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潜伏する亡者の首領
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海上を飛び交う彷徨える魂、今を生きる生者の闘魂。個々の能力に差が生じようと、亡者には他者との連携など頭になく、まるで己の力を誇示する猛獣のように襲いかかるのみ。
それに比べチン・シー海賊団の生者達は、互いが互いの隙を補い攻撃の手は緩まることがなく、ここぞという場面で連携し強力な一撃を亡者に入れる。知性のない個の強さと、標的に向けて共鳴する心の通った剣の勝敗の行方は、今回チン・シー海賊団側の生者達へ傾いていた。
「落ち着いて対処しろ!無理に攻撃を当てようとするな!」
「複数体を相手するな!二体以上に狙われたら、別の者と合流を!」
互いに声を掛け合い、決して無理をしない攻めで亡霊を翻弄し、大振りをしたところで属性をエンチャントさせた武器で攻撃する。確実に狙える時以外は攻撃せずチャンスを待つ。そして手の空いた他の船員と協力することで、更に隙を多く発生させる。
ただ、甲板で戦う船員達が善戦している裏で、亡者は船の外装を擦り抜け船内へと次々にやって来る。船長室に突撃して来た亡霊を、軽やかな動きで躱しながら僅かに見せる大振りを見逃すことなく、手にした銃弾で撃ち抜くミア。
一撃目の銃弾で額を撃ち抜き凍らせる。そして二丁目の銃で、一撃目の銃痕に残る弾丸に二撃目の銃弾を撃ち込み、雷管に衝突する。二発目の弾丸は、凍らせながら亡霊の頭部で止まる一発目の雷管にぶつかった衝撃で、信管が起爆する瞬発信管を用いており、亡霊の頭部を爆発させる。
既に亡霊との戦闘に慣れていたミアは、二発の銃弾だけで亡霊を次々に倒していく。彼女に負けじと、シュユーも自身でエンチャントした短剣を逆手に持ち、亡霊の攻撃にカウンターを合わせて斬り込む。そして、凍って実体化した部位を武術で破壊していくことで亡霊を消滅させる。
「精鋭部隊は船内の各所に散らばり、亡者の迎撃に当たれ!ここは我々だけで十分。その内二名は妖術部隊の元へ急ぎ、安全を確保せよ」
妖術はチン・シー海賊団の特徴的な戦法であり、要とも言える部隊。船に攻め込まれたとなれば真っ先に安全を確保しなければならない。勿論、妖術の術式を起動させる部屋には別の精鋭による護衛が付いているが、それでも無事を確認するまで安心はできない。
まして総大将であるチン・シーを乗せた本船とあれば尚更のことで、その妖術部隊を仕切るのは幼くして術の才に恵まれたシュユーの相棒、フーファンなのである。いくら才能があるとはいえ、彼女は子供。予期せぬ行動に出ないとも限らない。
シュユーは、自分が妖術部隊の救援に向かいたい気持ちを押し殺し、今自分に与えられた役目と責務を全うする。
「シュユーと客人。二人には暫くここで船員達の援護をしてもらう。時が来たら酷使する故、辛抱せよ」
「尻を蹴られるのを待ち遠しくする性格じゃないが、指示には従おう。アンタの方がアタシを上手く使えそうだ」
二度に渡り窮地を脱したチン・シーの策を体験させられ、ミアの彼女に対する警戒心は少しだけあるものの、それを補って余りあるほどの信頼が芽生えていた。故に自分以上に戦況を把握しているチン・シーに身を任せた方が、戦いに役立てそうだとミアは判断した。
暫く亡霊の相手をし落ち着いてくると、他の船と連絡を取り、救援が必要そうな船に増援を送る。亡霊とはいえ、際限のない部隊ではなく、徐々にその猛攻は勢いを失いつつあった。
すると、亡霊を排除し安全を確保した妖術部隊のフーファンから、チン・シーへ向けて急ぎの報告が入る。
「主人様主人様ッ!大変でございます!別働隊の妖術部隊と連携が取れません。恐らく今の襲撃で、複数部隊がやられてしまったのかもしれません・・・」
別働隊とは、ロロネー海賊団を挟み込むようにして分けた、ミア達とは反対側に陣取るチン・シー海賊団のことで、如何やら向こう側でもこちらと同じく亡霊の襲撃を受けていたようで、その迎撃の中で被害が出てしまったのかもしれないのだという。
その報告を受け、チン・シーがシュユーの方を見ると、彼は部隊の戦力差を考え、別働隊にはより多くのエンチャント武器や様々な武具を送ったという。戦力の差といえど、それはシュユーやフーファンのような秀でた者が数人居るか居ないかの違いでしかなく、亡霊相手ならばエンチャント武器に物を言わせた戦い方をすれば、こちらよりも早く迎撃できた筈。
ロロネーは別働隊に戦力を集中させて来たということなのか。だが、向こうからすればどちらの部隊にチン・シーが居るのか分からない。無闇に片翼を潰してしまうようなことをするだろうか。
それともロロネー自身が別働隊の方へ直接赴いたのかもしれない。ハオランと共にいる筈であろうロロネーの行方を探るため、チン・シーは再度自らの能力で、ハオランの気配を探る。すると、ロロネーが移動していることを裏付ける結果を得ることになった。
「ハオランの反応が薄い・・・距離が空いたということか。如何やら奴は向こう側に・・・」
チン・シーが捜索の結果を、シュユーやミア達に告げようとしたその時、こちら側の別の船から突如報告が入る。それは彼女が得た情報とは全く違う、新たな脅威を知らせるものだった。
「敵船を発見ッ!いッ・・・いつの間にこんなところにまで・・・、ぅッぅぁぁあああッ!!」
通信はそこで途絶え、船長室には報告を入れた船員の叫び声が響き渡り、彼らは目を合わせて沈黙した。
それに比べチン・シー海賊団の生者達は、互いが互いの隙を補い攻撃の手は緩まることがなく、ここぞという場面で連携し強力な一撃を亡者に入れる。知性のない個の強さと、標的に向けて共鳴する心の通った剣の勝敗の行方は、今回チン・シー海賊団側の生者達へ傾いていた。
「落ち着いて対処しろ!無理に攻撃を当てようとするな!」
「複数体を相手するな!二体以上に狙われたら、別の者と合流を!」
互いに声を掛け合い、決して無理をしない攻めで亡霊を翻弄し、大振りをしたところで属性をエンチャントさせた武器で攻撃する。確実に狙える時以外は攻撃せずチャンスを待つ。そして手の空いた他の船員と協力することで、更に隙を多く発生させる。
ただ、甲板で戦う船員達が善戦している裏で、亡者は船の外装を擦り抜け船内へと次々にやって来る。船長室に突撃して来た亡霊を、軽やかな動きで躱しながら僅かに見せる大振りを見逃すことなく、手にした銃弾で撃ち抜くミア。
一撃目の銃弾で額を撃ち抜き凍らせる。そして二丁目の銃で、一撃目の銃痕に残る弾丸に二撃目の銃弾を撃ち込み、雷管に衝突する。二発目の弾丸は、凍らせながら亡霊の頭部で止まる一発目の雷管にぶつかった衝撃で、信管が起爆する瞬発信管を用いており、亡霊の頭部を爆発させる。
既に亡霊との戦闘に慣れていたミアは、二発の銃弾だけで亡霊を次々に倒していく。彼女に負けじと、シュユーも自身でエンチャントした短剣を逆手に持ち、亡霊の攻撃にカウンターを合わせて斬り込む。そして、凍って実体化した部位を武術で破壊していくことで亡霊を消滅させる。
「精鋭部隊は船内の各所に散らばり、亡者の迎撃に当たれ!ここは我々だけで十分。その内二名は妖術部隊の元へ急ぎ、安全を確保せよ」
妖術はチン・シー海賊団の特徴的な戦法であり、要とも言える部隊。船に攻め込まれたとなれば真っ先に安全を確保しなければならない。勿論、妖術の術式を起動させる部屋には別の精鋭による護衛が付いているが、それでも無事を確認するまで安心はできない。
まして総大将であるチン・シーを乗せた本船とあれば尚更のことで、その妖術部隊を仕切るのは幼くして術の才に恵まれたシュユーの相棒、フーファンなのである。いくら才能があるとはいえ、彼女は子供。予期せぬ行動に出ないとも限らない。
シュユーは、自分が妖術部隊の救援に向かいたい気持ちを押し殺し、今自分に与えられた役目と責務を全うする。
「シュユーと客人。二人には暫くここで船員達の援護をしてもらう。時が来たら酷使する故、辛抱せよ」
「尻を蹴られるのを待ち遠しくする性格じゃないが、指示には従おう。アンタの方がアタシを上手く使えそうだ」
二度に渡り窮地を脱したチン・シーの策を体験させられ、ミアの彼女に対する警戒心は少しだけあるものの、それを補って余りあるほどの信頼が芽生えていた。故に自分以上に戦況を把握しているチン・シーに身を任せた方が、戦いに役立てそうだとミアは判断した。
暫く亡霊の相手をし落ち着いてくると、他の船と連絡を取り、救援が必要そうな船に増援を送る。亡霊とはいえ、際限のない部隊ではなく、徐々にその猛攻は勢いを失いつつあった。
すると、亡霊を排除し安全を確保した妖術部隊のフーファンから、チン・シーへ向けて急ぎの報告が入る。
「主人様主人様ッ!大変でございます!別働隊の妖術部隊と連携が取れません。恐らく今の襲撃で、複数部隊がやられてしまったのかもしれません・・・」
別働隊とは、ロロネー海賊団を挟み込むようにして分けた、ミア達とは反対側に陣取るチン・シー海賊団のことで、如何やら向こう側でもこちらと同じく亡霊の襲撃を受けていたようで、その迎撃の中で被害が出てしまったのかもしれないのだという。
その報告を受け、チン・シーがシュユーの方を見ると、彼は部隊の戦力差を考え、別働隊にはより多くのエンチャント武器や様々な武具を送ったという。戦力の差といえど、それはシュユーやフーファンのような秀でた者が数人居るか居ないかの違いでしかなく、亡霊相手ならばエンチャント武器に物を言わせた戦い方をすれば、こちらよりも早く迎撃できた筈。
ロロネーは別働隊に戦力を集中させて来たということなのか。だが、向こうからすればどちらの部隊にチン・シーが居るのか分からない。無闇に片翼を潰してしまうようなことをするだろうか。
それともロロネー自身が別働隊の方へ直接赴いたのかもしれない。ハオランと共にいる筈であろうロロネーの行方を探るため、チン・シーは再度自らの能力で、ハオランの気配を探る。すると、ロロネーが移動していることを裏付ける結果を得ることになった。
「ハオランの反応が薄い・・・距離が空いたということか。如何やら奴は向こう側に・・・」
チン・シーが捜索の結果を、シュユーやミア達に告げようとしたその時、こちら側の別の船から突如報告が入る。それは彼女が得た情報とは全く違う、新たな脅威を知らせるものだった。
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