様を狙って恋の争奪戦の真っ最中だった。
おまけにこっちの分が悪い。
ちょっとどころかすごく悪い。
なんとかしてヘンリー様の気を引き、そして他のライバルを蹴落とそうと裏で色々と動いた結果、逆に私が蹴落とされそうな状況になっている。
今までひどい目に合わせてきた子の一人はヘンリー様と仲良くなってしまったし、今までの悪事がバレた私は実家ごと窮地に立たされそうな勢いだ。
そう、今の私はまさに悪役令嬢という奴だった。
しかもこのままだと没落待ったなしだよ。
ウチは子供が私しかいないから、私の結婚がどうなるかで家の将来も決まる。
このままだとヘンリー様と結婚どころか、悪評のせいで結婚すら怪しい。
わざわざ伯爵家と対立したい奴なんていないだろうしね……。
やべー。
大ピンチだよ私。
どうせ記憶が戻るならせめて五年前ぐらいに戻って欲しかったんだけどなー。
というわけで、私はここからどう逆転したら良いものかと、とっても憂鬱な気分で考えていた。
なんか既に詰んでる気がしなくもないけどそれは考えないようにする。
そう、諦めたらそこで試合終了なんだって白髪の先生が言ってた。
前世の記憶がちょっとあやふやだけど確か言ってた。
先生、イケメンと結婚したいです。
……おっと、ちょっと現実逃避入ってた。
私はベッドの上でゴロンと転がって天井を見た。
ヘンリー様は第三王子とも仲がいいから、ヘンリー様を敵に回すということは王族とも対立するってことだ。
そんなの勝てるわけないじゃん。
だってウチ、男爵家だよ? 男爵家。
貴族の爵位の中じゃ一番下。
そりゃあそこらへんの爵位すらない貴族よりは断然いいけどさ。
王家とか伯爵家相手に勝てるわけねーじゃん。
取り巻きの子たちもみんな男紹介されて寝返っちゃったし。
やっべーよコレ、マジやっべーよ。
「うわあぁーーーーー! なんてことしてくれたんだわたしぃぃぃぃぃーーーーー!」
これでせめてすごい天職とか持ってたらまだ救いもあるんだろうけど、なんと私の天職は平凡オブ平凡の代名詞<中級風術士>だ。
上級とか神聖みたいなランクの高い天職ってわけでもなくぅー?
水術士とか土術士みたいな商売向きな天職でもなくぅー?
この世界じゃ貴族がまずやらない料理で重宝される、女がまずやらない現場仕事とかでも重宝される、貴族の娘にとってはハズレ度ランキング上位に君臨する風術士様なのだ、私は。
「へへ……。へっへっへっへっ……」
なんか変な笑いがこみ上げてきた。
まあ、前世じゃバリバリの喪女だったしね。
今は目がちょいキツめの美少女だけど。
これに関してはこの世界のお父さんとお母さんに感謝だな。
前世じゃ完全に喪女だったし。
「あー! せめて水術士だったらなー!」
私は机の引き出しから小さな水晶を取り出した。
このマジックアイテムを使えば自分の天職を見ることができる。
これは私が自分の天職を確認するために買って貰ったものだ。
平民じゃどう頑張っても手が出ないぐらいの値段はする。
だからお金のない平民たちは神殿に行ってお金を払って天職を調べて貰っている。
でも貴族なら下位の男爵家でも余裕で買えちゃうぐらいではある。
「私の天職よぉぉぉーーーーー、変われぇーーーーー!」
私は呪い師っぽい身振りと手振りで念じてみた。
……もちろん変わるわけなんてないけどね。
水晶に私の天職を示す文字が浮かび上がった。
そう、<中級風術士>の文字が――。
「……ん?」
私は水晶に浮かんだ文字を見て少しの間、思考停止した。
どうしよう。
なんか現実逃避しすぎて疲れてるせいか、水晶の文字が違う字に見える。
ゴシゴシ。
私は目をこすってからもう一度水晶をのぞいた。
「……やばい、ホントに疲れてる」
ゴシゴシゴシゴシ。
私は念入りに目をこすってもう一度水晶を見た。
……あれ、おかしいな?
何度見て水晶の字が<中級風術士>に見えない。
「……<魔王>?」
水晶に浮かび上がっていた私の天職は、<中級風術士>ではなく<魔王>になっていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「うーん……」
時間帯は深夜。
夜の警備を担当している召使い以外はみんな寝静まった時間に、私はベッドの上で悩んでいた。
理由は他でもない。
私自身の天職のことだ。
冷静になって確認してみたけど、やっぱり私の天職は<中級風術士>から<魔王>に変わっていた。
逆立ちしたりスクワットしたりしながら見てみたけど、やっぱり<魔王>で間違いなかった。
……え? なにこれ?
ていうか<魔王>なんて天職あったっけ?
……ネタ天職かな?
<デモンズフォール>っていうスキルが使えるみたいだけど、その詳細は何も書かれてない。
「……よし、使ってみよう」
なにごとも実践が大事。
幸いなことに今は誰もいないし、試してみるにはちょうどいい。
というわけで、私は早速このスキルを使ってみることにした。
「でもんずふぉぉぉぉる……」
……深夜だからもちろん控えめな声でね。
「どうしよう……」
私は寝る準備を整えてから、自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。
寝室はカーテンの隙間から差し込む月明かりだけに照らされている。
十六歳の誕生日を迎えた今日の夜、私の気分はどん底だ。
え? なんでかって?
端的に言うと、自分が転生者だったからだよ。
もっと具体的に言うと、転生した令嬢というやつだ。
十六歳の誕生日を迎えた今日の朝、私は前世の記憶を取り戻した。
前世の名前はさちこ。
今の名前はレイア。
まあ別にそこはいい。
名前はむしろ今の方が気に入ってる。
問題はこの世界での私の立ち位置だ。
可もなく不可もない貴族の令嬢というのも別にいいとして、なんと私は伯爵家のご子息であるヘンリー様を狙って恋の争奪戦の真っ最中だった。
おまけにこっちの分が悪い。
ちょっとどころかすごく悪い。
なんとかしてヘンリー様の気を引き、そして他のライバルを蹴落とそうと裏で色々と動いた結果、逆に私が蹴落とされそうな状況になっている。
今までひどい目に合わせてきた子の一人はヘンリー様と仲良くなってしまったし、今までの悪事がバレた私は実家ごと窮地に立たされそうな勢いだ。
そう、今の私はまさに悪役令嬢という奴だった。
しかもこのままだと没落待ったなしだよ。
ウチは子供が私しかいないから、私の結婚がどうなるかで家の将来も決まる。
このままだとヘンリー様と結婚どころか、悪評のせいで結婚すら怪しい。
わざわざ伯爵家と対立したい奴なんていないだろうしね……。
やべー。
大ピンチだよ私。
どうせ記憶が戻るならせめて五年前ぐらいに戻って欲しかったんだけどなー。
というわけで、私はここからどう逆転したら良いものかと、とっても憂鬱な気分で考えていた。
なんか既に詰んでる気がしなくもないけどそれは考えないようにする。
そう、諦めたらそこで試合終了なんだって白髪の先生が言ってた。
前世の記憶がちょっとあやふやだけど確か言ってた。
先生、イケメンと結婚したいです。
……おっと、ちょっと現実逃避入ってた。
私はベッドの上でゴロンと転がって天井を見た。
ヘンリー様は第三王子とも仲がいいから、ヘンリー様を敵に回すということは王族とも対立するってことだ。
そんなの勝てるわけないじゃん。
だってウチ、男爵家だよ? 男爵家。
貴族の爵位の中じゃ一番下。
そりゃあそこらへんの爵位すらない貴族よりは断然いいけどさ。
王家とか伯爵家相手に勝てるわけねーじゃん。
取り巻きの子たちもみんな男紹介されて寝返っちゃったし。
やっべーよコレ、マジやっべーよ。
「うわあぁーーーーー! なんてことしてくれたんだわたしぃぃぃぃぃーーーーー!」
これでせめてすごい天職とか持ってたらまだ救いもあるんだろうけど、なんと私の天職は平凡オブ平凡の代名詞<中級風術士>だ。
上級とか神聖みたいなランクの高い天職ってわけでもなくぅー?
水術士とか土術士みたいな商売向きな天職でもなくぅー?
この世界じゃ貴族がまずやらない料理で重宝される、女がまずやらない現場仕事とかでも重宝される、貴族の娘にとってはハズレ度ランキング上位に君臨する風術士様なのだ、私は。
「へへ……。へっへっへっへっ……」
なんか変な笑いがこみ上げてきた。
まあ、前世じゃバリバリの喪女だったしね。
今は目がちょいキツめの美少女だけど。
これに関してはこの世界のお父さんとお母さんに感謝だな。
前世じゃ完全に喪女だったし。
「あー! せめて水術士だったらなー!」
私は机の引き出しから小さな水晶を取り出した。
このマジックアイテムを使えば自分の天職を見ることができる。
これは私が自分の天職を確認するために買って貰ったものだ。
平民じゃどう頑張っても手が出ないぐらいの値段はする。
だからお金のない平民たちは神殿に行ってお金を払って天職を調べて貰っている。
でも貴族なら下位の男爵家でも余裕で買えちゃうぐらいではある。
「私の天職よぉぉぉーーーーー、変われぇーーーーー!」
私は呪い師っぽい身振りと手振りで念じてみた。
……もちろん変わるわけなんてないけどね。
水晶に私の天職を示す文字が浮かび上がった。
そう、<中級風術士>の文字が――。
「……ん?」
私は水晶に浮かんだ文字を見て少しの間、思考停止した。
どうしよう。
なんか現実逃避しすぎて疲れてるせいか、水晶の文字が違う字に見える。
ゴシゴシ。
私は目をこすってからもう一度水晶をのぞいた。
「……やばい、ホントに疲れてる」
ゴシゴシゴシゴシ。
私は念入りに目をこすってもう一度水晶を見た。
……あれ、おかしいな?
何度見て水晶の字が<中級風術士>に見えない。
「……<魔王>?」
水晶に浮かび上がっていた私の天職は、<中級風術士>ではなく<魔王>になっていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「うーん……」
時間帯は深夜。
夜の警備を担当している召使い以外はみんな寝静まった時間に、私はベッドの上で悩んでいた。
理由は他でもない。
私自身の天職のことだ。
冷静になって確認してみたけど、やっぱり私の天職は<中級風術士>から<魔王>に変わっていた。
逆立ちしたりスクワットしたりしながら見てみたけど、やっぱり<魔王>で間違いなかった。
……え? なにこれ?
ていうか<魔王>なんて天職あったっけ?
……ネタ天職かな?
<デモンズフォール>っていうスキルが使えるみたいだけど、その詳細は何も書かれてない。
「……よし、使ってみよう」
なにごとも実践が大事。
幸いなことに今は誰もいないし、試してみるにはちょうどいい。
というわけで、私は早速このスキルを使ってみることにした。
「でもんずふぉぉぉぉる……」
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