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特別だった者
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ロッシュに関する通常とは異なるデータを辿ると、彼に異変が起き始めたのはフランソワ・ロロネーと接点を持ち始めてからだった。それ以前の彼に関しては、他の人物やゲーム上で言われるAIによるある程度選択肢の固定されたNPCキャラクター達と装飾のないデータがある。
そして何の因果か、それとも偶然か。シンはロッシュとの戦闘後、そのロロネーとも戦うことになる。ロッシュを全く“別物“へと変えた張本人であると考えられているロロネー。彼を辿れば、異変に関する何らかの情報に辿り着ける可能性がある。
グレイスとロッシュの戦いを終え、シンは一人ツバキのボードに乗り、先に向かったミア達を追う。彼がチン・シー海賊団とロロネー海賊団の戦闘に参加する頃には、戦いは大分進んでおり、ロロネーの従える怪異の二人との戦闘は終盤へ察しかかっていた。
シンは濃霧に包まれる戦場の中で、先にツクヨと合流することになる。プレイヤーの成長に関しては確実なデータがなく、ここでのツクヨの成長が異変に繋がるかどうかは断定出来ない。
グレイスから渡された布都御魂剣は、WoFのデータ上に存在する武器であり、剣士タイプのクラスに属し装備可能な者であれば、その恩恵を授かることができるようだ。
その為か、グレイス本人やWoFの住人達ではその剣の真価を発揮させることが出来ず、ただ精巧に作られただけの物に過ぎなかったようだ。そして布都御魂剣の効果に関しても、悪属性や魔族へ大ダメージを与える特攻効果は一律して得られるものの、その他の特殊能力に関しては装備する者によるらしい。
なので、必ずしもツクヨのような創造の力を得るとは限らない。
ツクヨが戦っていた怪異クトゥルプスという触手の女。彼女に関してはデータベース上にその存在は確認されている。シンの映像データにはないが、ミアが戦っていた方の怪異、メデューズという複数人の少年の姿をした者も、恐らく彼女とセットでデータ上に存在しているものと見て間違いないだろう。
問題はフランソワ・ロロネー本人にだ。WoFのデータベース上を調べてみると、彼は人間の海賊団を結成しており、シン達の臨んだフォリーキャナルレースに参加するという記録がある。
だが、実際に彼らの前に現れたのは、亡霊の船員を引き連れた船自体もゴーストシップという、亡者の海賊団だった。
実力で勝る筈のチン・シー海賊団が苦戦を強いられたのも、この事による影響が大きい。もしかしたらシン達による介入がなければ、三大海賊の一角がここで落とされていたルートもあったのかもしれない。
今回シンが仕入れてきた情報の中で、まず最初に重要となるファクターのロロネーを調べてみると、彼は過去に何者かの接触を経て、今回のような亡者の首領と変貌したことが見つかった。
何者と接触したのかは分からない。ただ、ある時を境にロロネーの能力は、そのレベル帯で挑むにはあまりにかけ離れたものへと変貌していた。
「間違いねぇな。今回こいつが受けたクエストの異変にある元凶は、このロロネーって海賊だろうよ」
「確かに・・・。この接触を試みた何か、或いは何者かが“異変“として選んだのはロロネーだ。ここでプレイヤーを狩るつもりでいたんだろうが・・・」
「彼にそれを打ち破るだけの力が・・・?」
瑜那の言葉に、一同は慎の方へ視線を集める。しかし、どこをどう見ても他のWoFユーザーと何ら変わった様子もなく、特出すべき能力やステータスも無い慎が特別であるとは、到底思えなかった。
「まぁ・・・様々な要因が重なったんだろう。彼と行動を共にしていた“ツクヨ“という、恐らくプレイヤーである彼の成長や、布都御魂剣の性能が今回の“異変“に刺さったのだろう」
「だろうな。こいつに特別なものは感じねぇ。他の連中と何ら変わらんぜ。特異性で言うなら、前回アンタが拾ってきたデータの“サラ“って奴の方が特別だったしな」
「本人と以前のキャラクターデータの分離ですね」
「俺にはよくわかんねぇんだよなぁ・・・。なんで元々のキャラクターデータとは別に、サラのデータが分離してたんだ?こいつらはみんなそうなのか?」
宵命の疑問に、その場にいる誰もが答えることが出来なかった。
慎と同じWoFのユーザーであったサラは、ミアが錬金術師として世話になっていた最初の街の店主としての大人の女性サラというキャラクターデータと、シンとミアが最初に直面した“異変“の関係者である少女のサラという、二つのキャラクターデータが存在していた。
どうやら少女のキャラクターデータは、彼女の意に会することなく行動を起こしていたようだが、クエストという誰しもが受けることの出来るループのストーリーから解放された事により、自由を手にする事になる。
それが影響していたのか誰にも分からないが、その後大人のサラのキャラクターデータは消滅し、現実世界の彼女も姿を消した。消滅する前の彼女のデータを手に入れた白獅らは、彼女のデータから今は既に死滅していること、そしてWoF内で、少女のサラが独立し生きていることを知る。
WoFのユーザーの全てにこれが当てはまるのかと思い、彼らは今までに確保したユーザーのデータを調べるが、必ずしもそうではなかった。僅かにだが彼女と同じ結末を辿ったユーザーはいる。
だが、それが慎達に訪れる結末であるかは断定できない。それ以前に、WoFにもう一人の自分のデータを見つけたという報告すら無い者がほとんどなのだ。
それでもアサシンギルドが保護したWoFのユーザーに一律して言えることは、WoFの世界へ転移できるようになった者は、キャラクターのレベルが初期化されているということだけだった。
その際、レベルによる条件下でクラスチェンジしている者達は、その条件を無視して上位クラスを維持していた。シンのアサシンというクラスも、その例に属している。
故に彼は、アサシンギルドにとって別段特別な境遇にある者ではなかった。
そして何の因果か、それとも偶然か。シンはロッシュとの戦闘後、そのロロネーとも戦うことになる。ロッシュを全く“別物“へと変えた張本人であると考えられているロロネー。彼を辿れば、異変に関する何らかの情報に辿り着ける可能性がある。
グレイスとロッシュの戦いを終え、シンは一人ツバキのボードに乗り、先に向かったミア達を追う。彼がチン・シー海賊団とロロネー海賊団の戦闘に参加する頃には、戦いは大分進んでおり、ロロネーの従える怪異の二人との戦闘は終盤へ察しかかっていた。
シンは濃霧に包まれる戦場の中で、先にツクヨと合流することになる。プレイヤーの成長に関しては確実なデータがなく、ここでのツクヨの成長が異変に繋がるかどうかは断定出来ない。
グレイスから渡された布都御魂剣は、WoFのデータ上に存在する武器であり、剣士タイプのクラスに属し装備可能な者であれば、その恩恵を授かることができるようだ。
その為か、グレイス本人やWoFの住人達ではその剣の真価を発揮させることが出来ず、ただ精巧に作られただけの物に過ぎなかったようだ。そして布都御魂剣の効果に関しても、悪属性や魔族へ大ダメージを与える特攻効果は一律して得られるものの、その他の特殊能力に関しては装備する者によるらしい。
なので、必ずしもツクヨのような創造の力を得るとは限らない。
ツクヨが戦っていた怪異クトゥルプスという触手の女。彼女に関してはデータベース上にその存在は確認されている。シンの映像データにはないが、ミアが戦っていた方の怪異、メデューズという複数人の少年の姿をした者も、恐らく彼女とセットでデータ上に存在しているものと見て間違いないだろう。
問題はフランソワ・ロロネー本人にだ。WoFのデータベース上を調べてみると、彼は人間の海賊団を結成しており、シン達の臨んだフォリーキャナルレースに参加するという記録がある。
だが、実際に彼らの前に現れたのは、亡霊の船員を引き連れた船自体もゴーストシップという、亡者の海賊団だった。
実力で勝る筈のチン・シー海賊団が苦戦を強いられたのも、この事による影響が大きい。もしかしたらシン達による介入がなければ、三大海賊の一角がここで落とされていたルートもあったのかもしれない。
今回シンが仕入れてきた情報の中で、まず最初に重要となるファクターのロロネーを調べてみると、彼は過去に何者かの接触を経て、今回のような亡者の首領と変貌したことが見つかった。
何者と接触したのかは分からない。ただ、ある時を境にロロネーの能力は、そのレベル帯で挑むにはあまりにかけ離れたものへと変貌していた。
「間違いねぇな。今回こいつが受けたクエストの異変にある元凶は、このロロネーって海賊だろうよ」
「確かに・・・。この接触を試みた何か、或いは何者かが“異変“として選んだのはロロネーだ。ここでプレイヤーを狩るつもりでいたんだろうが・・・」
「彼にそれを打ち破るだけの力が・・・?」
瑜那の言葉に、一同は慎の方へ視線を集める。しかし、どこをどう見ても他のWoFユーザーと何ら変わった様子もなく、特出すべき能力やステータスも無い慎が特別であるとは、到底思えなかった。
「まぁ・・・様々な要因が重なったんだろう。彼と行動を共にしていた“ツクヨ“という、恐らくプレイヤーである彼の成長や、布都御魂剣の性能が今回の“異変“に刺さったのだろう」
「だろうな。こいつに特別なものは感じねぇ。他の連中と何ら変わらんぜ。特異性で言うなら、前回アンタが拾ってきたデータの“サラ“って奴の方が特別だったしな」
「本人と以前のキャラクターデータの分離ですね」
「俺にはよくわかんねぇんだよなぁ・・・。なんで元々のキャラクターデータとは別に、サラのデータが分離してたんだ?こいつらはみんなそうなのか?」
宵命の疑問に、その場にいる誰もが答えることが出来なかった。
慎と同じWoFのユーザーであったサラは、ミアが錬金術師として世話になっていた最初の街の店主としての大人の女性サラというキャラクターデータと、シンとミアが最初に直面した“異変“の関係者である少女のサラという、二つのキャラクターデータが存在していた。
どうやら少女のキャラクターデータは、彼女の意に会することなく行動を起こしていたようだが、クエストという誰しもが受けることの出来るループのストーリーから解放された事により、自由を手にする事になる。
それが影響していたのか誰にも分からないが、その後大人のサラのキャラクターデータは消滅し、現実世界の彼女も姿を消した。消滅する前の彼女のデータを手に入れた白獅らは、彼女のデータから今は既に死滅していること、そしてWoF内で、少女のサラが独立し生きていることを知る。
WoFのユーザーの全てにこれが当てはまるのかと思い、彼らは今までに確保したユーザーのデータを調べるが、必ずしもそうではなかった。僅かにだが彼女と同じ結末を辿ったユーザーはいる。
だが、それが慎達に訪れる結末であるかは断定できない。それ以前に、WoFにもう一人の自分のデータを見つけたという報告すら無い者がほとんどなのだ。
それでもアサシンギルドが保護したWoFのユーザーに一律して言えることは、WoFの世界へ転移できるようになった者は、キャラクターのレベルが初期化されているということだけだった。
その際、レベルによる条件下でクラスチェンジしている者達は、その条件を無視して上位クラスを維持していた。シンのアサシンというクラスも、その例に属している。
故に彼は、アサシンギルドにとって別段特別な境遇にある者ではなかった。
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