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第三章 これが真実だ!
プレゼント選びは楽しい?
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○月○日
さっちゃん先輩ほんとに優しいな……自分の写真が撮られてるってわかってもそばにいてくれるんだもん……
もう好き! 結婚したい!
こんなのもう抑えられないよ……
さっちゃん先輩帰っちゃったけど、また追いかけて観察しようかな……
あー、でもこの写真見てるだけでも幸せ。
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
今度こそ本当に華緒の家を後にした沙友理は、華緒の部屋の様子を思い返していた。
あの壁一面に貼られた写真の沙友理は、本当に生き生きしていた。
――やはり似ている。
数ヶ月前に道端に落ちていたカメラの中に入っていた写真と、華緒が撮った写真が妙に似ている。
もしや、あのカメラは華緒のものだったのだろうか。
「それならいいのですけどね……」
「ねーちゃーん、出かけようぜー」
「えっ!? 今からなのですか!?」
沙友理にしては珍しく頭を悩ませていると、思考をかき消すように理沙の明るい声が飛んできた。
理沙はもう出かける気満々のようで、荷物を肩に背負っている。
一体どこまで出かける気なのだろうか。
「ねーちゃんが今帰ってきたばっかなのは知ってるけどさ、どうしても行きたいとこあるんだよ。頼むよー」
「わっ! 強引に引っ張らないでほしいのです……! ちゃんとついていくから待っててなのです!」
なぜか無理やりにでも沙友理を連れ出そうとする理沙。
理沙はすごく嬉しそうに顔を綻ばせている。
何かいいことでもあったのだろうか。
それとも、今から何かいいことが待っているのだろうか。
どっちにしろ、理沙が嬉しそうなのは間違いなかった。
「ここなのですか?」
「うん。ねーちゃんと買い物してみたくて!」
理沙に連れられて行ったのは、近くのショッピングモール。
品揃えがよく、都会に出なくてもそれなりに色々買うことができる。
理沙はここに何を買いに来たのだろうか。
「よっしゃー! 行くぞー!」
「わわっ! わたしと腕組んだまま急に走らないでほしいのです……!」
沙友理は理沙にずっと振り回されっぱなしだ。
わけがわからないまま、三階の雑貨コーナーまで来てしまった。
「理沙が来たかったのはここなのですか?」
「うん、そう。あいつにプレゼント贈りたくてさ」
「あいつ?」
「親友。あ、今は彼女か」
そう言えば、理沙は親友と付き合いはじめていたのだった。
何か記念日でも近いのだろうか。
やけに嬉しそうにそわそわうきうきしていたのは、彼女へのプレゼント選びに出かけようとしていたからなのか。
プレゼントというのは、贈る側も楽しくなるものだ。
沙友理が連れてこられたのは、どんなものがいいか一緒に考えてほしいからなのだろう。
それならそうと最初から言えばいいのに。
照れくさかったのだろうか。
「それならわたしも一緒に選ぶのです。わたしのセンスのよさを発揮しちゃうのですよー!」
沙友理がそう言うと、理沙は耐えきれず吹き出した。
「ぶはっ。ねーちゃん、あんまセンスねーじゃん。変なもの贈って華緒さんを困らせるなよー?」
「うるさいのですね。……ん? 今なんて言ったのですか?」
「え? あんまセンスないって……」
「そこじゃないのです! なんでわたしがいっちゃんにプレゼントすることになってるのですか!?」
「へ? だってもうすぐクリスマスだろ?」
言われて気づく。もう今は12月上旬。
少しずつ、周囲がクリスマスムードに染まっている。
なるほど、と沙友理は納得する。
「クリスマスプレゼントを選びに来たと言うわけなのですね……」
「そうそう。ま、別に今日じゃなくてもよかったんだけど、早めの方が混まなくていいかなって」
「なるほどなのです」
理沙が沙友理を連れてきたのは、単に一緒に買い物がしたいという思いもあったのだろう。
でも、どうせなら自分が行くついでに一緒に選ぶのも悪くないとも思ったようだ。
なんにせよ、言われなければ華緒にクリスマスプレゼントを贈ることができなくなっていたかもしれないから、理沙には感謝しなければならない。
「そういうことなら気合い入れなきゃなのですね……!」
「ねーちゃんが変なもの選ばないように見張っててやるよ」
「もー、理沙ったらひどいのですね」
そうして、二人で笑い合う。
今こうやって理沙と笑い合えることが、何よりも嬉しかった。
一時はどうなるかと思ったけど、なんの心配もいらなかったようだ。
そんな時、ふとあるものが沙友理の目に入る。
それは、とある写真立て。
デザインは何もデコレーションされていないとてもシンプルだが、どこか可愛らしい。
そんな写真立てを見ていて、華緒の部屋――おびただしい量の写真が脳裏によぎった。
あれは当たり前だが、沙友理単体でしか撮られていない。
だけどもし、華緒が許してくれるのなら、ツーショットで撮って写真立てに入れてみたい。
きっといいものになるだろう。
「決めた……これにするのです!」
「お? ねーちゃんにしてはまともそうなの選んだな。華緒さんになんか言われたのか?」
「そ、そうじゃないのです。いっちゃんが関係してるのは確かなのですけど……」
そんなこんなで、沙友理は写真立てを購入した。
クリスマスに贈るものとしては少し味気ないかもしれないが、今年はこれがいいと思った。
これからもきっと、華緒と共に未来を歩んでいくのだから。
さっちゃん先輩ほんとに優しいな……自分の写真が撮られてるってわかってもそばにいてくれるんだもん……
もう好き! 結婚したい!
こんなのもう抑えられないよ……
さっちゃん先輩帰っちゃったけど、また追いかけて観察しようかな……
あー、でもこの写真見てるだけでも幸せ。
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
今度こそ本当に華緒の家を後にした沙友理は、華緒の部屋の様子を思い返していた。
あの壁一面に貼られた写真の沙友理は、本当に生き生きしていた。
――やはり似ている。
数ヶ月前に道端に落ちていたカメラの中に入っていた写真と、華緒が撮った写真が妙に似ている。
もしや、あのカメラは華緒のものだったのだろうか。
「それならいいのですけどね……」
「ねーちゃーん、出かけようぜー」
「えっ!? 今からなのですか!?」
沙友理にしては珍しく頭を悩ませていると、思考をかき消すように理沙の明るい声が飛んできた。
理沙はもう出かける気満々のようで、荷物を肩に背負っている。
一体どこまで出かける気なのだろうか。
「ねーちゃんが今帰ってきたばっかなのは知ってるけどさ、どうしても行きたいとこあるんだよ。頼むよー」
「わっ! 強引に引っ張らないでほしいのです……! ちゃんとついていくから待っててなのです!」
なぜか無理やりにでも沙友理を連れ出そうとする理沙。
理沙はすごく嬉しそうに顔を綻ばせている。
何かいいことでもあったのだろうか。
それとも、今から何かいいことが待っているのだろうか。
どっちにしろ、理沙が嬉しそうなのは間違いなかった。
「ここなのですか?」
「うん。ねーちゃんと買い物してみたくて!」
理沙に連れられて行ったのは、近くのショッピングモール。
品揃えがよく、都会に出なくてもそれなりに色々買うことができる。
理沙はここに何を買いに来たのだろうか。
「よっしゃー! 行くぞー!」
「わわっ! わたしと腕組んだまま急に走らないでほしいのです……!」
沙友理は理沙にずっと振り回されっぱなしだ。
わけがわからないまま、三階の雑貨コーナーまで来てしまった。
「理沙が来たかったのはここなのですか?」
「うん、そう。あいつにプレゼント贈りたくてさ」
「あいつ?」
「親友。あ、今は彼女か」
そう言えば、理沙は親友と付き合いはじめていたのだった。
何か記念日でも近いのだろうか。
やけに嬉しそうにそわそわうきうきしていたのは、彼女へのプレゼント選びに出かけようとしていたからなのか。
プレゼントというのは、贈る側も楽しくなるものだ。
沙友理が連れてこられたのは、どんなものがいいか一緒に考えてほしいからなのだろう。
それならそうと最初から言えばいいのに。
照れくさかったのだろうか。
「それならわたしも一緒に選ぶのです。わたしのセンスのよさを発揮しちゃうのですよー!」
沙友理がそう言うと、理沙は耐えきれず吹き出した。
「ぶはっ。ねーちゃん、あんまセンスねーじゃん。変なもの贈って華緒さんを困らせるなよー?」
「うるさいのですね。……ん? 今なんて言ったのですか?」
「え? あんまセンスないって……」
「そこじゃないのです! なんでわたしがいっちゃんにプレゼントすることになってるのですか!?」
「へ? だってもうすぐクリスマスだろ?」
言われて気づく。もう今は12月上旬。
少しずつ、周囲がクリスマスムードに染まっている。
なるほど、と沙友理は納得する。
「クリスマスプレゼントを選びに来たと言うわけなのですね……」
「そうそう。ま、別に今日じゃなくてもよかったんだけど、早めの方が混まなくていいかなって」
「なるほどなのです」
理沙が沙友理を連れてきたのは、単に一緒に買い物がしたいという思いもあったのだろう。
でも、どうせなら自分が行くついでに一緒に選ぶのも悪くないとも思ったようだ。
なんにせよ、言われなければ華緒にクリスマスプレゼントを贈ることができなくなっていたかもしれないから、理沙には感謝しなければならない。
「そういうことなら気合い入れなきゃなのですね……!」
「ねーちゃんが変なもの選ばないように見張っててやるよ」
「もー、理沙ったらひどいのですね」
そうして、二人で笑い合う。
今こうやって理沙と笑い合えることが、何よりも嬉しかった。
一時はどうなるかと思ったけど、なんの心配もいらなかったようだ。
そんな時、ふとあるものが沙友理の目に入る。
それは、とある写真立て。
デザインは何もデコレーションされていないとてもシンプルだが、どこか可愛らしい。
そんな写真立てを見ていて、華緒の部屋――おびただしい量の写真が脳裏によぎった。
あれは当たり前だが、沙友理単体でしか撮られていない。
だけどもし、華緒が許してくれるのなら、ツーショットで撮って写真立てに入れてみたい。
きっといいものになるだろう。
「決めた……これにするのです!」
「お? ねーちゃんにしてはまともそうなの選んだな。華緒さんになんか言われたのか?」
「そ、そうじゃないのです。いっちゃんが関係してるのは確かなのですけど……」
そんなこんなで、沙友理は写真立てを購入した。
クリスマスに贈るものとしては少し味気ないかもしれないが、今年はこれがいいと思った。
これからもきっと、華緒と共に未来を歩んでいくのだから。
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