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3:いきなり一対二はハードルが高い
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引っ越しを終えた俺は、新居で初めての朝を迎えた。
大きくてきれいなベッドと布団。
俺はいつもよりも深い眠りを楽しんでいた。
(今日は予定もないし、ゆっくり寝るか……。引っ越しで疲れてるしな)
カーテンの隙間から差し込んでくる朝日が心地よい眠気を誘う。
俺は目を閉じたまま抱き枕をギュッと抱きしめて、二度寝の準備をした。
「あぁん……。ジェイク様、激しい……ですぅ……」
やっぱり良い抱き枕は違うな。
抱きやすいし、すごくいい匂いがする。
「あっ……。首……そんなふうに息かけちゃだめぇ……」
それにスベスベしてて気持ちいい。
「んっ……。スカートの中はダメですよジェイクさまぁ……」
なんかかわいい女の子の声までするぞ。
きっと魔法か何かが仕込んであるんだろう。
これなら良い夢が見れそうだ。
すごいな高級な抱き枕は――。
(……ん? 抱き枕? ちょっと待て。俺、そんな抱いて寝たか?)
我に返った俺はダルいまぶたを開いて『抱き枕』を見た。
「……」
目の前にはメイドの女の子がいた。
俺が抱きしめていたのは抱き枕ではなく女の子だったらしい。
「……え?」
……わけがわからない。
俺、一人で寝たんじゃなかったっけ?
「あ、ジェイク様、お目覚めですか?」
俺に背を向けていた女の子の頭が動いた。
ピンク色の髪が胸に触れて気持ちいい。
(いや、そうじゃなくて)
俺は無言のまま布団をめくってみた。
「あっ、ダメですよジェイク様!」
そこには普段スカートで隠れている乙女の太ももがあった。
黒いニーソックスが白い肌の魅力を倍増させている。
どうやら俺が気持ちよく触っていたのはこの子の内股だったらしい。
「嘘だろ……」
ここのメイド服のスカート丈には何種類かあるみたいだが、この子が履いているのは膝より上の短いタイプだった。
完全にめくれてしまっていて、白い下着まで見えている。
「おはようございます、ジェイク様」
「――!」
俺がこの状況について目の前の子に聞こうとした瞬間、今度は後ろから違う女の声が聞こえてきた。
慌てて振り向く俺。
……まるで浮気がバレた人みたいだ。
「ぐっすりとお眠りでしたね。私とニナがお邪魔しても全然お気づきにならなかったようで」
後ろには長い黒髪のメイドが横になっていた。
たぶんこの人も一緒に寝ていたんだろう。
俺が抱きしめている子よりは少し年上みたいで、大人の雰囲気がある。
「えっと、これはいったい……? なんで一緒に寝てるんだ? ……ですか?」
混乱していた俺は慣れない敬語で言い直した。
立場的にはそんな必要はないが。
この人の名前は確かヒルダだったな。
そしてこのピンク髪の子はニナだったはずだ。
「英雄は色を好むと聞きますので。やはり夜のお相手が必要だろうという話になりまして」
「それで二人が……?」
俺はゆっくりと体を起こしながら聞いた。
冷静なふりをしてるが、内心は心臓バクバクだ。
俺はさり気なくニナから腕を離したが、今度は彼女の方がゆっくりと俺の左腕に抱きついてきた。
目がうっとりというか、なんかトロンとした感じになっている。
「はい。屋敷のメイド全員で交代しながらということに。今日は私とニナが」
「メイドさん達全員……」
「ご安心ください。男性経験のない者がお相手する場合には、もう一人はちゃんと経験のある者が入りますので」
俺の反応をどう誤解したのかは知らないが、黒髪のメイドは微笑んだ。
彼女もメイド服だが、こちらはロングスカートにスリットが入ったタイプだ。
座っているせいで、下着が見えないギリギリまで生足が露出している。
「ジェイク様はどちらがお好きですか?」
「どちらって?」
「男を知らない女に仕込むのと、他の男に仕込まれた女を調教しなおすのと……」
そう言いながらヒルダは俺の右腕にゆっくりと絡むように抱きついてきた。
ニナがかわいくギュッという感じになのに対して、こっちは艶めかしい感じだ。
「えっと……」
「もちろん初めての子ですよね? ジェイク様、ずっと私のこと抱きしめてくれてたし、それにジェイク様の固いのがずっと私のおしりに……、ですよね?」
ニナがおねだりするように上目遣いで俺を見た。
ということは、この子はまだ男を知らないのか。
「あら、お手つきはお嫌い? 遊ばれた女に本当の愛を教えては頂けませんの?」
今度はヒルダが俺の耳元に顔を近づけてきた。
彼女の吐息が耳元に掛かる。
俺は気持ちよすぎて思わず声を出しそうになった。
「私なら、初心な子とはできないようなことも、お相手して差し上げられますよ? 純愛は無理でも、夜のお楽しみを一緒に探求するなら……ね?」
ヒルダが俺の耳元で囁いた。
そして直後にニナが少しムッとした顔になった。
「わ、わたしだって! ジェイク様のためならがんばります!」
「殿方の感じる場所もまだわからないのに? 受け身で可愛がって貰うだけじゃダメなのよ? ちゃんとご奉仕しないと」
「そ、それは……」
二人が俺を挟んで争い始めた。
ちなみにだが俺は着慣れないローブなんて着て寝てしまったものだから、今はそれが脱げてしまってほぼ裸だ。
美人さん達の肌とかメイド服が擦れて気持ちいい。
今までの人生で女の子に囲まれるなんてことはなかったから、どうしても体が興奮してしまう。
でも、ここははっきりと言っておかないといけないだろう。
「いやでも……。俺はそういう……体だけとか、割り切った関係とかって好きじゃないんだ。古臭いかもしれないが、やっぱり男女の関係は気持ちが通じあったものであるべきだと思うし、信頼があるべきだと思う」
「ジェイク様……」
どうやらニナは男女の関係に憧れというか、ロマンチックなものを期待しているらしく、嬉しそうな表情を見せた。
……俺の下半身がその気になってる時に言っても説得力はないんだろうけどな。
「あら……」
そんな俺の内心を見透かしたのか、ヒルダが俺の下半身にねっとりとした視線を向けてきた。
それに釣られてニナも顔を真赤にしながら同じところを注視した。
下着を履いてはいるが、俺の下半身はかわいい子二人に迫られて臨戦態勢になっている。
俺はヒルダに白い目で見られるのを覚悟したが、彼女の反応はそうではなかった。
「それでずっと我慢されていたんですね」
「え?」
「でもご心配には及びませんよ? 私達が正式にジェイク様の妻になることはできませんから」
「どうしてだ?」
「私もニナも、下位平民ですから」
「下位平民……」
「……」
ヒルダの瞳が少しだけ悲しそうな感情を見せた。
ニナも先程とは違う意味で無言のまま視線を下に向けている。
下位平民というのは、端的にいうと奴隷だ。
大昔に表向きの奴隷制度が廃止された時、代わりとして作られた身分だ。
昔の奴隷とは違って、露骨に粗末な扱いをするのは違法とされているが、金銭で売買可能な点は以前と変わらない。
少なくとも下位平民の女が好きな男と結ばれることなんでまず不可能だ。
「悪い……」
俺は二人に頭を下げた。
ニナの表情を見れば、下位平民であることが二人に惨めな人生を強いているのは容易に想像できる。
「いえ、言ったのは私ですから。ニナもごめんなさいね。でも……」
「ん?」
「正式な妻は無理でも、妾にならなれるんですよ?」
少しシリアスな感じになっていたヒルダの表情が、「してやったり」とか言い出しそうな雰囲気に変わった。
彼女の言葉の意味を理解したのか、ニナの表情も明るくなった。
「……?」
わかってないのは俺だけみたいだ。
「英雄は色を好むと言いますから。最強のアーケインであるジェイク様のお相手は沢山必要だと思うんです。ねぇ、ニナ?」
ヒルダがにっこりと笑った。
「はい! わたしもそう思います!」
「えーっと、つまりどういうことだ?」
それを聞いたヒルダがスカートのスリットから伸びた足を俺に絡ませてきた。
……スベスベの肌が気持ちいい。
「つまり、ジェイク様が私達を妾にしてくれたら、私達はとっても幸せってことです」
「ダメです」
ヒルダの言葉に俺が反応するより早く、また別の女の声が答えた。
なんか冷たい感じ、というか怒ってるような声だ。
「あら、メイド長。いつの間に」
ヒルダが残念そうな表情で俺とは反対方向を見た。
そこにはいつの間にかメイド長のジーナが立っていた。
「抜け駆けはダメですよ、二人とも?」
「はーい」
ニナとヒルダは生返事をして俺から離れた。
「ジェイク様もです。法的な拘束がないとはいえ、ジェイク様の妾となれば政治的な大きな影響力を持つことになります。私の立場から強くは言えませんが、ご自身の影響力というものをお考えください」
「あ、はい。すいません」
俺もジーナに怒られてしまった。
一応は俺の方が年上のはずなんだけどな。
「朝食の時間です。着替えてからお越しください」
そう言ってジーナは部屋を出ていってしまった。
(うーん。早速嫌われたか?)
俺はとりあえず着替えることにした。
一人でできると言ったんだが、これも仕事だからとニナとヒルダが手伝ってくれた。
そしてこれから寝室の片付けをするという二人に見送られて部屋を出ようとした時――。
ヒルダがそっと俺に耳打ちした。
「今度はちゃんと夜のお相手をさせてくださいね? 私も人生で一度ぐらい、気に入った方に抱かれてみたいですから」
「え?」
「いってらっしゃいませ、ご主人様!」
……なんか誤魔化された気がする。
俺はスッキリしない気分で部屋を出た。
すると――。
「随分と長いお着替えでしたね?」
「……」
部屋の前にはジーナが立っていた。
どうやら俺が着替え終わるのを待っていたらしい。
声がさっき以上に座っているというか、なんかすごい怒っている気がする。
「召使いを妾にお考えなら、私にご相談ください。それと……」
そう言いつつ、ジーナは周囲に誰もいないのを確認して俺に近づいてきた。
「その時は、私も候補に入れておいてください」
「え?」
ジーナはわざとらしく咳払いすると、元のクールビューティーな表情に戻って俺から離れた。
どうなってるんだいったい……。
大きくてきれいなベッドと布団。
俺はいつもよりも深い眠りを楽しんでいた。
(今日は予定もないし、ゆっくり寝るか……。引っ越しで疲れてるしな)
カーテンの隙間から差し込んでくる朝日が心地よい眠気を誘う。
俺は目を閉じたまま抱き枕をギュッと抱きしめて、二度寝の準備をした。
「あぁん……。ジェイク様、激しい……ですぅ……」
やっぱり良い抱き枕は違うな。
抱きやすいし、すごくいい匂いがする。
「あっ……。首……そんなふうに息かけちゃだめぇ……」
それにスベスベしてて気持ちいい。
「んっ……。スカートの中はダメですよジェイクさまぁ……」
なんかかわいい女の子の声までするぞ。
きっと魔法か何かが仕込んであるんだろう。
これなら良い夢が見れそうだ。
すごいな高級な抱き枕は――。
(……ん? 抱き枕? ちょっと待て。俺、そんな抱いて寝たか?)
我に返った俺はダルいまぶたを開いて『抱き枕』を見た。
「……」
目の前にはメイドの女の子がいた。
俺が抱きしめていたのは抱き枕ではなく女の子だったらしい。
「……え?」
……わけがわからない。
俺、一人で寝たんじゃなかったっけ?
「あ、ジェイク様、お目覚めですか?」
俺に背を向けていた女の子の頭が動いた。
ピンク色の髪が胸に触れて気持ちいい。
(いや、そうじゃなくて)
俺は無言のまま布団をめくってみた。
「あっ、ダメですよジェイク様!」
そこには普段スカートで隠れている乙女の太ももがあった。
黒いニーソックスが白い肌の魅力を倍増させている。
どうやら俺が気持ちよく触っていたのはこの子の内股だったらしい。
「嘘だろ……」
ここのメイド服のスカート丈には何種類かあるみたいだが、この子が履いているのは膝より上の短いタイプだった。
完全にめくれてしまっていて、白い下着まで見えている。
「おはようございます、ジェイク様」
「――!」
俺がこの状況について目の前の子に聞こうとした瞬間、今度は後ろから違う女の声が聞こえてきた。
慌てて振り向く俺。
……まるで浮気がバレた人みたいだ。
「ぐっすりとお眠りでしたね。私とニナがお邪魔しても全然お気づきにならなかったようで」
後ろには長い黒髪のメイドが横になっていた。
たぶんこの人も一緒に寝ていたんだろう。
俺が抱きしめている子よりは少し年上みたいで、大人の雰囲気がある。
「えっと、これはいったい……? なんで一緒に寝てるんだ? ……ですか?」
混乱していた俺は慣れない敬語で言い直した。
立場的にはそんな必要はないが。
この人の名前は確かヒルダだったな。
そしてこのピンク髪の子はニナだったはずだ。
「英雄は色を好むと聞きますので。やはり夜のお相手が必要だろうという話になりまして」
「それで二人が……?」
俺はゆっくりと体を起こしながら聞いた。
冷静なふりをしてるが、内心は心臓バクバクだ。
俺はさり気なくニナから腕を離したが、今度は彼女の方がゆっくりと俺の左腕に抱きついてきた。
目がうっとりというか、なんかトロンとした感じになっている。
「はい。屋敷のメイド全員で交代しながらということに。今日は私とニナが」
「メイドさん達全員……」
「ご安心ください。男性経験のない者がお相手する場合には、もう一人はちゃんと経験のある者が入りますので」
俺の反応をどう誤解したのかは知らないが、黒髪のメイドは微笑んだ。
彼女もメイド服だが、こちらはロングスカートにスリットが入ったタイプだ。
座っているせいで、下着が見えないギリギリまで生足が露出している。
「ジェイク様はどちらがお好きですか?」
「どちらって?」
「男を知らない女に仕込むのと、他の男に仕込まれた女を調教しなおすのと……」
そう言いながらヒルダは俺の右腕にゆっくりと絡むように抱きついてきた。
ニナがかわいくギュッという感じになのに対して、こっちは艶めかしい感じだ。
「えっと……」
「もちろん初めての子ですよね? ジェイク様、ずっと私のこと抱きしめてくれてたし、それにジェイク様の固いのがずっと私のおしりに……、ですよね?」
ニナがおねだりするように上目遣いで俺を見た。
ということは、この子はまだ男を知らないのか。
「あら、お手つきはお嫌い? 遊ばれた女に本当の愛を教えては頂けませんの?」
今度はヒルダが俺の耳元に顔を近づけてきた。
彼女の吐息が耳元に掛かる。
俺は気持ちよすぎて思わず声を出しそうになった。
「私なら、初心な子とはできないようなことも、お相手して差し上げられますよ? 純愛は無理でも、夜のお楽しみを一緒に探求するなら……ね?」
ヒルダが俺の耳元で囁いた。
そして直後にニナが少しムッとした顔になった。
「わ、わたしだって! ジェイク様のためならがんばります!」
「殿方の感じる場所もまだわからないのに? 受け身で可愛がって貰うだけじゃダメなのよ? ちゃんとご奉仕しないと」
「そ、それは……」
二人が俺を挟んで争い始めた。
ちなみにだが俺は着慣れないローブなんて着て寝てしまったものだから、今はそれが脱げてしまってほぼ裸だ。
美人さん達の肌とかメイド服が擦れて気持ちいい。
今までの人生で女の子に囲まれるなんてことはなかったから、どうしても体が興奮してしまう。
でも、ここははっきりと言っておかないといけないだろう。
「いやでも……。俺はそういう……体だけとか、割り切った関係とかって好きじゃないんだ。古臭いかもしれないが、やっぱり男女の関係は気持ちが通じあったものであるべきだと思うし、信頼があるべきだと思う」
「ジェイク様……」
どうやらニナは男女の関係に憧れというか、ロマンチックなものを期待しているらしく、嬉しそうな表情を見せた。
……俺の下半身がその気になってる時に言っても説得力はないんだろうけどな。
「あら……」
そんな俺の内心を見透かしたのか、ヒルダが俺の下半身にねっとりとした視線を向けてきた。
それに釣られてニナも顔を真赤にしながら同じところを注視した。
下着を履いてはいるが、俺の下半身はかわいい子二人に迫られて臨戦態勢になっている。
俺はヒルダに白い目で見られるのを覚悟したが、彼女の反応はそうではなかった。
「それでずっと我慢されていたんですね」
「え?」
「でもご心配には及びませんよ? 私達が正式にジェイク様の妻になることはできませんから」
「どうしてだ?」
「私もニナも、下位平民ですから」
「下位平民……」
「……」
ヒルダの瞳が少しだけ悲しそうな感情を見せた。
ニナも先程とは違う意味で無言のまま視線を下に向けている。
下位平民というのは、端的にいうと奴隷だ。
大昔に表向きの奴隷制度が廃止された時、代わりとして作られた身分だ。
昔の奴隷とは違って、露骨に粗末な扱いをするのは違法とされているが、金銭で売買可能な点は以前と変わらない。
少なくとも下位平民の女が好きな男と結ばれることなんでまず不可能だ。
「悪い……」
俺は二人に頭を下げた。
ニナの表情を見れば、下位平民であることが二人に惨めな人生を強いているのは容易に想像できる。
「いえ、言ったのは私ですから。ニナもごめんなさいね。でも……」
「ん?」
「正式な妻は無理でも、妾にならなれるんですよ?」
少しシリアスな感じになっていたヒルダの表情が、「してやったり」とか言い出しそうな雰囲気に変わった。
彼女の言葉の意味を理解したのか、ニナの表情も明るくなった。
「……?」
わかってないのは俺だけみたいだ。
「英雄は色を好むと言いますから。最強のアーケインであるジェイク様のお相手は沢山必要だと思うんです。ねぇ、ニナ?」
ヒルダがにっこりと笑った。
「はい! わたしもそう思います!」
「えーっと、つまりどういうことだ?」
それを聞いたヒルダがスカートのスリットから伸びた足を俺に絡ませてきた。
……スベスベの肌が気持ちいい。
「つまり、ジェイク様が私達を妾にしてくれたら、私達はとっても幸せってことです」
「ダメです」
ヒルダの言葉に俺が反応するより早く、また別の女の声が答えた。
なんか冷たい感じ、というか怒ってるような声だ。
「あら、メイド長。いつの間に」
ヒルダが残念そうな表情で俺とは反対方向を見た。
そこにはいつの間にかメイド長のジーナが立っていた。
「抜け駆けはダメですよ、二人とも?」
「はーい」
ニナとヒルダは生返事をして俺から離れた。
「ジェイク様もです。法的な拘束がないとはいえ、ジェイク様の妾となれば政治的な大きな影響力を持つことになります。私の立場から強くは言えませんが、ご自身の影響力というものをお考えください」
「あ、はい。すいません」
俺もジーナに怒られてしまった。
一応は俺の方が年上のはずなんだけどな。
「朝食の時間です。着替えてからお越しください」
そう言ってジーナは部屋を出ていってしまった。
(うーん。早速嫌われたか?)
俺はとりあえず着替えることにした。
一人でできると言ったんだが、これも仕事だからとニナとヒルダが手伝ってくれた。
そしてこれから寝室の片付けをするという二人に見送られて部屋を出ようとした時――。
ヒルダがそっと俺に耳打ちした。
「今度はちゃんと夜のお相手をさせてくださいね? 私も人生で一度ぐらい、気に入った方に抱かれてみたいですから」
「え?」
「いってらっしゃいませ、ご主人様!」
……なんか誤魔化された気がする。
俺はスッキリしない気分で部屋を出た。
すると――。
「随分と長いお着替えでしたね?」
「……」
部屋の前にはジーナが立っていた。
どうやら俺が着替え終わるのを待っていたらしい。
声がさっき以上に座っているというか、なんかすごい怒っている気がする。
「召使いを妾にお考えなら、私にご相談ください。それと……」
そう言いつつ、ジーナは周囲に誰もいないのを確認して俺に近づいてきた。
「その時は、私も候補に入れておいてください」
「え?」
ジーナはわざとらしく咳払いすると、元のクールビューティーな表情に戻って俺から離れた。
どうなってるんだいったい……。
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