55 / 239
幕間 様々なイフ
もしも紫乃が男の娘だったら2
しおりを挟む
「へぇ~、可愛い名前してますね」
萌花は少年……紫乃が気に入ったらしく、目にハートマークを付けて紫乃を見ている。
頬を赤く染めて、いかにも“恋してます”感を出している。
萌花は一目惚れの演技が上手い。
出会って間もない他校の男子を即落とした事がある。
豊満な胸を見せつけるかのようにして紫乃の顔より下になるように屈み、上目遣いで紫乃を見る。
「あ、あの……」
肝心の紫乃はと言うと……青ざめた顔で笑顔が引きつっている。
「あれ……私、失敗しちゃいました……?」
はぁ……と朔良はため息をつく。いかにもウブそうな男子相手にこれはないだろうと思った。
朔良に男性経験はない。しかし、それでも萌花がハニートラップを使いすぎたという事は分かった。
「お前、程々にしろって言ったよな?」
「え、えへへ……つい……」
朔良が呆れた顔で萌花を責める。
当の萌花は一応は悪びれた様子をしているが、形だけのものだろうと朔良は思う。
「あ、あの……お二人は何をしに……?」
紫乃はやっと聞きたい事が聞けたと言う顔をしていた。
その問いに朔良が答える。
「何って……萌花の餌を探しに?」
「少しは言葉を選んでくださいよぉ!」
朔良の答えに突っ込む萌花。
それを鬱陶しそうな顔で朔良が萌花を見る。
「だって事実だろ」
「事実かもしれませんけど!」
事実なんだ……と紫乃は小声で呟いた。
萌花が紫乃の視線にハッと気づき、慌てて弁明をする。
「あ、あの、餌って言うのは悪い意味で言ってるわけじゃなくてですね? その、ね? 選ばれた人間って意味って感じ? です?」
と、萌花は一息で捲し立てる。
紫乃は早口で言われたので、よく聞き取れなかったようだ。
頭上にはてなマークが付いているようなしかめっ面をしながら、首を傾げた。
一方の萌花は、一息で話し、息継ぎをしなかったせいか、ひどく疲れた様子だった。
呼吸が荒く、顔が先ほどよりも赤く染まっている。
「その方がよっぽど色っぽく見えるけど」
「朔良先輩!?」
目を細めて眉を寄せながら、朔良がため息混じりに言う。
それを「余計なこと言ってしまったんじゃ……」と言うような不安そうな顔で紫乃が朔良の名を叫ぶ。
「そうですか……」
萌花は顔を下げたままポツリと呟いた。
紫乃はあたふたと落ち着かない様子で、萌花と朔良を交互に見ている。
当の朔良は腕を組んだまま、萌花を見下ろすように背筋を伸ばしながら立っている。
それは威圧しているようにも見受けられたが、顔には不穏な感じがなく、むしろ小さな笑みを浮かべていた。
「せ、先輩……?」
と、紫乃がおずおずと何かを尋ねるように口にした、その時――
「おい! 校庭が大変な事になってるぞ!」
一人の――紫乃と同じクラスの男子が廊下から声を荒げながら教室に入ってくる。
するとあっという間に、なんだなんだと教室がクラスメイトたちのどよめきでいっぱいになる。
「な、いったい何が……」
と朔良も動揺を隠せない様子で、その男子生徒の方を見る。
紫乃も次々と来る様々な出来事に、ついていけない様子だった。
萌花はこの騒動にも顔を上げず、ひたすら顔を下げている。
さっきの事が余程衝撃的だったのだろう。しかし、顔が見えないため、何を考えているのか分からない。
「いっ……今すぐ来てくれっ! 校庭が……猫で埋め尽くされているぞ!」
☆ ☆ ☆
「……はあ?」
なんとも間抜けな声が教室から聞こえてきた。クラス全員「何で猫なんかでそんな騒いでるんだ?」とでも言いたげな顔をしている。
すでに興味もなく読書をしている人や、友達との会話を再び始める人や、他クラスへと向かう人など様々だ。
「ちょっと!?」
急いで教室へ駆け込んできた例の男子生徒はクラスメイトたちの塩対応っぷりに突っ込まずにはいられなかったようだ。
しかし――
「あの、何があったの~……?」
その男子生徒に紫乃が話しかけた。
紫乃はいくら何でも猫ぐらいで騒ぎ立てるような変人などいないだろうと思っている。
「それが…………」
と男子生徒は語り始めた。
☆ ☆ ☆
「いや~……これは壮観だわ……」
「これは確かにあの人も騒ぎ立てるはずですね~……」
場所は校庭。……の隅っこ。
桜の木々がひしめき、桜の花びらが舞うすぐ下。
木にもたれかかり、遠くを見つめる四つの目。
その先には、無数の猫たちの群れがあった。
猫たちは何処かを見て、まるで誰か……何かを探すように動き回っている。
「しかし、なんでこんな事になっているんでしょうね~?」
「さぁ? なんでだろうな。それよりさ……」
ちらっと朔良が一瞥した先には、先ほどから抜け殻のようになっている萌花がいた。
萌花は一向に顔を上げず、ただ俯いている。
「いい加減機嫌直せよな……」
朔良がそう言い、萌花の肩にポンと手を置いた。
すると、萌花の肩が震えているのが朔良に伝わってきた。
「……萌花?」
朔良が違和感を感じ、萌花の顔を下からのぞき込んだ。
そこには――笑顔を浮かべた萌花がいた。笑っていたのだ。
「ふふふ、そう……そういう事だったんですね」
「は?」
「だって……“自然体が1番だ”ってことでしょ?」
萌花が、本当の意味での最高の笑顔を浮かべる。
思わず誰もが見とれそうなほど、魅力的な顔をしている。
嗚呼、そうだ。最初からそれで良かったんだ。
朔良は安堵の笑みを、萌花は満足げな笑みをしていた。
紫乃には何が何だか分からなかったが、充分すぎるほど眩しい先輩たちの姿を見ていると、不思議とあたたかい気持ちになった。
「にゃーお」
「うわっ! は? いつからそこに!?」
突然朔良の足元から鳴き声がしたから足元を見ると、真っ白なスタイルのいい猫がいた。
ゴロゴロと喉を鳴らし、紫乃の方へと駆け寄る。そして、紫乃の足に自分の頬をスリスリしてきた。
「あ、君……もしかして~……あの時の?」
「あの時? そいつとなんかあったのか?」
驚いている紫乃を、不思議そうな顔で朔良が見る。
朔良の視線に気付いたのか、ハッと我に返り、「実は~……」と語り始めた。
☆ ☆ ☆
これは随分前、猛吹雪の寒い寒い夜だった。
気が付くと周り一面の雪景色。
どこを見ても白一色の代わり映えしない景色だった。
……何が起こったんだ?
自分は確かに両親と一緒にいたはずなのに。しかも知らない場所だし……いったいどうしたら?
そんな事を考えていると、目の前に真っ白な猫がポツンと座っていた。
雪景色と全く同じ白一色だったので、よく見ないと見失ってしまいそうな程、周りの景色に馴染んでいた。
「君も……ひとりなの~?」
そう問うてみると、「にゃー」と返事をした。
……賢い猫なのかもしれない。そう思った。
迷子同士ふたりで一緒にいようと思った。
しばらくすると、雪が晴れ、星空が雲の隙間からちらちらと見えた。
晴れてくれたおかげで雪が降っている時よりは寒くなかった。
雪で視界が遮られていたが、もうその心配はない。
「にゃ……」
不安そうに、心細そうに白い猫がこちらを見上げて座っていた。
顔では不安そうかなんて分からないが、声からしてそうなのではないかと思った。
「どうしたの~? もしかして寒い?」
「に……」
紫乃の問いかけに小さく返事をし、擦り寄ってきた。
腕を白い猫に伸ばすと満足げにされるがままの状態になる。
暖かい……猫の体温の方が人間よりも高いからなのか、気温が低いから暖かく感じるのかよく分からないが、紫乃にとってはどっちでもよかった。
猫の体温が暖かくて、思わずぎゅっと抱きしめる。
猫も心地よかったのかゴロゴロと喉を鳴らす。
それからすぐ後ぐらいに親と合流出来た。
足や鼻の先が寒さで真っ赤になってしまったが、胸やお腹の辺りがすごく暖かくて、それが何故かとても嬉しくて思わず笑う。
家ではペット禁止なので、ある程度世話をしたあとは、里親を募集するためにポスターを作る。
その後どこに引き取られたのか、幸せに暮らしているのか、紫乃は何も知らなかった。
☆ ☆ ☆
「……というわけなんですよ~」
紫乃の回想が終わり、辺りはすっかり夕焼け色に染まっていた。
心地よい風が吹く。桜を散らしながら暖かい雰囲気を作り出す。
「へぇー……なかなかいい話じゃねぇか」
朔良は真っ白な猫を撫でながら笑顔でそう言った。
萌花もあたたかい目で見守っている。
紫乃はその空気に満足げに笑った。
――ずっと、この光景が見られますように。
ふと、誰かがそう思った。あるいは皆がそう思ったのかもしれない。
その後、猫は自分の家へ帰っていった。
なんで大勢の猫を引き連れてやって来たのか、なぜ紫乃の居場所が分かったのか、何もかも分からなかったが、猫も紫乃も満足そうだったので放っておくことにした。
朔良も、紫乃も、萌花も、何かが変わった気がする。
いい方向へと成長出来たような、そんな感じがした。
ある、春の日の物語――
萌花は少年……紫乃が気に入ったらしく、目にハートマークを付けて紫乃を見ている。
頬を赤く染めて、いかにも“恋してます”感を出している。
萌花は一目惚れの演技が上手い。
出会って間もない他校の男子を即落とした事がある。
豊満な胸を見せつけるかのようにして紫乃の顔より下になるように屈み、上目遣いで紫乃を見る。
「あ、あの……」
肝心の紫乃はと言うと……青ざめた顔で笑顔が引きつっている。
「あれ……私、失敗しちゃいました……?」
はぁ……と朔良はため息をつく。いかにもウブそうな男子相手にこれはないだろうと思った。
朔良に男性経験はない。しかし、それでも萌花がハニートラップを使いすぎたという事は分かった。
「お前、程々にしろって言ったよな?」
「え、えへへ……つい……」
朔良が呆れた顔で萌花を責める。
当の萌花は一応は悪びれた様子をしているが、形だけのものだろうと朔良は思う。
「あ、あの……お二人は何をしに……?」
紫乃はやっと聞きたい事が聞けたと言う顔をしていた。
その問いに朔良が答える。
「何って……萌花の餌を探しに?」
「少しは言葉を選んでくださいよぉ!」
朔良の答えに突っ込む萌花。
それを鬱陶しそうな顔で朔良が萌花を見る。
「だって事実だろ」
「事実かもしれませんけど!」
事実なんだ……と紫乃は小声で呟いた。
萌花が紫乃の視線にハッと気づき、慌てて弁明をする。
「あ、あの、餌って言うのは悪い意味で言ってるわけじゃなくてですね? その、ね? 選ばれた人間って意味って感じ? です?」
と、萌花は一息で捲し立てる。
紫乃は早口で言われたので、よく聞き取れなかったようだ。
頭上にはてなマークが付いているようなしかめっ面をしながら、首を傾げた。
一方の萌花は、一息で話し、息継ぎをしなかったせいか、ひどく疲れた様子だった。
呼吸が荒く、顔が先ほどよりも赤く染まっている。
「その方がよっぽど色っぽく見えるけど」
「朔良先輩!?」
目を細めて眉を寄せながら、朔良がため息混じりに言う。
それを「余計なこと言ってしまったんじゃ……」と言うような不安そうな顔で紫乃が朔良の名を叫ぶ。
「そうですか……」
萌花は顔を下げたままポツリと呟いた。
紫乃はあたふたと落ち着かない様子で、萌花と朔良を交互に見ている。
当の朔良は腕を組んだまま、萌花を見下ろすように背筋を伸ばしながら立っている。
それは威圧しているようにも見受けられたが、顔には不穏な感じがなく、むしろ小さな笑みを浮かべていた。
「せ、先輩……?」
と、紫乃がおずおずと何かを尋ねるように口にした、その時――
「おい! 校庭が大変な事になってるぞ!」
一人の――紫乃と同じクラスの男子が廊下から声を荒げながら教室に入ってくる。
するとあっという間に、なんだなんだと教室がクラスメイトたちのどよめきでいっぱいになる。
「な、いったい何が……」
と朔良も動揺を隠せない様子で、その男子生徒の方を見る。
紫乃も次々と来る様々な出来事に、ついていけない様子だった。
萌花はこの騒動にも顔を上げず、ひたすら顔を下げている。
さっきの事が余程衝撃的だったのだろう。しかし、顔が見えないため、何を考えているのか分からない。
「いっ……今すぐ来てくれっ! 校庭が……猫で埋め尽くされているぞ!」
☆ ☆ ☆
「……はあ?」
なんとも間抜けな声が教室から聞こえてきた。クラス全員「何で猫なんかでそんな騒いでるんだ?」とでも言いたげな顔をしている。
すでに興味もなく読書をしている人や、友達との会話を再び始める人や、他クラスへと向かう人など様々だ。
「ちょっと!?」
急いで教室へ駆け込んできた例の男子生徒はクラスメイトたちの塩対応っぷりに突っ込まずにはいられなかったようだ。
しかし――
「あの、何があったの~……?」
その男子生徒に紫乃が話しかけた。
紫乃はいくら何でも猫ぐらいで騒ぎ立てるような変人などいないだろうと思っている。
「それが…………」
と男子生徒は語り始めた。
☆ ☆ ☆
「いや~……これは壮観だわ……」
「これは確かにあの人も騒ぎ立てるはずですね~……」
場所は校庭。……の隅っこ。
桜の木々がひしめき、桜の花びらが舞うすぐ下。
木にもたれかかり、遠くを見つめる四つの目。
その先には、無数の猫たちの群れがあった。
猫たちは何処かを見て、まるで誰か……何かを探すように動き回っている。
「しかし、なんでこんな事になっているんでしょうね~?」
「さぁ? なんでだろうな。それよりさ……」
ちらっと朔良が一瞥した先には、先ほどから抜け殻のようになっている萌花がいた。
萌花は一向に顔を上げず、ただ俯いている。
「いい加減機嫌直せよな……」
朔良がそう言い、萌花の肩にポンと手を置いた。
すると、萌花の肩が震えているのが朔良に伝わってきた。
「……萌花?」
朔良が違和感を感じ、萌花の顔を下からのぞき込んだ。
そこには――笑顔を浮かべた萌花がいた。笑っていたのだ。
「ふふふ、そう……そういう事だったんですね」
「は?」
「だって……“自然体が1番だ”ってことでしょ?」
萌花が、本当の意味での最高の笑顔を浮かべる。
思わず誰もが見とれそうなほど、魅力的な顔をしている。
嗚呼、そうだ。最初からそれで良かったんだ。
朔良は安堵の笑みを、萌花は満足げな笑みをしていた。
紫乃には何が何だか分からなかったが、充分すぎるほど眩しい先輩たちの姿を見ていると、不思議とあたたかい気持ちになった。
「にゃーお」
「うわっ! は? いつからそこに!?」
突然朔良の足元から鳴き声がしたから足元を見ると、真っ白なスタイルのいい猫がいた。
ゴロゴロと喉を鳴らし、紫乃の方へと駆け寄る。そして、紫乃の足に自分の頬をスリスリしてきた。
「あ、君……もしかして~……あの時の?」
「あの時? そいつとなんかあったのか?」
驚いている紫乃を、不思議そうな顔で朔良が見る。
朔良の視線に気付いたのか、ハッと我に返り、「実は~……」と語り始めた。
☆ ☆ ☆
これは随分前、猛吹雪の寒い寒い夜だった。
気が付くと周り一面の雪景色。
どこを見ても白一色の代わり映えしない景色だった。
……何が起こったんだ?
自分は確かに両親と一緒にいたはずなのに。しかも知らない場所だし……いったいどうしたら?
そんな事を考えていると、目の前に真っ白な猫がポツンと座っていた。
雪景色と全く同じ白一色だったので、よく見ないと見失ってしまいそうな程、周りの景色に馴染んでいた。
「君も……ひとりなの~?」
そう問うてみると、「にゃー」と返事をした。
……賢い猫なのかもしれない。そう思った。
迷子同士ふたりで一緒にいようと思った。
しばらくすると、雪が晴れ、星空が雲の隙間からちらちらと見えた。
晴れてくれたおかげで雪が降っている時よりは寒くなかった。
雪で視界が遮られていたが、もうその心配はない。
「にゃ……」
不安そうに、心細そうに白い猫がこちらを見上げて座っていた。
顔では不安そうかなんて分からないが、声からしてそうなのではないかと思った。
「どうしたの~? もしかして寒い?」
「に……」
紫乃の問いかけに小さく返事をし、擦り寄ってきた。
腕を白い猫に伸ばすと満足げにされるがままの状態になる。
暖かい……猫の体温の方が人間よりも高いからなのか、気温が低いから暖かく感じるのかよく分からないが、紫乃にとってはどっちでもよかった。
猫の体温が暖かくて、思わずぎゅっと抱きしめる。
猫も心地よかったのかゴロゴロと喉を鳴らす。
それからすぐ後ぐらいに親と合流出来た。
足や鼻の先が寒さで真っ赤になってしまったが、胸やお腹の辺りがすごく暖かくて、それが何故かとても嬉しくて思わず笑う。
家ではペット禁止なので、ある程度世話をしたあとは、里親を募集するためにポスターを作る。
その後どこに引き取られたのか、幸せに暮らしているのか、紫乃は何も知らなかった。
☆ ☆ ☆
「……というわけなんですよ~」
紫乃の回想が終わり、辺りはすっかり夕焼け色に染まっていた。
心地よい風が吹く。桜を散らしながら暖かい雰囲気を作り出す。
「へぇー……なかなかいい話じゃねぇか」
朔良は真っ白な猫を撫でながら笑顔でそう言った。
萌花もあたたかい目で見守っている。
紫乃はその空気に満足げに笑った。
――ずっと、この光景が見られますように。
ふと、誰かがそう思った。あるいは皆がそう思ったのかもしれない。
その後、猫は自分の家へ帰っていった。
なんで大勢の猫を引き連れてやって来たのか、なぜ紫乃の居場所が分かったのか、何もかも分からなかったが、猫も紫乃も満足そうだったので放っておくことにした。
朔良も、紫乃も、萌花も、何かが変わった気がする。
いい方向へと成長出来たような、そんな感じがした。
ある、春の日の物語――
0
あなたにおすすめの小説
幼き改革者、皇孫降臨 〜三歳にして朝廷を震わせる〜
由香
キャラ文芸
瑞栄王朝の皇孫・凌曜は、わずか三歳。
泣かず、騒がず、ただ静かに周囲を見つめる幼子だった。
しかしその「無邪気な疑問」は、後宮の不正を暴き、腐敗した朝廷を揺るがしていく。
皇帝である祖父の絶対的な溺愛と後ろ盾のもと、血を流すことなく失脚者を生み、国の歪みを正していく凌曜。
やがて反改革派の最後の抵抗を越え、彼は“決める者”ではなく、“問い続ける存在”として朝廷に立つ。
これは、剣も権謀も持たぬ幼き改革者が、「なぜ?」という一言で国を変えていく物語。
香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
液体猫
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞受賞しました(^_^)/
香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。
ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……
その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。
香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。
彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。
テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。
後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。
シリアス成分が少し多めとなっています。
最強転生悪役令嬢は人生を謳歌したい!~今更SSクラスに戻れと言われても『もう遅い!』Cクラスで最強を目指します!~【改稿版】
てんてんどんどん
ファンタジー
ベビーベッドの上からこんにちは。
私はセレスティア・ラル・シャンデール(0歳)。聖王国のお姫様。
私はなぜかRPGの裏ボス令嬢に転生したようです。
何故それを思い出したかというと、ごくごくとミルクを飲んでいるときに、兄(4歳)のアレスが、「僕も飲みたいー!」と哺乳瓶を取り上げてしまい、「何してくれるんじゃワレ!??」と怒った途端――私は闇の女神の力が覚醒しました。
闇の女神の力も、転生した記憶も。
本来なら、愛する家族が目の前で魔族に惨殺され、愛した国民たちが目の前で魔族に食われていく様に泣き崩れ見ながら、魔王に復讐を誓ったその途端目覚める力を、私はミルクを取られた途端に目覚めさせてしまったのです。
とりあえず、0歳は何も出来なくて暇なのでちょっと魔王を倒して来ようと思います。デコピンで。
--これは最強裏ボスに転生した脳筋主人公が最弱クラスで最強を目指す勘違いTueee物語--
※最強裏ボス転生令嬢は友情を謳歌したい!の改稿版です(5万文字から10万文字にふえています)
※27話あたりからが新規です
※作中で主人公最強、たぶん神様も敵わない(でも陰キャ)
※超ご都合主義。深く考えたらきっと負け
※主人公はそこまで考えてないのに周囲が勝手に深読みして有能に祀り上げられる勘違いもの。
※副題が完結した時点で物語は終了します。俺たちの戦いはこれからだ!
※他Webサイトにも投稿しております。
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる