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第一章 変態とイケ女
イケ女と萌花は気まずくなってしまったみたいです
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「美味しかったですね……!」
「あ、あぁ、そうだな!」
あれから結局、ドキドキしすぎて話題が見つかることはなく、気まずいままクレープ屋に立ち寄った。
しかし、そんな中でもちゃんと味を感じられたのはよかったのかもしれない。
私としてはクレープ屋に行くのは初めてだったから新鮮でなかなかに楽しかった。
また今度一緒に来れたらいいな……
「さて、次はどこに行きますか?」
「うーん……」
もうすぐ日も暮れる時間だ。
そろそろ帰らないと、今日の夕食当番は私だった気がする。
今日一日を振り返ってみるとあまりいい思い出ではなかったけど、朔良さんとこうしてデートしている事実だけで胸がいっぱいになりそうだった。
――本当に幸せだ。
「萌花? どうしたんだ?」
ボーッとしていたら朔良さんに声をかけられる。
いけない、今はデート中なのだから余計なことを考えるべきではない。
私は慌てて返事をする。
「えっ!? あ、いえ! なんでもないです!」
「そっか……じゃあさ」
すると突然手を握られ、心臓が大きく跳ね上がる。
そしてそのままグイッと引っ張られて体勢が崩れた。
「わっ!?」
私の手を引いているのはもちろん朔良さんしかいないわけで。
いきなりこんなことをされて動揺しない方がおかしいだろう。
しかも、私が顔を上げるとちょうど前を向いていた朔良さんの横顔が見えてしまい、さらに鼓動が激しくなる。
「これなら少しは寂しくないか?」
「……はい」
朔良さんの言葉に小さく答えることしかできない自分が悔しかった。
きっと今の自分の顔を見られたくなかったからだ。
だって、こんなの……反則じゃないか。
いつもより優しく微笑む横顔にときめいてしまったなんて言えるはずがない。
だから私は俯いて歩くしかなかったのだ。
次に行く場所が決まらなくて適当に歩いているだけでも、私はそれでいい気がした。
憧れで、大好きな朔良さんと手を繋いで……いや、手を引かれて歩いていることそのものに意味があると思ったから。
それに、もし目的地があったとしても、そんなことはどうでもよくなっただろう。
なぜなら――
「朔良さん、大好きですよ」
自然と言葉が溢れ出てしまうくらいには幸せな気分に浸っていたのだから。
「萌花、お前は……」
「はい?」
「……いや、なんでもない」
「なんですかそれー!」
朔良さんの言いかけたことが気になったけど、教えてくれなかったので諦めることにした。
でも、朔良さんの顔を見てみるとなんだか頬を染めているような……まさかね。
そんなはずはない。
だって、私が朔良さんのことを勝手に好きになっているだけなのだから。
朔良さんが振り向いてくれることはない。
付き合っているのも、私が朔良さんを脅したから。
きっと、ただそれだけの関係に過ぎない。
だから勘違いしてはいけない。
「……ん? どうした?」
ふと見ると、いつの間にか立ち止まっている朔良さんがいた。
その表情はとても真剣なもので、思わず見惚れてしまうほど美しかった。
やっぱり好きなんだよな……
改めて思い知らされる気持ち。
この感情を抑え込むためにはどうすればいいのかわからない。
いっそこのまま言ってしまおうかとも思ったが、言ったところで困らせるだけだという結論に至り、口を閉ざすことにした。
「……なんでもないです」
「そうなのか? なんかつらそうな顔してたぞ」
「え……ほんとですか?」
「あぁ、もしかして体調悪いとか……」
「違いますよ! 元気です!」
「そっか。じゃあいいか」
ホッとしたように息をつく朔良さんを見ると、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
私は心配されるほどの顔をしていたらしい。
そんなにわかりやすいだろうか……
だとしたら嫌だな。
バレないようにしないと。
でも、いつか本当の意味でちゃんと告白できたらいいなと思う。
「……よしっ! じゃあ行くか!」
「はい!」
今度は手を繋いだまま歩き出す。
朔良さんの手は温かくて、とても心地よかった。
私は今日一日を振り返ってみて思う。
今日は今までの人生で一番幸せな日だったと。
そして同時に、もう二度と来ることのない思い出なのだろうと。
今日をずっと忘れずに心に刻み込んでおこう。
そう誓った一日だった。
「だって、多分……気まぐれでしょうから」
私は自嘲気味に呟く。
あの時の行動は本当に理解できなかったから。
どうして自分なんかをデートに誘ったのか。
その理由を知る由もない。
でも、それでいいと思った。
理由なんて知ってしまったら、きっと期待してしまうから。
それに、たとえ自分に都合の良い解釈をしたって何も変わらない。
だから、私は自分の想いを心の中に押しとどめておくことに決めたのだ。
ただ、一つだけ言えることがあるとするならば――
「やっぱり私は……あなたのことが大好きです」
この恋だけは絶対に叶えたいということだけだった。
だけどその言葉は朔良さんに届くことはなく風に乗ってどこかへ飛んでいった。
「あ、あぁ、そうだな!」
あれから結局、ドキドキしすぎて話題が見つかることはなく、気まずいままクレープ屋に立ち寄った。
しかし、そんな中でもちゃんと味を感じられたのはよかったのかもしれない。
私としてはクレープ屋に行くのは初めてだったから新鮮でなかなかに楽しかった。
また今度一緒に来れたらいいな……
「さて、次はどこに行きますか?」
「うーん……」
もうすぐ日も暮れる時間だ。
そろそろ帰らないと、今日の夕食当番は私だった気がする。
今日一日を振り返ってみるとあまりいい思い出ではなかったけど、朔良さんとこうしてデートしている事実だけで胸がいっぱいになりそうだった。
――本当に幸せだ。
「萌花? どうしたんだ?」
ボーッとしていたら朔良さんに声をかけられる。
いけない、今はデート中なのだから余計なことを考えるべきではない。
私は慌てて返事をする。
「えっ!? あ、いえ! なんでもないです!」
「そっか……じゃあさ」
すると突然手を握られ、心臓が大きく跳ね上がる。
そしてそのままグイッと引っ張られて体勢が崩れた。
「わっ!?」
私の手を引いているのはもちろん朔良さんしかいないわけで。
いきなりこんなことをされて動揺しない方がおかしいだろう。
しかも、私が顔を上げるとちょうど前を向いていた朔良さんの横顔が見えてしまい、さらに鼓動が激しくなる。
「これなら少しは寂しくないか?」
「……はい」
朔良さんの言葉に小さく答えることしかできない自分が悔しかった。
きっと今の自分の顔を見られたくなかったからだ。
だって、こんなの……反則じゃないか。
いつもより優しく微笑む横顔にときめいてしまったなんて言えるはずがない。
だから私は俯いて歩くしかなかったのだ。
次に行く場所が決まらなくて適当に歩いているだけでも、私はそれでいい気がした。
憧れで、大好きな朔良さんと手を繋いで……いや、手を引かれて歩いていることそのものに意味があると思ったから。
それに、もし目的地があったとしても、そんなことはどうでもよくなっただろう。
なぜなら――
「朔良さん、大好きですよ」
自然と言葉が溢れ出てしまうくらいには幸せな気分に浸っていたのだから。
「萌花、お前は……」
「はい?」
「……いや、なんでもない」
「なんですかそれー!」
朔良さんの言いかけたことが気になったけど、教えてくれなかったので諦めることにした。
でも、朔良さんの顔を見てみるとなんだか頬を染めているような……まさかね。
そんなはずはない。
だって、私が朔良さんのことを勝手に好きになっているだけなのだから。
朔良さんが振り向いてくれることはない。
付き合っているのも、私が朔良さんを脅したから。
きっと、ただそれだけの関係に過ぎない。
だから勘違いしてはいけない。
「……ん? どうした?」
ふと見ると、いつの間にか立ち止まっている朔良さんがいた。
その表情はとても真剣なもので、思わず見惚れてしまうほど美しかった。
やっぱり好きなんだよな……
改めて思い知らされる気持ち。
この感情を抑え込むためにはどうすればいいのかわからない。
いっそこのまま言ってしまおうかとも思ったが、言ったところで困らせるだけだという結論に至り、口を閉ざすことにした。
「……なんでもないです」
「そうなのか? なんかつらそうな顔してたぞ」
「え……ほんとですか?」
「あぁ、もしかして体調悪いとか……」
「違いますよ! 元気です!」
「そっか。じゃあいいか」
ホッとしたように息をつく朔良さんを見ると、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
私は心配されるほどの顔をしていたらしい。
そんなにわかりやすいだろうか……
だとしたら嫌だな。
バレないようにしないと。
でも、いつか本当の意味でちゃんと告白できたらいいなと思う。
「……よしっ! じゃあ行くか!」
「はい!」
今度は手を繋いだまま歩き出す。
朔良さんの手は温かくて、とても心地よかった。
私は今日一日を振り返ってみて思う。
今日は今までの人生で一番幸せな日だったと。
そして同時に、もう二度と来ることのない思い出なのだろうと。
今日をずっと忘れずに心に刻み込んでおこう。
そう誓った一日だった。
「だって、多分……気まぐれでしょうから」
私は自嘲気味に呟く。
あの時の行動は本当に理解できなかったから。
どうして自分なんかをデートに誘ったのか。
その理由を知る由もない。
でも、それでいいと思った。
理由なんて知ってしまったら、きっと期待してしまうから。
それに、たとえ自分に都合の良い解釈をしたって何も変わらない。
だから、私は自分の想いを心の中に押しとどめておくことに決めたのだ。
ただ、一つだけ言えることがあるとするならば――
「やっぱり私は……あなたのことが大好きです」
この恋だけは絶対に叶えたいということだけだった。
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