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19.05.17
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施設ではグループワークがあるということは度々書いている。施設参加者がある程度グループワークを繰り返し行うので、同じ人と何度もワークをすることもあり、人によってはその中で仲良くなったりしている人もいる。私が見る限りはそれは同性間が殆どだったが、異性間ももしかしたらあるのかもしれない。グループワーク時には、いくつか席が部屋の中にまとまっているので、その中からどこのグループに所属するのかを自分で選択するのだが、先日仲が良い者通しでワークをしている人がいるのを見た。別のグループだったので私には害は何も無かったし、実際の活動の中でもそこまで悪影響は無いのだろうが、この施設に来ている意味が何も無いように思えた。仲良くする相手がいるのはいいことだと思う。けれど、その間でグループワークをしたところで得られるものが何もない気がした。仲が良い相手と関係を持つだけでいいのであれば、この施設には来なくて済んだはずだ。理解を出来ない、理解が十分で無い相手とやるための施設だと思うのだけれど。私がそういう仲の人を作れないから、ひがんでいるだけだろうか。まあ、施設を出たらどちらにしても関係が無いので、どうでもいいことなのかもしれない。
昨日からの続き。ミントとの関係について。通話を頻繁にする人は初めてで、長引く電話が面倒臭くもあり必要とされているような気もして、だらだらと関係は続いた。その中で、やはりと言うべきか、会ってみたいねという話題になった。
その話題を出してきたのはミントの方だった。その時にはもう彼氏がいることを知っていたから、私は積極的に会おうとは思わなかった。それをしつこく拒んだくらいだ。東北まで向かう気力は無く、中間地点で会おうにもミントはケーキ屋で忙しく休みは取れても平日で私とは全く合わず、ダラダラと日は過ぎた。
私は立地と日程もさることながら、ミントが付き合っているということに最も大きな理由を置いていたと思う。いくらSNSでやり取りをしていようとも、実際に会うのとはまるで意味が違う。私であれば、やり取りがされているだけでも引き裂かれるような苦しみを受けるだろうと予測が出来た。自分が嫌がることを人にやってはいけません。せめて、会わないことでそのラインを守っていた。
ミントの彼氏は、ミントの事を本当に好きなようだった。彼女が話す彼氏はいつも彼女の事を第一に考えていて、彼女の不安定さも理解した上で何かあった時にはすぐに力になれるように努力をしているようだった。だからこそ、ミントはどれだけ電話をしていても、彼氏が帰って来る様子を見せると直ぐに電話を切ったし、前以て予定がわかっているときには必ずそちらを優先した。私はミントと付き合えるとは思っていなかったが、仮に告白をしたとしても、彼女は最終的に彼氏を選ぶだろうと思っていた。ミントは「なびいてしまうわ」なんて冗談めいて言っていたけれど。
或る日のこと、なんて書いてみて、いつだって或る日だよな、と思う。とにかく具体的な日付は覚えていない。冬だった気がする。きっと冬だった。冬の方が良い気がする。いつも通りミントと言葉を交わしていた。ミントは元気が無い日のようで、私はなんとなく面倒な気分になっていた。
「あのね」
何かの話の途中。急にこんな言葉だけ送ってくる。
「うん。どしたの」
そう返すことしか出来ない。少し間が空いて、返信が来る。
「わたしね、結婚するの」
細かい話は明日以降に続ける。
昨日からの続き。ミントとの関係について。通話を頻繁にする人は初めてで、長引く電話が面倒臭くもあり必要とされているような気もして、だらだらと関係は続いた。その中で、やはりと言うべきか、会ってみたいねという話題になった。
その話題を出してきたのはミントの方だった。その時にはもう彼氏がいることを知っていたから、私は積極的に会おうとは思わなかった。それをしつこく拒んだくらいだ。東北まで向かう気力は無く、中間地点で会おうにもミントはケーキ屋で忙しく休みは取れても平日で私とは全く合わず、ダラダラと日は過ぎた。
私は立地と日程もさることながら、ミントが付き合っているということに最も大きな理由を置いていたと思う。いくらSNSでやり取りをしていようとも、実際に会うのとはまるで意味が違う。私であれば、やり取りがされているだけでも引き裂かれるような苦しみを受けるだろうと予測が出来た。自分が嫌がることを人にやってはいけません。せめて、会わないことでそのラインを守っていた。
ミントの彼氏は、ミントの事を本当に好きなようだった。彼女が話す彼氏はいつも彼女の事を第一に考えていて、彼女の不安定さも理解した上で何かあった時にはすぐに力になれるように努力をしているようだった。だからこそ、ミントはどれだけ電話をしていても、彼氏が帰って来る様子を見せると直ぐに電話を切ったし、前以て予定がわかっているときには必ずそちらを優先した。私はミントと付き合えるとは思っていなかったが、仮に告白をしたとしても、彼女は最終的に彼氏を選ぶだろうと思っていた。ミントは「なびいてしまうわ」なんて冗談めいて言っていたけれど。
或る日のこと、なんて書いてみて、いつだって或る日だよな、と思う。とにかく具体的な日付は覚えていない。冬だった気がする。きっと冬だった。冬の方が良い気がする。いつも通りミントと言葉を交わしていた。ミントは元気が無い日のようで、私はなんとなく面倒な気分になっていた。
「あのね」
何かの話の途中。急にこんな言葉だけ送ってくる。
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