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第二章 高校二年生(一学期)
いかり(柚)
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「じゃあ、呼ばれたら取りに来てね~。天美さーん」
「はーい」
当たり前のことだが、テストは出席番号順に返却される。
だけど、その番号が後ろの方の柚は、他の人よりもテストが返されるドキドキを長く経験しなくてはならない。
それがどうにももどかしいのだ。
「萌花さんが今回の試験もトップキープ、一人だけ百点満点です!」
先生は応援メガホンを使って大声で叫び、右手に高々と掲げてクラスメートたちに向けて萌花の答案を見せびらかした。
「おーっ!」
すると、クラスメートたちから拍手が巻き起こる。
萌花は急激に頭を沸騰させた。
「恥ずかしいのでやめてください。プライバシーの侵害です。いつも言ってるでしょう!」
萌花は小さな身体をピョンッと跳ねさせ、答案をすばやく奪い取る。
そして、それをくしゃくしゃに丸めてそそくさと席に戻った。
「相変わらず萌花さんは照れ屋さんっぽいね~。毎度のことだけど、もう少し字は大きく書かないと。内気な性格示してますからねぇ」
萌花は席に座ったまま、先生の方に鋭い視線を送った。優等生な萌花なりの反抗といったところだろうか。
小動物みたいで、あまり恐ろしい感じはしていないのだけれども。
「まあまあまあ、そんなに怒らないでください。怒った顔も可愛いですから」
「余計なお世話です……っ!」
先生は萌花のご機嫌をとろうとしたようだが、その発言がかえって損ねさせる結果となってしまった。
毎度のことながら、見ていて飽きない。
「はい、じゃあ柚さん。取りに来てね~」
「あ、はーい」
そうこうしているうちに、柚の番が回ってきたようだ。
心臓の鼓動がうるさい。
恋とはまた違ったドキドキ感がある。
柚は恋なんて未経験だけれども。
「はい、再試験決定なので頑張ってくださいね」
先生はにっこりと微笑みながら、柚に答案を手渡した。
ストレートすぎる言葉に、柚は固まる。
絶望しすぎて、今すぐにでも土に還りたい気分になってしまった。
「うわっ、またやっちゃったよ。しかも最低点更新だ」
柚は点数が見えないよう二つ折りにして、席へ戻る。
すると、席の近い萌花がちょんちょんと肩を叩いてきた。
「ねぇ、柚ちゃん。何点でしたか?」
「……あんまり気乗りしないけど、萌花さんにだけこっそり見せるね」
柚は点数が書かれてある隅の方を、小さく開いて見せる。
「おぉ……柚ちゃんは25点ですか。時間がある時に、私が勉強教えましょうか?」
「気持ちは嬉しいけど、萌花さん声大きいよ……」
「あ、ごめんなさい……」
だけど先生には聞こえていなかったようで、続々とクラスメイトたちの名前が呼ばていく。
こうして、古典のテスト返却も終わり、一時の安寧が訪れる。
「ふはーっ、終わったぁ……」
「終わりましたね~……」
柚は二つの意味で言ったのだが、萌花はそれをわかっているのだろうか。
『フィニッシュ』ではなく『ジ・エンド』を経験したことのない萌花にはわからないか。
柚は拗ね気味に結論付けた。
それはともかく、萌花にお願いをしなくては。
「ねぇ、萌花さん。その、さっきの提案なんだけどさ……」
「さっき? あー、勉強教えるってやつですか?」
「そうそう。勉強教えてほしいな~って……」
「なるほど。私は構いませんよ。人に教えることで自分も理解が深まるので」
萌花は聖母マリアのような笑みで答えてくれる。
柚の知っている限り、萌花が人の頼みを断ったところを見たことがない。
聖母マリアが転生した姿なのではないかと、本気で思うほどだ。
もしくは天使か神様。
まあ、それは置いておいて。
「ありがとう、萌花さん。学年トップの萌花さんに勉強を教えてもらえるなんて光栄だな~」
「あはは、それで次のテスト悪い点取ったら承知しませんからね」
「……冗談、だよね?」
ニコニコ微笑みながら、萌花はその奥にただならぬ気配を隠しているようだ。
冗談だと信じたい。
よくても平均点より少し上しか取ったことのない柚は、萌花の怒りを受ける可能性の方が高い。
「ふふふ、さぁ? どうでしょう?」
とりあえず、次のテストは死ぬ気で頑張らないといけない。
そのことだけは、柚にも理解できた。
「はーい」
当たり前のことだが、テストは出席番号順に返却される。
だけど、その番号が後ろの方の柚は、他の人よりもテストが返されるドキドキを長く経験しなくてはならない。
それがどうにももどかしいのだ。
「萌花さんが今回の試験もトップキープ、一人だけ百点満点です!」
先生は応援メガホンを使って大声で叫び、右手に高々と掲げてクラスメートたちに向けて萌花の答案を見せびらかした。
「おーっ!」
すると、クラスメートたちから拍手が巻き起こる。
萌花は急激に頭を沸騰させた。
「恥ずかしいのでやめてください。プライバシーの侵害です。いつも言ってるでしょう!」
萌花は小さな身体をピョンッと跳ねさせ、答案をすばやく奪い取る。
そして、それをくしゃくしゃに丸めてそそくさと席に戻った。
「相変わらず萌花さんは照れ屋さんっぽいね~。毎度のことだけど、もう少し字は大きく書かないと。内気な性格示してますからねぇ」
萌花は席に座ったまま、先生の方に鋭い視線を送った。優等生な萌花なりの反抗といったところだろうか。
小動物みたいで、あまり恐ろしい感じはしていないのだけれども。
「まあまあまあ、そんなに怒らないでください。怒った顔も可愛いですから」
「余計なお世話です……っ!」
先生は萌花のご機嫌をとろうとしたようだが、その発言がかえって損ねさせる結果となってしまった。
毎度のことながら、見ていて飽きない。
「はい、じゃあ柚さん。取りに来てね~」
「あ、はーい」
そうこうしているうちに、柚の番が回ってきたようだ。
心臓の鼓動がうるさい。
恋とはまた違ったドキドキ感がある。
柚は恋なんて未経験だけれども。
「はい、再試験決定なので頑張ってくださいね」
先生はにっこりと微笑みながら、柚に答案を手渡した。
ストレートすぎる言葉に、柚は固まる。
絶望しすぎて、今すぐにでも土に還りたい気分になってしまった。
「うわっ、またやっちゃったよ。しかも最低点更新だ」
柚は点数が見えないよう二つ折りにして、席へ戻る。
すると、席の近い萌花がちょんちょんと肩を叩いてきた。
「ねぇ、柚ちゃん。何点でしたか?」
「……あんまり気乗りしないけど、萌花さんにだけこっそり見せるね」
柚は点数が書かれてある隅の方を、小さく開いて見せる。
「おぉ……柚ちゃんは25点ですか。時間がある時に、私が勉強教えましょうか?」
「気持ちは嬉しいけど、萌花さん声大きいよ……」
「あ、ごめんなさい……」
だけど先生には聞こえていなかったようで、続々とクラスメイトたちの名前が呼ばていく。
こうして、古典のテスト返却も終わり、一時の安寧が訪れる。
「ふはーっ、終わったぁ……」
「終わりましたね~……」
柚は二つの意味で言ったのだが、萌花はそれをわかっているのだろうか。
『フィニッシュ』ではなく『ジ・エンド』を経験したことのない萌花にはわからないか。
柚は拗ね気味に結論付けた。
それはともかく、萌花にお願いをしなくては。
「ねぇ、萌花さん。その、さっきの提案なんだけどさ……」
「さっき? あー、勉強教えるってやつですか?」
「そうそう。勉強教えてほしいな~って……」
「なるほど。私は構いませんよ。人に教えることで自分も理解が深まるので」
萌花は聖母マリアのような笑みで答えてくれる。
柚の知っている限り、萌花が人の頼みを断ったところを見たことがない。
聖母マリアが転生した姿なのではないかと、本気で思うほどだ。
もしくは天使か神様。
まあ、それは置いておいて。
「ありがとう、萌花さん。学年トップの萌花さんに勉強を教えてもらえるなんて光栄だな~」
「あはは、それで次のテスト悪い点取ったら承知しませんからね」
「……冗談、だよね?」
ニコニコ微笑みながら、萌花はその奥にただならぬ気配を隠しているようだ。
冗談だと信じたい。
よくても平均点より少し上しか取ったことのない柚は、萌花の怒りを受ける可能性の方が高い。
「ふふふ、さぁ? どうでしょう?」
とりあえず、次のテストは死ぬ気で頑張らないといけない。
そのことだけは、柚にも理解できた。
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