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第一章 変態とイケ女
弟の話を思い出したおかげでイケ女の笑顔が見られました
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「ふーむ……仲が深まるとそういうことになることもあるのですね」
私は一晩経っても琉璃の話が忘れられずにいる。
まさかベッドの上下関係にこだわるなんて……
そんなくだらないことがきっかけで喧嘩になるとは、なんともため息が出てくる話だ。
いや、大抵のきっかけはくだらないことが多いか。
「まあ、でも、喧嘩するほど仲がいいって言いますしね」
琉璃のこともそう。
仲がいい……よすぎるからこそ今回の喧嘩が勃発してしまったのだから。
私は気にしないようにして、いつものように通学路を歩く。
今日も天気が良くて、気持ちが良い朝だ。
そして学校へ着くと、珍しく朔良さんの方が先に教室にいた。
席に座って何かを読んでいたようだが、私が入ってきたことに気づくと本を閉じて机の中に入れた。
何を見ていたのか気になるところだが、きっと私には見せてくれないだろうな。
「おはようございます、朔良さん」
「おはよ、昨日はよく眠れたか?」
「はい! ぐっすりです!」
「そっか。それはよかった」
私の元気いっぱいな返事を聞くと、朔良さんは優しく微笑んでくれた。
やはりこの人の笑顔は素敵で癒される。
いや、癒されるなんてレベルではない。
これはもう国宝級と言ってもいいのではないだろうか!?
守りたい、この笑顔――!
「どうした? なんかぼーっとしているけど……」
「えっ!? いえ、なんでもないですよ! それより昨日は楽しかったですねぇ!」
危ない危ない。
つい見惚れてしまっていた。
こんなところをクラスメイトに見られてしまえば、なんて思われるか。
最悪付き合っているんじゃないかとか噂されてしまうかもしれない。
それだけはなんとしても避けなければ!
朔良さんに迷惑はかけられない。
……いや、脅して無理やり付き合わせてしまったことがそもそも間違っている気はするが、それはそれ。
「そうだなぁ……また遊びに行きたいな。萌花ともっと仲良くなりたいし」
「え……?」
この人は今、なんと言ったのだろうか。
私と仲良くしたい? あの朔良さんが?
聞き間違いかと疑ったが、心なしか朔良さんの顔が少しだけ赤い気がする。
仲良く……仲が深まる……喧嘩……
『だ、だからっ! する時どっちが上になるかで揉めたんだよっ!』
ここで琉璃の言葉を思い出す。
つまりは朔良さんも私とそれほどまでの仲になりたいということなのでは――!
そう考えると急に恥ずかしくなってきた。
顔が熱い。おそらく赤くなっているだろう。
「……あれ? 萌花大丈夫か? 熱でもあるんじゃ……」
「だ、だいじょぶです! ちょっと思い出したことがあって!」
心配そうな顔をして近寄ってくる朔良さんの肩を押し返すようにして遠ざける。
これ以上近づいてほしくなかったからだ。
しかし、その行動によって逆に怪しく思わせてしまったようで、朔良さんはさらに距離を詰めてくる。
「本当に大丈夫なのか? 無理すんなって」
「ほ、ほんとうに大丈――ひゃあっ!?」
朔良さんの手が伸びてきて額に触れた瞬間、私は変な声を出してしまう。
それに驚いたのか、朔良さんは慌てて手を離してくれた。
「ごめん、嫌だったよな……」
「ち、違います! 違うんです! ただびっくりしただけで!」
しゅんとした表情をする朔良さんを見て、必死に弁解を試みる。
本当は触れられて嬉しかったのだが、そんなことを言えば引かれるのは確実だ。
いや、すでに色々と引いているような気もするが。
それでも誤解されたままなのは嫌だったので、なんとか伝えようと言葉を探す。
すると、朔良さんは小さく笑ってくれた。
どうやらわかってくれたらしい。よかった……
ほっとしていると、朔良さんは口元に手を当てながら言った。
その仕草はとても可愛らしく思わず見惚れそうになる。
「萌花は可愛いな」
「ふぇっ!?」
突然のことに驚いてしまい、変な声で反応してしまう。
私がかわいい?
そんなわけがない。
だって今まで一度も言われたことがないのだ。
それなのに朔良さんはさらりと口に出した。
やはりこの人には人を惹きつける力があると思う。
「さ、朔良さんの方が何倍もかわいく見えますよ!」
「あたしは別に普通だよ。でもありがとな」
「うぅ~……」
そう言って朔良さんは笑った。
やはりこの人の笑顔には敵わない。
ずっと見ていたいと思えるくらい魅力的な笑顔なのだから。
「あ、でも、あんまりそういうこと他の人に言っちゃダメですよ?」
「どうしてだ? 萌花にしか言わないぞ」
「……」
この人は天然なのだろうか。
いや、絶対そうだ。
じゃなきゃこんなセリフを簡単に言えるはずがない。
……もし朔良さんが本気で言っているなら、私はかなり嬉しいけど。
まあ、きっと深い意味はないんだろうなぁ。
期待しても無駄だということは理解しているつもりだが、やはり心のどこかでは淡い希望を抱いてしまう。
それほどまで、私は朔良さんに沼っているのだろうとやけに冷静に思考していた。
私は一晩経っても琉璃の話が忘れられずにいる。
まさかベッドの上下関係にこだわるなんて……
そんなくだらないことがきっかけで喧嘩になるとは、なんともため息が出てくる話だ。
いや、大抵のきっかけはくだらないことが多いか。
「まあ、でも、喧嘩するほど仲がいいって言いますしね」
琉璃のこともそう。
仲がいい……よすぎるからこそ今回の喧嘩が勃発してしまったのだから。
私は気にしないようにして、いつものように通学路を歩く。
今日も天気が良くて、気持ちが良い朝だ。
そして学校へ着くと、珍しく朔良さんの方が先に教室にいた。
席に座って何かを読んでいたようだが、私が入ってきたことに気づくと本を閉じて机の中に入れた。
何を見ていたのか気になるところだが、きっと私には見せてくれないだろうな。
「おはようございます、朔良さん」
「おはよ、昨日はよく眠れたか?」
「はい! ぐっすりです!」
「そっか。それはよかった」
私の元気いっぱいな返事を聞くと、朔良さんは優しく微笑んでくれた。
やはりこの人の笑顔は素敵で癒される。
いや、癒されるなんてレベルではない。
これはもう国宝級と言ってもいいのではないだろうか!?
守りたい、この笑顔――!
「どうした? なんかぼーっとしているけど……」
「えっ!? いえ、なんでもないですよ! それより昨日は楽しかったですねぇ!」
危ない危ない。
つい見惚れてしまっていた。
こんなところをクラスメイトに見られてしまえば、なんて思われるか。
最悪付き合っているんじゃないかとか噂されてしまうかもしれない。
それだけはなんとしても避けなければ!
朔良さんに迷惑はかけられない。
……いや、脅して無理やり付き合わせてしまったことがそもそも間違っている気はするが、それはそれ。
「そうだなぁ……また遊びに行きたいな。萌花ともっと仲良くなりたいし」
「え……?」
この人は今、なんと言ったのだろうか。
私と仲良くしたい? あの朔良さんが?
聞き間違いかと疑ったが、心なしか朔良さんの顔が少しだけ赤い気がする。
仲良く……仲が深まる……喧嘩……
『だ、だからっ! する時どっちが上になるかで揉めたんだよっ!』
ここで琉璃の言葉を思い出す。
つまりは朔良さんも私とそれほどまでの仲になりたいということなのでは――!
そう考えると急に恥ずかしくなってきた。
顔が熱い。おそらく赤くなっているだろう。
「……あれ? 萌花大丈夫か? 熱でもあるんじゃ……」
「だ、だいじょぶです! ちょっと思い出したことがあって!」
心配そうな顔をして近寄ってくる朔良さんの肩を押し返すようにして遠ざける。
これ以上近づいてほしくなかったからだ。
しかし、その行動によって逆に怪しく思わせてしまったようで、朔良さんはさらに距離を詰めてくる。
「本当に大丈夫なのか? 無理すんなって」
「ほ、ほんとうに大丈――ひゃあっ!?」
朔良さんの手が伸びてきて額に触れた瞬間、私は変な声を出してしまう。
それに驚いたのか、朔良さんは慌てて手を離してくれた。
「ごめん、嫌だったよな……」
「ち、違います! 違うんです! ただびっくりしただけで!」
しゅんとした表情をする朔良さんを見て、必死に弁解を試みる。
本当は触れられて嬉しかったのだが、そんなことを言えば引かれるのは確実だ。
いや、すでに色々と引いているような気もするが。
それでも誤解されたままなのは嫌だったので、なんとか伝えようと言葉を探す。
すると、朔良さんは小さく笑ってくれた。
どうやらわかってくれたらしい。よかった……
ほっとしていると、朔良さんは口元に手を当てながら言った。
その仕草はとても可愛らしく思わず見惚れそうになる。
「萌花は可愛いな」
「ふぇっ!?」
突然のことに驚いてしまい、変な声で反応してしまう。
私がかわいい?
そんなわけがない。
だって今まで一度も言われたことがないのだ。
それなのに朔良さんはさらりと口に出した。
やはりこの人には人を惹きつける力があると思う。
「さ、朔良さんの方が何倍もかわいく見えますよ!」
「あたしは別に普通だよ。でもありがとな」
「うぅ~……」
そう言って朔良さんは笑った。
やはりこの人の笑顔には敵わない。
ずっと見ていたいと思えるくらい魅力的な笑顔なのだから。
「あ、でも、あんまりそういうこと他の人に言っちゃダメですよ?」
「どうしてだ? 萌花にしか言わないぞ」
「……」
この人は天然なのだろうか。
いや、絶対そうだ。
じゃなきゃこんなセリフを簡単に言えるはずがない。
……もし朔良さんが本気で言っているなら、私はかなり嬉しいけど。
まあ、きっと深い意味はないんだろうなぁ。
期待しても無駄だということは理解しているつもりだが、やはり心のどこかでは淡い希望を抱いてしまう。
それほどまで、私は朔良さんに沼っているのだろうとやけに冷静に思考していた。
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