8 / 50
第一章 ストーキングの恋模様!
この遊びは危険?
しおりを挟む
○月○日
今日は休日か……さっちゃん先輩の家に遊びに行った。
それでも中には入れないけど。
妹さんと仲良いのすごく羨ましいなぁ……
私もさっちゃん先輩の妹だったら、毎日一緒に登下校したりゲームしたり出来るのかな。
一緒にご飯食べたり、一緒にお風呂入ったり、一緒に同じ布団で寝たり……最後の二つはなんか違う?
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
「そういや、昨日親友が熱出したんだよ」
「そうなのですか。珍しいのですね。親友ちゃんが熱出すなんて」
「そうなんだよ~。あいつ元気だけが取り柄なのにな」
「……何気にひどいのです」
今日は休日である。
沙友理はいつものように、妹の理沙と一緒に朝食を取っていた。
理沙の親友は、天真爛漫といった感じで、よく公園を駆け回っているのを目にする。
元気が取り柄という部分は間違ってないだろう。
元気“だけ”かどうかは知らないが。
「ねーちゃん、今日何する?」
「そうなのですね……『マリコ』やるのです!」
「お、いいな! 今日こそは負けねーぞ!」
二人は早速自室に戻り、テレビの電源をつける。
ゲームを棚から取り出し、慣れた手つきで用意していく。
沙友理と理沙は休日になると、必ずゲームをして遊ぶ。
対戦になると、理沙は沙友理に勝てない。
なぜかはわからないが、理沙はゲームが弱いのだ。
「あー、もう! また負けたぁ!」
「ふふふ。理沙がお姉ちゃんに勝とうとするなんて100年早いのです」
沙友理はラスボスみたいに理沙を煽る。
これは、「まだやるなら受けて立つ」的な意味合いだったのだが、理沙はもうやる気がないようだ。
それを察した沙友理は、気になっていたことを質問する。
「あ、そうなのです。漫画の方は順調なのですか?」
「それがさー、あんまいい構想が浮かばないんだよー」
沙友理の問いかけに、一瞬ドキリとする理沙。
いい構想が浮かばないというのは、本当のようである。
しかし、理沙の机の上には、真っ白な原稿用紙が。
「まあ、その、なんて言うか……リアルさ? ってのがどうにも苦手でさ」
「リアルさ……なのですか?」
「そうそう。共感とかも大事だと思うしさ……身近に感じてもらいたいっていうか……」
「大変なのですね。物語を作るのって」
そう言うと、おもむろに理沙に近づく。
理沙の目の前まで歩いて、いつもの笑顔のまま頬を赤らめた。
「リアルさが欲しいなら、わたしを利用してみるのもいいのですよ?」
「……は?」
理沙の口から、間の抜けた声が出る。
すごく変な顔をしている。
「な、何言ってんだよ……ねーちゃん」
「嫌なら別にいいのですよ?」
「いや、別に嫌ってわけじゃないけど……」
理沙はすごく驚いているが、沙友理を拒否しようとはしない。
沙友理は拒否されたら普通にやめようとしていた。
理沙が嫌でなければ、このままリアルさを出させるのもいいかもしれない。
「けどさ、あたしとねーちゃんで何しようって――うおっ!」
理沙が言い終わらないうちに、沙友理が理沙を押し倒した。
理沙は何がなんだかわからず狼狽えている。
当の沙友理はというと……よくわからない。
「“体験”してみれば、リアリティー出るんじゃないのですか?」
「た、体験って……具体的に何すんだよ……」
「例えばこんな……」
そう言い、沙友理は理沙に近づく。
運動神経のいい理沙は、その気になれば運動音痴の沙友理のことを払いのけられるはずだ。
それなのに、されるがままになっている。
これの意味することは――
「えいっ、なのです!」
「ひゃあっ!」
沙友理はすごくいい笑顔を浮かべている。
理沙はあまりにも唐突な出来事に、ついていけずにいた。
床の上で、沙友理が理沙に抱きついているのだ。
「な、なんだよ……! や、やめろって……ねーちゃん」
「やめないのです~。どうなのですか? 温かくて気持ちいいのですよね」
「だ、断定しないでくれねーかな……否定はしねーけど」
この姉妹のイチャつきは、誰にも見られることはない……と、思いきや。
ドアの隙間からこっそりと様子を窺っている者がいた。
「ふむふむ、沙友理と理沙はそういう仲だと……」
エプロンを巻いたお父さんが、微笑ましそうに眺めていたのである。
そろそろお昼頃になるため、ご飯を食べようと呼びに来たのだ。
だが――
「これは邪魔しちゃいかんよな、うん」
「聞こえてんぞ、とーちゃん」
「あ、バレた?」
一人で勝手に納得して退散しようとしていたお父さんを、理沙が呼び止める。
なぜか妙に機嫌が悪くなってしまった理沙を、お父さんがものすごく刺激した。
「いや~、いいもの見れたよ。まさか沙友理と理沙がそこまでの仲だったなんてな」
「ぶっっっ殺す……!!」
ついに怒りを顕にした理沙。
そして、お父さんを追いかけて走り出す。
沙友理は特に何も思うことはなく、「眠いのです……」と言って昼寝をした。
今日は休日か……さっちゃん先輩の家に遊びに行った。
それでも中には入れないけど。
妹さんと仲良いのすごく羨ましいなぁ……
私もさっちゃん先輩の妹だったら、毎日一緒に登下校したりゲームしたり出来るのかな。
一緒にご飯食べたり、一緒にお風呂入ったり、一緒に同じ布団で寝たり……最後の二つはなんか違う?
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
「そういや、昨日親友が熱出したんだよ」
「そうなのですか。珍しいのですね。親友ちゃんが熱出すなんて」
「そうなんだよ~。あいつ元気だけが取り柄なのにな」
「……何気にひどいのです」
今日は休日である。
沙友理はいつものように、妹の理沙と一緒に朝食を取っていた。
理沙の親友は、天真爛漫といった感じで、よく公園を駆け回っているのを目にする。
元気が取り柄という部分は間違ってないだろう。
元気“だけ”かどうかは知らないが。
「ねーちゃん、今日何する?」
「そうなのですね……『マリコ』やるのです!」
「お、いいな! 今日こそは負けねーぞ!」
二人は早速自室に戻り、テレビの電源をつける。
ゲームを棚から取り出し、慣れた手つきで用意していく。
沙友理と理沙は休日になると、必ずゲームをして遊ぶ。
対戦になると、理沙は沙友理に勝てない。
なぜかはわからないが、理沙はゲームが弱いのだ。
「あー、もう! また負けたぁ!」
「ふふふ。理沙がお姉ちゃんに勝とうとするなんて100年早いのです」
沙友理はラスボスみたいに理沙を煽る。
これは、「まだやるなら受けて立つ」的な意味合いだったのだが、理沙はもうやる気がないようだ。
それを察した沙友理は、気になっていたことを質問する。
「あ、そうなのです。漫画の方は順調なのですか?」
「それがさー、あんまいい構想が浮かばないんだよー」
沙友理の問いかけに、一瞬ドキリとする理沙。
いい構想が浮かばないというのは、本当のようである。
しかし、理沙の机の上には、真っ白な原稿用紙が。
「まあ、その、なんて言うか……リアルさ? ってのがどうにも苦手でさ」
「リアルさ……なのですか?」
「そうそう。共感とかも大事だと思うしさ……身近に感じてもらいたいっていうか……」
「大変なのですね。物語を作るのって」
そう言うと、おもむろに理沙に近づく。
理沙の目の前まで歩いて、いつもの笑顔のまま頬を赤らめた。
「リアルさが欲しいなら、わたしを利用してみるのもいいのですよ?」
「……は?」
理沙の口から、間の抜けた声が出る。
すごく変な顔をしている。
「な、何言ってんだよ……ねーちゃん」
「嫌なら別にいいのですよ?」
「いや、別に嫌ってわけじゃないけど……」
理沙はすごく驚いているが、沙友理を拒否しようとはしない。
沙友理は拒否されたら普通にやめようとしていた。
理沙が嫌でなければ、このままリアルさを出させるのもいいかもしれない。
「けどさ、あたしとねーちゃんで何しようって――うおっ!」
理沙が言い終わらないうちに、沙友理が理沙を押し倒した。
理沙は何がなんだかわからず狼狽えている。
当の沙友理はというと……よくわからない。
「“体験”してみれば、リアリティー出るんじゃないのですか?」
「た、体験って……具体的に何すんだよ……」
「例えばこんな……」
そう言い、沙友理は理沙に近づく。
運動神経のいい理沙は、その気になれば運動音痴の沙友理のことを払いのけられるはずだ。
それなのに、されるがままになっている。
これの意味することは――
「えいっ、なのです!」
「ひゃあっ!」
沙友理はすごくいい笑顔を浮かべている。
理沙はあまりにも唐突な出来事に、ついていけずにいた。
床の上で、沙友理が理沙に抱きついているのだ。
「な、なんだよ……! や、やめろって……ねーちゃん」
「やめないのです~。どうなのですか? 温かくて気持ちいいのですよね」
「だ、断定しないでくれねーかな……否定はしねーけど」
この姉妹のイチャつきは、誰にも見られることはない……と、思いきや。
ドアの隙間からこっそりと様子を窺っている者がいた。
「ふむふむ、沙友理と理沙はそういう仲だと……」
エプロンを巻いたお父さんが、微笑ましそうに眺めていたのである。
そろそろお昼頃になるため、ご飯を食べようと呼びに来たのだ。
だが――
「これは邪魔しちゃいかんよな、うん」
「聞こえてんぞ、とーちゃん」
「あ、バレた?」
一人で勝手に納得して退散しようとしていたお父さんを、理沙が呼び止める。
なぜか妙に機嫌が悪くなってしまった理沙を、お父さんがものすごく刺激した。
「いや~、いいもの見れたよ。まさか沙友理と理沙がそこまでの仲だったなんてな」
「ぶっっっ殺す……!!」
ついに怒りを顕にした理沙。
そして、お父さんを追いかけて走り出す。
沙友理は特に何も思うことはなく、「眠いのです……」と言って昼寝をした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる