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第二章 高校二年生(一学期)
がっしゅく2(美久里)
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40分ほどで到着したその場所は、大勢の観光客で賑わっていた。
もうすぐ夏休みの時期なので、訪れる客が結構多いらしい。
いつ来ても人は多いと思うが。
「おぉ……これはなかなか……」
葉奈は興味深そうに辺りを見回す。
神社が好きな葉奈のことだからてっきり神社に関心があるのかと思ったら、城下町風の『おまけ横丁』の方に関心があるようだ。
「なぁなぁ、先にこっち見て回らねぇっすか?」
「そうすると荷物が増えそうだけど……」
「それもそうっすね……」
美久里が不安そうに言うと、葉奈はあからさまに肩を落とした。
そんな露骨にガッカリしなくても……
どうせ神社行ったあとここに戻ってくるんだし。
「大丈夫だよ、葉奈ちゃん。またすぐ戻ってくるんだから~」
「よ、よかったっす……」
葉奈は心底安堵しているようだ。
なんだか死地から無事に帰って来られた人のようになっている。
なぜそこまで『おまけ横丁』に行きたいのだろうか。
もしかして、なにか思い入れとか、朔良たちにお土産をとか思って――
「はやく美味しいものたらふく食べたいっすねぇ」
――いなかった。
そして人の波にもまれながら、なんとか神社で参拝することができた。
厳かな雰囲気は漂っているが、人が多いせいでそれが薄れているように感じる。
でも、自然豊かですごく落ち着く。
「よーし、参拝も終えたっすし、おまけ横丁行くっすよー!」
「葉奈ちゃんはずっとそればっかり言ってますね……」
「まあ、僕もその気持ちわからなくはないけどね~」
「ボクはまだこの神聖な場にいたいけど、団体行動も大事だからね。みんなに従うよ」
みんなは葉奈につられるように、もう戻る流れになっている。
もう少しゆっくりしていってもいい気はするが、葉奈の声が大きくて流れが変わる気配はない。
まあでも、美久里もそこまで神社が好きというわけではないからいいのだけれど。
「私もみんなについてくよ!」
美久里も同調し、てくてくとみんなの後に続いた。
すると、紫乃が隣にきて耳元でぼそりとつぶやく。
「美久里ちゃん、無理して合わせなくてもよかったんだよ~?」
紫乃は優しい。
美久里をいつも気遣ってくれるから。
でも、無理をしているわけではないから、合わせるのは苦痛でもなんでもない。ちょっとだけ寂しい気はするけど。
「ありがとう。でも、大丈夫だよ。無理してないから」
「そう? ちょっと元気ないように見えたから気になっちゃって~。無理してないならよかったよ~」
やっぱり、紫乃は優しい。そして周りをよく見ている。
葉奈の観察眼も驚く程だが、紫乃も相当だった。
「じゃ、迷子にならないように手繋いで歩こうか~」
「もー、子供扱いしないでよー!」
「あはは。でもほら、置いてかれそうだからさ~。一緒に走ろ~?」
紫乃の言う通り、萌花たちとずいぶん間があいてしまっていた。
このままだと、人の流れも多くて離れ離れになりそうだ。
「よーし、しっかり掴まっててね~」
「あれ? 紫乃ちゃんって私より足速かったっけ?」
「……あは、どうだったかな?」
美久里と紫乃はそんなことを喋りながら、萌花たちを追いかけるべく手を繋いで走った。
もうすぐ夏休みの時期なので、訪れる客が結構多いらしい。
いつ来ても人は多いと思うが。
「おぉ……これはなかなか……」
葉奈は興味深そうに辺りを見回す。
神社が好きな葉奈のことだからてっきり神社に関心があるのかと思ったら、城下町風の『おまけ横丁』の方に関心があるようだ。
「なぁなぁ、先にこっち見て回らねぇっすか?」
「そうすると荷物が増えそうだけど……」
「それもそうっすね……」
美久里が不安そうに言うと、葉奈はあからさまに肩を落とした。
そんな露骨にガッカリしなくても……
どうせ神社行ったあとここに戻ってくるんだし。
「大丈夫だよ、葉奈ちゃん。またすぐ戻ってくるんだから~」
「よ、よかったっす……」
葉奈は心底安堵しているようだ。
なんだか死地から無事に帰って来られた人のようになっている。
なぜそこまで『おまけ横丁』に行きたいのだろうか。
もしかして、なにか思い入れとか、朔良たちにお土産をとか思って――
「はやく美味しいものたらふく食べたいっすねぇ」
――いなかった。
そして人の波にもまれながら、なんとか神社で参拝することができた。
厳かな雰囲気は漂っているが、人が多いせいでそれが薄れているように感じる。
でも、自然豊かですごく落ち着く。
「よーし、参拝も終えたっすし、おまけ横丁行くっすよー!」
「葉奈ちゃんはずっとそればっかり言ってますね……」
「まあ、僕もその気持ちわからなくはないけどね~」
「ボクはまだこの神聖な場にいたいけど、団体行動も大事だからね。みんなに従うよ」
みんなは葉奈につられるように、もう戻る流れになっている。
もう少しゆっくりしていってもいい気はするが、葉奈の声が大きくて流れが変わる気配はない。
まあでも、美久里もそこまで神社が好きというわけではないからいいのだけれど。
「私もみんなについてくよ!」
美久里も同調し、てくてくとみんなの後に続いた。
すると、紫乃が隣にきて耳元でぼそりとつぶやく。
「美久里ちゃん、無理して合わせなくてもよかったんだよ~?」
紫乃は優しい。
美久里をいつも気遣ってくれるから。
でも、無理をしているわけではないから、合わせるのは苦痛でもなんでもない。ちょっとだけ寂しい気はするけど。
「ありがとう。でも、大丈夫だよ。無理してないから」
「そう? ちょっと元気ないように見えたから気になっちゃって~。無理してないならよかったよ~」
やっぱり、紫乃は優しい。そして周りをよく見ている。
葉奈の観察眼も驚く程だが、紫乃も相当だった。
「じゃ、迷子にならないように手繋いで歩こうか~」
「もー、子供扱いしないでよー!」
「あはは。でもほら、置いてかれそうだからさ~。一緒に走ろ~?」
紫乃の言う通り、萌花たちとずいぶん間があいてしまっていた。
このままだと、人の流れも多くて離れ離れになりそうだ。
「よーし、しっかり掴まっててね~」
「あれ? 紫乃ちゃんって私より足速かったっけ?」
「……あは、どうだったかな?」
美久里と紫乃はそんなことを喋りながら、萌花たちを追いかけるべく手を繋いで走った。
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