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第二章 高校二年生(二学期)
きーほるだー(美久里)
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「……りー! おーい! 美久里ー?」
誰かの呼ぶ声が聞こえて、美久里はゆっくりと意識を取り戻した。
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
しかも、授業中に。
先生に起こされた感覚はないから、多分バレてはいないと思うが……
「美久里ー。お、起きたか。もうお昼だから飯食いにいこうぜ」
「あ、朔良……おはよ……」
心配そうな顔で美久里を覗き込んでいたのは、お弁当を手に持っている朔良だった。
「授業中、よく寝てたよな。いい夢でも見てたのか?」
「うーん……いい夢だったような気がするんだけど……よく覚えてないんだよね。まほなれ関連の夢を見ていたような気はするんだけど」
美久里の脳内から、夢の出来事はほぼ消え去っていた。
授業中に寝てそのまま起きないくらいなら、きっといい夢だったに違いない。
だけど、それ以上のことはわからない。
「ふーん、詳しく聞きてぇけど覚えてないなら仕方ないな」
朔良はそれほど興味なさそうに言う。
余計なことは言わないし聞かない。
本当にさっぱりした性格をしている。
「それよりさ、今日用事あるとか休んでるやつ多いし久々に二人で食べようぜ」
「う、うん……! そうする……!」
美久里もお弁当をカバンから取り出し、机を合わせる。
教室には今日もたくさんの生徒がいるが、なんだかここだけ別世界のような雰囲気が漂う。
周りと空気感が違うというか、この空間を独り占めしたいというか。
気持ちの問題なのかもしれないけど。
「お、それまだ持ってんだな」
朔良の視線の先には、まほなれのキーホルダーがある。
そう、朔良に話しかけられるきっかけになったキーホルダーが。
「うん。まほなれ大好きだし、それに……これのおかげで朔良と友だちになれたからね」
「美久里……」
美久里はそう言って、愛おしげにキーホルダーをなでる。
本当に、思い出深いキーホルダーだ。
でも、朔良は面白くなさそうに顔をしかめる。
「お前、まともなこと言うなよ。そんなんじゃやってけねーぞ」
「なんの話!?」
朔良はそれほど……というか、全然気にしていないようだ。
人間関係にドライなところがあるのはわかっていたし、あんまり過去に執着するような人ではないとわかっていた。
でも、やっぱり改めて気にしていないという現実を突きつけられるのは悲しい。
「ま、でも……大事にしてんだな」
そう思っていたが、朔良のその一言で考えが変わった。
その一言に、多くの意味が込められている気がして。
「……うんっ! 当然だよ! これからも大事にする!」
「……そっか」
お弁当のおかずに甘いものなんて入っていないはずなのに、いつもより甘く感じられた昼休みだった。
誰かの呼ぶ声が聞こえて、美久里はゆっくりと意識を取り戻した。
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
しかも、授業中に。
先生に起こされた感覚はないから、多分バレてはいないと思うが……
「美久里ー。お、起きたか。もうお昼だから飯食いにいこうぜ」
「あ、朔良……おはよ……」
心配そうな顔で美久里を覗き込んでいたのは、お弁当を手に持っている朔良だった。
「授業中、よく寝てたよな。いい夢でも見てたのか?」
「うーん……いい夢だったような気がするんだけど……よく覚えてないんだよね。まほなれ関連の夢を見ていたような気はするんだけど」
美久里の脳内から、夢の出来事はほぼ消え去っていた。
授業中に寝てそのまま起きないくらいなら、きっといい夢だったに違いない。
だけど、それ以上のことはわからない。
「ふーん、詳しく聞きてぇけど覚えてないなら仕方ないな」
朔良はそれほど興味なさそうに言う。
余計なことは言わないし聞かない。
本当にさっぱりした性格をしている。
「それよりさ、今日用事あるとか休んでるやつ多いし久々に二人で食べようぜ」
「う、うん……! そうする……!」
美久里もお弁当をカバンから取り出し、机を合わせる。
教室には今日もたくさんの生徒がいるが、なんだかここだけ別世界のような雰囲気が漂う。
周りと空気感が違うというか、この空間を独り占めしたいというか。
気持ちの問題なのかもしれないけど。
「お、それまだ持ってんだな」
朔良の視線の先には、まほなれのキーホルダーがある。
そう、朔良に話しかけられるきっかけになったキーホルダーが。
「うん。まほなれ大好きだし、それに……これのおかげで朔良と友だちになれたからね」
「美久里……」
美久里はそう言って、愛おしげにキーホルダーをなでる。
本当に、思い出深いキーホルダーだ。
でも、朔良は面白くなさそうに顔をしかめる。
「お前、まともなこと言うなよ。そんなんじゃやってけねーぞ」
「なんの話!?」
朔良はそれほど……というか、全然気にしていないようだ。
人間関係にドライなところがあるのはわかっていたし、あんまり過去に執着するような人ではないとわかっていた。
でも、やっぱり改めて気にしていないという現実を突きつけられるのは悲しい。
「ま、でも……大事にしてんだな」
そう思っていたが、朔良のその一言で考えが変わった。
その一言に、多くの意味が込められている気がして。
「……うんっ! 当然だよ! これからも大事にする!」
「……そっか」
お弁当のおかずに甘いものなんて入っていないはずなのに、いつもより甘く感じられた昼休みだった。
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