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第二章 仲良しのその先へ!
痛いのは耐えられない?
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○月○日
さっちゃん先輩と一緒に寝られるなんて夢みたい……!
感極まって思わず無理やりしちゃった……
もう抑えられなくなってきてる。
このままじゃだめかもなぁ……
さっちゃん先輩のこともちゃんと考えないとね。
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
「い、痛い……痛いのです……!」
「あぁ……その表情たまりませんね……」
あの後、沙友理は華緒の家にそのまま泊まった。
朝までは何事もなく過ごしていて、一緒の布団で寝ていたのだが。
起きてから痛みが止まらない。
「もっと、もっとよく見せてください……」
ぐっとお腹を蹴られ、沙友理は苦しそうに悶える。
反対に、華緒はすごく満足そうに笑っている。
「ぐぅっ……うぅ……」
「さっちゃん先輩、最高です……好き……」
沙友理は太ももをつねられ、さっきよりも痛がる様子を見せる。
沙友理に被虐趣味はないため、華緒が一方的に楽しんでいるだけだ。
それでも好きな人が喜ぶならと受け入れていたが、そろそろ限界そうである。
肉体的にも精神的にも、もう壊れてしまいそうだった。
「……い、いっちゃん……もう、無理なのです……」
「もうですか!? うーん……わかりました……仕方ないですね……」
沙友理が涙を浮かべながら伝えると、華緒はすんなり……かどうかはわからないが、すぐにやめた。
お互い好き同士だから、いい塩梅を見計らっているのだろう。
自分の欲望だけでなく、相手のことも考えなくてはならない。
それは少し窮屈かもしれないが、恋人同士ならなおさら相手の気持ちを尊重しなければならない。
そういうものだろう。
「ここにいるとまたしちゃいそうなので、ご飯作りますね。何がいいですか?」
「じゃあ……オムライスがいいのです!」
「わかりました。任せてください!」
なんだか、沙友理はいつもオムライスばかり食べている気がするのは気のせいだろうか。
それはさておき、華緒は部屋を出ていく。
残された沙友理は、服をめくって自分の身体を見た。
「うわぁ……」
沙友理は困惑した。
自分の身体にたくさんの傷やあざがついている。
これなら、痛みが止まらないのも納得できる。
最初から暴走しすぎじゃないだろうか。
こんなことを続けられたら、絶対に逃げ出してしまいそうだ。
「どうした方がいいのでしょうか……」
華緒のことは好きだし、そういう性癖も気持ちも大事にしたいけど、沙友理には荷が重そうだ。
今は大丈夫でも、この先何があるかわからない。
もっともっと痛い思いをすることになるかもしれない。
そうなった時、自分はどうするのだろうと考えた。
「痛いのは、嫌なのです……」
だけど、答えはまとまらず、そう気弱に呟くことしかできなかった。
一人でいるとどうにかなりそうだ。
そう思っていると、タイミングよく華緒が戻ってくる。
「オムライスできましたよー! お口に合うといいんですけど……」
「わーい! ありがとうなのです!」
オムライスの香ばしい匂いに、沙友理の悩みは消し飛んだ。
考えるのは、オムライスを食べてからでいい。
「いただきまーす、なのです!」
「いただきます」
沙友理と華緒は同時に手を合わせた。
そして、それぞれケチャップライスとふわとろの卵を口に運んでいく。
ホカホカで、白い湯気が出ている。
本当に、出来立てホヤホヤだ。
「お、美味しいのです……!」
「ふふふ、今日はいつもより出来がいい気がします」
沙友理は頬に手を当てて、ほっぺが落ちそうという感じを演出する。
華緒は自信満々に「ムフー」と鼻を鳴らす。
そしてまた、二人はオムライスを堪能する。
食事中は二人の間にあまり会話はなかったけど、心は一つだったように思える。
「はー……今まで食べたオムライスの中で一番美味しかった気がするのです……」
「えへへ、嬉しいです……」
「いっちゃんの料理は世界一なのです」
「そこまでですか!? そんなに褒めてもらえるなんて……」
愛しの沙友理に褒められて、華緒は終始デレデレした。
だがハッと、急に頭をブンブン横に振り、沙友理に向き直った。
黒くて短い髪が少し乱れている。
「それで、あのですね……謝罪と提案をさせていただきたく……」
「謝罪と提案……なのですか?」
「はい。まずは、痛い思いをさせてしまってすみません」
そう言って、華緒は座ったまま深深と頭を下げる。
その動作は旅館の女将さんとかがやるような感じだったため、華緒の私服が着物に変わったように錯覚した。
沙友理は思わず見とれて、目を奪われた。
「や、やっぱり……許してもらえないですか……?」
「えっ、いや、違うのです! 大丈夫なのですよ……!」
慌てふためきながらも、華緒を安心させるために本心を伝える。
確かに痛いのは嫌だが、華緒が幸せならそれで充分なのだ。
だけど、もし……
「それで、提案なんですけど……」
もし、華緒が……
「最初はさっちゃん先輩が無理のない程度に留めておいて……」
自分のことを気にしてくれるのなら……
「さっちゃん先輩の負担にならないようにしようかなと思いまして……どうですかね?」
この上ない幸せだ。
だから沙友理は、「嬉しいのです!」と華緒の提案を快く受け入れた。
さっちゃん先輩と一緒に寝られるなんて夢みたい……!
感極まって思わず無理やりしちゃった……
もう抑えられなくなってきてる。
このままじゃだめかもなぁ……
さっちゃん先輩のこともちゃんと考えないとね。
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
「い、痛い……痛いのです……!」
「あぁ……その表情たまりませんね……」
あの後、沙友理は華緒の家にそのまま泊まった。
朝までは何事もなく過ごしていて、一緒の布団で寝ていたのだが。
起きてから痛みが止まらない。
「もっと、もっとよく見せてください……」
ぐっとお腹を蹴られ、沙友理は苦しそうに悶える。
反対に、華緒はすごく満足そうに笑っている。
「ぐぅっ……うぅ……」
「さっちゃん先輩、最高です……好き……」
沙友理は太ももをつねられ、さっきよりも痛がる様子を見せる。
沙友理に被虐趣味はないため、華緒が一方的に楽しんでいるだけだ。
それでも好きな人が喜ぶならと受け入れていたが、そろそろ限界そうである。
肉体的にも精神的にも、もう壊れてしまいそうだった。
「……い、いっちゃん……もう、無理なのです……」
「もうですか!? うーん……わかりました……仕方ないですね……」
沙友理が涙を浮かべながら伝えると、華緒はすんなり……かどうかはわからないが、すぐにやめた。
お互い好き同士だから、いい塩梅を見計らっているのだろう。
自分の欲望だけでなく、相手のことも考えなくてはならない。
それは少し窮屈かもしれないが、恋人同士ならなおさら相手の気持ちを尊重しなければならない。
そういうものだろう。
「ここにいるとまたしちゃいそうなので、ご飯作りますね。何がいいですか?」
「じゃあ……オムライスがいいのです!」
「わかりました。任せてください!」
なんだか、沙友理はいつもオムライスばかり食べている気がするのは気のせいだろうか。
それはさておき、華緒は部屋を出ていく。
残された沙友理は、服をめくって自分の身体を見た。
「うわぁ……」
沙友理は困惑した。
自分の身体にたくさんの傷やあざがついている。
これなら、痛みが止まらないのも納得できる。
最初から暴走しすぎじゃないだろうか。
こんなことを続けられたら、絶対に逃げ出してしまいそうだ。
「どうした方がいいのでしょうか……」
華緒のことは好きだし、そういう性癖も気持ちも大事にしたいけど、沙友理には荷が重そうだ。
今は大丈夫でも、この先何があるかわからない。
もっともっと痛い思いをすることになるかもしれない。
そうなった時、自分はどうするのだろうと考えた。
「痛いのは、嫌なのです……」
だけど、答えはまとまらず、そう気弱に呟くことしかできなかった。
一人でいるとどうにかなりそうだ。
そう思っていると、タイミングよく華緒が戻ってくる。
「オムライスできましたよー! お口に合うといいんですけど……」
「わーい! ありがとうなのです!」
オムライスの香ばしい匂いに、沙友理の悩みは消し飛んだ。
考えるのは、オムライスを食べてからでいい。
「いただきまーす、なのです!」
「いただきます」
沙友理と華緒は同時に手を合わせた。
そして、それぞれケチャップライスとふわとろの卵を口に運んでいく。
ホカホカで、白い湯気が出ている。
本当に、出来立てホヤホヤだ。
「お、美味しいのです……!」
「ふふふ、今日はいつもより出来がいい気がします」
沙友理は頬に手を当てて、ほっぺが落ちそうという感じを演出する。
華緒は自信満々に「ムフー」と鼻を鳴らす。
そしてまた、二人はオムライスを堪能する。
食事中は二人の間にあまり会話はなかったけど、心は一つだったように思える。
「はー……今まで食べたオムライスの中で一番美味しかった気がするのです……」
「えへへ、嬉しいです……」
「いっちゃんの料理は世界一なのです」
「そこまでですか!? そんなに褒めてもらえるなんて……」
愛しの沙友理に褒められて、華緒は終始デレデレした。
だがハッと、急に頭をブンブン横に振り、沙友理に向き直った。
黒くて短い髪が少し乱れている。
「それで、あのですね……謝罪と提案をさせていただきたく……」
「謝罪と提案……なのですか?」
「はい。まずは、痛い思いをさせてしまってすみません」
そう言って、華緒は座ったまま深深と頭を下げる。
その動作は旅館の女将さんとかがやるような感じだったため、華緒の私服が着物に変わったように錯覚した。
沙友理は思わず見とれて、目を奪われた。
「や、やっぱり……許してもらえないですか……?」
「えっ、いや、違うのです! 大丈夫なのですよ……!」
慌てふためきながらも、華緒を安心させるために本心を伝える。
確かに痛いのは嫌だが、華緒が幸せならそれで充分なのだ。
だけど、もし……
「それで、提案なんですけど……」
もし、華緒が……
「最初はさっちゃん先輩が無理のない程度に留めておいて……」
自分のことを気にしてくれるのなら……
「さっちゃん先輩の負担にならないようにしようかなと思いまして……どうですかね?」
この上ない幸せだ。
だから沙友理は、「嬉しいのです!」と華緒の提案を快く受け入れた。
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