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銃に込められた決死の一撃
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「今の内に避難して下さいッ!」
四足獣のモンスターを吹き飛ばした聖騎士が、ミアとツクヨを避難経路へ誘導する。
モンスターと戦う聖騎士と、足早に避難をする人の姿が見える。
二人は事態を把握出来ないまま、避難の列へと加わる。
「ミア・・・もしかして私達も、さっきの騎士のように戦えるんじゃないのか?」
ミアは、彼が未だにこの世界での戦闘が、如何に危険であるかを分かっていないことに、大きく溜め息をつく。
「いいか? ここがWoFというゲームの世界であるとは言ったが、死んでもリセットされてやり直せる保証なんてないんだ・・・。 だから私達は、ここが現実であるかのように慎重にならないといけないんだよ」
丁寧に、この世界での死が何につながるかを説明するミア。
「ミアも、他のユーザーの死について知らないのか・・・?」
「知らない・・・」
彼女の反応に、顔から血の気が引いていくのを感じるツクヨ。
答えが分かっているのなら、身構えることや覚悟を持つことも可能だろう。
しかし、どうなるのか分からない、先が見えないというのは、どう覚悟したらいいのか、どんな心持ちでいれば良いのか分からないということだ。
先が見えない恐怖というのは、至る所で誰もが直面する事柄なのかもしれない。
ただ流されるように、避難の人の波に乗っていると、後方の方から建物が崩壊する大きな物音がしてきた。
「おいおい・・・嘘だろ・・・?」
先程、一人の聖騎士により吹き飛ばされていた四足獣が、店や民家を破壊しながらこちらへと向かって来るのが見えた。
「さっきの騎士はッ!? 彼が倒したんじゃないのか!?」
「知るかッ! 私に聞くなッ!」
迫り来る四足獣のモンスターの姿に、ツクヨはミアの肩を揺さぶり、夢であってくれと言わんばかりに声を荒立てる。
すぐに増援の聖騎士達が、瞬時に駆けつける。
避難していた多くの人々が、走って逃げ出している中、ミアとツクヨは思わず立ち尽くしてしまう。
それは、今度こそ勝機があるのではないかと思ったからだった。
一人では勝てずとも、上位モンスターを吹き飛ばせる程の実力を持った聖騎士が複数も居れば・・・、そしてその結末がどうなるか見てみたかった。
逃げ惑う人々と違い、戦う術を持つ二人だからこその反応ともいえるだろ。
今度は複数の聖騎士が連携をし、目眩しの魔法や拘束のアイテムなどを駆使してモンスターを抑える。
その隙に剣による斬撃や、槍による刺突を加えようとするが、四足獣のモンスターは器用にも魔法を使って戦いだしたのだ。
「何だ・・・あれは? あれが魔法というやつなのか? モンスターも・・・獣も使えるのかッ!?」
モンスターが咆哮すると、周囲に雷撃が走り、接近していた聖騎士の何人かに直撃する。
雷に打たれた聖騎士達は、軒並み動けなくなり、拘束を力尽くで振り解いたモンスターの体当たりや前脚による攻撃で四散する。
「・・・やるしかない。 見ていても、アタシら二人になるだけだ・・・。 共闘出来る者がいる内に、出来る限りのことをやるしかないッ!」
武器を取り出し、弾丸を込めるミア。
その姿を見て、ツクヨも剣を取り出し戦闘態勢をとる。
「アンタ、戦いの経験は?」
「シャルロットと一緒に、何度か騎士の仕事を手伝ったことはある。 でも・・・期待はしないでくれよ・・・。 私はあまり活躍した事はないから・・・」
お互いに顔を見合わせ、一度だけ頷くと、今まさに戦っている聖騎士達の元へと走りだした。
魔法でサポートをしていた聖騎士が、四足獣に接近され、前脚の鉤爪で裂かれそうになった時、一発の銃弾が四足獣の前脚に命中する。
たった一発の弾丸だったが、その一撃からは想像も出来ないほどのダメージがモンスターを襲い、苦痛の叫びと共に後退させることに成功する。
ミアの放った弾丸は、弾の先端が複数の鉤爪状の突起でできており、弾頭には空洞がある。
それは、対象に命中すると花が咲くように開きながら、それぞれが別々の軌道で散らばっていき、致命的なダメージを与える、以前のボス戦でミアが使用したDF2であった。
「微力だが力を貸そうッ!」
「すまない・・・、助かるッ・・・!」
しかし、モンスターはダメージを受けながらも立ち上がり、戦う姿勢を解こうとはしない。
「援軍は望めるのか?」
ミアは時間を稼げば助けは来るのかと、聖騎士に問う。
「無理だッ・・・、モンスターは各地に出現している・・・。それもコイツと同等のクラスのモンスターらしい。 援軍どころか、持ち堪えられてるかも疑問だ・・・」
彼の口からは、期待するような返答は得られなかった。
四散した近接の聖騎士達の安否は分からず、サポートが行え、ある程度の近接戦闘が出来る聖騎士が一人と、遠距離のミアに、近接のツクヨ。
この限られた戦況で、この四足獣のモンスターを倒すしかない。
「ガンナーのアンタ、さっきの弾はあとどれくらい残っている?」
「聞かない方が良かったなんて、言うなよ・・・?」
モンスターの動向を伺っていた聖騎士が、その不穏な発言に思わず、ゆっくりとミアの方を向く。
「いッ・・・いくつだ・・・?」
ミアの額からも冷や汗が流れる。
そして、厳しい状況とは相反するように、あまりにも不利な戦況に笑って答える。
「二発しかない・・・。 全部命中したところで、倒せるかも怪しいな・・・」
前回の戦いで使った残りの分しか残っていなかった。
名前に“デビル”と付く通り、素材に悪魔系統のモンスターから取れるアイテムが必要となるため、“悪”を根絶するような聖都やその周辺エリアに、素材の取れるモンスターもいなければ、商品として仕入れてもいなかったのだ。
「二発しかないのなら、二発で出来ることをする。 四足の内、どれか一本くらいは削れるだろう・・・。 取り敢えずは奴の動きを封じる」
倒せるか分からないのなら、その場に留めておけば、後々に戦力を集め対処することが可能だとミアは考えていた。
「それならその一本は、あの前脚が有力だね・・・」
ツクヨはミアの考えに賛同し、直ぐに理解を示してくれた。
「わかった・・・、私が何とかあのモンスターの動きを拘束する」
二人がミアの作戦に同意し、先ずはミアとツクヨでモンスターの注意を引き、隙を見て聖騎士が拘束、そこでミアの銃弾で前脚を飛ばす手順で、作戦は開始された。
「ほらッ! こっちだ! ついて来なッ!」
通常弾の銃に切り替え、モンスターの注意をミアへと向ける。
ガンスリンガーというクラスが、攻撃のヒット数も多いため、モンスターの“ヘイト”と言われる、敵キャラクターの対象者に対する敵対心や、攻撃する対象を決定する項目の数値を上げることに適している。
建物の方へと走り、拘束を担当する聖騎士からなるべく距離を開ける。
モンスターが走り出し、ミアの入った建物へ、前脚による強打を叩き込むと、瓦礫が周辺に飛び散る。
「アタシが動けなくなる前にッ・・・。 上手くやってくれよッ!」
立ち上る土煙と、崩れ落ちる瓦礫の間を素早い動きで駆け回り、銃弾をモンスターに撃ち込んでいきながら、上から降ってくる瓦礫の塊を撃ち抜き、細かい瓦礫の目隠しを間に挟む。
モンスターは断片的にミアを見失いながら攻撃をする為、無駄な動きが増えてくる。
「そこだッ!」
ツクヨの斬撃が、ミアのDF2を受けたモンスター前脚を捉え、体勢を崩すことに成功する。
拘束の魔法の準備が、まだ整っていないのを見ると、ミアはツクヨが作り出したチャンスに、一発目のDF2を放つ。
命中すれば、この時点で一本の脚を弾き飛ばせるという絶好の好機であったが、モンスターが魔法を使い出し、黒い歪みが現れると、DF2の弾丸を飲み込んでしまう。
「何ッ!? そんな器用なことまで出来るのかッ・・・!」
功を焦ってしまったミアが、モンスターの賢さに驚嘆と残り一発というプレッシャーを募らせたその時であった。
「仲間とは・・・互いにカバーし合い、運命を共有することだッ! 個の強さを得たモンスターには出来ないことさ!」
ツクヨが振り抜いた剣の一閃が、負傷したモンスターの前脚を跳ね飛ばしたのだ。
立っていられなくなったモンスターが、胸から地面に倒れる。
「待たせてすまないッ! 拘束を開始するッ!」
詠唱を終えた聖騎士が魔法を放つと、光の鎖が地面から無数に飛び出し、モンスターの身体を絡め取る。
「次は・・・外さないッ!」
最後の一発が込められた銃を、モンスターの後ろ脚へ向ける。
だが、動きを封じられたモンスターが、大きな咆哮をあげると、三人の視界が急に遮られてしまう。
「マズイッ! 状態異常の魔法だ!」
「くッ・・・これでは撃てない・・・、無駄に・・・できないッ!」
聖騎士が、モンスターの悪あがきに同様し、ミアはもう外すことは許されないという思いから引き金を引けずにいた。
真っ暗な視界で何も見えない中、ツクヨの呼ぶ声が聞こえてきた。
「ミアッ! こっちだ! 私の声のする方へ撃てッ!」
何とツクヨは、モンスターに触れられるほどの距離にいた為、視界を奪われた際、手探りでモンスターの位置を把握すると、ミアに自分のいるところが目標であると叫んだのだった。
「ダメだッ! ツクヨ、アンタに当たるッ!」
「私なら大丈夫だから! 信じてくれッ!ミアッ!」
ツクヨの頼りになる行動と言葉に背中を押され、意を決したミアは、ツクヨの声のする方へ銃口を向ける。
「うッ・・・! いっけぇぇぇッーーー!!」
大きな銃声と、激しい火花を散らしながら放たれた弾は、回転しながら飛んでいき、ツクヨとモンスターの後ろ脚がある方へと飛んでいく。
四足獣のモンスターを吹き飛ばした聖騎士が、ミアとツクヨを避難経路へ誘導する。
モンスターと戦う聖騎士と、足早に避難をする人の姿が見える。
二人は事態を把握出来ないまま、避難の列へと加わる。
「ミア・・・もしかして私達も、さっきの騎士のように戦えるんじゃないのか?」
ミアは、彼が未だにこの世界での戦闘が、如何に危険であるかを分かっていないことに、大きく溜め息をつく。
「いいか? ここがWoFというゲームの世界であるとは言ったが、死んでもリセットされてやり直せる保証なんてないんだ・・・。 だから私達は、ここが現実であるかのように慎重にならないといけないんだよ」
丁寧に、この世界での死が何につながるかを説明するミア。
「ミアも、他のユーザーの死について知らないのか・・・?」
「知らない・・・」
彼女の反応に、顔から血の気が引いていくのを感じるツクヨ。
答えが分かっているのなら、身構えることや覚悟を持つことも可能だろう。
しかし、どうなるのか分からない、先が見えないというのは、どう覚悟したらいいのか、どんな心持ちでいれば良いのか分からないということだ。
先が見えない恐怖というのは、至る所で誰もが直面する事柄なのかもしれない。
ただ流されるように、避難の人の波に乗っていると、後方の方から建物が崩壊する大きな物音がしてきた。
「おいおい・・・嘘だろ・・・?」
先程、一人の聖騎士により吹き飛ばされていた四足獣が、店や民家を破壊しながらこちらへと向かって来るのが見えた。
「さっきの騎士はッ!? 彼が倒したんじゃないのか!?」
「知るかッ! 私に聞くなッ!」
迫り来る四足獣のモンスターの姿に、ツクヨはミアの肩を揺さぶり、夢であってくれと言わんばかりに声を荒立てる。
すぐに増援の聖騎士達が、瞬時に駆けつける。
避難していた多くの人々が、走って逃げ出している中、ミアとツクヨは思わず立ち尽くしてしまう。
それは、今度こそ勝機があるのではないかと思ったからだった。
一人では勝てずとも、上位モンスターを吹き飛ばせる程の実力を持った聖騎士が複数も居れば・・・、そしてその結末がどうなるか見てみたかった。
逃げ惑う人々と違い、戦う術を持つ二人だからこその反応ともいえるだろ。
今度は複数の聖騎士が連携をし、目眩しの魔法や拘束のアイテムなどを駆使してモンスターを抑える。
その隙に剣による斬撃や、槍による刺突を加えようとするが、四足獣のモンスターは器用にも魔法を使って戦いだしたのだ。
「何だ・・・あれは? あれが魔法というやつなのか? モンスターも・・・獣も使えるのかッ!?」
モンスターが咆哮すると、周囲に雷撃が走り、接近していた聖騎士の何人かに直撃する。
雷に打たれた聖騎士達は、軒並み動けなくなり、拘束を力尽くで振り解いたモンスターの体当たりや前脚による攻撃で四散する。
「・・・やるしかない。 見ていても、アタシら二人になるだけだ・・・。 共闘出来る者がいる内に、出来る限りのことをやるしかないッ!」
武器を取り出し、弾丸を込めるミア。
その姿を見て、ツクヨも剣を取り出し戦闘態勢をとる。
「アンタ、戦いの経験は?」
「シャルロットと一緒に、何度か騎士の仕事を手伝ったことはある。 でも・・・期待はしないでくれよ・・・。 私はあまり活躍した事はないから・・・」
お互いに顔を見合わせ、一度だけ頷くと、今まさに戦っている聖騎士達の元へと走りだした。
魔法でサポートをしていた聖騎士が、四足獣に接近され、前脚の鉤爪で裂かれそうになった時、一発の銃弾が四足獣の前脚に命中する。
たった一発の弾丸だったが、その一撃からは想像も出来ないほどのダメージがモンスターを襲い、苦痛の叫びと共に後退させることに成功する。
ミアの放った弾丸は、弾の先端が複数の鉤爪状の突起でできており、弾頭には空洞がある。
それは、対象に命中すると花が咲くように開きながら、それぞれが別々の軌道で散らばっていき、致命的なダメージを与える、以前のボス戦でミアが使用したDF2であった。
「微力だが力を貸そうッ!」
「すまない・・・、助かるッ・・・!」
しかし、モンスターはダメージを受けながらも立ち上がり、戦う姿勢を解こうとはしない。
「援軍は望めるのか?」
ミアは時間を稼げば助けは来るのかと、聖騎士に問う。
「無理だッ・・・、モンスターは各地に出現している・・・。それもコイツと同等のクラスのモンスターらしい。 援軍どころか、持ち堪えられてるかも疑問だ・・・」
彼の口からは、期待するような返答は得られなかった。
四散した近接の聖騎士達の安否は分からず、サポートが行え、ある程度の近接戦闘が出来る聖騎士が一人と、遠距離のミアに、近接のツクヨ。
この限られた戦況で、この四足獣のモンスターを倒すしかない。
「ガンナーのアンタ、さっきの弾はあとどれくらい残っている?」
「聞かない方が良かったなんて、言うなよ・・・?」
モンスターの動向を伺っていた聖騎士が、その不穏な発言に思わず、ゆっくりとミアの方を向く。
「いッ・・・いくつだ・・・?」
ミアの額からも冷や汗が流れる。
そして、厳しい状況とは相反するように、あまりにも不利な戦況に笑って答える。
「二発しかない・・・。 全部命中したところで、倒せるかも怪しいな・・・」
前回の戦いで使った残りの分しか残っていなかった。
名前に“デビル”と付く通り、素材に悪魔系統のモンスターから取れるアイテムが必要となるため、“悪”を根絶するような聖都やその周辺エリアに、素材の取れるモンスターもいなければ、商品として仕入れてもいなかったのだ。
「二発しかないのなら、二発で出来ることをする。 四足の内、どれか一本くらいは削れるだろう・・・。 取り敢えずは奴の動きを封じる」
倒せるか分からないのなら、その場に留めておけば、後々に戦力を集め対処することが可能だとミアは考えていた。
「それならその一本は、あの前脚が有力だね・・・」
ツクヨはミアの考えに賛同し、直ぐに理解を示してくれた。
「わかった・・・、私が何とかあのモンスターの動きを拘束する」
二人がミアの作戦に同意し、先ずはミアとツクヨでモンスターの注意を引き、隙を見て聖騎士が拘束、そこでミアの銃弾で前脚を飛ばす手順で、作戦は開始された。
「ほらッ! こっちだ! ついて来なッ!」
通常弾の銃に切り替え、モンスターの注意をミアへと向ける。
ガンスリンガーというクラスが、攻撃のヒット数も多いため、モンスターの“ヘイト”と言われる、敵キャラクターの対象者に対する敵対心や、攻撃する対象を決定する項目の数値を上げることに適している。
建物の方へと走り、拘束を担当する聖騎士からなるべく距離を開ける。
モンスターが走り出し、ミアの入った建物へ、前脚による強打を叩き込むと、瓦礫が周辺に飛び散る。
「アタシが動けなくなる前にッ・・・。 上手くやってくれよッ!」
立ち上る土煙と、崩れ落ちる瓦礫の間を素早い動きで駆け回り、銃弾をモンスターに撃ち込んでいきながら、上から降ってくる瓦礫の塊を撃ち抜き、細かい瓦礫の目隠しを間に挟む。
モンスターは断片的にミアを見失いながら攻撃をする為、無駄な動きが増えてくる。
「そこだッ!」
ツクヨの斬撃が、ミアのDF2を受けたモンスター前脚を捉え、体勢を崩すことに成功する。
拘束の魔法の準備が、まだ整っていないのを見ると、ミアはツクヨが作り出したチャンスに、一発目のDF2を放つ。
命中すれば、この時点で一本の脚を弾き飛ばせるという絶好の好機であったが、モンスターが魔法を使い出し、黒い歪みが現れると、DF2の弾丸を飲み込んでしまう。
「何ッ!? そんな器用なことまで出来るのかッ・・・!」
功を焦ってしまったミアが、モンスターの賢さに驚嘆と残り一発というプレッシャーを募らせたその時であった。
「仲間とは・・・互いにカバーし合い、運命を共有することだッ! 個の強さを得たモンスターには出来ないことさ!」
ツクヨが振り抜いた剣の一閃が、負傷したモンスターの前脚を跳ね飛ばしたのだ。
立っていられなくなったモンスターが、胸から地面に倒れる。
「待たせてすまないッ! 拘束を開始するッ!」
詠唱を終えた聖騎士が魔法を放つと、光の鎖が地面から無数に飛び出し、モンスターの身体を絡め取る。
「次は・・・外さないッ!」
最後の一発が込められた銃を、モンスターの後ろ脚へ向ける。
だが、動きを封じられたモンスターが、大きな咆哮をあげると、三人の視界が急に遮られてしまう。
「マズイッ! 状態異常の魔法だ!」
「くッ・・・これでは撃てない・・・、無駄に・・・できないッ!」
聖騎士が、モンスターの悪あがきに同様し、ミアはもう外すことは許されないという思いから引き金を引けずにいた。
真っ暗な視界で何も見えない中、ツクヨの呼ぶ声が聞こえてきた。
「ミアッ! こっちだ! 私の声のする方へ撃てッ!」
何とツクヨは、モンスターに触れられるほどの距離にいた為、視界を奪われた際、手探りでモンスターの位置を把握すると、ミアに自分のいるところが目標であると叫んだのだった。
「ダメだッ! ツクヨ、アンタに当たるッ!」
「私なら大丈夫だから! 信じてくれッ!ミアッ!」
ツクヨの頼りになる行動と言葉に背中を押され、意を決したミアは、ツクヨの声のする方へ銃口を向ける。
「うッ・・・! いっけぇぇぇッーーー!!」
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