ストーキングは愛の証!【完結済み】

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第一章 ストーキングの恋模様!

何かがおかしい?

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 ○月○日

 今日はちょっとやばかったかも。
 綾ちゃんにバレそうだったけどなんとか隠し通せた……と思う。良かった……よね。多分。
 それにしても、さっちゃん先輩の好きなものを知れたのは嬉しかったなぁ……
 機会があればさっちゃん先輩の好きなものを作って渡したい。
 早速練習してみよう!

 ――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。

 ☆ ☆ ☆

 あれから早二週間。
 沙友理はすっかり元通りになり、何気ない毎日を過ごしていた。
 ――かと、思いきや……

「……あ、あのー……」
「んー? どうかしましたか?」

 スラッとした縦に長い体型に、肩まで伸びた艶のある綺麗な黒髪を靡かせる少女。
 清楚そうな印象を受けるが、中身はそうでもないらしい。

「へへ……そんなに見られると照れちゃいますね……」

 頬を赤く染め、照れくさそうに笑う。
 一瞬見惚れかけたが、沙友理はハッと我に返った。

「――じゃなくてっ!  何しに来たのですか……“綾ちゃん”」

 “四季彩綾しきさいあや”――華緒と同じクラスの少女。
 綾は沙友理と同じ、オシャレが好きな人種である。
 華緒をお昼ご飯に誘う時に出会い、今では化粧品や服装について語り合えるほどの仲になっていた。

「何って、決まってるじゃないですかぁ!  今日の私のカラコン、いつもと違うでしょう?」
「……んー?  あ、ほんとなのです!  黄色っぽい鮮やかな色なのです!」

 沙友理がそれに気づくと、綾は得意げな顔つきになる。

「ふっふーん。沙友理先輩もカラコン入れてみませんかー?」

 このカラコンを相当気に入っているようで、沙友理に見せつけるかのように顔を近づける。
 だが、沙友理は申し訳なさそうに目を逸らす。

「あー……コンタクトって怖くてなかなか挑戦できないのですよ。それほど視力が悪い方でもないのですし、必要性を感じないと言いますか……」

 沙友理がそう言うと、綾はキュピーンと目を光らせた。

「はっはーん。さては沙友理先輩、ピアスとかも怖い人ですかー?」
「うぐ……ま、まあ、そんな感じなのですけど……」
「やっぱり!  怖がってたらだめですよ、沙友理先輩。オシャレ番長の名が廃れますよ!?」
「わたし、番長になった覚えはないのですけど……」

 唐突に叫び出した綾に、沙友理はどう対応すればいいかわからず狼狽える。
 沙友理たちは学校近くの公園にいるのだが、休日なのに人気がない。
 静かな時を過ごしたい人にとっては、いいスポットになっている。

「ところで沙友理先輩。お腹空いちゃったんですけど、何か奢ってくれませんかー?」

 ゴロゴロと猫なで声で懇願する綾。
 ちょうど今はお金に余裕があるため、断る理由がなかった。

「いいのですよ。だけどあまり高いものは奢れないのですよ?」
「わーい!  じゃあファミレス行きません?  今ちょうどコラボやってるんですよー!」
「綾ちゃんの行きたいところに行くのです。どんなコラボなのですか?」
「よくぞ聞いてくれました!  それがですね――」

 道行く間、綾は好きなものについてずっと語っていた。
 綾はゲームが好きで、よくゲーセンに行っているらしい。
 そして、いつでもゲームのことで頭がいっぱいなのだとか。

「――着いたのです」
「おー!  ファミレスって謎の安心感ありますよねー!」

 早速二人が足を踏み入れた先には――

「あれ……さっちゃん先輩?」

 ――華緒がいた。
 沙友理も綾も、驚いた様子で華緒を見ている。

「華緒ちゃん……!?  奇遇なのです!」
「華緒ちゃんじゃん!  どうしたのー?」
「いや……私はお昼ご飯食べに来ただけですけど……」

 訝しげな表情で、二人を交互に見回す華緒。
 綾はその様子に何かを察した。

「沙友理先輩とは公園で偶然出会っただけだよー。外出届出したんだけど、あんますることなくてさー」
「そう……」

 綾は沙友理たちと違い、寮に住んでいる。
 外出届を出さないと外に出られないのだが、暇つぶし程度に外に出てみたらしい。
 やることはあまりなかったようだが。

「だから心配しないでねー」
「……何も心配してないんだけど?」

 そんなような会話を交わし、三人は席に着く。
 そして、それぞれの注文した食べ物が届くと、すぐに食べ出した。

「ところで、さっちゃん先輩はオムライスが好きなんですか?」
「え?  あー、そうなのですよ。卵のふわふわ感がたまらないのです」
「そうなんですね」

 沙友理と華緒のやり取りを、微笑ましそうに見ていた綾。
 口角を上げて、「ふーん、そういうことか」と何やらぼそっと呟いた。
 その呟きを耳ざとく拾った華緒は、迷惑そうな顔をしている。

 そんな華緒を知ってか知らでか、綾は箸を置く。
 そしてセルフサービスの水を飲むと、おもむろに席を立った。

「ごめん。私急用出来ちゃったー。後は二人でごゆっくり」
「え?  まだ食べ始めたばかり――って、いつの間に食べ終わったのですか!?」
「じゃ、そういうことだから、は帰るねー」

 元気よく手を振って、本当に帰っていく綾。
 ちゃんと自分の分の会計を済ませて、風のように去っていった。
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