ストーキングは愛の証!【完結済み】

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第二章 仲良しのその先へ!

久々の熱い視線?

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 ○月○日

 近づくだけ近づいたから、とりあえずまたストーキングすることにした。
 我ながら極端だとは思うけど、やっぱり押してダメなら引いてみろってやつ!
 理沙ちゃんとは今度決着つけてみることにする。
 色々準備や対策しとかないと……あの子は一筋縄じゃいかないからね。
 それまではさっちゃん先輩を追いかける日々に戻るよ。

 ――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。

 ☆ ☆ ☆

 風邪も治り、元気になったその頃。
 華緒は沙友理の前から姿を見せなくなってしまっていた。
 華緒がいるはずの1年1組にも、よく一緒にお昼ご飯を食べている食堂にも、もちろん沙友理の教室にもいない。

「華緒ちゃん、どうしたのでしょう……」

 そうこうしているうちに六時間目の授業が終わり、みんな帰り支度や、部活の準備をし始める。

「沙友理ちゃんは今日部活あるの?」
「え、まあ、一応あるのです。でも今日は休もうかと思ってて……」

 さすがにいつも一緒にいる人の姿がなかったことのショックが大きかったのか、何をするにもやる気が出ないらしい。
 それほどまでに、沙友理の中で華緒の存在が大きくなっていたのだ。

「ふーん、でも今日はクッキー作るんじゃないの?」
「あー……あ? そうなのです! クッキー作って渡せば!!」
「わっ!? びっくりしたぁ……急に大きな声出さないでよ……」
「ご、ごめんなさいなのです……」

 沙友理は謝りながら、内心感謝していた。
 そうなのだ。華緒にクッキーを渡すことを口実にして会えばいい。
 会う理由がないなら作ればいい。

「沙友理ちゃん? どうしたの?」

 不安そうな顔で、クラスメイトの子が訊いてくる。

「なんでもないのです。心配してくれてありがとなのです」
「いや、お礼なんていいよ……! 沙友理ちゃんってほんと優しいよね」

 そう言いながら、可愛くピトッとくっついてくる。
 こういうスキンシップは、女子校ならではだろうと思う。
 苦手な人は苦手だろうが、沙友理にとってはむしろその方がしっくりきた。

「いやいや、そんなことないのですよ」

 そう言いながら、沙友理もピトッとくっつき返す。
 その時、ふとどこかから久しぶりにあの視線を感じた気がしたが、教室にも廊下にも誰もいない。
 忙しくなった沙友理は気のせいだと決めつけ、時計を見る。

「あ、もうこんな時間なのです……!」
「もう部活が始まる時間なのか。じゃあ、頑張ってね」

 クラスメイトは沙友理からそっと離れた。
 解放された沙友理は、サッサと教室を退散することにする。

「じゃ、わたしはもう部活行くのです。また明日なのです~!」
「うん、バイバイ。また明日ね」

 沙友理たちは手を軽く振り合い、沙友理だけ教室を出た。
 そういえば、なぜクラスメイトの子が料理部で何を作るかを知っているのだろうと疑問に思いながらも、足早に部室に向かう。

「あら、沙友理さん。いらっしゃい」
「先生! 遅くなってごめんなさいなのです」
「いいのよ。まだ始まってないから」

 料理部の先生は、聖母のようにすごく優しい。
 よっぽどのことがない限り、大抵のことは目を瞑ってくれる。
 それに、さすが料理部の顧問というべきか、料理が上手なのである。
 昔、どこかでシェフをやっていたのではないかと疑うレベルだ。

「じゃあ、今日はクッキーを作ります。誰かと作ってもいいですし、自信のある人は一人で作ってもいいですよ」

 相変わらず、この先生は生徒を自由にしてくれる。
 部員もレベル高い子が揃っているため、先生も安心しているのだろう。

「でも、わからないことがあったら遠慮なく言ってくださいね。材料を無駄にするのはダメですよ? じゃあ、取り掛かってくださ~い」

 ――はーい。
 部員たちは元気な返事をし、各々取り掛かる。
 沙友理も近くの人を誘い、一緒に作ることにした。

「――ん?」

 そんな時、教室にいた時も感じたあの視線を再び感じた。
 教室と違い調理室にはたくさんの部員がいるため、誰が誰を見ていてもおかしくない。
 おかしくはないのだが――

「……なんだか、遠くから見られているような……?」
「篠宮先輩? どうかしましたか?」

 料理部の後輩の声に、沙友理は我に返る。
 考えていても仕方ない。
 どうせ沙友理にはわからないのだ。
 誰がどういう気持ちで自分を見ているのかなど。

「なんでもないのです。さ、続きをするのです」

 だから、もう視線の主が誰なのかを気にしないことにした。
 それよりも、沙友理には華緒に渡すクッキーのことの方が重要だった。
 上手に作れるか、上手に渡せるか。
 それが一番大事で、今は他のことなんてどうでもいい。

 自分がここまで華緒のことを好きになるなんて思ってもみなかった。
 それほどまで、華緒と“親友”になりたいのかと、沙友理は自分でも驚く。

「いっちゃんに……絶対『美味しい』って言わせてやるのです……!」

 沙友理はそう呟くと、クッキー作りに専念した。
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