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月詠の支えとミアのこれから
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それが、ツクヨがWoFの世界に飛ばされた経緯と、彼の今の目的のようだ。
「ただ、私にはこの世界のことは分からない・・・。 どうしてこうなったのか。ただ!きっと二人はこの世界にいるはずなんだ! ・・・それには両方の世界を知る人間の助けが必要だと思ってる・・・」
ツクヨは、それがミアだといわんばかりに、こちらを見つめてくる。
しかし、ミアも自分達の身に起きている現状についての知識は、ツクヨと然程変わらない。
何が原因でこんなことになっているのか、誰かの仕業なのか、自分達がどうなってしまったのか。それはシンにもミアにも分からない。
当然、WoFに飛ばされる条件も分からないので、彼の求める妻子の行方についても答えることは出来ない。
「初めに言っておきますけど・・・、多分ツクヨさんの期待するようなことはお答え出来ないと思います・・・」
ツクヨは、二人がこの世界に来ていると信じてやまないだろう。
そのことが彼の心を支え、彼を動かす動機にもなるからだ。
「私の口からは、お二人がこっちに来ているのかどうかをお答えすることは出来ませんし、今ある私の知識で果たして力になれるかどうか・・・」
ミアは正直にツクヨに話した。
期待をさせることも言えなかったし、自宅で襲われた状況で、そんなに都合よくこちらに転移出来るなど、到底思えなかった。
しかし、WoFが起動していたことから、必ずしもあり得ない話ではない。
「それは勿論・・・、貴方に聞けば全て分かるなどとは思っていません。 ただ、プレイヤーとしての知識を、ご教授願えればなと思っています」
普段ゲームをやらないと言っていたツクヨ。
その点に関しては、ミアはWoFを上位クラス、それもダブルクラスを獲得するまでにはプレイしているので力になれるだろうと思った。
何か・・・シンもそうだったが、現実で辛い思いをしてきた人が、自分と同じ状況になっていると、とてもミアには他人事には思えず、出来る限りの力添えくらいはしてあげたいと思うようになっていた。
「それなら私にも出来そうですね」
ミアが柔らかい表情をすると、ツクヨもそれを見てホッとしたのか、強張っていた表情が少し緩んだ。
「ヅグヨざん・・・、そんなことがあったんですね・・・。 私も出来る限り協力させてもらいます・・・」
ツクヨの話を聞いて、シャルロットが感極まり、泣きじゃくりながら話す。
「シャルロット・・・、ありがとう。 でも君はもう十分過ぎる程、私を助けてくれているよ・・・。 君がいなければ私はどうなっていたか分からない・・・、死んでしまっていたかもしれないんだ。 だから・・・感謝してるよ、シャルロット・・・」
涙を拭うシャルロットの頭を優しく撫でるツクヨ。
シャルロットの年齢は分からないが、ツクヨにとって彼女は、娘の蜜月と重なる年頃なのだろう。
彼がシャルロットを見る目は、まるで父親のそれと同じもののように、ミアは感じていた。
「しかし、ツクヨさんの出国は止められているんじゃなかったか?」
ミアはシャルロットに聞いた。
ツクヨがこちらに来て、シャルロットと出会い、一番最初に頼ったのが聖都ユスティーチの王である、シュトラールだ。
だが、彼は何故ツクヨの出国を止めるのだろうか。
勿論、彼の身を案じてのことだとは思うが、一国の王が民一人一人のそんな事情まで把握し面倒をみるものだろうかと、ミアは少し疑問に思った。
「そうですね・・・、どうやらツクヨさんの力になれそうな方が現れた訳ですから。 もう一度シュトラール様に確認して貰いますね!」
今まで泣いていたシャルロットは、ミアが出会った時の活発で元気そうな顔にコロッと戻っていた。
シャルロットはとても表情豊かで、子供の様に表情がコロコロ変わり、愛嬌のある愛されキャラをしている。それでいて憎めないのだから狡い。
自分もこうであったのなら、社会に溶け込んで、また別の生き方をしていたのだろうかと、心の片隅で考えていた。
「そうだ! ミアさん、泊まるところは決まってますか!?」
突然、シャルロットからミアへ提案があった。
「いや・・・特に決まっては・・・いないな」
脳裏にルーフェン・ヴォルフのアジトの事が浮かんだが、泊まれるところの手配をしてくれるとも限らないし、ミア自身、あまり彼らに迷惑をかけるのも嫌ではあった。
なるべく、組織的なものとは良好な関係を築いておきたい。
何か問題が起きた際に、戦って勝てる、若しくは逃げられる様でないと、生身でこの世界では生きられないと、考えていたからだ。
「それは良かった! ならミアさんもこの兵舎に泊まるといいですよ! 手配は私がしておきます。 勿論、個室ですのでご安心を!」
ミアにとってこれ以上ない好条件だった。
聖騎士であるシャルロットと繋がりが持てれば、聖騎士との距離感が近くなることもある上、兵舎というのが一番大きい。
兵舎は聖騎士の城の敷地内にあり、ミアがここに入る時はリーベによって入れてもらえたが、ミアだけでは手続きが必要になり、いろいろと面倒ごとが発生していただろう。
そして今回はシャルロットが、兵舎に泊まる手筈を整えてくれれば聖騎士の城への出入りが容易になる。
ギルドへの出入りが困難なことから、リーベによる案内が最後になりそうだと思っていたので、必要な物資や属性の獲得、調合などを一気にすませて、戻ってくるつもりのなかったミアにとっては、調べ物もできる上、調合士ギルドのクエストや、錬金術士ギルドのクエストを受注することも出来るので、願っても無い申し出だ。
「それじゃぁ、早速隊長のところに行って手続きの許可を取ってきます! ・・・あっ! それとツクヨさんを聖都から出さないようにミアさん、見張っておいて下さい! 直ぐ迷子になっちゃうんですから!やめて下さいね!」
シャルロットがツクヨに釘をさす。
ツクヨは申し訳なさそうに頭をかき、何度も頭を下げている。
何とかこれからの目標ができたミアは、暫くここに滞在することとなった。
「ただ、私にはこの世界のことは分からない・・・。 どうしてこうなったのか。ただ!きっと二人はこの世界にいるはずなんだ! ・・・それには両方の世界を知る人間の助けが必要だと思ってる・・・」
ツクヨは、それがミアだといわんばかりに、こちらを見つめてくる。
しかし、ミアも自分達の身に起きている現状についての知識は、ツクヨと然程変わらない。
何が原因でこんなことになっているのか、誰かの仕業なのか、自分達がどうなってしまったのか。それはシンにもミアにも分からない。
当然、WoFに飛ばされる条件も分からないので、彼の求める妻子の行方についても答えることは出来ない。
「初めに言っておきますけど・・・、多分ツクヨさんの期待するようなことはお答え出来ないと思います・・・」
ツクヨは、二人がこの世界に来ていると信じてやまないだろう。
そのことが彼の心を支え、彼を動かす動機にもなるからだ。
「私の口からは、お二人がこっちに来ているのかどうかをお答えすることは出来ませんし、今ある私の知識で果たして力になれるかどうか・・・」
ミアは正直にツクヨに話した。
期待をさせることも言えなかったし、自宅で襲われた状況で、そんなに都合よくこちらに転移出来るなど、到底思えなかった。
しかし、WoFが起動していたことから、必ずしもあり得ない話ではない。
「それは勿論・・・、貴方に聞けば全て分かるなどとは思っていません。 ただ、プレイヤーとしての知識を、ご教授願えればなと思っています」
普段ゲームをやらないと言っていたツクヨ。
その点に関しては、ミアはWoFを上位クラス、それもダブルクラスを獲得するまでにはプレイしているので力になれるだろうと思った。
何か・・・シンもそうだったが、現実で辛い思いをしてきた人が、自分と同じ状況になっていると、とてもミアには他人事には思えず、出来る限りの力添えくらいはしてあげたいと思うようになっていた。
「それなら私にも出来そうですね」
ミアが柔らかい表情をすると、ツクヨもそれを見てホッとしたのか、強張っていた表情が少し緩んだ。
「ヅグヨざん・・・、そんなことがあったんですね・・・。 私も出来る限り協力させてもらいます・・・」
ツクヨの話を聞いて、シャルロットが感極まり、泣きじゃくりながら話す。
「シャルロット・・・、ありがとう。 でも君はもう十分過ぎる程、私を助けてくれているよ・・・。 君がいなければ私はどうなっていたか分からない・・・、死んでしまっていたかもしれないんだ。 だから・・・感謝してるよ、シャルロット・・・」
涙を拭うシャルロットの頭を優しく撫でるツクヨ。
シャルロットの年齢は分からないが、ツクヨにとって彼女は、娘の蜜月と重なる年頃なのだろう。
彼がシャルロットを見る目は、まるで父親のそれと同じもののように、ミアは感じていた。
「しかし、ツクヨさんの出国は止められているんじゃなかったか?」
ミアはシャルロットに聞いた。
ツクヨがこちらに来て、シャルロットと出会い、一番最初に頼ったのが聖都ユスティーチの王である、シュトラールだ。
だが、彼は何故ツクヨの出国を止めるのだろうか。
勿論、彼の身を案じてのことだとは思うが、一国の王が民一人一人のそんな事情まで把握し面倒をみるものだろうかと、ミアは少し疑問に思った。
「そうですね・・・、どうやらツクヨさんの力になれそうな方が現れた訳ですから。 もう一度シュトラール様に確認して貰いますね!」
今まで泣いていたシャルロットは、ミアが出会った時の活発で元気そうな顔にコロッと戻っていた。
シャルロットはとても表情豊かで、子供の様に表情がコロコロ変わり、愛嬌のある愛されキャラをしている。それでいて憎めないのだから狡い。
自分もこうであったのなら、社会に溶け込んで、また別の生き方をしていたのだろうかと、心の片隅で考えていた。
「そうだ! ミアさん、泊まるところは決まってますか!?」
突然、シャルロットからミアへ提案があった。
「いや・・・特に決まっては・・・いないな」
脳裏にルーフェン・ヴォルフのアジトの事が浮かんだが、泊まれるところの手配をしてくれるとも限らないし、ミア自身、あまり彼らに迷惑をかけるのも嫌ではあった。
なるべく、組織的なものとは良好な関係を築いておきたい。
何か問題が起きた際に、戦って勝てる、若しくは逃げられる様でないと、生身でこの世界では生きられないと、考えていたからだ。
「それは良かった! ならミアさんもこの兵舎に泊まるといいですよ! 手配は私がしておきます。 勿論、個室ですのでご安心を!」
ミアにとってこれ以上ない好条件だった。
聖騎士であるシャルロットと繋がりが持てれば、聖騎士との距離感が近くなることもある上、兵舎というのが一番大きい。
兵舎は聖騎士の城の敷地内にあり、ミアがここに入る時はリーベによって入れてもらえたが、ミアだけでは手続きが必要になり、いろいろと面倒ごとが発生していただろう。
そして今回はシャルロットが、兵舎に泊まる手筈を整えてくれれば聖騎士の城への出入りが容易になる。
ギルドへの出入りが困難なことから、リーベによる案内が最後になりそうだと思っていたので、必要な物資や属性の獲得、調合などを一気にすませて、戻ってくるつもりのなかったミアにとっては、調べ物もできる上、調合士ギルドのクエストや、錬金術士ギルドのクエストを受注することも出来るので、願っても無い申し出だ。
「それじゃぁ、早速隊長のところに行って手続きの許可を取ってきます! ・・・あっ! それとツクヨさんを聖都から出さないようにミアさん、見張っておいて下さい! 直ぐ迷子になっちゃうんですから!やめて下さいね!」
シャルロットがツクヨに釘をさす。
ツクヨは申し訳なさそうに頭をかき、何度も頭を下げている。
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