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第二章 高校二年生(一学期)
やさい(萌花)
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美久里との集合時刻。
萌花の使っている路線からは逆方向から来た電車が、頭の上を通り過ぎていく。
「ごめーん、待ったー?」
「いえ、私もちょうど今来たとこなので」
「そうなの? ならよかった」
美久里と合流し、二人は学校へと向かった。
今日は授業がなく、部活がある。
いつも漫研は休日には活動をしていないのだが、今日はどうやら行かなきゃいけないらしい。
「なんなんだろうね。顧問の先生……いや、シスターも何も言ってなかったのに」
「そうですね。なんだか不穏な気配も感じますが……とりあえずここまで来たら行きますか」
美久里と萌花は不安そうに部室へ入る。
「――そんで、野菜を持ってきたってわけっす!」
「アホかお前! そんなの今日じゃなくてもよかっただろ!」
なにやら、葉奈と朔良が言い争っているらしい。
葉奈はなぜか大きなキャベツを抱えている。
……本当に何故なのか。
「えーと……何をしているんですか?」
「あ、萌花に美久里。それがさ、こいつがいきなりダンボール持ってきてさ」
「その中身はなんと! 採れたて新鮮のキャベツさんなんす!」
葉奈がキャベツを持ったまま両腕を上げる。
重さのせいか、腕がプルプル震えている。
とても危なっかしい。
だが、そのキャベツはとてもみずみずしく、美味しそうに見えた。
採れたてと言っていたから、葉奈がなぜそのキャベツを持ってきたのかわかる気がした。
「んー、つまり……採れたて新鮮のキャベツを自慢したいがために葉奈ちゃんはそのキャベツを持ってきたということですか?」
「まあ自慢したいのもあるっすけど、みんなにおすそ分けしようかと思って持ってきたんす」
気持ちは嬉しいが、こんなのを持って帰ったら目立ってしまう。
葉奈は道中、視線を感じなかったのだろうか。
ますます葉奈のことが理解できなくなってきた。
「ふむ……みんな反応イマイチっすね」
「そりゃそうだよ~。いきなりキャベツもらってくれって言われても困るだけだよ~」
「問題はそこだけじゃないと思うけどにゃ」
紫乃と瑠衣は呆れ気味にそう零す。
なんとなく話が見えてきた。
今日部活があるのは、葉奈がみんなにキャベツを配りたかったから……ということらしい。
顧問のシスターもいないし、つまりはそういうことなのだろう。
「ま、それもいいですよね」
「ん? どうしたの、萌花。まさかそれ持って帰るの?」
「せっかくなのでね。美久里ちゃんも持っていきませんか? みんなで持っていれば違和感もなくなると思いますし」
「そっかー、確かに! じゃあ私も持ってく~!」
「確かにじゃねーよ! みんなで持ってるのはそれはそれで違和感あるだろ!?」
朔良のツッコミを無視して、萌花はキャベツを抱えながら来た道を戻り始めた。
萌花の使っている路線からは逆方向から来た電車が、頭の上を通り過ぎていく。
「ごめーん、待ったー?」
「いえ、私もちょうど今来たとこなので」
「そうなの? ならよかった」
美久里と合流し、二人は学校へと向かった。
今日は授業がなく、部活がある。
いつも漫研は休日には活動をしていないのだが、今日はどうやら行かなきゃいけないらしい。
「なんなんだろうね。顧問の先生……いや、シスターも何も言ってなかったのに」
「そうですね。なんだか不穏な気配も感じますが……とりあえずここまで来たら行きますか」
美久里と萌花は不安そうに部室へ入る。
「――そんで、野菜を持ってきたってわけっす!」
「アホかお前! そんなの今日じゃなくてもよかっただろ!」
なにやら、葉奈と朔良が言い争っているらしい。
葉奈はなぜか大きなキャベツを抱えている。
……本当に何故なのか。
「えーと……何をしているんですか?」
「あ、萌花に美久里。それがさ、こいつがいきなりダンボール持ってきてさ」
「その中身はなんと! 採れたて新鮮のキャベツさんなんす!」
葉奈がキャベツを持ったまま両腕を上げる。
重さのせいか、腕がプルプル震えている。
とても危なっかしい。
だが、そのキャベツはとてもみずみずしく、美味しそうに見えた。
採れたてと言っていたから、葉奈がなぜそのキャベツを持ってきたのかわかる気がした。
「んー、つまり……採れたて新鮮のキャベツを自慢したいがために葉奈ちゃんはそのキャベツを持ってきたということですか?」
「まあ自慢したいのもあるっすけど、みんなにおすそ分けしようかと思って持ってきたんす」
気持ちは嬉しいが、こんなのを持って帰ったら目立ってしまう。
葉奈は道中、視線を感じなかったのだろうか。
ますます葉奈のことが理解できなくなってきた。
「ふむ……みんな反応イマイチっすね」
「そりゃそうだよ~。いきなりキャベツもらってくれって言われても困るだけだよ~」
「問題はそこだけじゃないと思うけどにゃ」
紫乃と瑠衣は呆れ気味にそう零す。
なんとなく話が見えてきた。
今日部活があるのは、葉奈がみんなにキャベツを配りたかったから……ということらしい。
顧問のシスターもいないし、つまりはそういうことなのだろう。
「ま、それもいいですよね」
「ん? どうしたの、萌花。まさかそれ持って帰るの?」
「せっかくなのでね。美久里ちゃんも持っていきませんか? みんなで持っていれば違和感もなくなると思いますし」
「そっかー、確かに! じゃあ私も持ってく~!」
「確かにじゃねーよ! みんなで持ってるのはそれはそれで違和感あるだろ!?」
朔良のツッコミを無視して、萌花はキャベツを抱えながら来た道を戻り始めた。
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