16 / 33
第一章 変態とイケ女
イケ女との問題を置いて弟の話を聞くようです
しおりを挟む
「……私としたことが、本心を抑えられないだなんて……」
朔良さんとのデートが終わった夜。
私はベッドの上で今日のことを振り返っていた。
あれから慣れない土地を歩き回ってウィンドウショッピングなどをして楽しんだ。
そして、二人でお茶を飲んで休憩したりした。
その時間がとても幸せだった。
だけど……それと同時に胸が締め付けられるような感覚があった。
理由はわかっている。
この関係が間違っていると改めて気付かされたから。
「よっし、気を取り直しまして! 今後はシリアスな雰囲気にならないよう気をつけねば!」
頬を軽く叩いて喝を入れる。
これからも楽しい時間はたくさんあるだろう。
その時にこんなことで悩んでいてはもったいない。
それに……
「今日一日でかなり進展しましたもんね!」
私たちはもう友達と言っていいほど親密な仲になったのだ。
だからきっと大丈夫。
いつか私の気持ちを伝えてもいい日が来るはず。
「姉貴、入るぞ」
「琉璃? どうしたんですか?」
軽快なノックの音と共に、ゆっくりとドアが開く。
入ってきたのはよそよそしい感じで目をキョロキョロさせている琉璃だった。
普段はこうしてノックしてこないので少し驚いた。
だが、何か用があるらしいので黙って聞くことにした。
「……姉貴さぁ、なんか悩みでもあるのか?」
「えっ!? なんですか急に……」
「いや……最近元気なさそうだなって思って……あー、話したくないなら別にいいんだけどさ」
「いえ、そんなことはありませんけど……」
突然の質問だったので戸惑ってしまった。
しかも、犬猿の仲と言ってもいいほどお互いに干渉しない私たちだ。
琉璃は頭がおかしくなってしまったのだろうか。
それとも何か裏があるのだろうか。
そう疑いたくなってしまうほど珍しいことだった。
しかし、ここで下手に誤魔化すと怪しまれてしまうかもしれない。
これでも小さい頃から一緒に過ごしてきたのだ。
小さな違和感にも気づいてしまうかもしれない。
「……琉璃こそ、なにかあったのですか?」
なので、ここはあえて聞き返すことにしてみた。
琉璃が私のことを気にかけるなんて珍しい。
私たちは普段、自分たちのことにしか興味がない。
それなのに、姉のことを心配するほど周りが見えているということは……
「べ、べつになんでもねぇよ!」
「あらら~? 怪しいですね~」
明らかに動揺している。
これは確実に何か隠していることが伺える。
やはり、琉璃の方でなにか問題があったようだ。
だが、それを簡単に話すとは到底思えない。
「ちっ、まあでも? どうしてもって言うなら話してやってもいいけど?」
「あ、話したいんですね」
「うるせぇ!」
顔を真っ赤にして怒る琉璃。
図星をつかれたからなのか、ただ単に恥ずかしかっただけなのか。
どちらにせよ、癪なことに可愛いと思ってしまった私がいた。
「……実は、あいつと喧嘩しちまって」
「あいつって……前に家に来ていたあの子ですか?」
こくりと小さくうなずく琉璃。
なるほど、それで悩んでいたのか。
確かにそれは深刻である。
もしこのまま疎遠になってしまうようなことになったりしたら……
出来る限り助けたいと思ってはいるが、この問題は私が口出しできるものではない。
なぜなら、私は部外者だからだ。
こういう時は当事者同士で解決するしかない。
第三者が首を突っ込むべきではないのだ。
「その……喧嘩の理由はなんなのですか?」
なので、ひとまず原因を探ることから始めた。
理由がわからなければ対処しようもないからだ。
すると、琉璃は少し困ったように眉を寄せたあと、ぽつりと呟いた。
「……で、揉めた」
「はい? なんて?」
あまりにも小声すぎて聞こえなかったので、もう一度言ってほしい旨を告げたが反応はない。
ただ俯いているだけだった。
だが、耳まで赤く染まっているところを見ると、かなり言いにくいことなのだろう。
「だ、だからっ! する時どっちが上になるかで揉めたんだよっ!」
「……は?」
私は耳を疑った。
今なんて言ったのだろう。
この変態は。
「えっと……つまりどういうことですか?」
「……察しろ」
「無理ですよ!?」
いくら私でも……というか、普通に私ならばこの発言の意味くらいわかる。
だけど、まさか琉璃の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
こちらから茶化すことはあれど、琉璃からそういう系の単語が出てきたことはない。
琉璃もなかなかの変態ではあるが、言葉でそれを出すことはないから。
というか、ふーん……二人の仲はもうそこまで進んでいるらしい。
だけど、この問題で揉めたということは、まだ最後までしていない可能性もある。
これからに期待、というところか。
「…………」
「な、なんだよ」
じっと見つめると、居心地悪そうにする琉璃。
「いえ、別に?」
「あー! もう! 姉貴にこんな話するんじゃなかった!」
「それは私もそう思います」
そんな話をされても、私も詳しいわけではないし過去にそれで揉めたこともない。
というか、そういうのってそんなに大事なのか?
よくわからないが、一刻も早く仲直りができることを願うばかりだ。
朔良さんとのデートが終わった夜。
私はベッドの上で今日のことを振り返っていた。
あれから慣れない土地を歩き回ってウィンドウショッピングなどをして楽しんだ。
そして、二人でお茶を飲んで休憩したりした。
その時間がとても幸せだった。
だけど……それと同時に胸が締め付けられるような感覚があった。
理由はわかっている。
この関係が間違っていると改めて気付かされたから。
「よっし、気を取り直しまして! 今後はシリアスな雰囲気にならないよう気をつけねば!」
頬を軽く叩いて喝を入れる。
これからも楽しい時間はたくさんあるだろう。
その時にこんなことで悩んでいてはもったいない。
それに……
「今日一日でかなり進展しましたもんね!」
私たちはもう友達と言っていいほど親密な仲になったのだ。
だからきっと大丈夫。
いつか私の気持ちを伝えてもいい日が来るはず。
「姉貴、入るぞ」
「琉璃? どうしたんですか?」
軽快なノックの音と共に、ゆっくりとドアが開く。
入ってきたのはよそよそしい感じで目をキョロキョロさせている琉璃だった。
普段はこうしてノックしてこないので少し驚いた。
だが、何か用があるらしいので黙って聞くことにした。
「……姉貴さぁ、なんか悩みでもあるのか?」
「えっ!? なんですか急に……」
「いや……最近元気なさそうだなって思って……あー、話したくないなら別にいいんだけどさ」
「いえ、そんなことはありませんけど……」
突然の質問だったので戸惑ってしまった。
しかも、犬猿の仲と言ってもいいほどお互いに干渉しない私たちだ。
琉璃は頭がおかしくなってしまったのだろうか。
それとも何か裏があるのだろうか。
そう疑いたくなってしまうほど珍しいことだった。
しかし、ここで下手に誤魔化すと怪しまれてしまうかもしれない。
これでも小さい頃から一緒に過ごしてきたのだ。
小さな違和感にも気づいてしまうかもしれない。
「……琉璃こそ、なにかあったのですか?」
なので、ここはあえて聞き返すことにしてみた。
琉璃が私のことを気にかけるなんて珍しい。
私たちは普段、自分たちのことにしか興味がない。
それなのに、姉のことを心配するほど周りが見えているということは……
「べ、べつになんでもねぇよ!」
「あらら~? 怪しいですね~」
明らかに動揺している。
これは確実に何か隠していることが伺える。
やはり、琉璃の方でなにか問題があったようだ。
だが、それを簡単に話すとは到底思えない。
「ちっ、まあでも? どうしてもって言うなら話してやってもいいけど?」
「あ、話したいんですね」
「うるせぇ!」
顔を真っ赤にして怒る琉璃。
図星をつかれたからなのか、ただ単に恥ずかしかっただけなのか。
どちらにせよ、癪なことに可愛いと思ってしまった私がいた。
「……実は、あいつと喧嘩しちまって」
「あいつって……前に家に来ていたあの子ですか?」
こくりと小さくうなずく琉璃。
なるほど、それで悩んでいたのか。
確かにそれは深刻である。
もしこのまま疎遠になってしまうようなことになったりしたら……
出来る限り助けたいと思ってはいるが、この問題は私が口出しできるものではない。
なぜなら、私は部外者だからだ。
こういう時は当事者同士で解決するしかない。
第三者が首を突っ込むべきではないのだ。
「その……喧嘩の理由はなんなのですか?」
なので、ひとまず原因を探ることから始めた。
理由がわからなければ対処しようもないからだ。
すると、琉璃は少し困ったように眉を寄せたあと、ぽつりと呟いた。
「……で、揉めた」
「はい? なんて?」
あまりにも小声すぎて聞こえなかったので、もう一度言ってほしい旨を告げたが反応はない。
ただ俯いているだけだった。
だが、耳まで赤く染まっているところを見ると、かなり言いにくいことなのだろう。
「だ、だからっ! する時どっちが上になるかで揉めたんだよっ!」
「……は?」
私は耳を疑った。
今なんて言ったのだろう。
この変態は。
「えっと……つまりどういうことですか?」
「……察しろ」
「無理ですよ!?」
いくら私でも……というか、普通に私ならばこの発言の意味くらいわかる。
だけど、まさか琉璃の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
こちらから茶化すことはあれど、琉璃からそういう系の単語が出てきたことはない。
琉璃もなかなかの変態ではあるが、言葉でそれを出すことはないから。
というか、ふーん……二人の仲はもうそこまで進んでいるらしい。
だけど、この問題で揉めたということは、まだ最後までしていない可能性もある。
これからに期待、というところか。
「…………」
「な、なんだよ」
じっと見つめると、居心地悪そうにする琉璃。
「いえ、別に?」
「あー! もう! 姉貴にこんな話するんじゃなかった!」
「それは私もそう思います」
そんな話をされても、私も詳しいわけではないし過去にそれで揉めたこともない。
というか、そういうのってそんなに大事なのか?
よくわからないが、一刻も早く仲直りができることを願うばかりだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
百合ハーレムが大好きです!〜全ルート攻略開始〜
M・A・J・O
大衆娯楽
【大衆娯楽小説ランキング、最高第7位達成!】
黒髪赤目の、女の子に囲まれたい願望を持つ朱美。
そんな彼女には、美少女の妹、美少女の幼なじみ、美少女の先輩、美少女のクラスメイトがいた。
そんな美少女な彼女たちは、朱美のことが好きらしく――?
「私は“百合ハーレム”が好きなのぉぉぉぉぉぉ!!」
誰か一人に絞りこめなかった朱美は、彼女たちから逃げ出した。
……
ここから朱美の全ルート攻略が始まる!
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる