ストーキングは愛の証!【完結済み】

M・A・J・O

文字の大きさ
18 / 50
第二章 仲良しのその先へ!

お見舞いは修羅場?

しおりを挟む
 ○月○日

 やっぱこうなっちゃうよねー……
 理沙ちゃんもさっちゃん先輩のこと大事に思ってるみたいだし……そうだよね。
 さっちゃん先輩も理沙ちゃんが大事みたいだから大目に見てたけど。
 そろそろ本性出さなきゃ、大切なものは手に入らない。
 そうでしょう、さっちゃん先輩?

 ――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。

 ☆ ☆ ☆

『……いくらシシミミ様と言えどブランの事を嗅ぎ回るのはやめていただきたいと思いまして』
『ほう……建国の神である私はこの国の“親”も同然――その私に指図するのか? 一人の使い魔でしかない貴様が?』

 まさに一触即発の空気。そこで影が姿を見せた。

 それは――ウサギの耳を持ち、キツネの様な尻尾を揺らす不思議生物。
 首周りはふわふわした白い毛に覆われていて、檸檬色の全身の毛が夕日に当てられ――シシミミほどではないが、キラキラと輝いている。所々に赤茶色のしま模様が入っている。
 身体は二頭身程しかなく、シシミミにとってはまさに人間で言う虫ケラ同様。

 その虫ケラが『神』に刃向かっているのだ。

『使い魔だからこそ、主人を護りたいのです』

 紅い目で、真っ直ぐ相手を見据える。
 その目には、明確な意志が感じ取られた。
 それには流石に耐えかねたのか、シシミミはやれやれと言うようにため息を吐いた。

『分かった……元からあのような者に興味などない』

 そう言われた不思議生物は――にっこりと、ブランがしたような笑顔をシシミミに見せた。

『ありがとうございます! シシミミ様!』
『お、おう…………』

 シシミミは物凄く戸惑った様子で、その不思議生物を見送った。
 が、クルッと向きを変え、シシミミに寄る不思議生物の姿が。

『まだ何か用か?』

 訝しげな様子で、シシミミは問うた。

『いえ、名前を伝え忘れていたなと思いまして』
『……さっさと名乗れ』
『はい! メレンゲと申します。どうぞお見知りおきを』

 今度は本当に去って行った。気配がギリギリなくなるまで気を抜かずに、シシミミは見送った。

『不思議なやつも居たもんだな』

 シシミミは呆れたような――どこか嬉しそうな、そんな顔をした。

『さーてと!』

 と立ち上がり、“序盤”のようなあの奇妙なテンションを取り戻した。

『シリアスな空気なんて、私には似合うわけなかろう』

 ふぅ……と一息。

『……“興味がない”ってのは嘘かねぇ』

 意味深な言葉を残し、シシミミも祠の中へと姿を消した。

 ――『シシミミ国のブランちゃん』が終わり、理沙が心配になって玄関へ向かうと。
 沙友理が倒れていた。

「ねーちゃん!?」

 理沙は素早く沙友理の元へ駆けつけた。
 そのすぐそばには、すごく不安そうに沙友理を見つめている華緒がいる。
 なぜか理沙は妙にイラつき、華緒に訊ねる。

「華緒さん、何かしたんですか?」
「ふぇっ!? いや、別にっ……何もしてないよ……!?」
「……怪しいですね」

 理沙に訊かれると、華緒は急に顔色を赤くさせ、あたふたと慌てた様子を見せる。
 その慌てぶりが怪しいが、理沙は華緒が本気で何かをしたとは思っていない。
 ただ意地悪したかっただけだ。

「それにしても、ねーちゃんがこんなになるなんて……」

 理沙が見下ろす先には、顔を赤くして肩で息をしている沙友理の姿があった。
 しかも、靴を履く場所に倒れている。

「ねーちゃん、汚ねーからベッド戻るぞ」

 理沙はそう言って沙友理を起こそうとするが、一向に起き上がらない。

「ふーむ、こうなったら……」

 そう独り言を呟くと。
 すぐさま華緒を見つめて、嬉しそうに笑う。

「華緒さん。ねーちゃんをおんぶして運んでくれませんか?」
「……え、な、なんで私が……?」
「だって、この中じゃ華緒さんが一番大きいですし」
「で、でも……さっちゃん先輩を運ぶなんて……」
「じゃ、お願いしまーす」

 そう言って、理沙はスタコラサッサとどこかへ去っていく。
 残された華緒は一瞬どうしようか迷った後、さすがにずっと玄関にいるわけにもいかず、沙友理を部屋まで運ぶことにした。
 恐る恐る沙友理を持ち上げると、予想以上に軽かった。

「え、軽っ!?」

 思わず声を上げ、落としてしまいそうになるぐらい驚く。
 だが、しっかりと持ち直し、二階まで来ることが出来た。

「うぅ……」

 うなされている沙友理をベッドに寝かし、華緒は可愛らしいピンクの座布団の上に乗る。
 こうして見ると、沙友理は本当に小学生みたいだ。
 何を食べたらこんなにも身体が成長しないのだろうか。
 そこが謎である。

「ねーちゃーん! 起きてるかぁー?」
「うぅ……理沙? なんなのですか?」

 理沙の少し大きな呼びかけに、沙友理は目を擦りながら応じる。
 華緒も不思議に思っていると、その小さな手にはあの頭を冷やすシートが握られていた。

「ねーちゃんのために持ってきてやったんだぞ! 感謝しろよ!」
「え……あ、ありがとなのです。玄関で倒れちゃったみたいでなんだか面目ないのです」
「心配ねーって。ちゃんとここまで運んできてやったんだから」
「――……え?」

 理沙の言葉に、華緒は目を剥く。
 自分がここまで運んできたのに、理沙は何を言っているのだろう。
 そんな華緒の視線を感じたのか、沙友理にシートをつけた理沙が少し肩を揺らしたような気がした……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて

千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。 そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。 夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。 それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。 ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。 ハッピーエンドになるのでご安心ください。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...